横綱・日馬富士が、平幕・貴ノ岩に暴行した問題で責任をとり、現役引退を表明した。相撲協会内には現役続行に理解を示す意見もあったらしいが、横綱審議委員会では「非常に厳しい処分が必要」との意見が大勢を占めたことに反応したのだろう。私は日馬富士ファンではないが、16歳で母国を離れてはるばる日本までやって来て、日本の相撲界の最高位を極め、日本人だけであったならばさぞ不甲斐なかったであろう相撲界を盛り立ててくれた功労者の一人であることを思えば、長年の相撲ファンとしては残念至極の思いだ。
安倍首相は、「国民の関心の極めて高いスポーツだ。相撲界における暴力問題は極めて遺憾だ」と語られたが、安倍さんには申し訳ないが、(このブログで何度も繰り返し述べて来たように)相撲はスポーツではなく、伝統芸能だ。だからこそ横綱は、強いだけでなく品格が求めれられるし、勝つだけでなく勝ちっぷりが問題にもされるのだ。ビール瓶で殴ったことは同席していた白鵬が否定したり、「10針ぐらい縫う怪我」を負ったと証言する人もいれば局部の写真まで出回っていたりもするが、真相は今もって分からない。しかし日馬富士自身が暴行を認めている以上、やむを得ない状況なのだろう。一体、何があったのか。
日馬富士の心の師と言われる人は、「酒癖が悪いなんていうのは一切ない。カラオケを歌って、楽しんで帰るという感じだ。(他の)横綱がいるのに見境なく飲むということはない」と断言し、横綱・白鵬への態度に立腹して貴ノ岩を殴打したとされる日馬富士の思いについて、「モンゴルには礼儀はあるが、日本のような『先輩後輩の関係』というものはないようだ。日馬富士は『日本の先輩後輩の関係をモンゴルに持ち帰りたい』と言っていた」と擁護する。白鵬と比較するのもなんだが、およそ横綱らしくないビンタのような張り手や喧嘩腰、そして今場所11日目には物言いがつかないことに抗議するかのように立ち尽くして物議を醸すといったやや増長した態度をとるなど、横綱らしく振舞おうとしながら成り切れない(だから心掛けも実はよろしくないのではないかと、人が悪い私なんぞは勘繰ってしまう)白鵬と比べれば、先の心の師が「今の力士の質が落ちている中で彼は『全身全霊』と言っている。日本人以上の日本人だと思う」と語る日馬富士の、目立たないせいかも知れないが、小兵ながらも横綱らしくあろうとする真面目さはなんとなく好感する。これらの伝聞が事実とすれば、何か余程のことがあったのだろうことが察せられる。
ここで状況を混乱させているのが、協力要請を拒み続ける貴乃花親方の頑なな態度だ。週刊誌の報道は、「かねてモンゴル勢(今や関取だけでも12人)が群れていることを快く思っていなかった貴乃花親方が、暴行事件に乗じ、次期理事長選を見すえて、八角理事長体制に異を唱えた--。これがおおよその筋書き」(花田紀凱氏)だという。
モンゴル勢と言えば、「ここ数年、モンゴル人力士同士の〝無気力相撲〟は、取材している報道陣の間でもしばしば話題になっていた」「一部週刊誌で報じられている『星の回しあい』や『互助会相撲』があるとは言わないが、貴乃花(親方)が貴ノ岩にモンゴル人力士との付き合いを禁じているのもむべなるかな、とは思わせられる」といった声もある(スポーツライター赤坂英一氏)。貴乃花親方は、貴ノ岩だけでなく弟子全員に、他の部屋へ出稽古に行かないよう、また他の部屋の力士たちとは必要最低限の挨拶以上のコミュニケーションを取らないよう、厳命しているらしい。現役時代の彼のガチンコな相撲っぷりを思えば、モンゴル人同士で同じ飛行機で一時帰国したり仲良く群れたりすのを、苦々しく思う気持ちは分からなくはない。
・・・というわけで、体罰がよくないのはその通りだが、トカゲの尻尾切りのように日馬富士だけに責任を取らせることで済ませてよいのか、もっと構造的な、あるいは体質そのものに問題があるのではないかという、モヤモヤとした疑問が残る。せめて片鱗であっても真相が明らかにされるのを待ちたい。
安倍首相は、「国民の関心の極めて高いスポーツだ。相撲界における暴力問題は極めて遺憾だ」と語られたが、安倍さんには申し訳ないが、(このブログで何度も繰り返し述べて来たように)相撲はスポーツではなく、伝統芸能だ。だからこそ横綱は、強いだけでなく品格が求めれられるし、勝つだけでなく勝ちっぷりが問題にもされるのだ。ビール瓶で殴ったことは同席していた白鵬が否定したり、「10針ぐらい縫う怪我」を負ったと証言する人もいれば局部の写真まで出回っていたりもするが、真相は今もって分からない。しかし日馬富士自身が暴行を認めている以上、やむを得ない状況なのだろう。一体、何があったのか。
日馬富士の心の師と言われる人は、「酒癖が悪いなんていうのは一切ない。カラオケを歌って、楽しんで帰るという感じだ。(他の)横綱がいるのに見境なく飲むということはない」と断言し、横綱・白鵬への態度に立腹して貴ノ岩を殴打したとされる日馬富士の思いについて、「モンゴルには礼儀はあるが、日本のような『先輩後輩の関係』というものはないようだ。日馬富士は『日本の先輩後輩の関係をモンゴルに持ち帰りたい』と言っていた」と擁護する。白鵬と比較するのもなんだが、およそ横綱らしくないビンタのような張り手や喧嘩腰、そして今場所11日目には物言いがつかないことに抗議するかのように立ち尽くして物議を醸すといったやや増長した態度をとるなど、横綱らしく振舞おうとしながら成り切れない(だから心掛けも実はよろしくないのではないかと、人が悪い私なんぞは勘繰ってしまう)白鵬と比べれば、先の心の師が「今の力士の質が落ちている中で彼は『全身全霊』と言っている。日本人以上の日本人だと思う」と語る日馬富士の、目立たないせいかも知れないが、小兵ながらも横綱らしくあろうとする真面目さはなんとなく好感する。これらの伝聞が事実とすれば、何か余程のことがあったのだろうことが察せられる。
ここで状況を混乱させているのが、協力要請を拒み続ける貴乃花親方の頑なな態度だ。週刊誌の報道は、「かねてモンゴル勢(今や関取だけでも12人)が群れていることを快く思っていなかった貴乃花親方が、暴行事件に乗じ、次期理事長選を見すえて、八角理事長体制に異を唱えた--。これがおおよその筋書き」(花田紀凱氏)だという。
モンゴル勢と言えば、「ここ数年、モンゴル人力士同士の〝無気力相撲〟は、取材している報道陣の間でもしばしば話題になっていた」「一部週刊誌で報じられている『星の回しあい』や『互助会相撲』があるとは言わないが、貴乃花(親方)が貴ノ岩にモンゴル人力士との付き合いを禁じているのもむべなるかな、とは思わせられる」といった声もある(スポーツライター赤坂英一氏)。貴乃花親方は、貴ノ岩だけでなく弟子全員に、他の部屋へ出稽古に行かないよう、また他の部屋の力士たちとは必要最低限の挨拶以上のコミュニケーションを取らないよう、厳命しているらしい。現役時代の彼のガチンコな相撲っぷりを思えば、モンゴル人同士で同じ飛行機で一時帰国したり仲良く群れたりすのを、苦々しく思う気持ちは分からなくはない。
・・・というわけで、体罰がよくないのはその通りだが、トカゲの尻尾切りのように日馬富士だけに責任を取らせることで済ませてよいのか、もっと構造的な、あるいは体質そのものに問題があるのではないかという、モヤモヤとした疑問が残る。せめて片鱗であっても真相が明らかにされるのを待ちたい。