昨日(7月12日)は、夕方になりかけの時間から、県北の山の中へ、蛍狩りに。
下界は、夕方5時半でも、33℃の猛暑。
山に向かっていくと気温は、グングン下がっていて、蛍狩りのできる渓流釣り場と宿泊施設のある県北は、24℃で、寒いくらい。
事の起こりは、去年は、手許不如意のため、都内での蛍狩りは、諦めた・・・季節は巡り、今頃になって、蛍狩りのことを思いだし、ネットで検索してみると、都内某所での蛍狩りは、今月の20日あたりで今季の蛍狩りは、終了らしかった。
ああ・・・今年も、行けなかったのね・・・そして、今年も手許不如意だし・・・。
『↑・・・という訳なので、来年、連れて行って下さいよ。私は、生まれてこの方、生の蛍って、見たことないので、どうせなら、蛍をみてから、死にたい。蛍くらい見てからでないと死ねないし・・・。』
来年こそは・・・と思い、相方に、訳の分からぬお願いしてみたのだった。
相方から電話があったのが、その翌日。今週の9日の水曜日の午後3時のことである。
『何も、来年迄待つことはありませんよ。県北に、今からでも蛍をみることのできる施設があって、そこでなら見られますよ。ただ、雨とか、風が吹いていると中止になるそうですが・・・。私はいま、U市にいるので、U市の何処かで待ち合わせれば、今からでも充分間に合いますが・・・。』
『・・・だって・・・。これから台風だよ?風吹いているよ?雷雨の予報も出ているし。』
『・・・それはそうですね。こちらは、まだ雨は降っていないけれど。では、台風の通過状況をみて、明後日の土曜日あたりにしましょうか?事務所の仕事を早めに切り上げますよ。来週後半から、またいそがしくなるから、来週の土曜日は、仕事だし。』
そして、台風の通過した昨日の土曜日。
片道約2時間半をかけて、那須塩原へ。
夕闇せまる19時30分。
ギャラリーは、推定300名以上の人数。
・・・こんなにいるのか・・・と驚いた。
渓流釣り温泉の宿泊客、地元温泉ホテルの観光客、私達のような蛍狩りだけのお客。
他県ナンバーの車も多い。
宿泊施設の駐車場から、少し歩いて、渓流へ。
最初は、よく分からなかったが、相方が、
『ほら。見て。たくさんいる。』
と指差した方をみると、小さな光が点在する。
渓流の奥へ進むと、ますます数が多くなってきて、蛍の呼吸に合わせるかのように、光ったり消えたり・・・。
なんて、かそけき幽玄の光なのだろう・・・。
暫く歩いていくと、遊歩道にも、ふわふわと光が飛んでいる。
すっと手を伸ばすと、私の中指の先に、ふっと止まった。
細く、小さく、光が強くなったり、弱くなったりしている。
『みて。指に止まった。』
ゆっくりと相方のほうに、手を指しのばす。
相方、莞爾と笑い
『良かったね。』
と言った。
それをみていた前を歩くカップルの女の人が、
『指に止まるなんて、ラッキーですねぇ。』
と笑った。
私は、生まれてこのかた、生?の蛍は、見たことが無くて、この虫が、こんなに小さくて(体長1cmに満たないくらい)軽いものだとは、知らなかった。
形は、ゴキブリに似ていると相方から聞いていたので、大きさもゴキブリくらいなのかと思っていたのだった・・・。
相方は、県央の出身で、小学生の頃は、近所を流れる川で、当たり前のようにみていたので、それ程珍しくはないのだろうけれど、ここの蛍の数は、すごい・・・と驚いていた。
蛍の光・・・蛍雪で本を読む・・・というくだりがあったけれど、蛍の光で、読書ができるのかどうかは、微妙。
あれ程、小さな虫の放つ閃光にしては、強い光で、目を刺すようなそれでいて、黄緑色をしていて、神秘的で、美しい。
正に、幽玄・・・。
日本画家の上村松園が、美人画の題材によく蛍を好んで描いていたことを思い出す。
この施設の蛍は、源氏蛍ということで、今週末から、平家蛍も光始めた・・・とのことだった。
1時間くらい散策して、見学時間を終了。
来た道を戻って、22時少し前に帰宅。
今回は、相方のスマホが、カーナビを務めてくれた。
『こんな山の中じゃ、カーナビがないと辿りつけないよね。山道は、暗いし・・・。』
空には、夏の満月。
幽玄の蛍のひかり・・・。
美しい夏の夜の贅沢・・・ここに極まれり。