
▶︎私は呆気にとられ、「お前の飼い主さん、雑というか、豪快だね」と思いながら、足踏みしている小型犬を見ていました。
▶︎そこに、優しげなおばあちゃんが通りかかり、「なぁーにこの子、かわいそうに」とつぶやきながら、腰をかがめリードを手に取って、街路樹の添え木に結んで立ち去りました。私は一服も終えたので、小型犬のそばにしゃがみスマホを構えたら、飼い主さんがコンビニから戻ってきました。
▶︎私は「写真撮っていいですか?」とお断りして一枚撮ったら、「つないでくれたんですか?ありがとうございます」とお礼を言われましたので、こうこうしかじかとご説明したところ、「この子ね、子犬の柴犬に見えるでしょう? でもね、柴犬じゃなくてポメラニアンオスで立派な大人なのよ」とのことです。
▶︎きっと、彼女は「子犬じゃないから、リードなんかいらないの。飾りだからつながなくてもいいの」と言いたかったのでしょう。親しげに、信頼しきったように飼い主を見上げ、飼い主と一緒に去りゆくポメラニアンの後ろ姿を見送りました。