新年明けましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします
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鎌倉 ~。株価を引き上げることによって景気を引っ張っていこうというのは、だいたい逆立ちした考え方です。それで株価を上げるために何をするかというと、利子率をほとんどゼロに抑えるとか、金融の量的緩和をやるとかですらね。
金融の量的緩和というのは株価が下がるのを阻止するという政策です。しかも、今やっているのは株価や証券価格がどんどん下がってしまって不良債権化したものを、国が税金を使って買い上げるんです。金融機関が大損しないように不良債権を国が税金で買い上げてやるという、それで株式・証券価格を支えるのだからひどい話ですね。
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鎌倉 ~。1998年以降、賃金支払い総額がずっと下がっています。それで労働分配率もずっと下落傾向という情況です。
ですから、実体経済拡大の方向にカネは回らない。結局だぶついたカネが、実体経済から遊離した株式・証券市場に回って、再び投機・バブルを引き起こす。その下で、人間の生活――労働力の再生産――が解体されるということになりつつある、ということです。
佐藤 政府の統計ですら、200万円以下の給与所得者が1000万人を超えていますからね。とんでもない情況ですよ。世代を超えて労働力の再生産すらできないようになっています。資本が資本主義システムを殺しはじめているんです。
(ken) まさにアベノミクスが「金融の量的緩和というのは株価が下がるのを阻止するという政策」を続けています。トランプ氏の当選翌日には全世界で大幅な株下落があり、この先どうなるのかと心配されましたが、株価は翌日からすぐに上昇し、アメリカの金利値上げ後も上昇傾向が続いています。「失望が一夜にして希望にとって代わる」という現実を目にし、私はなおさら株価の不安定性を感じました。そして、評論家の予想や世論がいかにあやふやなものかを実感したのです。そして、鎌倉さんが述べている「人間の生活――労働力の再生産――が解体」されている諸事件は、日常茶飯事のこととして報道されていますね。私たちは覚悟を決めて、ある程度の資本の暴走を想定しながら、そのシステムが 起こし得る事態に一喜一憂せず、望みを捨てないで対処していく知恵や、身近なネットワークを張り巡らす努力が必要なのですね。