イランの話が出たついでに・・・明日にでも自衛隊を中東に派遣する閣議決定が行われる予定だ。アメリカ主導の有志連合「海洋安全保障イニシアティブ」とは一線を画し、日本独自の行動をとるのは、日本にとって友好国とされるイランなどに配慮するものだろう。それはともかくとして・・・
今回は、海上自衛隊の護衛艦1隻を派遣するとともに、ソマリア沖で海賊対処にあたっている哨戒機2機の内の1機の任務を切り替えて活用し、アラビア海北部のオマーン湾からアデン湾あたりの公海を対象に、「防衛省設置法」に基づく「調査・研究」を法的根拠とする情報収集活動を行うという。
市民活動家の方は、閣議決定だけで全てを決めるのはオカシイ、民主主義なのに国会が機能していないと非難されるが、「調査・研究」名目ごときをわざわざ国会で承認するのはやり過ぎだろう。法律上、「調査・研究」は防衛相の判断で実施できるところ、連立を組む公明党が決定プロセスへの関与を強めたいがために「最低でも閣議決定が必要」だと政府に要請したものらしいのだ。
また、市民活動家の方は、軍事的な緊張が極めて高い状態の中東地域に自衛隊を派遣することは、自衛隊が紛争に巻き込まれ、そのまま武力行使もしくは戦争状態などに巻き込まれる危険性が極めて高いことを懸念されるが、果たして当該地域が「軍事的な緊張が極めて高い」かどうかは措いておいて(理屈の上では、現地の情勢はそれほど厳しくないからこそ「調査・研究」名目で出すのだと思われる)、そもそもトランプ大統領が、ホルムズ海峡を通る船舶についてはそれぞれの国が自分で守れと真っ当なことを言ったことに端を発することなので、紛争への巻き込まれの危険性については理解するも、日本だけ自衛隊を派遣しないでその任務を他国に押し付けるわけには行かないだろう。
しかし、この「調査・研究」目的では、武器使用は正当防衛か緊急避難以外には認められないため、仮に日本の船舶が襲撃されるなどの危険に晒された場合、そのままでは護衛艦は武器を使わずに体を張って割って入って盾になることくらいしか出来ないようだ。そのため、こうした不測の事態が起きた場合には、「自衛隊法」に基づき、武器使用が可能となる「海上警備行動」を発令するために、あらためて閣議決定が必要になるという。
こうして、武器使用に当たってのハードルをあげて、安易な武器使用に至らないようコントロールするのは、国民感情として安心には違いないが、果たして現場は困らないのだろうか。一応、機動的に対応するため、電話での閣議決定が出来るようになっているらしいが、小刻みに法的手続きを定めることが、能動的にシームレスに行動したいであろう現場の便宜に叶うものとは思えない。その意味で、市民活動家の方が、今回は事実上の海外派兵で、調査研究なんて名目は詭弁だと非難するのは、現場感覚に合っていないという意味で、正しいと思う。
さらに言うなら、「海上警備行動」は自衛権ではなく警察権の行使となるので、警察官と同様、トリガーを引いたら引いた本人に責任が及ぶことになるらしいが、果たしてそんなことでよいのだろうか。因みに日本ではタテマエ上、自衛隊は軍隊ではなく、自衛隊員は軍人ではないから、グローバル・スタンダードな軍法会議が日本にはなく、仮に自衛隊員が人を傷つけた場合、一般の刑事裁判で殺人罪や傷害罪が適用されるリスクに晒されてしまう。
ことほど左様に、日本では安全保障の本音の議論がタテマエによって邪魔されるばかりか、法律論にスリ変わり、法律論によって現場のオペレーションが歪められているように思われる。自衛隊員のことを思えば、グローバルな観点から見て異常な事態は一刻も早く修正すべきと思う気持ちはやまやまだが、国内にそれを許す雰囲気がなさそうなのが哀しい。
今回は、海上自衛隊の護衛艦1隻を派遣するとともに、ソマリア沖で海賊対処にあたっている哨戒機2機の内の1機の任務を切り替えて活用し、アラビア海北部のオマーン湾からアデン湾あたりの公海を対象に、「防衛省設置法」に基づく「調査・研究」を法的根拠とする情報収集活動を行うという。
市民活動家の方は、閣議決定だけで全てを決めるのはオカシイ、民主主義なのに国会が機能していないと非難されるが、「調査・研究」名目ごときをわざわざ国会で承認するのはやり過ぎだろう。法律上、「調査・研究」は防衛相の判断で実施できるところ、連立を組む公明党が決定プロセスへの関与を強めたいがために「最低でも閣議決定が必要」だと政府に要請したものらしいのだ。
また、市民活動家の方は、軍事的な緊張が極めて高い状態の中東地域に自衛隊を派遣することは、自衛隊が紛争に巻き込まれ、そのまま武力行使もしくは戦争状態などに巻き込まれる危険性が極めて高いことを懸念されるが、果たして当該地域が「軍事的な緊張が極めて高い」かどうかは措いておいて(理屈の上では、現地の情勢はそれほど厳しくないからこそ「調査・研究」名目で出すのだと思われる)、そもそもトランプ大統領が、ホルムズ海峡を通る船舶についてはそれぞれの国が自分で守れと真っ当なことを言ったことに端を発することなので、紛争への巻き込まれの危険性については理解するも、日本だけ自衛隊を派遣しないでその任務を他国に押し付けるわけには行かないだろう。
しかし、この「調査・研究」目的では、武器使用は正当防衛か緊急避難以外には認められないため、仮に日本の船舶が襲撃されるなどの危険に晒された場合、そのままでは護衛艦は武器を使わずに体を張って割って入って盾になることくらいしか出来ないようだ。そのため、こうした不測の事態が起きた場合には、「自衛隊法」に基づき、武器使用が可能となる「海上警備行動」を発令するために、あらためて閣議決定が必要になるという。
こうして、武器使用に当たってのハードルをあげて、安易な武器使用に至らないようコントロールするのは、国民感情として安心には違いないが、果たして現場は困らないのだろうか。一応、機動的に対応するため、電話での閣議決定が出来るようになっているらしいが、小刻みに法的手続きを定めることが、能動的にシームレスに行動したいであろう現場の便宜に叶うものとは思えない。その意味で、市民活動家の方が、今回は事実上の海外派兵で、調査研究なんて名目は詭弁だと非難するのは、現場感覚に合っていないという意味で、正しいと思う。
さらに言うなら、「海上警備行動」は自衛権ではなく警察権の行使となるので、警察官と同様、トリガーを引いたら引いた本人に責任が及ぶことになるらしいが、果たしてそんなことでよいのだろうか。因みに日本ではタテマエ上、自衛隊は軍隊ではなく、自衛隊員は軍人ではないから、グローバル・スタンダードな軍法会議が日本にはなく、仮に自衛隊員が人を傷つけた場合、一般の刑事裁判で殺人罪や傷害罪が適用されるリスクに晒されてしまう。
ことほど左様に、日本では安全保障の本音の議論がタテマエによって邪魔されるばかりか、法律論にスリ変わり、法律論によって現場のオペレーションが歪められているように思われる。自衛隊員のことを思えば、グローバルな観点から見て異常な事態は一刻も早く修正すべきと思う気持ちはやまやまだが、国内にそれを許す雰囲気がなさそうなのが哀しい。