マンションの集会所で、医師が来て話す催しに行って来た。参加したのは30人ほどで、高齢者が多い。私としては、あまり関心の無い「認知症セミナー」だったが、どんな医師でどんな話をするのか、とりあえず聞いておこうと席に着いた。
認知症は死に直結する病気ではないし、かかったからといって、回復できるものでもない。誰でも高齢になれば、肉体が衰えるように、脳も衰えていくのだから、特別な病気ではない。けれど、医師は「ゆっくり徐々に日常生活が不自由になる病気」と言う。
認知症の予防のためには、食事が大事で、次に運動、そして「人と関わる場所に出向こう」と話す。認知症の人に対しては、「味方でいることが大切」と言う。「基本的に治らない病気で、本人に悪気はなく、忘れたことも忘れている」と。
会場からは、「認知症とうつ病との違いは?」という質問を受け、「症状としてはよく似ているが、うつ病はとりつくろうとする」と説明。「季節の変わり目になると体調不良に陥るが‥」という質問には、気候病という病名を上げて話してくれた。
セミナーが終わって、みんなが帰りかかったので、医師のところに出かけて行って、「先生のところで死亡診断書は書いてもらえますか」と訊いてみた。「クリニックでの診察がないと無理ですね」との答えを聞き、やっぱりと納得した。
いくら往診をする医師とはいっても、死んだ人の往診はしない。私が今、通っているクリニックも往診しますとあったから、死亡診断書はこの医師に頼むしかないようだ。ある程度、医師の診察の期間が必要なようだから、せっせと通うしかない。
私が創刊した地域新聞の、今は編集長となって、更に大学の講師も務めている女性が取材に来ていたので、誘って喫茶店に行った。車に乗り込んで、財布を持ってこなかったことに気が付いた。「認知症でごめんなさい」と謝った。
彼女の子どもがまだ小さな時、編集室に連れて来ていたのでよく遊んだ。その子も今は1児の父親だと言う。彼女は昔と変わらず可愛いのに、時は流れ、忘却の彼方へと消えていく。
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