小学校の校門の前で、晴れ着の両親とピカピカの1年生が写真を撮っていた。今日は小学校の入学式で、お母さんの中には着物姿もあり華やかで美しい。私は朝からクシャミと鼻水に悩まされている。花粉症というよりちょっと寒気がするから気温の変化についていけないのだろう。
子どもたちの元気な姿が羨ましい。それでも最近、子どもたちのことで気になることがある。小2になった孫娘もそうだが、鉛筆の持ち方が私たちの頃と違う。気になってレストランや喫茶店でペンの持ち方を見守るが、やはり孫娘のように持つ人が多い。親指と人差し指の間に丸がなく、親指が見えない。それにペン先が見えないくらい下の方を持つ子もいて、それでは何を書いているのか見えないのではと思う。
私たちの子どもの頃は親から鉛筆の持ち方を教わった。「箸はどうやって持つ?」と言われ、人差し指と中指で挟む。そこに親指を当てるのが鉛筆も持ち方で、親指の腹と薬指の中指側にもう1本の箸を添えれば、それが正しい箸も持ち方と教わった。人差し指と中指に親指を当てた方の箸は動くが、もう1本の方は常に固定されている。私たちの子どもにもそう教えてきたつもりだったが、孫娘までは伝わっていないようだ。
ものの考え方や価値観は時代によっても変わるし、親が子に強制するようなことではないが、親が子どもの形成過程に関わらないのは親の務めを果たしていないと私は思う。私は子どもたちに、「人には優しく、自分には厳しく」と教えてきたが、それを受け入れるか否かは子どもたちの勝手である。私の考え方や価値観や美意識など、伝えることが親の務めだと思ってきたが、子どもたちがどのように受け取るかまでは干渉しなかった。
我が家は共働きで、しかも私が特殊な生き方をしてきたので、子どもたちと充分な時間は取れなかった。もっぱら母親に任せていた。母親であるカミさんも子どもたちとじっくり話す時間はなかっただろうが、立派に成長してくれた。さて、今度は自分たちの子どもとどう接していくかの役が回ってきた。よろしく頼むとしか言えないが‥。