暑い日が続き、体調を崩した人も多いようだ。朝、陽が余り高くならないうちに花たちを見て回りながら、私は水遣りをする。私よりも花の方が気候に敏感なようで、ぐったりしているものもある。昨日の水遣りが足らなかったのか、鉢の土の保水力がないのか、そんなことを思い巡らし、元気になれよと声をかける。植物はものを言わないけれど、まるで知恵があるように思う時がある。
日除け用に、ゴーヤを3本植えた。ツルが出てきたので、支柱を立ててやるとすぐに巻き付いた。ツルのどこかにセンサーがあって、物に当たると巻き込むために外側が伸びると読んだことがある。タネを蒔いたわけでもないのに地中から芽が出てくるのも、地中の温度を感じて細胞が働きだすからだ。我が家は植木鉢での栽培だから気が付かなかったけれど、畑で野菜を作っている人からこんな話を聞いた。
苗を植えて、早く育てようと水を遣り過ぎると、根が怠けて張らなくなる。水を控えておくと、地中の水を求めて根がぐんぐん伸びる。肥料も遣り過ぎると肥料負けしてしまう。「適当が一番なんですよ。地中には水も肥料となるものも備わっている。遣り過ぎないことが丈夫な野菜作りの基本。何でもそう、適当が一番、子育ても同じ」と言う。「適当を実行するためには、いつも見守っていることですよ」と日焼けした顔で笑った。
植物は生まれた時から自らの命を守るために動き出す。日当たりが悪ければ、たとえ身を細くしてでも日の当たる方へと伸びていく。虫を呼ぶために、より大きく、より美しく花を咲かせる。葉をできるだけ重ならないように広げて日光を取り込む。アジサイもバラも葉どうしが触れ合うのを嫌うから、みんなそうなのだろう。日当たりが悪い葉は枝から落ちていく。『葉っぱのフレディ』の物語が甦る。
その最後はこうだ。「いのちは土や根や木の中の 目には見えないところで 新しい葉っぱを生み出そうと 準備をしています。大自然の設計図は 寸分の狂いもなくいのちを変化させつづけているのです」。“この世には要らないものはひとつもないのです”と付け加えておきたい。
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