井戸掘りとか畑仕事のように身体を使い、ひたすら黙々と作業していると何もかも忘れる。正確に言えば、忘れるというよりもひとつのことだけを考える。頭の中は妄想の世界である。肉体労働が一段落してしまうと、特別に追われるような仕事がないから、家に閉じこもって本を読むか、テレビを見るか、ぼんやりしている。のんびりしているのに、血圧が高い。医者が「ストレスですね」などと診断する。
孫娘のストレスに比べれば、私は「肩がこるね」といったレベルだろう。孫娘は実父に「ママは元気か?」と聞かれ、「ウン」と答えた。「変わったことはないか?」と聞かれ、やはり「ウン」と答えた。とても「ママは結婚したよ」とは言えなかった。「嘘を言ってはいけない」と言われて育てられたから、嘘はつけない。だからといって本当のことも言えない。ママを守り、父を傷つけないために孫娘は必死で考え、「ウン」と答えたのだ。
そんな個人的な悩みとは別に、世界は豚インフルエンザにてんてこ舞いになっている。人から人へ感染するインフルエンザだという。発生がどこでなぜなのか、全くわからないけれど、メキシコで取り上げられたと思ったら北米全体に広がっているようであるし、すでにヨーロッパでも感染者がいるという。東アジアの日本と中国は共同してこの豚インフルエンザと戦うと麻生首相は得意げに話していた。
鳥インフルエンザに続いて今度は豚インフルエンザか。これからどんどん新しいインフルエンザが出てくるのだろうな。1970年から2005年の35年間に、脊椎動物である魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類の4分の1が絶滅したそうだ。2倍ずつ進行するのであれば、2040年には2分の1となり、2075年には全てが絶滅することになる。創り出される時は何億年もかかるのに、絶滅するのはあっという間である。
人類の大きな転機と病原菌の感染はつながっていないだろうか。ヨーロッパでペストが流行ったのは中世から変わろうとした時であった。近世の入り口で地球が丸いことを発見し、大航海時代へと向かった。この時、タバコと梅毒が新大陸からヨーロッパに持ち込まれ、すさまじい勢いで広がった。エイズが広がったのは冷戦時代が終わり、アメリカを中心とするグローバリズムに突入した時代であった。梅毒もエイズも人間の快楽への罰であったが、インフルエンザは何に対する罰なのだろう。
人間は小さな個人的な悩みも解決できない存在である。いやむしろそうであるからこそ人間らしく生きていられるのかもしれない。ところが一方で、科学は目覚しい発展を遂げた。優秀な人間を作り出す遺伝子の存在さえ見つけ出した。同じ生物を作り出すことも可能になった。300グラムの赤ん坊を育て上げることも出来る。そのうちに人のお腹を借りなくても生み育てるようになるだろう。
こんなに科学は進歩し技術は発展したのに、貧困は救えないし、戦争は阻止できない。そればかりか殺人や傷害やイジメもなくならない。インフルエンザ騒ぎの次には何が来るのだろう。
孫娘のストレスに比べれば、私は「肩がこるね」といったレベルだろう。孫娘は実父に「ママは元気か?」と聞かれ、「ウン」と答えた。「変わったことはないか?」と聞かれ、やはり「ウン」と答えた。とても「ママは結婚したよ」とは言えなかった。「嘘を言ってはいけない」と言われて育てられたから、嘘はつけない。だからといって本当のことも言えない。ママを守り、父を傷つけないために孫娘は必死で考え、「ウン」と答えたのだ。
そんな個人的な悩みとは別に、世界は豚インフルエンザにてんてこ舞いになっている。人から人へ感染するインフルエンザだという。発生がどこでなぜなのか、全くわからないけれど、メキシコで取り上げられたと思ったら北米全体に広がっているようであるし、すでにヨーロッパでも感染者がいるという。東アジアの日本と中国は共同してこの豚インフルエンザと戦うと麻生首相は得意げに話していた。
鳥インフルエンザに続いて今度は豚インフルエンザか。これからどんどん新しいインフルエンザが出てくるのだろうな。1970年から2005年の35年間に、脊椎動物である魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類の4分の1が絶滅したそうだ。2倍ずつ進行するのであれば、2040年には2分の1となり、2075年には全てが絶滅することになる。創り出される時は何億年もかかるのに、絶滅するのはあっという間である。
人類の大きな転機と病原菌の感染はつながっていないだろうか。ヨーロッパでペストが流行ったのは中世から変わろうとした時であった。近世の入り口で地球が丸いことを発見し、大航海時代へと向かった。この時、タバコと梅毒が新大陸からヨーロッパに持ち込まれ、すさまじい勢いで広がった。エイズが広がったのは冷戦時代が終わり、アメリカを中心とするグローバリズムに突入した時代であった。梅毒もエイズも人間の快楽への罰であったが、インフルエンザは何に対する罰なのだろう。
人間は小さな個人的な悩みも解決できない存在である。いやむしろそうであるからこそ人間らしく生きていられるのかもしれない。ところが一方で、科学は目覚しい発展を遂げた。優秀な人間を作り出す遺伝子の存在さえ見つけ出した。同じ生物を作り出すことも可能になった。300グラムの赤ん坊を育て上げることも出来る。そのうちに人のお腹を借りなくても生み育てるようになるだろう。
こんなに科学は進歩し技術は発展したのに、貧困は救えないし、戦争は阻止できない。そればかりか殺人や傷害やイジメもなくならない。インフルエンザ騒ぎの次には何が来るのだろう。