アメリカは、建国以来(南北戦争を頂点にして)ずっと、連邦政府の主導権をめぐる「内戦状態」にあり、大統領選挙は、四年に一度、流血なしに行う「内戦」(というシステム)だという(石川敬史氏)。言い得て妙だ。「内戦」が終わって国として一致団結できれば美しいが、現実には社会を分断した原因ではなく結果としてのトランピズムだから、消えてなくなることはなさそうだ。でも、政権交代したら前のリーダーを断罪する(実際に牢屋にぶち込む)ような物騒なお隣の国よりはずっといい(苦笑)。ついでに、近代オリンピックは、四年に一度、ガス抜きのために行われる国家間の疑似戦争だと言われるのは、オリンピックがアメリカ大統領選を真似たせいかも知れない(笑)。
そのアメリカ大統領選が近づくにつれ、リベラル・メディアでも僅かながら(ショック・アブソーバーのように)両者の接戦を伝えるようになってきたようだ。あらためて「隠れトランプ」の存在がクローズアップされて、世論調査では測れないところが強調されたりする。
もともと今回の大統領選はトランプ大統領の信任投票だと言われて来た。前回2016年は、伝統的なエスタブリッシュメントとは明らかに違う、底知れない破壊力をもつ異端児のようなトランプ大統領が颯爽と降臨して何かやってくれるかも知れないと漠然とした期待感が芽生えたのに対し、今回はそれぞれの有権者はこの4年弱のトランプ政権の実績に対する評価を以て投票に臨む。そのためか、ちょっと前のロイターは、普段は選挙に参加しない数百万人が(良くも悪くも4年前の選挙結果の衝撃を受けて)今回は傍観をやめて立ち上がる可能性があると伝えた。こうした人たちはどうやら反トランプの立場が多いようだ。いずれにせよ、政治状況が二極化する今、大統領選の勝者を決するのは、普段は選挙に参加しない有権者だとアナリストらは指摘するという。
このことからも分かるように、また世論調査でも明らかなように、バイデン氏については、積極的に支持すると言うよりも、トランプ氏への反発から(すなわち反トランプとして)消極的に支持する人が多く、「トランプ」対「バイデン」の構図よりも、「トランプ」対「反トランプ」の色合いが強いと言ってよいかも知れない。実際、選挙戦を通して(テレビ討論会を含めて)、バイデン氏の影は薄い。認知症の疑いもあって失言や失態を避けるためかどうか知らないが、コロナ禍をよいことに戦略的に露出を控えているせいでもであるし、ご子息がらみの疑惑をはじめ、プライベートにまつわる良からぬ話をリベラル・メディアが伝えようとしないせいでもある。
それで、つまるところ、何で決まるのかというと(先の石川氏によれば)「キャラクター」だという。アメリカ人は「キャラクター」を観察しているのであって、「知性」を観察しているわけではないし、「議論」をしているのではなく、「内戦」を行っているのだという。
確かに、私のような無責任な部外者は、トランプ氏の品のない傍若無人な振舞いにハラハラしつつも、公約を愚直に守ろうとする子供のような素直さは見上げたものだし、猛獣使いと称された安倍さんがトランプさんをうまくあやしていたからこそ、トランプ劇場をニヤニヤ遠巻きに眺めていられたが、アメリカ人の特にリベラルを自任するエリート層は、そうは言っていられないだろう。国際社会でのアメリカの指導的立場や気候変動や人権などのリベラルな政策や大統領の品格が大事であって、トランプ氏に対して示す強烈な嫌悪感は、部外者の私がびっくりするほどで、まあ、当事者(有権者)なのだから、そんなものかもしれないと思う(笑)。逆の意味で、岩盤支持者も同じように真剣そのものなのだろう。しかし、こうした志ある人々はごく一部で、大部分は懐具合い(経済政策)や(BLMがらみの)安全を重視すると言われる。そんな理想と現実のギャップに「隠れトランプ」が付け入る隙がある。あれこれ政策には反対だけど・・・などと含みを持たせる人たちのことだ(笑)
なかなか当たらない世論調査の中で、最も当たると言われる質問があるという。ある滞米経験の長い専門家によると、選挙間近になると行われる「どちらの候補者とビールが飲みたいですか?」という質問なのだそうで(横江公美さん)、「どちらを支持するか?」「どちらに投票する予定か?」と聞かれると理性が働くが、ビールを飲む相手を聞かれると、どちらが一緒にいて楽しそうかと考えるわけで、どちらに対して本能的好感度が高いかをあぶり出すものだという。キャラクターを問うことに通じるように思う。
その意味で、数日前のBuzzFeedの記事が面白い(【投票】トランプ氏とバイデン氏、授業で隣の席に座るならどっち?)。「トランプ氏」対「バイデン氏」で、
・上司になって欲しいのは? 43%:57%
・口が堅そうなのは? 31%:69%
・授業で隣の席に座るなら? 48%:52%
・子どもの誕生日を忘れそうなのは? 57%:43%
・グループワークにいて欲しいのは? 46%:54%
・旅行などで家をあける時、ペットや植物の世話を頼みたいのは? 21%:79%
このあたりは、バイデン氏が「知性」や「議論」という点でトランプ氏より大人に見えるから(笑)、圧倒的ではないにせよ順当に支持を集めている。では、次のような質問はどうだろうか。
・お小遣いをたくさんくれそうなのは? 79%:21%
・一緒に夜遊びするなら? 82%:18%
・オナラを人のせいにしそうなのは? 77%:23%
・ゲームでズルしそうなのは? 82%:18%
思わず吹き出してしまったが、トランプ氏が8割前後を稼いで、圧倒的に強い。「キャラクター」として、子供っぽいし、一緒にいて楽しそうだ(笑)。
果たしてアメリカ人はこんな「キャラクター」を大統領に選ぶのだろうか(笑)。私は無責任な部外者だから、選んで欲しいと心から思うのだが(笑)
(日本は部外者ではあり得ないが、憲法改正しないことには三選がないトランプ氏が二期目で政策を変えることがあり得るのか、あるいは伝え聞く限りにおいてバイデン氏はトランプ氏よりも同盟重視で国際協調的とされ、パリ協定やイラン核合意やWHOに戻るかも知れないとされるため、とりあえず今よりは悪くならないとして、考えるのはやめた。しかしバイデン政権では対中政策が緩まないかと心配)
そのアメリカ大統領選が近づくにつれ、リベラル・メディアでも僅かながら(ショック・アブソーバーのように)両者の接戦を伝えるようになってきたようだ。あらためて「隠れトランプ」の存在がクローズアップされて、世論調査では測れないところが強調されたりする。
もともと今回の大統領選はトランプ大統領の信任投票だと言われて来た。前回2016年は、伝統的なエスタブリッシュメントとは明らかに違う、底知れない破壊力をもつ異端児のようなトランプ大統領が颯爽と降臨して何かやってくれるかも知れないと漠然とした期待感が芽生えたのに対し、今回はそれぞれの有権者はこの4年弱のトランプ政権の実績に対する評価を以て投票に臨む。そのためか、ちょっと前のロイターは、普段は選挙に参加しない数百万人が(良くも悪くも4年前の選挙結果の衝撃を受けて)今回は傍観をやめて立ち上がる可能性があると伝えた。こうした人たちはどうやら反トランプの立場が多いようだ。いずれにせよ、政治状況が二極化する今、大統領選の勝者を決するのは、普段は選挙に参加しない有権者だとアナリストらは指摘するという。
このことからも分かるように、また世論調査でも明らかなように、バイデン氏については、積極的に支持すると言うよりも、トランプ氏への反発から(すなわち反トランプとして)消極的に支持する人が多く、「トランプ」対「バイデン」の構図よりも、「トランプ」対「反トランプ」の色合いが強いと言ってよいかも知れない。実際、選挙戦を通して(テレビ討論会を含めて)、バイデン氏の影は薄い。認知症の疑いもあって失言や失態を避けるためかどうか知らないが、コロナ禍をよいことに戦略的に露出を控えているせいでもであるし、ご子息がらみの疑惑をはじめ、プライベートにまつわる良からぬ話をリベラル・メディアが伝えようとしないせいでもある。
それで、つまるところ、何で決まるのかというと(先の石川氏によれば)「キャラクター」だという。アメリカ人は「キャラクター」を観察しているのであって、「知性」を観察しているわけではないし、「議論」をしているのではなく、「内戦」を行っているのだという。
確かに、私のような無責任な部外者は、トランプ氏の品のない傍若無人な振舞いにハラハラしつつも、公約を愚直に守ろうとする子供のような素直さは見上げたものだし、猛獣使いと称された安倍さんがトランプさんをうまくあやしていたからこそ、トランプ劇場をニヤニヤ遠巻きに眺めていられたが、アメリカ人の特にリベラルを自任するエリート層は、そうは言っていられないだろう。国際社会でのアメリカの指導的立場や気候変動や人権などのリベラルな政策や大統領の品格が大事であって、トランプ氏に対して示す強烈な嫌悪感は、部外者の私がびっくりするほどで、まあ、当事者(有権者)なのだから、そんなものかもしれないと思う(笑)。逆の意味で、岩盤支持者も同じように真剣そのものなのだろう。しかし、こうした志ある人々はごく一部で、大部分は懐具合い(経済政策)や(BLMがらみの)安全を重視すると言われる。そんな理想と現実のギャップに「隠れトランプ」が付け入る隙がある。あれこれ政策には反対だけど・・・などと含みを持たせる人たちのことだ(笑)
なかなか当たらない世論調査の中で、最も当たると言われる質問があるという。ある滞米経験の長い専門家によると、選挙間近になると行われる「どちらの候補者とビールが飲みたいですか?」という質問なのだそうで(横江公美さん)、「どちらを支持するか?」「どちらに投票する予定か?」と聞かれると理性が働くが、ビールを飲む相手を聞かれると、どちらが一緒にいて楽しそうかと考えるわけで、どちらに対して本能的好感度が高いかをあぶり出すものだという。キャラクターを問うことに通じるように思う。
その意味で、数日前のBuzzFeedの記事が面白い(【投票】トランプ氏とバイデン氏、授業で隣の席に座るならどっち?)。「トランプ氏」対「バイデン氏」で、
・上司になって欲しいのは? 43%:57%
・口が堅そうなのは? 31%:69%
・授業で隣の席に座るなら? 48%:52%
・子どもの誕生日を忘れそうなのは? 57%:43%
・グループワークにいて欲しいのは? 46%:54%
・旅行などで家をあける時、ペットや植物の世話を頼みたいのは? 21%:79%
このあたりは、バイデン氏が「知性」や「議論」という点でトランプ氏より大人に見えるから(笑)、圧倒的ではないにせよ順当に支持を集めている。では、次のような質問はどうだろうか。
・お小遣いをたくさんくれそうなのは? 79%:21%
・一緒に夜遊びするなら? 82%:18%
・オナラを人のせいにしそうなのは? 77%:23%
・ゲームでズルしそうなのは? 82%:18%
思わず吹き出してしまったが、トランプ氏が8割前後を稼いで、圧倒的に強い。「キャラクター」として、子供っぽいし、一緒にいて楽しそうだ(笑)。
果たしてアメリカ人はこんな「キャラクター」を大統領に選ぶのだろうか(笑)。私は無責任な部外者だから、選んで欲しいと心から思うのだが(笑)
(日本は部外者ではあり得ないが、憲法改正しないことには三選がないトランプ氏が二期目で政策を変えることがあり得るのか、あるいは伝え聞く限りにおいてバイデン氏はトランプ氏よりも同盟重視で国際協調的とされ、パリ協定やイラン核合意やWHOに戻るかも知れないとされるため、とりあえず今よりは悪くならないとして、考えるのはやめた。しかしバイデン政権では対中政策が緩まないかと心配)