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資本に対抗する各国の運動は、つねに国家によって分断されてしまいます。
では、どのように国家に対抗すればよいのでしょうか。その内部から否定していくだけでは、国家を揚棄することはできない。国家は他の国家に対して存在するからです。われわれに可能なのは、各国で軍事的主権を徐々に国際連合に譲渡するように働きかけ、それによって国際連合を強化・再編成するということです。たとえば、日本の憲法9条における戦争放棄とは、軍事的主権を国際連合に譲渡するものです。各国でこのような主権の放棄がなされる以外に、諸国家を揚棄する方法はありえません。
【図1 国家の四つの形態】(5ページ)
統 制
B 福祉国家資本主義 | A 国家社会主義
(社会民主主義) | (共産主義)
不平等―――――――――――― +―――――――――――――― 平等
C リベラリズム | D リバタリアン社会主義
(新自由主義) | (アソシエーショニズム)
自 由
【図2 19世紀の構図】(9ページ)
統 制
B 福祉国家資本主義 | A 国家社会主義
(ボナパルト、ビスマルク) | (サン・シモン、ラッサール)
不平等―――――――――――――――――――――――――+――――――――――――――――――――――――――― 平等
C 自由主義 | D アソシエーショニズム
(古典経済学) | (プルードン、マルクス)
自 由
(Ken)(上図は線のズレがあって見にくいですが、ご理解ください)「戦争放棄」や「非武装中立」は理想論であると指摘され、かつての日本社会党は姿を消し、安倍政権は圧倒的多数を背景に憲法改正の道を足早に進んでいます。賛成・反対を鮮明にする前に、今回の抜き書きで国家論を勉強したとおり、4つの形態の「D」を理想として「求めつつ待つ」ことが重要であると思います。