人はどうして比べたがるのだろう

　にわかサッカーファンのカミさんは、今朝は午前４時からのスペイン戦を観ていて大興奮していた。私はこんなに寒いのにフトンから出る勇気も関心もなかった。目を覚まして結果を聞けば、「日本がスペインに勝ったのよ」と、狂喜の表情でテレビを見続けている。

　スペインに勝った喜びの全国の様子が、テレビに映し出されていた。朝からよくもまあー興奮した群衆が、こんなにもたくさんいることに私は呆れた。スポーツは勝敗を決する訳だから、勝者がいれば敗者もいる。それだけのことのように思ってしまうのは、私の感性が乏しいのか。

　スポーツを見て興奮するのは男性が多いのかと思ったが、これは私の偏見のようで、男女に差が無いことをテレビを見て理解した。人類が誕生して以来、共に暮らしてきたのだから、スポーツ観戦で差異など生まれようが無いのだ。むしろ、男女の差を創ってきたのは、人間の歴史なのかも知れない。

　「女は家でおとなしく」と、武家社会は言い伝えてきた。女は家系を維持するために必要だったからだ。女の浮気は許さなかったが、男は当然のように振舞った。明治になってキリスト教文化を受け入れ、倫理観も少しずつ変化したが、それでも社会の価値観の変化に合わせて変わるのは必然だろう。

　埼玉大学では文化祭の恒例行事だった「ミスコン」を廃止し、男女がそれぞれの個性を発揮するコンテストになったという。高齢のジイジには何か寂しい気もするが、これも時代の趨勢なのだろう。それにしても、人はどうして比べたがるのだろう。比べるだけでなく、スポーツと同様に、順位までつけるのはどうしてなのか。