雛祭りである。暖かな日差しが春を告げていた。庭に紅白の梅が満開になっている家もある。今日、大和塾の仲間と一緒に、大学の中にある民族資料博物館や源氏物語の住まいをミニチュアで再現した建築資料制作室を見学した。学生数が1万人を超える大学は広大な土地を有している。丘陵地を切り開いて大学を建設したので、大学の中に雑木林やため池が残っている。春休み中というが、大勢の学生が来ていた。アフリカからの留学生もいて、大学は世界に門を広げていることもよく分かった。
民族資料博物館や建築資料制作室など、大学のレベルや幅広さを痛感した。私たちは学生食堂で昼食をとったけれど、若い学生のためだろう、どのメニューも470円と安価で、ご飯の量は多かった。久し振りに学生食堂に入ったけれど、余りにもマンモスで、広い割にはイスの間隔は狭く、落ち着いて食事を味わう場ではなかった。
しかし、贅沢なことに雑木林の中に古い日本建築の家があり、その一角に江戸時代初期に出版された書物にあった、「利休囲」を寸法通りに再現した茶室があった。現在ある利休の茶室といわれるものよりも小ぶりなのは、他は改修を重ねたからで、ここの茶室がもっとも利休の茶室に忠実なのだろう。孫娘が通う教室はこの茶室からは近いらしいが、あの子はここに来たことがあるのだろうか。
大学入試に親が付き添うばかりか、子の就職試験や入社式にも親が付き添うケースが増えてきたという。子どもが少ないことや親の子に対する考えの変化が大きいようだ。どんな子でも我が子は可愛い。我が子が最高だ。三重県朝日町の空き地で中学3年の女生徒が遺体で発見された事件の犯人が逮捕された。前日に高校を卒業したばかりの18歳の少年だった。「金目当て」と少年は自白したらしいが、何の根拠もないけれど、私は冤罪じゃーないかと思ってしまった。
大学へ行く子も、行かない子も、将来に対して希望を持っていないという。現実の厳しさばかりしか見ていない。なんとつまらない社会を私たちは作り上げてしまったのか。大学には多くの学生たちがいたけれど、立て看板もなく、怒鳴っている学生もいない。キレイに整えられた学園の環境に、学生たちも整えられていた。