知り合いの女性から電話が入り、「今、あなたを探している男の人が困っていたから、教えて上げたのでもうすぐ着くと思うわ」と言う。誰だろうと思っていたらチャイムが鳴った。同年者の集いでよく逢う、いくつかのボランティアを精力的に行っている人だった。
このマンションは造りが複雑で探しにくいから、迷子になってしまう訪問者が多い。彼はいきなり、「それでどう、もう飲める?」と訊き、「ビールがいいか、日本酒がいいか」と立て続けに聞いてくる。私がビックリしていると、「病気になったと聞いたから」と話す。
一緒にボランティア活動している女性から、「3人で飲まない?」と誘われているので、回復状態を確かめに来たようだ。ボランティア仲間の女性と、飲みに行くような関係だったとは知らなかった。抱いたら折れてしまうような細身の可愛い女性なので、がっちりタイプの彼とは正反対だ。
30分ほど経て、再びチャイムが鳴った。見ると彼がいた。「差し入れ」とスーパーの包みを差し出す。驚いていると、「じゃーまた」と引き返して行った。中を見ると、ビールとつまみが入っていた。ボランティアの女性との「飲み会はまた後で」と手を振る。気さくで前向きな男だと感心する。
Facebookを見ていたら、私たちの市民講座で、「尾張弁」について面白おかしく語ってくれた舟橋武志さんが、「80歳・傘寿"お別れ"記念誌」を載せていた。「もうヤケクソだわ。余命あと4ケ月となれば、生きた証を残しておきたくなった」とある。
私よりも1歳年上で何冊かの本を出しているが、自叙伝のような生き様を書き記しておきたいのだろう。功績のある人はそれが出来るが、凡庸に生きてきた人はそんなおこがましいことは出来ない。なあーに、人にはそれぞれの人生がある。
私のブログに寄せられたコメントを読むと、私よりも9歳も下の卒業生の浅野定志君も、近藤広彦君も、私よりも人生を達観している。ふたりに負けないように頑張ろう。
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