パリ祭。曇りがちながら、気温湿度共に、高く蒸し暑い。
生れて始めて観る蛍が、こんなにも美しく、儚く、幽玄の光に満ちているとは、思いもしなかった。
あんなに、かそけき光なのに、閃光である。
暗い山林と渓流の中で、無数の小さな光を放つ蛍達。
『天然ほたる鑑賞会2014』と銘打ったイベント。
今年は、7月1日から31日までの1ヶ月間の開催だそうである。
ギャラリーは、ご家族連れ、そして、圧倒的にカップルさんが多かった。
不思議なのは、同性同士の組合せが、極めて、少ないことだった。
普通は、観光地?には、女性同志のグループばかりが、目につく(・・・と思う)。
それなのに、蛍狩りには、カップルか、或いは、男女混合グループが多かった。
カップルは、若いひととか、熟年の御夫婦をおぼしきひとばかりである。
私と相方くらいだろうか・・・トシの割には、夫婦でもないし・・・みたいなヘンテコなカップルは・・・?
蛍が見たい・・・と希望を述べたところ、
『今まで、ほたるを見たことがないなんて、可愛そうな子だねぇ・・・。』
といつものように、私を見下ろし、哀れむような笑みを浮かべる相方であった。
ほたる鑑賞会場に、ついたのは、開催1時間前で、まず渓流の入り口にある受付場所で、受付して、チケットを貰う。
1時間後に、この場所へ集合してください・・・とのことだった。
駐車場には、もう数十台、車が止まっていたので、ちょっと、驚きだった。
実は、相方も私も、ギャラリーなんて、ほとんどいない・・・と思っていたのだった。
県内の国道400号線(所謂、ロイヤル・ロード:那須の御用邸へ至る道である)を逸れてから、すれ違う車数台程度・・・寂れた山の合間にある場所だったから・・・。
缶珈琲を買って、ベンチに座り、高原の冷たい風の中で、開催を待っている間に、次々と車が到着して、広い駐車場は、あっという間に満車。近隣のホテルからの観光バス3台。
『人気観光地なのね?』
『そのようだねぇ。』
陽は刻々と暮れていく。
あたりが、すっかり暗くなって来て、月が昇り始める。
綺麗な真円の満月だ。
300人以上?のギャラリーは、チケットの色ごとに、整列させられた。
一番最初の御入場は、渓流のホテルの宿泊客で、次は、ご入湯+お食事セットのお客さん。
一番人数が、多い入場料800円也のお客さんの列は、一番最後のご案内。私達の列だ。
『早く見たいよ~~~。立ってるの疲れたよぉ。』
この1年、自宅からほとんど出ることの無かった私は、体力がまるっきりない。
相方、なだめるように、
『今頃、蛍達は、十二単(じゅうにひとえ)にお着替え中だよ。もう少し待ちなさいよ。』
『なんで?十二単(じゅうにひとえ)なん?』
『いや。だって、源氏蛍と平家蛍なんでしょ。ここ。』
後ろのお客さんが、クスクス嗤っている。
係員さんの説明によると、今は、源氏蛍の最盛期。
平家蛍は、チラホラ・・・ということだった。
平家蛍は、源氏蛍より、体長が小さい(半分くらい?)だそうである。
昨日のブログにも記載したけれど、形状は、ゴキブリに近い?という話だったので、私は、先日、台所のシンクの中で、みた推定体長約40mm(かなりデカかった)を想定していたので、そんなものが、飛び回っていては、気持ち悪かろう・・・と(内心では)思っていたりした。
実際には、源氏蛍15mm前後、平家蛍8mm前後ということだった。
私の中指に止まったのは、相当小さな蛍だったので、平家の方かもしれない。
光り方に何か特徴でもあるのかどうか・・・。
光の点滅の時間が違うらしいけれど・・・。
私の指先を、黄緑色に照らしながら、暫く、ご休息。
蛍の方から、コンタクトを取ってくれたのだ。
私は、望外の幸せ者なのだろう・・・。