「食事もとっていないみたいなので、『何か持って行こうか?』って言っても、頑固に『いらない』と拒否されるんだけど、どうしよう」と電話をいただいた。話を聞くと、体調が悪く家にこもりがちなので、近くの喫茶店に誘ったのだが、「身体の具合が悪い」と言われ、話しているうちに食事をしていないことが分かったから申し出たが、断られたということだった。
彼女の性格から察すると、人の世話にはなりたくないという気持ちが強そうだ。今は息子さんと暮らしているし、好意だからと無理やりしても友情までこじれてしまうかも知れない。近くを通る機会もあるので「様子を見ましょう」と返事をした。家庭のことまではよく知らないが、長い間ひとり暮らしだったが、息子さんが家を建ててくれたので「一緒に住むことになった」と以前、嬉しそうに話してくれた。
私が住むマンションでも高齢化は着実に進んでいる。入居した頃は、夏休みや冬休みになると駐車場はガラ空きだったのに、今では平日でも多くの車が駐車したままで、夏休みや冬休みは子どもたちが帰って来るから駐車場が足りなくて困っている。高齢者夫婦の老々介護も見かけるし、高齢者のひとり暮らしも目立つようになった。
自治会では昔から「あいさつ運動」を推進してきた。お互いを知ることこそトラブルを防ぎ、いざという時に助け合うことが出来ると考えたからだ。しかし今、「あいさつをしないように」と決めているマンションがあると聞く。理由は「子どもが危ない目に遭わないため」らしいが、逆な気がしてならない。ノロウィルス対策から餅つきを止めた地域もあるが、地域の親善がこんな風に疎かになっていくことの方が怖い。
人口は減少し経済は減速するのは確実である。だからこそ隣近所のつながりが大事だ。トランプ大統領のような豪邸でなくてもいい。みんながそこそこ幸せに暮らしていける社会は、小さな地域から創られていくような気がする。「あんな大金持ちが貧乏人のために何かしてくれるわけがない」と言う人もいるが、トランプ大統領が支持されるのは大金持ちだからだ。まだまだ人々は「貧しくっても平和の方がいい」と考えないから。