風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

戯画的な

2013-09-28 13:36:23 | 時事放談
 世間ではTVドラマ・半沢直樹シリーズが人気だったようで、ドラマは見なかったのでせめて小説「オレたちバブル入行組」(文春文庫)を読んでみました。なるほど面白い。「基本は性善説。やられたらやり返す、倍返しだ。」という主人公の流儀がすっかり有名になって、「倍返し」は今年の流行語大賞の有力候補になりそうな勢いですが、本来はプラスの「お礼」で使う「倍返し」がマイナスの「報復」で使われるあたりは、若い人には受けるかも知れませんが、やや品がないと思うのはオジサンの証拠でしょうか。そういう意味で、思い入れはいまひとつですが、現代版「水戸黄門」、はたまた「当山の金さん」のような「お決まり」のパターンは、東野圭吾さんの「ガリレオ」でもお馴染みで、安心させます。
 こうした戯画的な組み立てが、しかし現実に、ごく身近に見られるとすれば驚きです。安倍総理に対する中国や韓国の反応など、まともにとりあうのはばかばかしく、安倍さんもよほど腹に据えかねていたと見えて、日本を離れ、地球の裏側のハドソン研究所やNY証券取引所を訪問したときに行った演説では、珍しく弾けて見せました。日本の防衛費の伸びが中国の10分の1以下であることを指摘し、「(それでも)もし私を右翼の軍国主義者と呼びたいのならどうぞ」と中国や韓国を挑発しました。こうして安倍さんが意気軒昂なほど、中・韓は生真面目に噛みついたりいきり立ったりするのが、なんとも可笑しい。産経新聞は、「安倍首相にとっては『余裕のユーモア』だったが、“安倍たたき”に熱を上げる韓国メディアには相変わらず余裕はないようだ」と、冷めた目で伝えていました。
 中・韓の反日の姿勢は、戯画的です。石平さんは、天安門事件で失墜した中国共産党の権威や信頼を取り戻すため、イデオロギーとしての「愛国主義」を取り入れるとともに、日本を「悪」に仕立てあげ(つまり国内の政府攻撃を外=日本に向けさせ)、ために歴史を捏造し、反日教育を展開するに至ったものだと解説し、呉善花さんは、日本統治時代への恨みが韓国人の反日の根拠になっているのではなく、それはあくまで結果で、日本民族の野蛮で侵略的な資質に原因を求めるものであり、華夷秩序の世界観のもとで、中華世界の中心にある中国とその忠実な臣下だった朝鮮半島諸国として、日本という国を千数百年にわたって「その周辺の感化・訓育すべき対象としての侵略的で野蛮な夷族」と見なしてきた、侮日的な民族意識が反日の根本にあると解説しておられました(「売国奴」(ビジネス社))。隣人としての自然な感情ではなく、なんと大時代的で取り繕った「お決まり」の関係であることか。
 二ヶ月程前、米調査機関ピュー・リサーチ・センターが実施した各国の好感度調査によると、日本に「非常に悪い印象を持っている」と答えた人は中国で74%、韓国38%、「あまり良くない」印象があるとの回答と合わせると、中国で90%、韓国で77%に達したと報じられました(日本で中・韓を相手に同様の調査をすると、それ以上の回答になるでしょう)。中国人によると、日本は覇権的で軍国主義的なのだそうですが、反日教育の面目です。こうしたイデオロギー国家を相手にするのは、イデオロギーとは縁が薄い自然の国・日本には、なかなか大変なことだと思います。
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今年のプロ野球

2013-09-27 00:52:40 | スポーツ・芸能好き
 楽天イーグルスに対して特に思い入れはありませんが、嶋選手の涙目には、ついもらい泣きしてしまいました。マジック2で迎えた今日、2位ロッテが破れ、首位楽天が西武に逆転勝ちしたため、球団創設9年目にして、初のリーグ制覇を成し遂げました。
 それにしても、今シーズンは田中マー君の大車輪の活躍、と言うべきでしょう。今日も、九回にクローザ―として登場し、一死二・三塁のピンチを招きましたが、最後は西武の三・四番を連続三振に討ち取り、所謂「胴上げ投手」の栄誉に浴しました。それほど打てない球だとは思えないのですが、田中マー君というだけで、最近のパ・リーグの打者は、その存在感に気圧されているかのようです。しかし彼の力だけでなく、今シーズンの楽天は、よく守り、よく打ち(銀次の打率3割2分はパ・リーグ2位、マギーの本塁打27本はパ・リーグ3位、ジョーンズは大リーグ通算434本塁打と10年連続ゴールドグラブ賞を誇ります)、田中マー君の快進撃をよく支えましたし、ルーキー則本の14勝7敗だって立派です。
 今年は、まだシーズンは終わっていませんが、よく飛ぶボールに戻したことを黙していてミソをつけたものの、半世紀ぶりの「記録」更新に沸いた年で、プロ野球ファンとしては興味が尽きませんでした。田中マー君にも特に思い入れはありませんが、開幕22連勝(本日時点)と、神様や仏様と並び称された?名投手・稲尾和久(西鉄)が1957年に記録した同一シーズン20連勝を56年ぶりに塗り替えたのに続き、昨年からの連勝は26で、メジャーで1936年から37年にかけて記録されたカール・ハッベル(ジャイアンツ)の24連勝を超える世界新記録を更新中です。また、ヤクルトのバレンティンにも特に思い入れはありませんが、シーズン本塁打58本(本日現在)と、我らが王さんが1964年に(他2名も)記録したシーズン最多本塁打55本を49年ぶりに更新しました。よく飛ぶボールとは言え、他のプロ選手と比べても量産ペースは驚異的です。今年という年は、将来にわたり、二人の記録とともに思い出されることでしょう。
 海を越えて、メジャーでも、久しぶりに日本人選手の「記録」が話題になった年でした。イチローの通算4000本安打は以前ブログで取り上げましたので繰り返しません。レンジャーズ・ダルビッシュのシーズン奪三振269(本日現在)は、両リーグを通じてトップを誇るだけでなく、我らが野茂が1995年に記録した日本人メジャーリーガーのシーズン奪三振記録236を超えました。最近、勝利に恵まれませんが、変化球のキレは相変わらず抜群です。レッドソックス・上原も防御率1.18と好調で、今月17日に連続無失点こそ27試合(連続無走者は37人)で止まりましたが、長谷川滋利(当時マリナーズ)が2003年に記録した日本人投手の連続無失点記録25試合を更新しました。最高球速はせいぜい140キロ前半、持ち球はツーシーム、スプリット、スライダーと、必ずしも特別な投手ではありませんが、相手バッターの苦手コースにピンポイントで投げ込む抜群の制球力を誇り、奪三振率は今季最多奪三振のダルビッシュより高く、四球を与える確率は群を抜いて低いため、米スポーツ専門局のESPNは「上原は74%がストライク。900球以上投げた投手で、こんな凄い投手は2000年以降いない」と評価しています。
 記録には沸いていますが、日本プロ野球のクライマックス・シリーズは意味不明で、以来、日本にリーグ優勝はあっても、真の意味での日本一決定戦はなくなりました。あるのは、ペナントレース終了後、一年の締め括りのお祭り行事として、短期決戦の勝ち抜き戦があるだけです。この際、混乱を避けるために、日本シリーズという名称は変えるべきでしょう。飛ぶボールといい、如何に商業主義がプロ野球の楽しみに水を差しているか、その筋の方々には反省を促したいと思います。
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ものづくり命

2013-09-25 23:36:47 | ビジネスパーソンとして
 一週間ほど前の話になりますが、トヨタの最高顧問・豊田英二さんが亡くなられました。享年100。大往生と言えるのではないでしょうか。
 私が入社した頃には既に会長職に退いて久しく、同時代人としての直接の記憶はありませんが、1982年の工販(トヨタ自動車工業×トヨタ自動車販売)合併まで約15年にわたって社長を務め、その間、豊田喜一郎氏(創業者・佐吉氏の長男)が考案した「ジャスト・イン・タイム方式」を更に発展させた「カイゼン」活動を徹底し、「トヨタ生産方式」を確立したことで知られる「トヨタ中興の祖」です(実際に体系化したのは大野耐一さんですが)。
 もはや「カイゼン」はKAIZENとして海外でも通用するばかりでなく、私たちにとっては業務上不可欠と言ってもよいほど、ごく当たり前の取り組みになりました。「トラブルの芽を、小さいうちにどんどん摘んでいく」、「データで仕事しよう、ワーストから潰そう」(現状を洗い出し、データを分析する。次に一番クレームの多いところから潰していく。但し重要度・緊急度の高いものには優先して取り組む)、「事前の一策、事後の百策に勝る」(コトが起きる前に準備しきちんと対応する方が、コトが起こってから慌てて対応に走り回るより遥かに効果的)、「横展(横に展開)しよう」、「自分が楽になることを考えろ」、「真因を探せ」(問題にぶつかったとき、「なぜ」を5回繰り返せば、真の原因が浮き上がってくる)、「カイゼンは巧遅より拙速」(要はあれこれ考えてばかりいないで、まずはやってみる)など、トヨタの口癖とされるもので馴染みのものは実に多い。
 しかし、巷にトヨタ本があふれ、トヨタ用語やトヨタの口癖を知る人は多くても、言葉の表面だけでなく本当の意味を理解し、さらには当たり前のことをきっちり習慣として抜かりなくやる、大きな組織の中でも徹底してやる、というのはなかなか生易しいことではありません。すなわちトヨタ生産方式の本質は「毎日のリスクマネジメント」にあり、「当たり前のことを習慣にする」点に強さの秘密があるとされます。要はトヨタの強さはDNAとしてのカイゼンにあるということです。だからトヨタは他社に対して常にオープンで、トヨタ生産方式を学ぶ企業は、製造業からイトーヨーカドーのような小売業まで幅広いのですが、トヨタを超えること、すなわちDNAとして根付かせることは、なお難しい。豊田英二さん自身も、「トヨタのジャスト・イン・タイムは60年近い年月を経て、ようやく体の一部になってきた」「ノウハウの蓄積が非常に大切」などと言われたものでした。当たり前のことを愚直に実行することほど難しいものはないというのは、身の回りを見渡してもそう思うわけですが、そこに気づかせてくれた功績は計り知れないほど大きい。
 また、豊田英二さんは、製造業の空洞化についても警鐘を鳴らしておられました。「モノ作りは絶やさんように」「一度、空洞化してしまうと、失ったノウハウを取り戻すのに、大変な労力がかかる」と言って、平安時代、醍醐と呼ばれたチーズは、醍醐味という言葉があるくらいで、美味しいと思われて作られていたはずなのに、いつの間にか製造技術が失われ、明治になって西洋から入ってくるまで製造出来なかった話とか、やはり8世紀頃の遺跡を発掘すると、勾玉みたいなガラス製品がたくさん出てくるのに、9世紀に入るとぱったり途絶えて、16世紀半ばにビードロとかギヤマンなどが入ってくるまで、空白ができて、その間、日本のガラス製造技術は遅れてしまったといったような話を例に挙げておられました。
 さらには、「経済の中で価値を生み出す一番の源は、今でもモノ作りにあるんであって、何もないところにサービスだけあるわけがない」「モノ作りという基礎がしっかりしておって、その上にサービスや金融のようないろいろな産業が乗っかっておるなら、それでええんです」「コンピュータはモノサシみないなもので、いくらいじっても何も出てこない。ものづくりが出来ない国は衰退する」と言って、「ものづくり」に相当の自負と責任感をもっておられたようですし、製造技術を日本の国内に残すことに並々ならぬ情熱を傾けてこられました。今では日本の製造業と言えば、悲しいことにトヨタをはじめとする自動車産業しかない・・・とまで言わなければならないような趣です。
 そんな「ものづくり」への思い入れが強い豊田英二さんも、実は「ものづくりよりヒトづくり」と言われていました。この点に関して、松下幸之助さんの話が有名で、その昔、得意先から「松下電器は何をつくるところか」と尋ねられたならば、「松下電器は人をつくるところでございます。あわせて電気製品をつくっております」と答えるよう若い社員に伝えた・・・というものです。企業は人なり、とは簡単に言いますが、日本の「ものづくり」ひいては「日本的経営」の強さの究極は、日本人の資質にあるのですね。そこさえ揺るがせにしなければ、今はたとえ自動車産業だけと言われるような状況であっても、将来は決して暗くないと思います。トヨタだけでなく広く企業人に影響を与えた豊田英二さんの死に、合掌。
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青梅マラソンへの道(1)

2013-09-24 23:37:16 | スポーツ・芸能好き
 青梅マラソンは、約半世紀前の1967年に第一回大会が開催され、当時はまだ「一般市民が参加可能なマラソンレースはなく、著名なアスリートと一緒にレースに参加できる大規模な大会」(Wikipedia)として、市民マラソン界をリードして来ました。以来46年、日本の市民マラソン・ブームはいつの間にか燎原の火の如く拡がり、今では、全国津々浦々、毎週末どこかで何らかの大会が複数開催されるまでになりました。この青梅マラソンは、「マラソン」と称しながら30キロの大会であるため、日本陸連から「相応しくない」とクレームがついている、いわくつきの大会でもあります。
 こうした日本のマラソン・ブームは心強く嬉しい反面、例えば東京マラソンへのエントリーは、8月末で締切られ、明後日、抽選結果が発表されますが、今年も30万人の大台を越え、抽選倍率は10.3倍と、昨年に引き続き狭き門となって、痛し痒しのところがあります。この青梅マラソンも人気が高く、20日から22日までの三日間に分けて、それぞれ先着順でエントリーを受け付けましたが、回線が混み合ってなかなか繋がらない状況が続きました。私としても、東京マラソンに申込みはしたものの、二年連続当選などという奇跡は望むべくもなく、せめて今シーズンの目玉にしようと、三日目の22日(日)朝10時の受付開始と同時にアクセスし、繋がるまで40分以上待たされました。その間、機械送信防止のための文字列入力を繰り返すこと、かれこれ50回以上。そこで、ブログ・タイトルは、東京マラソンの夢を諦めたわけではありませんが、「青梅マラソンへの道」としました。
 来年、第48回大会のスタートは、東京マラソンの一週間前の2月16日(日)11時半、青梅市の日本たばこ産業青梅営業所東を出て、川井で折り返し、青梅市総合体育館前に至ります。15000人という規模は、東京マラソンの半分ですが、近所の大会と比べれば、壮観には違いありません。二度目のシーズンも、先に大会を決めてから(青梅マラソン以外に、既に11月と12月に一度ずつ、ハーフマラソンの大会を申し込み済み)、長い練習の日々が・・・年寄りの冷や水が始まります。どうなることやら。
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台風一過

2013-09-18 01:52:02 | 時事放談
 それにしてもこの週末の台風は、関西から中部地方にかけて、稀に見る暴風雨をもたらしました。学生時代、毎日の通学で通り過ぎた京都・桂川や(な~んてまるで毎日通学していたかのように言うのは誇大広告)、毎年のように学園祭をさぼって遊びに行った渡月橋の様子は、今日、たまたまお会いした母校の大学の教授によると80数年振りとのことでしたが、ちょっとショッキングでした。
 そんな酷い雨風も通り過ぎてしまえば、何もなかったかのようにケロッとして、ビックリするくらいですが、それこそが自然の厳しさであり、懐の深い優しさでもあるのでしょう。私たち人間も、その時には自然の猛威に畏怖し、家屋や周囲の建造物の倒壊など生活環境の破壊に直面して愕然とするわけですが、やがて何もなかったかのように逞しく、いつもの生活に戻って行く・・・東日本大震災からの復旧もそうだとは言いませんが、日本人にとって、地震・台風などの自然災害に対する基本的な心構えは、身をかがめてやり過ごすものであり、自然に対する基本的な心構えは、対立するものではなく人間を自然の一部となして共生するものだと思います。そして日本人にとって、自然以外の世の中のさまざまな事象に対する基本的な心構えも、似たようなものではないかと、つらつら思いました。
 というのは、中国や韓国が、最近、歴史問題と総称する言いがかりについても、日本人は嵐と同じように一時的なものとして適当にやり過ごせば後はうまく行く、いわば柳に風と流している節があると思うからです。根底には自然と共生できると達観するような性善説があります。ところが中国や韓国は、日本が想定する通りには行きません。とりわけ民主党政権の三年間に(と、保守派は非難します)、どんどんエスカレートして、前・韓国大統領は竹島に上陸し、今や現・韓国大統領は加害者と被害者の立場は1000年経っても変わらないなどと放言し、他方、中国は尖閣諸島が核心的利益であり日本に奪われたものだと放言し、さらには沖縄をも奪取せんと目論んでいたりする始末です。しかしその場しのぎの事勿れの対応は民主党政権に限ったことではなく、既に自民党政権において長い譲歩の歴史がありました。今年7月に発足した「慰安婦の真実」国民運動(加瀬英明代表)は、慰安婦騒動を泥沼化させた根源といえる「河野談話」(1993年8月)の撤廃を求める署名3万867人分を国に提出するとともに、近く河野洋平氏個人を提訴する考えも明らかにしたそうです(産経新聞だからこそ取り上げた記事なのでしょうが)。
 こうした日・中・韓の関係は、世界の常識と比べれば明らかに異質です。英・キャメロン首相は、今年2月、かつての植民地インドを訪れ、北部パンジャブ州で起きた「アムリトサル虐殺事件」(1919年、集会のインド人群衆に英軍が発砲し数百人の死者が出たもの)の現地で犠牲者の慰霊碑に参拝したとき、「英国史において深く恥ずべき出来事。われわれは決して忘れてはならない」と記帳したけれども「謝罪」することはなく、「私が生まれる40年以上も前に起こったことにどう対処すべきなのか。私がすべきことは歴史をさかのぼって謝罪できることを探すのではなく、起きたことについて敬意と理解を示すことだ」と述べたそうです。エリザベス女王がインドを訪問したときも、フランスのミッテラン大統領がベトナムを訪問したときも、またオランダのベアトリックス女王がインドネシアを訪問したときも、同様の対応だったといいます。当然ですね。
 呉善花さんが面白い譬えをしていました。韓国の国花ムクゲは、夏から秋にかけて咲き、なかなか花を落とさず咲き続ける、この粘り強さが国民性と同じだと言うわけです。他方、日本の国花・サクラは、一時にパッと咲いてパッと散る潔さが身上です。果たして日本人はいつからこのようなサクラを愛でるようになったのか興味がありますが(Wikipediaによると、「中国文化の影響が強かった奈良時代は和歌などで単に『花』といえば梅をさしていた」「その後平安時代に国風文化が育つに連れて徐々に桜の人気が高まり、『花』とは桜を指すようになる」とあり、まさに日本的なるものの本領であることが分かります)、いずれにせよ同じ北東アジアの同朋と思わない方が良いのでしょう。
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サイバー攻撃

2013-09-15 11:51:52 | 時事放談
 警察庁やIPA(独立行政法人・情報処理推進機構)から、標的型サイバー攻撃に対する注意喚起が出ているそうです。
 9月18日は、満州事変のきっかけとなった柳条湖事件が発生した日で、中国では、日本からの侵攻を許した屈辱の日とされるため、中国の掲示板では、この日の前後に、日本に向けたサイバー攻撃を呼びかける書き込みが増加し、実際に、官公庁や企業を狙った攻撃が多数発生することで知られています。こうした日本へのサイバー攻撃が常態化したのは、3年前からのようです。あの、尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁の巡視船と衝突し、中国漁船・船長が公務執行妨害容疑で逮捕された事件があった年です。さらに昨年は、尖閣諸島国有化問題があって、こうしたサイバー攻撃は急増したそうです。そして今年も、標的型攻撃メールで遠隔操作型のウイルスが送られてくる兆候があった上、特に今年は、ハッカー集団が日本と関係がある組織を片っ端から無差別に攻撃するよう呼びかけている節があり、従来の官公庁を中心としたものから、独立行政法人や公益法人、財団法人、一般社団法人、NPO法人、さらには大学や病院、一般企業、個人などへ対象が一気に拡大することが懸念されているそうです。
 攻撃手段は主に二種類あって、1つは、ツールなどを使って大量のリクエストを送り付けてWebサーバを麻痺状態に陥れるDoS攻撃やDDoS攻撃と言われる、いわば業務妨害で、Webページの閲覧が困難になったりするもの、もう1つは、抗議活動のアピールやウイルスの配布、情報窃取などを目的としたWeb改竄、なのだそうです。いずれにしても、不審なメールを受信したら、添付ファイルは開かない、メール本文のリンクもクリックしない、というのは当たり前のことですが、最近は手口が巧妙で、つい開いてみたくなるような手の込んだものが多いそうですから、注意したいものです。
 こうした記事で中国共産党の関与に言及するものは(外交的配慮からか)ありませんが、9月18日に限らず、上海郊外に拠点をもつ中国人民解放軍の部隊「61398」によるサイバー攻撃が常態化しているのは周知の通りであり、米中首脳会談でアメリカが、サイバー攻撃による軍事技術の流出や産業界の知的財産権被害に強い懸念を表明したことに対して、スノーデン事件で一矢報いたかのように見せたのもまた、中国の所謂「対外宣伝工作」の一つと見て間違いないのでしょう。
 中国に関しては、つい最近も、8~9日にかけて、尖閣諸島周辺で無人機を飛行させ、爆撃機と艦艇を沖縄本島と宮古島の間を通過させましたし、昨日の午前中には、中国海警局の船4隻を領海侵入させ約4時間半にわたり航行させましたが、中国当局の船による領海侵入は、尖閣国有化後、計64日に達したと、こちらも常態化しています。中国軍関係者によれば、中国軍の仮想敵として「北のソ連と南の台湾」の時代が長く続き、最近は昨年の日本による尖閣諸島国有化問題で、「日本の自衛隊が中国軍の最大の仮想敵になりつつある」と物騒なことを言いますが、軍という組織の存在証明として、また中国を取り巻く国際環境の変化の中で、ある意味で当然の反応だとは思います。
 いずれにしても、官民あげて組織的に、陰に陽に攻撃の手を緩めない中国の在り方は、現代の国際社会にあっては極めて異常であり、それは中国という国のなりたちの異常に基づくもので、今さら驚くことではありませんが、敢えて今の関心事を述べるならば、こうした異常が(つまり中国と言う国を成り立たしめる条件の無理が)いつまで続くのかというところです。
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宮崎駿監督の引退

2013-09-12 23:34:38 | スポーツ・芸能好き
 遅ればせながら・・・もしかしたらオリンピック開催地決定に影響を与えたんじゃないか、と前々回のブログで書いた、宮崎駿監督の引退について印象を記します。宮崎駿監督のアニメを、中でも「トトロ」をこよなく愛する一人として(「トトロ」はいつ見ても泣けてしまいます)、関心があります。
 会見は、オリンピック開催地決定の前日の6日に行われました。会場には海外13の国・地域を含む国内外のメディア関係者約600人が詰めかけたそうです。即座に主要国の主要紙で報道されたことでしょう(そしてIOC委員のもとへも?)。
 なぜ引退を決意するに至ったか、ご本人は次のように心境を述べておられます。

(前略)『風立ちぬ』は『ポニョ』から5年かかった。その間、シナリオを書いたり漫画を書いたり、いろんなことをやっていましたが、やはり5年かかる。今、次の作品を考え始めると、5年じゃすまないでしょう。この年齢ですから。次は6、7年かかるかもしれない。僕はあと3カ月で73歳。(作品完成までに)80を過ぎてしまう。この前、83歳の半藤一利さんとお話をして、本当にいい先輩がいると思った。僕も83歳になってこうなれたらいいなと。だから(創作を)続けられたらいいと思いますが、今までの仕事の延長線上にはない。僕の長編アニメーションの時代ははっきり終わった。今後、やろうと思っても、それは年寄りの迷い言だと(後略)

 ぶっちゃけた話、寄る年波には勝てないということですが、宮崎駿監督の制作スタイルが、いわば寿命を早めたと言えそうです。通常、アニメ作画の細部は監督がスタッフに指示して制作するものですが、宮崎駿監督の場合には、「膨大なコンテに加え、1秒24枚とされる原画の核となる部分を手書きし、出来上がった作品の人物の表情なども自身で直すこだわりを貫いてきた」(産経新聞9月2日付)のだそうです。だからこそ、芸術作品並みの写実性と独特のしなやかで柔らかさを帯びた動きを見せる優しさに溢れた宮崎駿監督ワールドが現出するわけですが、こうした手法で長編を制作するケースは今では宮崎駿監督以外になく、映像研究家の叶精二氏に「50代でもありえない奇跡に近い仕事ぶり。いつ引退してもおかしくないと思っていた」(同)と言われるほどです。8月26日放送のNHKドキュメンタリー「プロフェッショナル 仕事の流儀」では、「これまで絵コンテにこだわり続けてきたが、『線に力強さが失われてきた…』と高齢による筆力の低下を痛感した」(産経新聞7月21日付)と明かした」そうです。
 こうした、ある意味で「古き良き」制作スタイルが、デジタル化した現代のアニメ制作現場(の若い人々)に受け入れにくくなって来ているであろうことは、想像に難くありません。エプロンをかけた宮崎駿監督の写真を見たところ、なるほど、ご本人は「町工場のおやじ」と自称されていますが、まさに「アニメ工房の職人さん」風情で、実に微笑ましい。これから、長編というプレッシャーのかかる一種の軛(くびき)から解き放たれて、気ままに「山椒は小粒でもぴりりと辛い」小編をものして行かれるのでしょうか。今後のご活躍を祈念致します。
 上の写真は、以前シドニーに住んでいた頃、日本人ワーホリの間で、「トトロ」のモデルだと噂されていた、ウォンバット。なかなかいい雰囲気だと思いませんか。もっと言うと、ウォンバットとコアラを足して2で割ったような感じでしょうか。また、オーストラリアには、宮崎駿監督の制作のヒントやモデルになった街や名所が多いと言われます。ウルルのそばのカタジュタには、「風の谷のナウシカ」のモデルとされる風の谷(文字通り“Valley of Wind”)がありますし、「魔女の宅急便」の関連については、下記ブログをご参照下さい。

(参考)「魔女の宅急便」2008年12月23日 
     http://blog.goo.ne.jp/sydneywind/e/867ff6523b594d4d2de3c6f3de4ad132
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祝・2020年東京五輪(続)

2013-09-10 00:48:25 | 日々の生活
 今日の日経平均株価は300円以上も上がり、東京五輪開催決定の興奮冷めやらぬ状況のようでした。安倍総理は、早速、五輪開催をアベノミクスの「第4の矢」に位置付け、デフレ脱却と経済成長を強力に推進する考えだと報じられましたが、確かに経済的には大いに追い風になりそうです。今日の日経夕刊によると、東京都は、競技場の建設費や観客の消費支出などから(道路や空港の整備費などは含まないベースで)、2013~20年の間の直接的な経済波及効果を約3兆円と試算しているそうですし、大和総研に至っては、観光産業の成長や広範なインフラ整備まで含めれば150兆円に達すると予測しているそうです。ただただ「アベノミクス」で財政政策や成長戦略など闇雲に大風呂敷を広げたところで、震災復興や防災・減災や地域活性化など、所謂「国土強靭化計画」でやるべきことは一杯あって、どこから手を付けたらよいのか、綱引きもあれば財政健全化の制約もあり、なかなか思うように進まない懸念があったわけですが、7年という期限が設定された上、人々のデフレ・マインドが払拭されることは明らかであり、優先順位付けにより、やるべきことが明確になり、人々の賛同も得やすくなる効果が期待できます。
 メディアでは、最終プレゼンに説得力があったことが奏功したと報じられていますが、結局、日本という国のファンダメンタルズ、言い換えると“Execution”力が信頼を勝ち得たということなのでしょう。そういう意味で、来年2月のソチ五輪や3年後のリオデジャネイロ五輪の会場建設の遅れなどが深刻でIOC委員を悩ませており、五輪開催に確実性を求める声がかなり強いという事前の見立ては、当を得たものだったと言うべきです。ロゲIOC会長は「東京が圧勝したことは素晴らしかった。確実で安全という訴える力があった。いい運営をして、選手が快適に参加できることが最も重要で、東京も必ずそのような五輪を実現してくれると確信している」とコメントしました。
 こうして、東京の勝因やその効果を読み解いていくと、マドリードやイスタンブールではなく東京で開催されることが決定されたことの意味、すなわち世界第三の経済大国・日本の経済が五輪招致によって盛り上がり、今こそ消費税増税を通して(五輪招致が決まった今、出来なければ、未来永劫、出来ないでしょう)財政健全化に向かって動き始めるというように、新興国経済に翳りが出ている今、世界経済への貢献度が最も高い選択だという、一種の予定調和に行きつきます。これをネタにチーム日本がロビー活動をしていたとすれば凄いことですし、こうした点をIOC委員が計算していたとすれば凄いことですが、ただの憶測です。
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祝・2020年東京五輪決定

2013-09-08 13:15:59 | 日々の生活
 東京へのオリンピック招致は、最近の報道を見ていて、PR下手な日本には難しいかもしれないと、楽観から悲観へと移ろい、昨晩は起きていられませんでした。そのため、今朝、目が覚めて、東京に決まったことを知って、正直なところ驚きました。祝福するかのように、今朝の東京には虹が出ていたそうです。
 東京、マドリード、イスタンブールともに問題を抱え、三つ巴の、言わば懸念を払しょくする、悪く言えば陰に陽に足を引っ張り合う争いでした。この第125次IOC総会の開催地がアルゼンチンで、旧宗主国を支援する雰囲気に包まれ、フェリペ皇太子の精力的なロビー活動もあって、直前の下馬評では一歩リードしていると報じられたスペインは、失業率が26%に上る中、五輪開催どころではないとする意見も見られましたが、それでも経済回復の後押しになるとの期待が高く、結局、8割近い国民が五輪招致を支持したと言われました。しかし、経済・財政問題だけでなく、4日付スペインの全国紙エルムンドが、オリンピック招致に関連して、マドリードがIOC委員の過半数に当たる50人の支持を得たと実名入りで一面に堂々と報道してしまい、IOC委員の心象を悪くしたのか、真っ先に落とされました。逆に真っ先に落とされると予想されていたトルコは健闘しましたが、反政府デモや隣国シリアの内戦が課題となった上に、今年に入ってドーピング問題が続出していることが、IOC委員の心象をさらに悪くしていたものと思われます。片や日本も、福島原発の汚染水漏れ問題が、日本はもとよりヨーロッパで連日報道され、形勢を悪くして行ったのは、所謂ネガティヴ・キャンペーンだったのでしょう。ヨーロッパだけでなく、お隣の韓国メディアも、「五輪辞退を」(中央日報)、「(対策は)五輪招致のための姑息な手」(毎日経済新聞)などと扇情的に報じた上、追い討ちをかけるように、韓国与党セヌリ党は、日本産水産物の全面輸入禁止を求める声明まで直前に発表してくれました。他方、IOC会長選が影を落としていると解説する向きもあります。ジャック・ロゲIOC会長は明後日に12年の任期を終えて退任する予定で、次期会長選で本命視されるドイツのトーマス・バッハ氏が当選したら、2024年五輪を欧州に持って来たがるだろう、その場合、2020年は欧州から遠い都市を選びたいに違いないから、手を結べるのではないか、というわけです。現に2024年誘致を狙うフランスとは手を結んだと言う声もありました。健全なスポーツの祭典には似つかわしくないパワーゲームが蠢く世界で、いろいろ詮索するのは面白くないわけがありません。
 それはともかく、これで夏季五輪を2度以上開催するのは、パリ、ロンドン、ロサンゼルス、アテネに続いて5都市目になりました。アテネはともかくとして、パリ、ロンドン、ロスに並び、世界に誇るべき都市として、オリンピックを契機に、他にはない都市の魅力をアピールして行きたいものだと思います。
 さて、今回の決定報道で、先ず思ったのは、安倍さんは強運だなあ・・・ということでした。約1年前の自民党総裁選では決選投票で逆転しましたし、その後の衆院選、参院選と連勝し、アベノミクスは、いろいろ批判を受けながらも、順調に経済が離陸しつつあるように思われます。ロイター通信は、「安倍晋三首相の演説が2020年東京五輪大会決定への決め手となった」と報じたそうです(産経新聞)。「国家指導者のなめらかな演説は、IOCが懸念する福島原発問題の不安を解消するために行われた。日本は60対36でイスタンブールを大差で勝利したことから、演説はその目的にぴったりと合っていたようだ」と指摘しました。確かに、安倍さんは、家柄の良さが人柄の良さに表れ、実ににこやかに堂々とプレゼンテーションされていて、さすがでした。
 その最終プレゼンテーションは、安倍さんをはじめ、チーム日本は実に良い連携のもとで行われ、全てを見たわけではありませんがwell-organizeされていたと思います。堂々とされていたという意味では、安倍さん以上に高円宮妃久子さまが素晴らしい。元通訳だったという英語・仏語力だけでなく場馴れしていて品があり、まるでお手本のようなプレゼンで、しかも、招致には直接触れず、先ずは東日本大震災時の各国の支援にお礼を述べられ、ご自身を含む日本の皇族のスポーツ支援を訴えたのは、心憎い演出でした。パラリンピックの選手の生い立ちを語る熱意も良かったですし、安倍さんの演説でも、自ら大学でアーチェリーを始めたのは、その前年のミュンヘン・オリンピックでアーチェリーが競技として復活したのがきっかけであり、「スポーツこそは世界をつなぐ。そして万人に等しい機会を与えるものがスポーツであると私たちは学びました。オリンピックの遺産とは建築物ばかりをいうのではない。国家を挙げて推進した、あれこれのプロジェクトのことだけいうのでもなくて、それは、グローバルなビジョンを持つことだ、そして、人間への投資をすることだ」と、オリンピック精神を訴えたのも、また、東京五輪の翌年、日本はボランティアの組織をつくり、「広く遠くへとスポーツのメッセージを送り届ける仕事に乗り出した」というエピソードを紹介したのも良かったと思います。「学校をつくる手助けをするでしょう。スポーツの道具を提供するでしょう。体育のカリキュラムを生み出すお手伝いをすることでしょう。やがて、オリンピックの聖火が2020年に東京へやってくる頃までには、彼らはスポーツの悦びを100を超す国々で1000万になんなんとする人々へ直接届けているはずなのです」と。ネットでは、反原発を掲げるツイッター・サイトを中心に、安倍さんが、福島原発の汚染水問題については完全にunder controlなどと大嘘をついたと非難轟々で、確かにプレゼン・テクニックとして当然とは言え違和感は禁じ得ませんでしたが、それよりもスポーツの価値訴求と日本のポジティブな取り組みが評価されたことは間違いありません。こうした演出の裏には、オリンピック招致の広報戦略コンサルタントで、2012年ロンドン招致に貢献したニック・バーレー氏の存在があるようで、このあたりを解き明かしてくれると、なかなか興味深い(企業秘密でしょうが)。そして、東京都知事の猪瀬さんにとって、この日は奥様の49日だったと聞きました。プライベートでの悲劇を乗り越えて頑張って来られて、奥様の良い供養になったことと思います。
 などと、いろいろ書いて来ましたが、東京の、ひいては日本の良いイメージを訴えるのに最も貢献したのは、これまでの招致レースや最終プレゼンとは、案外、別のところにもあったのではないかと、秘かに思っています(ただの憶測ですが)。よりによって・・・かどうか、前日に行われた宮崎駿さんの引退記者会見は、子供たちに夢を与えるアニメの世界と日本のイメージが重ね合わされて、強力な掩護射撃になったのではないかと。その当否はともかくとして、2020年東京オリンピックのイメージ・キャラクターは、日本が世界に誇る宮崎駿さんに是非とも描いて欲しいものだと思ったりします。
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アジア紀行ふたたび(下)

2013-09-03 23:35:45 | 永遠の旅人
 最後はコト編です。
 パリを中心とするイル・ド・フランス地域圏商工会議所が、「不親切なパリジャン」のイメージ払拭に向け、ホテルや飲食店、タクシー業者向けに外国人観光客の国別サービス・マニュアルを作成し、3万部が配布されたという記事が出ていました(読売新聞8月24日)。10ヶ国別に挨拶やお礼の言葉を紹介した上で、観光客の「傾向と対策」を指南する内容だそうで、

 ①「ファーストネームで呼ばれるのを好む」
 ②「とにかくブランド品の買い物好き。英語が苦手で、いつも言葉の壁にぶちあたっている」
 ③「安心を強く求める」「(サービスに)満足できない時、その場で文句は言わず、帰国してから批判する」

といったような注意書きが付けられているそうですが、それぞれどこの国の人だか分かるでしょうか。答えは①英国人、②中国人、③日本人、だそうです。②は日本人にも当てはまりますね。ブログに書いている私は、まさに③を実践する典型的日本人と言えそうです(苦笑)。一つ、言い訳させて貰えるなら、インドのホテルでは、チェックアウトの客をつかまえて顧客満足度を調査しており、私も乞われて、ドライヤーがしょぼいことを率直に伝えました。
 顧客満足というのは、今では、世界中、大都市ならどこでも、シンガポールやクアラルンプールはもとより、ニューデリーでも、気がきいたホテルでは当然のように考慮されています。私のような出張者を多く受け入れる企業は、ホテルにとっては上客で、見返りにCorporate Rateと称するdiscountを貰って、経費削減の折りでもそこそこの部屋に泊まらせることが出来るわけですが、こうした企業顧客の場合には、だいたい決まってWelcomeレターを添えた果物やクッキーが置いてあったりします。Complimentsというやつですね。インドのホテルでは、ワイン1本が添えられていました。太っ腹です。日本でもよく見かけるオーストラリアのJacobs Creekで、つい嬉しくなって(よせばいいのに)一晩で空けてしまいました。
 こうした企業顧客向けには、朝、その客の母国語の新聞を差し入れるといったこともよく行われ、シンガポールでも、クアラルンプールでも、日経新聞を読むことが出来ましたし、ホテルのケーブル・テレビにはNHKの日本語放送が入っていました。さすがにインドは遠いのでしょうか、日経新聞のクーリエ・サービスはないと見えて、新聞はインターナショナル系、テレビもNHKの日本語放送はなく、辛うじて英語放送が流れていました。
 因みにインドのホテルのケーブル・テレビは50チャネル以上あり、CNNやBBCやアルジャジーラをはじめ、ロシア、オーストラリア、中国、アジアなどの専門局が独自情報を放映し、一種の宣伝戦の様相ですが、メディアとしては、ESPN、HBO、Cinemax、Fox、Discoveryなど、アメリカが圧倒的で、面目躍如といったところです。先ほども触れたようにNHKは英語放送のみですが、折角の英語放送ですから、世界の人々に広く知らしめるという意味で、福島原発事故にせよ尖閣問題にせよ、事実を淡々と伝えるだけでも、かなりの影響力が期待でき、意味があるように思います。国営放送ですから、もっと戦略的に活用できないものかと思います。
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