今年も残すところあと一日になりました。だいたい大晦日になるとNHK・・・と思うのは、余り若い世代の発想ではありません。私の親の世代はNHKばかり、私の世代はせいぜい国技である大相撲と紅白歌合戦くらいはNHKと決まっていたものですが、私の子供の世代はNHKもクソもないのでしょう。しかし、年齢のせいか、NHKに触れる機会が多くなったような気がします。帰宅して、民放のバラエティ番組を見るよりはニュースウォッチ9をよく見るようになりましたし、時差のある海外出張は避けつつ(若い人に譲るようにしています、苦笑)アジアを中心に海外出張し、アジアの町でNHKのTV放送を見るたびに、ホットしたものです。
そう、海外にいると、海外=外国語環境ですので、平板なNHKのニュースであっても、日本語=祖国に触れて懐かしさにも似た親近感を覚えますし、帰国子女でもないし、ましてや日系何世でもない私は、当然、根っから日本語で発想しますから、英語であれば意識を集中しなければ聞き漏らしてしまうところ、日本語が流れて来ると全身(つまりは皮膚感覚)で受けることができて安心するわけです。最近は、緊迫する東アジア情勢と相俟って、かつて海外駐在していたときとは違った感覚を持つようになりました。NHKは日本語放送だけではなく、NHK衛星で英語放送も行っていますが、圧倒的に少ない。勿論、日本語放送を見るとホッとしますが、他方で、私たち日本人という狭い社会向けだけではなく、広く世界に向けて世界のニュースを日本の立場で英語で、つまりは日本の視点なり発想を世界に向けて発信すべきではないかと思うのです。
そんな思いを抱いていたところ、かつて緒方竹虎さんが、似たような発言をして物議を醸し、結局、断念するに至ったことがあると聞きました。緒方竹虎さんと言えば、戦前はジャーナリストとして活躍し、戦時中(と言っても終戦前の一年)、小磯内閣に国務大臣兼情報局総裁として入閣し、A級戦犯に指名されて後に解除され、戦後は自由党総裁、さらに民主党との合同(今の民主党とは違います、保守合同で、自由民主党結党)を推進し、最後は副総理にもなった人物です。日本版CIA構想をもっていたため、当時の冷戦の文脈で「反ソ・反鳩山」の旗頭として、CIAが緒方政権擁立のために積極的な工作を行っていたことも明らかになっており、戦前の情報局総裁の経験から政府直属の情報機関設置構想は、当時の左派色の強いジャーナリズム主流派から「特高的言論統制復活」と批判され、内閣総理大臣官房に「調査室」(現在の内閣情報調査室の源流)という小さな情報機関を設立するにとどまりました・・・などと、私自身も、Wikipediaでおさらいしてみましたが、NHKに触れた箇所は見つかりませんでした。
どうもCIAを連想させられるとキナ臭ささが漂いますし、国家による情報操作との境界は難しい問題ですが、日本を取り巻く安全保障環境は、この10年ですっかり変わり、中国が中国的文脈で仕掛ける情報戦・宣伝戦に対抗する必要を感じます。
あるドイツ在住の作家によれば、the Senkaku Islands (also known as the Diaoyu Islands)ではなく、the Diaoyu Islands (also known as the Senkaku Islands)と表記するマスコミがとうとう現れたと言い、中国の情報戦・宣伝戦はとどまるところを知りません。最近のアメリカなどの大手メディア報道でも、中国の息がかかっているのではないかと疑われるものが増えているのを感じるのは、私の気のせいではないでしょう。「右傾化」なる悪意ある形容もそうで、確かに従来の左寄りとも言える政策から右に針を戻しつつあるのは事実ですが、それはまともな普通の国になりつつあるだけのことで、軍国主義の道を歩んでいるなどと日本人の誰も夢にも思わない。しかし世界の人々は、日本が専守防衛に徹し、攻撃兵器を持たないという意味で、軍に関して大いに欠陥を抱えた、いびつな、しかしこれほど平和志向の国であるとは想像できないのではないか。尖閣問題では、出るところに出れば、中国の身勝手な言い分は通らず、日本の主張は揺るぎないと、日本人の誰もが疑いませんが、世界ではそれを知らない人が圧倒的なのです。そもそもNY Timesなどは、the Senkaku Islands (also known as the Diaoyu Islands)の名前を出すときには、必ずちっぽけな無人島であると説明し、さも、こんなちっぽけな岩礁で日・中が軍事衝突しアメリカが巻き込まれたらかなわん・・・と言わんばかりの問題でしかありません。しかし、領土問題は主権にかかわり、当事者である日・中双方にとっては譲るわけには行きません。
日本の立場を伝えるには、ただ単に日本で報道されるままをそのまま英語にして世界に向けて流すだけでいいのです。受信料をとりたてるのですから、日本という国に対してこの程度の貢献があって然るべきだと思います。折しもNHKでは、元商社マンの籾井勝人氏(日本ユニシス特別顧問)が次期会長に就任することが決まりました。国際社会の現実を知る人の打ち手に期待したいと思います。
そう、海外にいると、海外=外国語環境ですので、平板なNHKのニュースであっても、日本語=祖国に触れて懐かしさにも似た親近感を覚えますし、帰国子女でもないし、ましてや日系何世でもない私は、当然、根っから日本語で発想しますから、英語であれば意識を集中しなければ聞き漏らしてしまうところ、日本語が流れて来ると全身(つまりは皮膚感覚)で受けることができて安心するわけです。最近は、緊迫する東アジア情勢と相俟って、かつて海外駐在していたときとは違った感覚を持つようになりました。NHKは日本語放送だけではなく、NHK衛星で英語放送も行っていますが、圧倒的に少ない。勿論、日本語放送を見るとホッとしますが、他方で、私たち日本人という狭い社会向けだけではなく、広く世界に向けて世界のニュースを日本の立場で英語で、つまりは日本の視点なり発想を世界に向けて発信すべきではないかと思うのです。
そんな思いを抱いていたところ、かつて緒方竹虎さんが、似たような発言をして物議を醸し、結局、断念するに至ったことがあると聞きました。緒方竹虎さんと言えば、戦前はジャーナリストとして活躍し、戦時中(と言っても終戦前の一年)、小磯内閣に国務大臣兼情報局総裁として入閣し、A級戦犯に指名されて後に解除され、戦後は自由党総裁、さらに民主党との合同(今の民主党とは違います、保守合同で、自由民主党結党)を推進し、最後は副総理にもなった人物です。日本版CIA構想をもっていたため、当時の冷戦の文脈で「反ソ・反鳩山」の旗頭として、CIAが緒方政権擁立のために積極的な工作を行っていたことも明らかになっており、戦前の情報局総裁の経験から政府直属の情報機関設置構想は、当時の左派色の強いジャーナリズム主流派から「特高的言論統制復活」と批判され、内閣総理大臣官房に「調査室」(現在の内閣情報調査室の源流)という小さな情報機関を設立するにとどまりました・・・などと、私自身も、Wikipediaでおさらいしてみましたが、NHKに触れた箇所は見つかりませんでした。
どうもCIAを連想させられるとキナ臭ささが漂いますし、国家による情報操作との境界は難しい問題ですが、日本を取り巻く安全保障環境は、この10年ですっかり変わり、中国が中国的文脈で仕掛ける情報戦・宣伝戦に対抗する必要を感じます。
あるドイツ在住の作家によれば、the Senkaku Islands (also known as the Diaoyu Islands)ではなく、the Diaoyu Islands (also known as the Senkaku Islands)と表記するマスコミがとうとう現れたと言い、中国の情報戦・宣伝戦はとどまるところを知りません。最近のアメリカなどの大手メディア報道でも、中国の息がかかっているのではないかと疑われるものが増えているのを感じるのは、私の気のせいではないでしょう。「右傾化」なる悪意ある形容もそうで、確かに従来の左寄りとも言える政策から右に針を戻しつつあるのは事実ですが、それはまともな普通の国になりつつあるだけのことで、軍国主義の道を歩んでいるなどと日本人の誰も夢にも思わない。しかし世界の人々は、日本が専守防衛に徹し、攻撃兵器を持たないという意味で、軍に関して大いに欠陥を抱えた、いびつな、しかしこれほど平和志向の国であるとは想像できないのではないか。尖閣問題では、出るところに出れば、中国の身勝手な言い分は通らず、日本の主張は揺るぎないと、日本人の誰もが疑いませんが、世界ではそれを知らない人が圧倒的なのです。そもそもNY Timesなどは、the Senkaku Islands (also known as the Diaoyu Islands)の名前を出すときには、必ずちっぽけな無人島であると説明し、さも、こんなちっぽけな岩礁で日・中が軍事衝突しアメリカが巻き込まれたらかなわん・・・と言わんばかりの問題でしかありません。しかし、領土問題は主権にかかわり、当事者である日・中双方にとっては譲るわけには行きません。
日本の立場を伝えるには、ただ単に日本で報道されるままをそのまま英語にして世界に向けて流すだけでいいのです。受信料をとりたてるのですから、日本という国に対してこの程度の貢献があって然るべきだと思います。折しもNHKでは、元商社マンの籾井勝人氏(日本ユニシス特別顧問)が次期会長に就任することが決まりました。国際社会の現実を知る人の打ち手に期待したいと思います。