フォーク・グループのアリスが、1972年の結成以来50年、今なお休みを挟みながらも現役を続けていて、このたび(と言っても既に10日前のことになるが)「SDGs目標10年」計画を発表した。何しろ、チンペイ(73)、ベーやん(72)、キンちゃん(73)、三人合わせて218歳の老朽バンドは10年後は248歳・・・SDGsとは、経済合理性ならぬ音楽合理性だけではやっていけない、持続可能性を求める、まことに時宜に叶ったネーミングであるw
何やらまた昔話になってしまうが、アリスは、サザン、ユーミン、オフコース、風(伊勢正三)とともに、私の青春時代の音楽シーンの一面を彩るミュージシャンだ。後の四者が聴くだけだったのに対して、アリスは自らコピーバンドを結成したという気恥しい過去がある。おまけに京都の某女子大(軽音サークルの相方)の学園祭で演奏したという、おぞましい過去まである。若気の至りとしか言いようがない(もっとも、その後、私はジャズに傾倒して、バンド活動は下火になって行くのだが・・・)。
いつからアリスに注目するようになったのかは記憶にない(『冬の稲妻』でブレークするかなり前だったことは確かだが)。当時、不良中年・三人組の、肩の力が抜けた、水が流れるような生き様が何とも心地好くて羨ましかった。今や不良老人の域に達して、今なお心地好い。そんなアリス(チンペイ)にそもそも注目したエピソードは今も忘れられない。ギターを握ったキッカケを問われて、女の子にモテたかったから、と何ともあけすけな答えを返したのだった(当時は太っていてモテなかったから、というオマケがつく)。だいたい当時の男の子がギターを握り、車を乗り回したのは、カッコいいからで、その実、皆モテたかったからに他ならないのだが、気恥ずかしくて口に出せないところ、チンペイは何の気取りもなく自らの下心を晒したのだった。そんな直截的なモノの言い、直球勝負が、アリス(チンペイ)なのだ。
昔話ついでに、4年前から、大阪MBSラジオ『ヤングタウン』でアリスのパーソナリティが復活しているらしい。中学生・高校生の頃、まがりなりにも受験勉強を続けられたのは「ながら族」のためにラジオがあったお陰だった。昭和な時代である。今の受験生はどうしているのだろう。
ちなみに今の音楽シーンについて問われて、各人、次のように答えている。
堀内 「確かに便利になったけど、CD止まりですね。本来はアナログが好き。少なくとも形になったものがあると(うれしい)。MD(MiniDisc)はちょっと小さすぎるけど」
矢沢 「MDはもうないでしょ(笑)。時の流れだからあらがってもしょうがない。ベーやん(堀内の愛称)と同じでアナログ好き。昭和が好きだから、苦々しく受け入れてやっております」
谷村 「世界中がこの流れになって、そこから音楽に触れてくれる人が増えている。アリスも遅ればせながらデジタル配信を始めたんだけど、今の自分たちのベストを探していこうって感じですね」(*1)
今、ベーやんと言えば演歌歌手だと思っている人が多いかも知れない。キンちゃん(矢沢透)は、アリスに参加する前、オフコースのドラマーとして声を掛けられていたそうだ。衝撃の事実。
矢沢 「関西で活躍するジローズがライブをやる時、いつも大阪に呼ばれて僕がドラムを担当していました。その時、ジローズの前座がオフコース。そこで前座とバックの日陰者同士みたいな感じで仲良くなり、『やりましょうよ』となっていたんです。だからオフコースの1枚目と3枚目のLPは僕がドラムをたたいています」(*2)
「SDGs目標10年」の話に戻ると、彼らは次のように語っている。
谷村 「60歳のときは70歳、いけるんじゃないの? って言えたけど、70歳で80歳いけるんじゃないとは言い切りづらい。やれるところまでがんばるぞって」
矢沢 「どれくらいみっともなくないか(笑)」(*1)
谷村 「いたわりの10年ですよね。ファンの人たちも『よし、ここから10年、気合入れていかないと!』って思ってもらえたら、一緒に元気になれる」(*3)
『敦盛』では織田信長役に「人間五十年 下天の内をくらぶれば 夢幻の如くなり」と言わしめたけれども、なかなかどうして、現代の50年の月日の流れは、人々をしてそれほど変わらせないものだと思う。50年前と比べれば、同じ70歳でも、心身ともに確実に10年は若返っているのではないだろうか。
あらためてアリスについて、各人、次のように語っている。
矢沢 「アリスはかけがえのない存在。それがすべてではないけど、僕の人生の中でアリスを除くことは絶対にできない。アリスがないと僕もないのと同じ。体力があって健康だったら、これからもアリスの違う魅力も出せたらいい」(*2)
谷村 「アリスっておもしろいのは、それぞれ自分の好きな音楽があるんですよ。だけど、アリスとして何かやろうってなったら、それぞれが持ってるアリスのイメージに即したものを作ってくるんで、やっぱりアリスだよねって」
矢沢 「僕たちがダンサブルな曲を作っても仕方ないじゃない」
堀内 「やろうよ、ナイトフォーバー(笑)」(*1)
三者三様の受け答えは、これぞアリス・・・とは、昭和なオヤジの独り言。
(*1)サンスポ 3月16日配信 「アリス結成50年インタビュー 谷村新司『ベーやんの声にひと聞き惚れ』」
(*2)ENCOUNT 3月24日配信 「デビュー50周年のアリス・矢沢透『本当はオフコースでやる予定だった』 今明かした秘話」
(*3)サンスポ 3月16日配信 「結成50年目アリス、SDGsな10年計画発表、谷村新司『途中で誰かアバターになっちゃうかも』」
何やらまた昔話になってしまうが、アリスは、サザン、ユーミン、オフコース、風(伊勢正三)とともに、私の青春時代の音楽シーンの一面を彩るミュージシャンだ。後の四者が聴くだけだったのに対して、アリスは自らコピーバンドを結成したという気恥しい過去がある。おまけに京都の某女子大(軽音サークルの相方)の学園祭で演奏したという、おぞましい過去まである。若気の至りとしか言いようがない(もっとも、その後、私はジャズに傾倒して、バンド活動は下火になって行くのだが・・・)。
いつからアリスに注目するようになったのかは記憶にない(『冬の稲妻』でブレークするかなり前だったことは確かだが)。当時、不良中年・三人組の、肩の力が抜けた、水が流れるような生き様が何とも心地好くて羨ましかった。今や不良老人の域に達して、今なお心地好い。そんなアリス(チンペイ)にそもそも注目したエピソードは今も忘れられない。ギターを握ったキッカケを問われて、女の子にモテたかったから、と何ともあけすけな答えを返したのだった(当時は太っていてモテなかったから、というオマケがつく)。だいたい当時の男の子がギターを握り、車を乗り回したのは、カッコいいからで、その実、皆モテたかったからに他ならないのだが、気恥ずかしくて口に出せないところ、チンペイは何の気取りもなく自らの下心を晒したのだった。そんな直截的なモノの言い、直球勝負が、アリス(チンペイ)なのだ。
昔話ついでに、4年前から、大阪MBSラジオ『ヤングタウン』でアリスのパーソナリティが復活しているらしい。中学生・高校生の頃、まがりなりにも受験勉強を続けられたのは「ながら族」のためにラジオがあったお陰だった。昭和な時代である。今の受験生はどうしているのだろう。
ちなみに今の音楽シーンについて問われて、各人、次のように答えている。
堀内 「確かに便利になったけど、CD止まりですね。本来はアナログが好き。少なくとも形になったものがあると(うれしい)。MD(MiniDisc)はちょっと小さすぎるけど」
矢沢 「MDはもうないでしょ(笑)。時の流れだからあらがってもしょうがない。ベーやん(堀内の愛称)と同じでアナログ好き。昭和が好きだから、苦々しく受け入れてやっております」
谷村 「世界中がこの流れになって、そこから音楽に触れてくれる人が増えている。アリスも遅ればせながらデジタル配信を始めたんだけど、今の自分たちのベストを探していこうって感じですね」(*1)
今、ベーやんと言えば演歌歌手だと思っている人が多いかも知れない。キンちゃん(矢沢透)は、アリスに参加する前、オフコースのドラマーとして声を掛けられていたそうだ。衝撃の事実。
矢沢 「関西で活躍するジローズがライブをやる時、いつも大阪に呼ばれて僕がドラムを担当していました。その時、ジローズの前座がオフコース。そこで前座とバックの日陰者同士みたいな感じで仲良くなり、『やりましょうよ』となっていたんです。だからオフコースの1枚目と3枚目のLPは僕がドラムをたたいています」(*2)
「SDGs目標10年」の話に戻ると、彼らは次のように語っている。
谷村 「60歳のときは70歳、いけるんじゃないの? って言えたけど、70歳で80歳いけるんじゃないとは言い切りづらい。やれるところまでがんばるぞって」
矢沢 「どれくらいみっともなくないか(笑)」(*1)
谷村 「いたわりの10年ですよね。ファンの人たちも『よし、ここから10年、気合入れていかないと!』って思ってもらえたら、一緒に元気になれる」(*3)
『敦盛』では織田信長役に「人間五十年 下天の内をくらぶれば 夢幻の如くなり」と言わしめたけれども、なかなかどうして、現代の50年の月日の流れは、人々をしてそれほど変わらせないものだと思う。50年前と比べれば、同じ70歳でも、心身ともに確実に10年は若返っているのではないだろうか。
あらためてアリスについて、各人、次のように語っている。
矢沢 「アリスはかけがえのない存在。それがすべてではないけど、僕の人生の中でアリスを除くことは絶対にできない。アリスがないと僕もないのと同じ。体力があって健康だったら、これからもアリスの違う魅力も出せたらいい」(*2)
谷村 「アリスっておもしろいのは、それぞれ自分の好きな音楽があるんですよ。だけど、アリスとして何かやろうってなったら、それぞれが持ってるアリスのイメージに即したものを作ってくるんで、やっぱりアリスだよねって」
矢沢 「僕たちがダンサブルな曲を作っても仕方ないじゃない」
堀内 「やろうよ、ナイトフォーバー(笑)」(*1)
三者三様の受け答えは、これぞアリス・・・とは、昭和なオヤジの独り言。
(*1)サンスポ 3月16日配信 「アリス結成50年インタビュー 谷村新司『ベーやんの声にひと聞き惚れ』」
(*2)ENCOUNT 3月24日配信 「デビュー50周年のアリス・矢沢透『本当はオフコースでやる予定だった』 今明かした秘話」
(*3)サンスポ 3月16日配信 「結成50年目アリス、SDGsな10年計画発表、谷村新司『途中で誰かアバターになっちゃうかも』」