
【179ページ】
社会主義にはさまざまなタイプがあります。人々が知っている社会主義は、おおむね国家社会王義というべきものです。コミュニズムに関しても同じです。このような言葉を使っているかぎり、私のいいたいことは伝わりません。だから、誤解を避けるために、私はアソシエーショニズムという言葉を使っています。
アソシエーショニズムは、商品交換の原理が存在するような都市的空間で、国家や共同体の拘束を斥けるとともに、共同体にあった互酬性を高次元で取りかえそうとする運動です。それは先にのべたように、自由の互酬性(相互性)を実現することです。つまり、カント的にいえば、「他者を手段としてのみならず同時に目的として扱う」ような社会を実現することです。
(ken) 今年から韓流ドラマを見出し、日本のテレビドラマもよく見ていました。韓流ドラマには、本音として自分の心にあるニーズ、いわば「勧善懲悪」の度合いが強く、去年まではあれほど馬鹿にしていたにも関わらず、毎日のように楽しんでいます。これもまた、「現実の資本主義経済がもたらす格差、自由と平等の欠如が、想像的に補填され解消」される装置の1つになっているのでしょうね。そして、カントのいう「他者を手段としてのみならず同時に目的として扱う」ことの大切さをかみしめながら、63歳という現在の日々を過ごしている次第です。(つづく)