初夏のような陽気の中、カミさんの弟夫妻と妹が我が家へ遊びに来てくれた。靴を持って上がってもらい、応接間を通り抜け、ルーフバルコニーに出てもらう。するとアジサイやバラの若葉が目に入ってくる。足元には山スミレが満開だ。「ワアー、凄いわねぇ」の一言が聞きたいためのコースである。そして南を向くと、チューリップとビオラが咲き誇っている。まだ満開ではないけれど、ちょうどよい具合に咲いてくれた。
テーブルとイスを並べ、花を眺めながらコーヒーを飲む。初めは日陰でよい具合だったのに、だんだん暑くなってきて、居間の方へ移る。花はあくまでも集まるための口実なのでそれでよい。入院中のカミさんたちの母の妹である叔母から電話が入る。「今日は身体の調子がよい」と言う。カミさんから妹そして弟へと電話が回る。こんなにおしゃべり出来るのは珍しい。春の暖かさと姉の子どもたちと話が出来ることで、かなり気分がよいのだろう。
義弟は今や地域でなくてはならない人になっている。持ち前の気安さからか、みんなに頼られているのだ。小学校の先生だった義弟は、声はよく通るしパソコンは出来るし司会は適役で、しかも頼まれれたら嫌とは言わないので、仕事が増える一方のようだ。私の中学からの友だちも、「70歳を過ぎたらやたらと忙しくなった」とブログに書いていたが、頼りになる人に仕事が集中するのは申し訳ないが、逆にありがたいことだと思ってもらいたい。
見向きもされない人より、頼りにされる人の方が、大変だけど幸せ者である。それに、頼られれば頑張ろうという気にもなる。地域のボランティアリーダーとなった義弟は、「家に籠ってしまうのを防ぐためには、外に出す工夫がいる。地域全体で高齢者同士の絆をつくることで、1件でも不幸な事件を減らしていきたい。元気な高齢者は率先して動く必要がある」と熱く語る。「お兄ちゃんもそんなことを考える歳になったのね」と義妹が笑う。
私は今日、73歳の誕生日を迎えた。ふたりの娘とふたりの孫娘から「誕生日おめでとう」のメールが届く。ありがとう。