良くも悪くも今年の顔となった鳩山さんですが、100日のハネムーンを経て、最後は私が決めますと指導力をアピールして来たつもりの決めゼリフが、最近はすっかり色褪せてしまい、支持率も5割程度まで落ちてきました。幸い自民党がパッとしないので、まだ5割に踏みとどまっているといったところでしょうか。本来は手段であるはずの「政権交代。」が目的となって衆議院選を戦うために、自民党へのアンチテーゼを掲げざるを得なかったのは止むを得ないにしても、その後、「政策運営」にあたっては、前政権の政策を踏襲しながら変えるべきところは変えて行く穏健路線にアウフヘーベンできれば良かったのですが、全否定のまま突っ走っているものですから、どうも危うさが付きまとう一方、違法献金疑惑で居直る旧態依然とした政治家風情が不釣合いで、チグハグ感は否めません。ポスターに書かれた「政権交代。」の句点は何を意味するのか訝しがられたことがありましたが、今となっては「政権交代。」で止まって先に進めない現状を象徴しているかのようです(句点をつけることをアドバイスしたのはデーブ・スペクター氏だったという説がありますが、軽はずみなことをしたものです)。
これまでのところ、新政権で評価されているのは事業仕分けだけかも知れません。科学技術関係や芸術・音楽関係の予算削減ではちょっとミソをつけましたが、予算プロセスが白日の下に晒されたという点での評価を貶めるものではありません。自民党議員の中からも、なかなか面白いと評価されたこの手法は、カナダ政府での事例を下敷きにしたものだと言われていますが、実は二年半前、自民党・福田政権の時に政務調査会に設置された「無駄遣い撲滅プロジェクトチーム(PT)」で、(そもそもの趣旨は若干違うように思いますが)事実上、着手されていました。ただこのPTは、公共事業などの巨額予算を扱う分野にメスを入れることが許されず、予算権限の少ない文部科学省、環境省、財務省、外務省といった文教・科学技術等の分野に限られていたこと(それでも2.7兆円の内、約14%に相当する3500億円を無駄と断じたと言う意味では、仕分けチームよりも格段に成績が良い)と、結局、このPTは、党が決めたことに盾つく反乱分子として扱われて孤立して行ったところが、今回の事業仕分けチームとは異なります。いつの時代にも既得権益を守る動きはあるもので、予算編成を真面目にやろうとすると利害がぶつかって難しいものですが、自民党にあっては抵抗勢力が強過ぎた、その自民党の体質に問題があったと言う意味で、事業仕分けの問題は、自民党と民主党の体質の差、正確に言うとこのたびの一連の立場の差を象徴する出来事だったと言えます。因みにこのPTを率いたのは、自民党総裁選で年寄りに引退を迫った河野太郎さんでした。自民党の内からの改革に期待しましょう。
ところで、タイトルにアマチュアと書いたのは、良くも悪くもという意味であって、事業仕分けも含めて、手法が従来の自民党と違って新鮮だったという好意的な評価も含みます。勿論、普天間基地移設問題で見せた鳩山さんのやり方が未熟だ(Hatoyama's amateurish handling of the issue)とワシントンポスト紙に酷評されたことにも因みます(つい昨日のワシントンポストには“気紛れ(a mercurial leader)”とも書かれてしまいました)。この点に関してちょっとだけ弁護すると、普天間問題は相手(アメリカ)あってのことで、相手の評価を真に受けることはありません(だからと言って、鳩山・民主党の対応を評価するものではないのは、これまでもブログに書いて来た通りです)。しかし、温室効果ガスを2020年までに1990年比で25%削減するとぶち上げたにも関わらず、COP15ではなすすべもなく全く存在感を示せなかったのは、最初から手の内をさらけだし、他には何ら交渉のカードを持たず、他国の善意に期待した「友愛」外交が、国際政治の冷徹な現実の前に既に破綻していたことを示すものであり、Hatoyama's amateurish handling of the issueの悪しき方の事例、アマチュアとしての心もとなさを示すものと言えましょう。
こうして見ると、今の政局は、便宜的、暫定的、過渡的であって欲しいと願うばかりです。アマチュアに任せていられるほど、その立ち上がりを待っていられるほど、甘く悠長な時代ではないはずだからです。自民党ばかりでなく、民主党も寄合い所帯に過ぎないことは明白なのですから、自民・民主という枠に囚われない政界再編によって、もっとプロフェッショナルに切り盛りして欲しいと思わざるを得ません。実はこうした思いは、政界や日本経済に限らず、私の身近な会社生活においても(さらには日本の社会あまねく)妥当するのであって、自戒を込めて書いて来ました。暦が12月31日から1月1日に変わるだけでリフレッシュすることを期待し、新年と呼んではオメデタがる日本人の習性にならって、波乱含みの2010年の荒波を、前向きに乗り切って行きたいと思います。先ずは2009年はお疲れ様でした!
上の写真は、ちょうど一年前のシドニー・ハーバーブリッジのカウント・ダウン花火です。
これまでのところ、新政権で評価されているのは事業仕分けだけかも知れません。科学技術関係や芸術・音楽関係の予算削減ではちょっとミソをつけましたが、予算プロセスが白日の下に晒されたという点での評価を貶めるものではありません。自民党議員の中からも、なかなか面白いと評価されたこの手法は、カナダ政府での事例を下敷きにしたものだと言われていますが、実は二年半前、自民党・福田政権の時に政務調査会に設置された「無駄遣い撲滅プロジェクトチーム(PT)」で、(そもそもの趣旨は若干違うように思いますが)事実上、着手されていました。ただこのPTは、公共事業などの巨額予算を扱う分野にメスを入れることが許されず、予算権限の少ない文部科学省、環境省、財務省、外務省といった文教・科学技術等の分野に限られていたこと(それでも2.7兆円の内、約14%に相当する3500億円を無駄と断じたと言う意味では、仕分けチームよりも格段に成績が良い)と、結局、このPTは、党が決めたことに盾つく反乱分子として扱われて孤立して行ったところが、今回の事業仕分けチームとは異なります。いつの時代にも既得権益を守る動きはあるもので、予算編成を真面目にやろうとすると利害がぶつかって難しいものですが、自民党にあっては抵抗勢力が強過ぎた、その自民党の体質に問題があったと言う意味で、事業仕分けの問題は、自民党と民主党の体質の差、正確に言うとこのたびの一連の立場の差を象徴する出来事だったと言えます。因みにこのPTを率いたのは、自民党総裁選で年寄りに引退を迫った河野太郎さんでした。自民党の内からの改革に期待しましょう。
ところで、タイトルにアマチュアと書いたのは、良くも悪くもという意味であって、事業仕分けも含めて、手法が従来の自民党と違って新鮮だったという好意的な評価も含みます。勿論、普天間基地移設問題で見せた鳩山さんのやり方が未熟だ(Hatoyama's amateurish handling of the issue)とワシントンポスト紙に酷評されたことにも因みます(つい昨日のワシントンポストには“気紛れ(a mercurial leader)”とも書かれてしまいました)。この点に関してちょっとだけ弁護すると、普天間問題は相手(アメリカ)あってのことで、相手の評価を真に受けることはありません(だからと言って、鳩山・民主党の対応を評価するものではないのは、これまでもブログに書いて来た通りです)。しかし、温室効果ガスを2020年までに1990年比で25%削減するとぶち上げたにも関わらず、COP15ではなすすべもなく全く存在感を示せなかったのは、最初から手の内をさらけだし、他には何ら交渉のカードを持たず、他国の善意に期待した「友愛」外交が、国際政治の冷徹な現実の前に既に破綻していたことを示すものであり、Hatoyama's amateurish handling of the issueの悪しき方の事例、アマチュアとしての心もとなさを示すものと言えましょう。
こうして見ると、今の政局は、便宜的、暫定的、過渡的であって欲しいと願うばかりです。アマチュアに任せていられるほど、その立ち上がりを待っていられるほど、甘く悠長な時代ではないはずだからです。自民党ばかりでなく、民主党も寄合い所帯に過ぎないことは明白なのですから、自民・民主という枠に囚われない政界再編によって、もっとプロフェッショナルに切り盛りして欲しいと思わざるを得ません。実はこうした思いは、政界や日本経済に限らず、私の身近な会社生活においても(さらには日本の社会あまねく)妥当するのであって、自戒を込めて書いて来ました。暦が12月31日から1月1日に変わるだけでリフレッシュすることを期待し、新年と呼んではオメデタがる日本人の習性にならって、波乱含みの2010年の荒波を、前向きに乗り切って行きたいと思います。先ずは2009年はお疲れ様でした!
上の写真は、ちょうど一年前のシドニー・ハーバーブリッジのカウント・ダウン花火です。