昨日の「メモリアルコンサート」に、たくさんの人が来てくれてホッとした。友人・知人に頼み込んで出来る限りの人集めをしたつもりでいたが、もし少なかったらどうしようという不安はあった。予想を超える参加者に、私としては面目を保つことができた。演奏者からも「大勢入ってましたね」と言っていただき安堵した。
そして何よりも、参加者から「とてもいいコンサートでした」とか、「素敵なコンサートにお誘いいただきありがとうございました」と言われた時は本当に嬉しかった。私が思い描いていた以上に宗教色が出ていたが、それも亡くなった彼への思い出として語られたので、嫌味にはならなかったのではないかと思う。
亡くなる前の彼は信仰心に目覚めたかも知れないが、全盛期の彼はかなり世俗的な生き方だったと思う。それが悪いとは思わないし、秀でたマネジメント能力を活かして己を通していた姿は羨ましくもあった。ランチを出していた居酒屋で、昼間からビールを飲む姿を見たこともある。豪快だったが気配りもでき、根は優しいが自分の考えは貫く人だった。
高校で教えていた時の卒業生が遊びに来た。昭和43年の入学の彼らとの付き合いはもう50年になる。デザインや絵画の話ではなく、糖尿やガンの話が多くなった。妻を亡くした男はかなりショックでぶっ倒れていたが、今日、見た限りでは元気そうに見えた。「順番通りにはいかない、そういうこともあると身を持って知った」と言う。
歳を重ねていけば、どこかで身体に変調がくる。それは仕方がないこと、それを受け入れて生きていかなくてはならないのは誰でも同じだ。卒業生も亡くなった彼も、それぞれに活躍した全盛期があった。彼らは謙遜するかも知れないが、人には必ず華やいだ時があるものだ。待て待て、これからだと言う人もいるかも知れないが、悪い日ばかりが続くことはないし、良い日ばかりもない。
卒業生は食べ切れないほどの大きなシュークリームを持って来てくれた。甘党の私はそれを食べ切ってしまったら、もう晩御飯は要らなくなった。美味しいものを食べ、大いに話し、そして美味しい酒を飲む。こんなに贅沢して、本当にありがたいと思う。