鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

『思い出のマーニー』

2014-07-25 22:52:06 | Weblog

連日30℃をゆうに超えて、猛暑。湿度高く、蒸し暑い日続く。

昨日(7月24日)は、夕刻より、相方と隣々市のシネ・コンへ映画を見に行く。
映画を見たのが、先月の今頃だったから、また随分と時間が経ってしまった。
相方、来月より、工業専門学校生のインターンシップ企業研修生の受入れ準備で、多忙らしい。


今夜のお題である 『思い出のマーニー』は、スタジオ・ジブリの作品ということで、宮崎駿氏の画風を継承しているキャラクター達である。
宮崎氏と言えば、世界的なアニメーション映画を配給しているひとだし、『風の谷のナウシカ』を始め、神話的なファンタジー作品の紡ぎ手でもあるのだろう。

ヒトと上手く交われない杏奈が、夏休みに喘息の療養で訪れた根室の湿原。
美しい湖と花々、湖に面して建てられた瀟洒な古い西洋館。
夏の北国の美しさが、幾重にも重なる画像は、流石。
北海道というよりは、古き良きロシア、或いは、ヨーロッパの白夜圏の夏の湿原を連想させる美しさでもある。

大正期?から昭和初期風のレトロモダンな雰囲気を湛えながら、古い西洋館での不思議な体験。杏奈と交流をかわす少女マーニーの謎が、徐々に解き明かされていく。

養女であることを幼少期に知り、それ以来、自分の存在の意味を問いつづける主人公は、そのトラウマからか・・・喘息の発作にたびたび、襲われる。
療養の為、訪れた湿原には、彼女のルーツが、時の流れの中で、静かに眠っている。
自分の繭の中に閉じこもっている限り、杏奈は、安心なのだが、一歩外に出て、外界のヒトを接触するたびに、傷ついてしまう繊細な心を持て余す。

私は、この作品をみて、大島弓子氏の『F(フロイト)式蘭丸』、或いは、梨木香歩氏の『西の魔女が死んだ』を思い出した。
主人公・杏奈のシチュエーションは、『西の魔女が死んだ』であり、ストーリー初期では、マーニーなる架空の人物を作り上げる杏奈は、母親の再婚を受け入れるための儀式で、自分を励ますために蘭丸なる美青年を作り出したよき子でもある。

・・・ラストでは、美少女・マーニーが何者であるか知ることになるのだけれど、幼少期の潜在意識?が、杏奈を『普通』の少女として、或いは、マーニーを継承して物語は終わる。

特筆すべきなのは、西洋館の調度品の描写であろうか。
暖炉、鉄柵の門扉、階段、ランプ・・・そして、暖炉の上には、ヘレンドの薔薇の陶磁器。
根室の自然の花々や、湖、鳥達は、英国の爽やかな夏を彷彿とさせる。

空気感のある仕上がりとなったようだ。