昨日は、会議や打ち合わせ、県議会への要請、再稼働反対の街頭宣伝、県への再稼働反対の申し入れ、マスコミ各社の取材などでした。
昨日は、共産党愛知県委員会から、元参議院議員の八田ひろ子副委員長と、もとむら伸子くらし・環境対策委員長が、大飯原発視察と県庁申し入れに。福井県庁前ではお二人ともマイクで演説。さすが八田さんの演説は人をひきつけます。もとむらさんのすばらしい原発なくそうコールでみんなで唱和。お二人とともに、県庁原子力安全対策課へ再稼働反対の申し入れ。3月に大飯から飛ばした風船が愛知県に一番多く届いたということで、愛知も「被害地元」、再稼働はやめて、とていねいに、しかし熱く訴えられました。その後、議会控室でしばし、打ち合わせなど。名古屋時代の話にもなりましたね。
県議会への要請は市民団体の方からの急な申し出。しかしできる限り対応します。内容は全員協議会のネット中継をユーストリームでやってほしい、そうすればスマートホンなどでも観ることができる、という内容でした。今日の協議会には難しいですが、今後検討していただくことになりました。
■今日は大飯原発再稼働問題での県議会全員協議会。10時からのライヴ中継はこちら。
http://info.pref.fukui.jp/gikai/live/index.html
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以下、3月県議会での一般質問内容です。原発問題、新幹線・在来線3セク化、くらしの問題などを取り上げました。
■2012年3月1日 一般質問
◯7番(佐藤正雄君) 3番バッター、日本共産党の佐藤正雄でございます。
まず、原発行政について質問いたします。
福島原発事故から1年がたとうといたしておりますが、事故は収束しておりません。日本社会にこれほどのダメージを与え続けているのは、戦争以来ではないでしょうか。知事は、福島のような事故は繰り返さないと言いますが、福島の現状を見れば、再稼働は福井県民と、とりわけ関西地域の国民の皆さんに、ノーリスクではないということは明らかです。
北海道電力泊原発は耐震性が不十分などとして、北海道民ら612名が北電を相手取り、同原発の1から3号機すべての廃炉などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が2月13日、札幌地裁で開かれました。北電は提出した答弁書で、「原発に絶対的な安全性を求めることは不可能」などと表明いたしました。弁護団によりますと、全国の原発をめぐる訴訟で、電力事業者など被告側が原発について、絶対安全との主張をみずから否定する答弁書を提出したのは初めてだと言います。まさに電力事業者自身が、安全性に自信を持てなくなってきているということであります。
また私は、先日、福島大学副学長の清水修二先生の講義をお聞きしました。原発と地方財政論でありましたが、福島県が36年間で受け取った電源三法交付金は2,700億円、原発事故での賠償は4兆円、除染費用は5兆円とも推計されるそうであります。一たび事故が起これば、受益は吹き飛ぶと話されました。そして原発のはらむリスクの質と量を考えれば、地元利益を云々するレベルではないと強調されました。福島の現地からの訴えが心にしみたわけでございます。改めて福島を繰り返さないということは、原発からの撤退を政治が決断をする以外にないと痛感しました。
さて、福井県の原子力安全専門委員会は、経済産業省原子力安全・保安院が、東北地方太平洋沖地震と東京電力福島原発事故を検証し、対策に知見を反映させる目的で設けた意見聴取会の中間取りまとめなどの説明を受けました。私も、その専門委員会を傍聴させていただきました。
保安院は、炉の中が高放射線量のため現場の奥深くまで行けない、限られた現状があるので、そういう部分は、まだ十分整理できていないと前置きをして、事故の技術的知見から、外部電源や発電所内電気設備、冷却設備など30項目の対策強化を説明しました。また、今回のプレート間地震で、広範囲の断層連動が生じた知見を踏まえ、活断層型地震についても連動性を検討して、2月中に報告するよう電力事業者に指示していると述べました。
委員からは、地震・津波対策の不備を指摘する声を無視してきた国や電力事業者の姿勢に触れて、最新の知見や少数の意見を、どう合理的に規制に取り入れる枠組みをつくるかだとの指摘がありました。とても再稼働についての判断ができる取りまとめではないと私も感じましたし、委員の先生方も感じられたと思います。
まさに今、もともと範囲の限られた1次のストレステストで、しかも十分な知見が集約されていないのが現状であり、とても福島は繰り返さないとして、自信を持って再稼働を判断できる状況にはないのではありませんか、知事の答弁を求めます。
申し上げましたように福島原発事故は収束せず、被害は拡大し続けています。このような状況下で、県民の間でも大きく意見が分かれています。その象徴が、2月7日の市議会議長会でした。
敦賀市から出されていた原発の再稼働などを求める議案が、反対多数で否決されました。報道によりますと、市議会で脱原発の意見書を採択した越前市と小浜市を中心に、嶺南で事故が起きると福井県全体が被害に遭う。将来の子供のためにも大きな決断をしないといけないとか、敦賀原発1号機は40年を超えていて安全でないなどと反対する意見が相次いで、議案は採決の結果、反対多数で否決されたといいます。賛成したのは、提出した敦賀市議会と、あわら市議会の2市議会だけで、7市議会が反対、または棄権しました。民意の反映である市議会の議長会で、原発再稼働などが圧倒的多数で否決されたのに、知事や県議会が認めるわけにはいかないでしょう。行政として、有権者の代表者の間で大きな意見の相違がある、つまり原子力行政における県民合意が完全に崩れているわけですから、慎重を期さなくてはなりません。
私は前回の予算特別委員会で、県民の民意をつかむために県民アンケートなどを提案しましたが、知事は否定されました。しかし、このような形で民意が示されました。そこで提案しますが、一定期間、例えば1年程度かけて、県内各地で今後の福井県の原発をどうするか、県民の御意見を聞く会などを開催して、福井県として、なるべく多くの県民の声に耳を傾ける取り組みを行うべきと考えますが、知事の所見をお尋ねをいたします。
向こう1年間という期間は、どういう意味を持つのでしょうか。一つは、福島原発事故がおさまっていくのか、いかないのか。また、事故の要因はどうなのかなど、さらに解明が進められる中で、冷静な議論ができるということになります。二つ目に、予定では新年度から新しい原子力規制庁が発足する中で、国の新しい原子力行政が国民の信頼に足るものかどうか明らかになってまいります。三つ目に、福井の原発がすべて停止したもとで、日本と福井のエネルギーや地方行財政をどうするか、県民を巻き込んでじっくり考える機会となります。ぜひ積極的な御検討をお願いするものであります。
次に、原発労働と雇用の問題について質問します。
報道されておりますように、関西電力大飯原発を舞台にした職業安定法違反の事件が起こりました。代表質問への答弁で県警本部長は、先般検挙した指定暴力団工藤会の関係企業等による職業安定法違反事件に見られるように、暴力団は資金獲得を図るために関係企業を通じて、さまざまな経済取引に介入しているとの現状認識を示されました。
原発をめぐる問題の中で重大な問題の一つは、労働者の権利がないがしろにされている問題です。被ばく労働の押しつけ、使い捨てが、これまでも指摘されております。このような労働者の権利を保護していくことは、行政機関の重要な課題であります。
そこで知事は、原子力発電所で働く労働者の方々の雇用や勤務の実態について、どのように把握しているのか。また、問題がある場合に、どのように対処するのか所見をお尋ねします。
さらに今回の事件のように、原発が反社会的勢力の資金源にもつながっている疑念があるとしたら重大です。警察の取り調べに関係者は、このようなことは日常茶飯事だと供述していると報道されました。このような違反事犯に対する取り締まりを初めとする抑止策をどのように展開するのか、県警本部長の答弁を求めます。
二つ目に、原発政策の大転換期の中での雇用確保の問題です。
以前の質問でも指摘しましたように、原発立地自治体の電力などに偏った雇用構造からの脱却を、県も市町も真剣に考えなくてはならない時期が到来いたしました。しかし、当面どうするかと。
県議会厚生常任委員会では、浜岡原発と静岡県庁を視察しましたが、原発がすべて停止していても、雇用の悪化はないという回答に意外な気持ちがいたしました。その要因は、浜岡原発1号機・2号機の廃炉工事、そして福島原発事故を受けた対策工事としての土木事業などでありました。
そこで40年を超える老朽化原発は、運転再開が認められない状況があるわけですから、敦賀1号機、美浜1号機については、廃炉工事による雇用創出の観点からも、県として積極的に廃炉を求めていくべきであると考えますが、知事の見解をお尋ねします。
原発問題の最後に、活断層の評価と再稼働の判断についてお尋ねします。
私は先日、東京大学で開催された防災研究フォーラムに参加してまいりました。文部科学省地震防災研究課の北川貞之氏は地震調査研究推進本部について、陸域の主要な活断層と海域で発生する地震について長期評価を行っている。海底地形調査、津波堆積物調査、海域活断層調査、海底堆積物調査など長期評価の高度化について述べました。
私も質問いたしまして、福井県の原発について、福島事故のようなことになれば関西地域も含めて被害は甚大となると。事業者任せではなく、国が責任をもって調査すべきではないかと質問をいたしました。北川氏は、特定のところではなくて全国的な評価をしていると。日本海プレートと津波、沿岸活断層調査などはしているとお答えになりました。
しかし、現実的には日本海側の調査と観測体制は、太平洋側と比べると非常に不十分であります。特に、大飯原発について言えば、FO-BとFO-A断層の連動は想定しておりますが、これに加えて熊川断層との連動は考慮されておりません。
私たちは関西電力本社を訪ねて、関西電力本社の原発土木の担当者にもお聞きしましたが、保安院もそれでいいと言ってるんだと、そういう回答でございました。この関西電力や保安院の活断層評価については、専門家の皆さんからは異議が出されております。そうなれば、基準地震動が全く変わるからであります。このような情勢を受けて1月27日に保安院は、ようやく活断層間の離隔距離が約5キロメートルを超える活断層と、その連動性を否定していたものに関し、連動の可能性について検討することを指示いたしました。福島原発事故では、津波想定の低さを専門家が指定していたにもかかわらず東電も国もその指摘を退けて、対策を講じなかった過ちを繰り返してはならないと考えます。
そこで、この保安院の指示を受けた関西電力の調査結果が昨日出されましたが、これまでの評価は変える必要がないというものでした。けさの福井新聞には、私が12月の予算特別委員会で紹介した東京大学地震研究所の纐纈一起教授の過去最大、既往最大を考慮すべきとの講演も紹介されております。関西電力の報告について、今後、保安院がチェックを行うわけですが、関西電力の報告と今後の保安院による検証について、福井県は再稼働などに係る判断材料としてどう考えていくのかお尋ねをします。
フォーラムでは、また、高知県の取り組みについて、高知県庁の担当者から大震災以降の補正予算と事業の取り組み、新年度の計画などについて説明がありました。驚きましたのは、南海地震と津波での浸水予測が2,757ヘクタール、13万人が被災するとの想定に立って、高知県庁内では住民の高台移転について、かんかんがくがくの議論を始めているというのです。そういう議論が県民に伝わることが、積極防災にもつながるのではないかと思いました。
巨大地震による津波の襲来は防ぐことはできません。したがって、地域移転も含めた命がけの防災対策が議論されております。巨大地震・津波による原発の過酷事故は防ぐことができます。それは自然に謙虚に向き合い、原発から撤退することは政治の意志で決めることができるからです。改めて、その決断を知事に求めておきたいと思います。
次に、新幹線と、これに伴う並行在来線の経営分離問題について質問します。
北海道、九州、北陸の各新幹線計画の中で、一番費用対効果がぎりぎりなのが北陸新幹線であるということが、国土交通省の委員会資料で示されました。B/Cが1.0と、ぎりぎりなわけです。仮にトンネル工事などで事業費が増嵩したり、利用者が予想どおりでなかったらアウトになる事業なわけであります。日経新聞ですら、「すら」と言うと失礼ですが、国や自治体も応分の負担をする上、肝心の採算性がはっきりしない。需要はどの程度あるのか、営業開始から何年で黒字になるのか、それらを徹底的に詰めずに着工を認めるのでは、後々JRや国に大きな負担を強いる懸念がある。本州・四国連絡橋や関西国際空港のように綿密な収支計画抜きに着工し、赤字経営を続けた過去の教訓を忘れるべきではないと批判をしております。
費用対効果の課題の一つが、私たちが指摘してきた現行の「サンダーバード」や「しらさぎ」の利便性が、福井駅や敦賀駅で乗りかえの必要性が生まれることによって損なわれる問題です。下手をすると、費用対効果が1倍を下回り、公共事業計画として成立しないおそれがある中で、苦肉の策として国は乗りかえ不要のフリーゲージ案を出し、現行の「サンダーバード」の利便性を確保できるとしようとしている面もあるのだと思います。
そこで質問しますが、福井県の場合、今後人口が急激に80万人台から2015年には70万人台、2035年には60万人台にまで減少し、しかも経験のない高齢化福井となるわけです。そういう人口構成の大きな変化が、新幹線需要予測にどのように考慮されているのか、お尋ねをいたします。
さらに重大な問題は、並行在来線のJRからの経営分離問題です。これまで福井県は、新幹線のPRには懸命でありましたが、並行在来線の第三セクター化については、ほとんど県民にはPRしてきませんでした。私が議会で質問しても、まだ認可されていないので、認可の後の話だという答弁ばかりでございました。であるならば、これから並行在来線のあり方について県民、とりわけ沿線自治体住民に説明会を開き、現行のJRからの経営分離、第三セクター化のスキームについて説明し、理解を求めるべきではありませんか。
ところが、もう今月初めには、県と関係自治体の会議を開催して今決めてしまおうとしております。こんな県民の生活に重大な影響を及ぼす問題で、県民への説明責任を果たさない野蛮なやり方は、福井県政史上も余り例がないのではないと思います。一体どのくらい、県民や市民の税金が投入されるのか明らかにされておりません。JRの経営と比べてダイヤはどうなるのか、運賃はどうなるのか、その見通しすら利用者には示されておりません。何一つ県民には知らされていないではありませんか。こんな目隠し状態で、とにかく判こだけ押すなどというのは、ちまたの悪徳商法と変わりません。
県議会や関係する市議会でも、JRからの経営分離のスキームについて十分な議論がされていないし、県民利用者には、全くと言っていいほど情報提供がされていない中で、知事や沿線自治体の首長が勝手に決めることは、断じて許されることではありません。きちんと県民に情報提供を行い意見を聞くとか、お得意のパブリックコメントを行って当然ではありませんか。拙速な並行在来線のJRからの経営分離決定を行わないように求めておきます。知事の責任ある答弁を求めます。
第3に、県民の生活と暮らしに関する問題で何点か質問します。
まず、消費税増税計画についてです。
今、国民の支持率が3割を切り、危険水域に突入した民主党野田内閣が、社会保障と税の一体改革と称して、国民と中小企業の営業を破壊するブルドーザー増税を進めようとしております。これまで政府は、消費税を5%引き上げて10%にしたら、社会保障の充実に1%、安定に4%を使うなどと説明してきました。しかし、安定というのは、国民に戻ってくるものではありません。赤字の穴埋めなどに使われる部分です。
では、充実とされる1%分、つまり2.7兆円は返ってくるんでしょうか。これもわかりません。仮に返ってきたとしても年金の削減、子ども手当の減額、医療と介護の自己負担増で、2.7兆円の社会保障の削減になり、それだけで消費税増税による充実部分は吹き飛んでしまいます。その上、年金の支給開始年齢が68歳から70歳というように引き上げられれば、さらに6兆円から10兆円の削減になります。野田総理はいろいろおっしゃいますが、負担がふえて給付が減るということは否定できません。充実をはるかに上回る切り捨てが行われます。かかる大増税を地方の力も合わせて、何としても食いとめなくてはならないと思います。
そこで質問いたします。仮に10%に消費税が増税されると、福井県民や県内企業の負担増の試算はどうなるか。また、福井県庁や県内市町の事業、調達にかかる増税はどうなるか、お尋ねをいたします。
また、社会保障の中で、先日もNHKで国保の危機が紹介されておりました。福井市などを初め県内自治体でも、新年度からの国保税や介護保険料の大幅値上げ計画がメジロ押しであります。これでは国による年金削減や増税と相まって、県民生活の底が抜けかねません。ここは福井県として緊急の財政出動も行い、県民の生活の底を支えるべきであります。県内でふえ続ける低所得者層への国保税増税と滞納の増加、保険証の取り上げ、医療機関へ受診できないという悪循環に歯どめをかける、人情味ある決断を知事に求めたいと思います。
各自治体は一般会計からの繰り入れも行い、必死で県民の医療を支えようとしております。県としても緊急の法定外の繰り入れ助成を各自治体の国保会計に対して行い、県民の命綱を守るべきと考えますが、所見をお尋ねします。
さて、高齢化社会の急激な進行に伴い、消防と救急の役割はますます大きくなります。資料によりますと、平成18年度と平成22年度との比較では、火災の件数は、254件から224件に減少していますが、現場到着までの所要時間は、7.3分から8.2分と時間が延びております。救急では出動件数が、2万3,456件から2万5,092件と増加傾向にあります。現場到着までの所要時間は、5.9分から7.0分へと、到着に要する時間の増加傾向が見られます。
近年の災害多発と高齢化の進展の中で、消防、救急体制の強化は重要です。県として、現場到着に要する時間が延びていることをどう分析しているか、お尋ねをします。
また、地元住民や消防、救急現場が望まない広域化計画、すなわち現在の九つの消防本部体制を、嶺北北部・丹南・嶺南の3本部体制とする無謀な計画を進めるのではなく、地域密着の消防救急体制こそ評価すべきではありませんか。見解をお尋ねをいたします。
最後に、狂犬病対策について質問します。
狂犬病予防法は、狂犬病の発生を予防し撲滅し公衆衛生の向上を目指す強力な法律であります。しかし、先日、福井県獣医師会の柴田会長にお話を伺いましたが、現状は、対策が後退していると感じざるを得ません。柴田先生からは、狂犬病では中国では1,000人、世界全体では5万人が死亡している。狂犬病予防法があるが、国としての危機感がない。国民、県民の危機意識も薄れている。自治体でも優先順位が低い。アメリカなどでは野生動物への対応や、免疫チェックなど厳格に対応されているとのお話をお聞きしました。重要な問題で、政治に盲点が生まれているのではないかとも感じました。
実際、県内の予防注射率は、一番高いところでおおい町の90.18%、一番低いのがあわら市の53.31%、福井市は63.24%で、全県平均は67.32%です。全国の平均が73.2%ですから、全国と比べても、かなり低い状況であります。狂犬病は致死率が高い病気なだけに、強力な法律がつくられています。福井県のように注射率が低いところに、外国などから狂犬病が持ち込まれれば、防疫上、県民の命を脅かす大変な問題となりかねません。
県として、市町や獣医師会にお任せではなく、法律に基づき危機管理意識を強め、県民の命と安全に責任を持つ体制をつくるべきだというように思います。どのように予防注射率を引き上げるのか、お尋ねをして質問を終わります。
◯議長(田中敏幸君) 知事西川君。
〔知事西川一誠君登壇〕
◯知事(西川一誠君) 佐藤議員の一般質問にお答えをいたします。
原子力行政についてであります。
1次のストレステストは範囲が限られており、十分な知見が集約されていないのではないか。福島の事故を絶対繰り返さないという、そういう再稼働を判断できる状況にはないのではないかというお考えであります。
原発の再稼働につきましては、ストレステストの結果だけで判断材料とすることは不十分であり、福島原発事故の知見を反映した暫定的な安全基準を示すよう、これまで一貫して国に求めてきているところであります。
先日も改めて、牧野経済産業副大臣に対し申し入れました。まず、国みずからが原子力発電の意義、また、再稼働の必要性について責任を持った表明をした上で、福島原発事故の知見を反映した暫定的な安全基準を示し、これをもとに個々のプラントの安全性を厳格に確認することが大前提であることを、強く申し入れたところであります。副大臣からは、「県の要請を重く受けとめ、誠意を持ってこたえていきたい」との回答があったところであります。国としては遅滞なく、福井県の要請を実行することが重要であります。現在、枝野大臣を初め関係閣僚において、本県の要請にこたえるべく検討が進められているものと考えています。
次に、一定程度かけて、県内各地で福井県の原発をどのように考えるのかということを、なるべく多くの県民の声に耳を傾ける取り組みを行うべきではないかとのお考えであります。
今回の福島事故を受けまして、国及び事業者は、県内市町の議会や住民、各種団体の説明会などにおきまして、原発の安全対策や取り組み状況について説明するとともに、新聞広告、チラシなども配布し、県民理解に努めているところであります。福井県といたしましても、今回の事故に対する県の対応状況や県内の放射性物質の測定結果などについて、県の広報誌等において広く県民にお知らせをしております。
また、県原子力環境安全管理協議会において国や事業者から説明を受け、立地及び周辺市町の代表者、商工農林水産業、労働団体などさまざまな立場の人からの意見をお聞きしております。また、県の原子力安全専門委員会などを通し、専門的ないろいろな知見を申し述べ、こうしたことについて県民の理解を深めてもいるわけであります。今後、県の原子力行政に当たりましては、こうした場を活用するとともに、県民の代表である県議会での議論、地元市町の意見を十分お聞きし、安全・安心の確保を最優先に取り組んでまいりたいと考えます。
次に、40年を超える老朽化原発は、運転再開が認められないのではないか。敦賀1号機、美浜1号機については廃炉工事による雇用創出の観点からも、廃炉を求めるべきではないかというお考えであります。
国は、本年1月、原子力発電所の運転期間を40年とし、基準に適合した場合には、20年を超えない期間で、1回限り延長の許可をすることができるとする法案を、閣議決定をしている状況に今あります。しかし、国は、この40年という期間の科学的な根拠や、運転延長を認める明確な基準を示しておらないわけであります。高経年化に係る現行制度との整合性や違いも明らかではありません。県としては、こうした課題に対する国の検討状況を十分見きわめてまいりたいと考えます。
その他については、関係部長から御答弁します。
◯議長(田中敏幸君) 総務部長林君。
〔総務部長林雅則君登壇〕
◯総務部長(林 雅則君) 県民の安全と暮らしを支える問題のうち、消費税増税された場合の県内の負担増試算はどうなのかというお尋ねでございます。
仮に消費税率を10%に、現行から5%引き上げる場合についてでございますが、まず、国全体の消費税額は、現在約12.6兆円でございますので、この消費税の対象となります物品、あるいはサービスの購入量につきまして、全国に対する本県の占める割合を見ますと、これが大体0.6%でございますから、こういったことから試算をしますと、県民、また県内の企業が負担増となります金額は、約800億円と計算されます。
また、県、市町におけます調達等に伴います増額につきましては、平成22年度の決算額で消耗品の購入、あるいは道路の補修、学校の耐震工事等消費税の対象になる費用を見ますと、そこから試算をいたしますと、県で見ますと約45億円、それから県内の17市町合わせますと、約50億円が増加するものと見込まれます。
なお、県と市町の財源となります地方消費税としまして、現行では1%相当の約160億円が、また、引き上げられた場合につきましては1.2%相当の約200億円が、それぞれ配分される予定となっております。
◯議長(田中敏幸君) 総合政策部長東村君。
〔総合政策部長東村健治君登壇〕
◯総合政策部長(東村健治君) 私のほうからは、新幹線に関する御質問2点にお答えいたします。
まず、1点目は、人口構成の大きな変化が新幹線の需要予測にどのように考慮されているのか伺うという御質問でございます。
今回発表されております費用対効果につきましては、金沢開業後の敦賀までの延伸を算定したものでございまして、B/Cの計算上、区間が短くなると低くなる傾向も考えられております。また、東海道新幹線の代替機能であるとか冬季の定時運行の確保などは、費用対効果に盛り込まれておりません。加えて、本県が主張してまいりました国土構造の複軸化の核となる路線として、大きな意義があると考えております。
今回の需要予測では、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の都道府県別将来推計人口」を用いまして、2050年までの人口減少を考慮した上で、新幹線の需要予測を算出しております。このことは、国土交通省から公表された資料にも記載されておりますし、確認もしているところでございます。
2点目は、並行在来線のJRからの経営分離問題につきまして、県民への情報提供等についての御質問でございます。
並行在来線につきましては、国の方針に従いJRから経営分離されるものでございまして、経営分離についての沿線自治体の同意は、新幹線着工に当たっての基本的条件となっております。富山県、石川県、両県におきましても、経営分離に同意してまいったところでございます。
新幹線は、本県の将来の発展に必要不可欠なものであり、仮に金沢どまりとなったことを考えると、北陸の中で本県だけが大きく取り残されることになります。並行在来線は、県民の日常生活に欠かせない重要な社会基盤であり、経営分離後も存続を図ってまいります。
並行在来線の経営分離に当たりましては、これまでもさまざまなパンフレットやホームページなど各種広報媒体や職員による出前講座──これは平成19年から実施しておりますが、本年度も27回実施しております等を通じまして、幅広く県民に対して理解を求めてきております。
引き続き、県民に十分説明しながら進めていきたいと考えておりまして、悪徳商法呼ばわりされることはございません。
◯議長(田中敏幸君) 安全環境部長石塚君。
〔安全環境部長石塚博英君登壇〕
◯安全環境部長(石塚博英君) 私のほうからは3点お答えをいたします。
まず最初に、原子力行政につきまして、活断層の連動性に関するお尋ねでございます。
原子力安全・保安院は、現在、平成18年9月に改訂されました耐震設計審査指針に基づきます発電所の耐震安全性のバックチェックを実施しているところでございます。
今回の地震に関します知見を反映するために、御指摘がございましたが、本年1月27日、各電力事業者に対し、活断層の連動性の検討を指示したところでございます。この指示を受けまして関西電力は、昨日、発電所周辺におけます、これまで実施しておりますボーリング調査や、海上音波探査の調査結果などから、新たに連動を考慮する活断層はないとの評価結果を保安院に報告をしたところでございます。保安院はこの評価結果につきまして、「地震・津波に関する意見聴取会」におきまして厳正に確認していくとしておりまして、県としましては、その審議状況を注視してまいりたいというふうに考えております。
次に、消防車や救急車の現場到着に要する時間が延びているのではないか、これをどう分析しているのかというお尋ねでございます。
消防車両の現場到着時間でございますけれども、これは火災の件数が救急に比べまして少ないために、火災現場までの距離でありますとか、発災時の道路の混雑状況など事案ごとの事情に左右されやすい状況にございます。
現場到着の平均時間が県内で比較的長い消防本部の状況を見ますと、特に、遠方での火災でありますとか、高速道路上での複数件の車両火災などといった幾つかの特殊な事案がございますと、それが平均の値を押し上げているという状況にあるわけでございます。
一方、救急車でございますけれども、救急車の現場到着時間につきましては、これは同時出動の増加といいますか、最近、主に高齢者人口の増加に伴いまして救急の需要が増加いたしておりまして、同時に出動するケースがふえておりますことから、全国的には延びる傾向が見られるわけでございますけれども、本県では年によりまして、ばらつきがあるという状況であると考えております。
なお、本県におけます救急車の現場到着時間は、平成22年では全国平均に比べまして1分6秒早く、全国3位の水準にあるところでございます。
次に、3点目でございますが、現在の9消防本部体制を3本部体制にする計画につきまして、地域に密着の消防救急体制を強化すべきではないかというお尋ねでございます。
県では消防の広域化につきまして、市町や消防機関の代表などが参加いたしました計画策定委員会を設置いたしまして、平成20年3月に「福井県消防広域化推進計画」を策定したところでございます。この計画に基づきまして、各消防本部及び構成市町では、組織体制、消防や救急部隊の編成・運用方針、指令システムのあり方など、広域化に向けた検討を行っているところでございます。
県といたしましては、消防の広域化を進めることにより、財政規模の拡大に伴います資機材の充実、それでありますとか、消防・救急隊員の現場への増強など、住民サービスの向上につながりますよう市町を指導していきたいと、このように考えております。
◯議長(田中敏幸君) 健康福祉部長小林君。
〔健康福祉部長小林正明君登壇〕
◯健康福祉部長(小林正明君) 私のほうから県民の安全と暮らしに関する問題について、2点お答えをさせていただきます。
県として市町村国保会計に、緊急の法定外の繰り入れ助成を行うべきではないかというお尋ねでございます。
国民健康保険事業特別会計の平成22年度の決算でございますが、県全体で市町は約19億円を法定の繰り入れを行っております。そのほか赤字の市町、11の市町で約9億円の法定外繰り入れを行っておりまして、合計で市町全体で約28億円の負担をしているということでございます。
一方、県は国保の調整交付金、あるいは保険料軽減制度などによりまして約44億円、市町より多く負担しております。そして平成24年度には給付費等の増加にあわせまして、51億円の予算を計上しているところでございます。県が国民健康保険会計を法定外で繰り入れを行うということは、制度のあり方にもかかわることでございまして、全国でその事例はございません。
なお、診療設備、あるいは特定健診など個別の事業に対して補助ということは、本県を含めまして数県行っている現状でございます。
なお、国では、全国的に保険料が上昇している現状もありまして、「社会保障・税一体改革大綱」の中で、税制抜本改革時に低所得者に対する保険料の軽減の拡充等を行うことを盛り込んでいる状況でございます。
次に、狂犬病対策について、県として責任を持つ体制をつくるべきではないか。そして予防注射率を、どう引き上げるのかというお尋ねでございます。
狂犬病予防法では、犬の登録と予防注射の実施、さらに飼い主に対します予防注射の制度の普及啓発につきましては市町の業務とされておりまして、県は、狂犬病が発生したときの措置について対応するということが定められております。
狂犬病は、国内の発生を見ますと、昭和32年に発生して以来、発生しておりません。ただ、平成18年に、海外旅行中に犬にかまれて帰国された方が、その後発症したという事例がございました。このため県では、それまで保健所単位で実施しておりました、市町、獣医師会との協議会に加えまして、平成19年度から県全体の会議を毎年開催することといたしまして、危機管理体制の強化を図っているとこでございます。この全体会議では、狂犬病発生時の図上訓練を行いますとともに、狂犬病予防の根幹でございます注射率の向上に効果的な対策について、情報交換を行っているとこでございます。
さらに、県独自といたしましても注射率を向上させるために、飼い主講習会での周知に加えましてペットショップ、これはペットを買われるときに予防注射をしていただくということでございますが、あるいは動物病院に対しまして、予防注射制度の普及を重点的に働きかけているところでございます。
◯議長(田中敏幸君) 産業労働部長蓮井君。
〔産業労働部長蓮井智哉君登壇〕
◯産業労働部長(蓮井智哉君) 原子力発電所で働く労働者の方々の雇用、勤務の実態、問題がある場合の対処についての御質問でございます。
原子力発電所の保守点検や工事などは、電力事業者と請負会社などとの間の契約に基づくものでございまして、そこで働く労働者には、労働基準法、労働安全衛生法、職業安定法などが適用され、問題がある場合には調査など、当該法令の権限を持つ福井労働局が、責任を持って対応すべきものと考えております。
福井労働局からは、原子力発電所で労働安全が確保されているかを確認するため、立入調査を行い、事業者に対する指導を行っていると聞いております。また、県では、美浜原発3号機の事故を受けまして、安全協定に発電所従事者の安全確保を盛り込み、事業者の安全対策の実施状況を確認しているところでございます。
なお、労働安全に関する不適切な事例を把握した場合には、福井労働局へ連絡して、法令に基づく対処を要請することとしております。
◯議長(田中敏幸君) 警察本部長尾崎君。
〔警察本部長尾崎徹君登壇〕
◯警察本部長(尾崎 徹君) 原発工事をめぐる暴力団関係企業等の取り締まりを初めとする抑止策についてお答えいたします。
暴力団は、資金獲得を図るために、さまざまな経済取引に介入している現状にあることから、県警察では、資金源封圧のための取り締まりと、福井県暴力団排除条例に基づく公益事業等からの暴力団排除を推し進めているところでございます。
こうした中、先般、原発工事をめぐる暴力団関係企業等による、職業安定法違反事件を検挙したところでありますが、今後とも暴力団の介入実態の把握に努め、この種事案については法と証拠に基づき、厳しく取り締まっていく考えでございます。
また、今回の事件を受け、先般、福井県公益事業暴力団排除条例推進連絡会を緊急に開催し、原発事業者等に対して、事業に参入する請負業者にあっても暴力団排除条項の導入や、条例上の暴力団確認義務の履行を強く要請したところであり、暴力団との関係遮断について、今後も指導を徹底してまいる所存でございます。
昨日は、共産党愛知県委員会から、元参議院議員の八田ひろ子副委員長と、もとむら伸子くらし・環境対策委員長が、大飯原発視察と県庁申し入れに。福井県庁前ではお二人ともマイクで演説。さすが八田さんの演説は人をひきつけます。もとむらさんのすばらしい原発なくそうコールでみんなで唱和。お二人とともに、県庁原子力安全対策課へ再稼働反対の申し入れ。3月に大飯から飛ばした風船が愛知県に一番多く届いたということで、愛知も「被害地元」、再稼働はやめて、とていねいに、しかし熱く訴えられました。その後、議会控室でしばし、打ち合わせなど。名古屋時代の話にもなりましたね。
県議会への要請は市民団体の方からの急な申し出。しかしできる限り対応します。内容は全員協議会のネット中継をユーストリームでやってほしい、そうすればスマートホンなどでも観ることができる、という内容でした。今日の協議会には難しいですが、今後検討していただくことになりました。
■今日は大飯原発再稼働問題での県議会全員協議会。10時からのライヴ中継はこちら。
http://info.pref.fukui.jp/gikai/live/index.html
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以下、3月県議会での一般質問内容です。原発問題、新幹線・在来線3セク化、くらしの問題などを取り上げました。
■2012年3月1日 一般質問
◯7番(佐藤正雄君) 3番バッター、日本共産党の佐藤正雄でございます。
まず、原発行政について質問いたします。
福島原発事故から1年がたとうといたしておりますが、事故は収束しておりません。日本社会にこれほどのダメージを与え続けているのは、戦争以来ではないでしょうか。知事は、福島のような事故は繰り返さないと言いますが、福島の現状を見れば、再稼働は福井県民と、とりわけ関西地域の国民の皆さんに、ノーリスクではないということは明らかです。
北海道電力泊原発は耐震性が不十分などとして、北海道民ら612名が北電を相手取り、同原発の1から3号機すべての廃炉などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が2月13日、札幌地裁で開かれました。北電は提出した答弁書で、「原発に絶対的な安全性を求めることは不可能」などと表明いたしました。弁護団によりますと、全国の原発をめぐる訴訟で、電力事業者など被告側が原発について、絶対安全との主張をみずから否定する答弁書を提出したのは初めてだと言います。まさに電力事業者自身が、安全性に自信を持てなくなってきているということであります。
また私は、先日、福島大学副学長の清水修二先生の講義をお聞きしました。原発と地方財政論でありましたが、福島県が36年間で受け取った電源三法交付金は2,700億円、原発事故での賠償は4兆円、除染費用は5兆円とも推計されるそうであります。一たび事故が起これば、受益は吹き飛ぶと話されました。そして原発のはらむリスクの質と量を考えれば、地元利益を云々するレベルではないと強調されました。福島の現地からの訴えが心にしみたわけでございます。改めて福島を繰り返さないということは、原発からの撤退を政治が決断をする以外にないと痛感しました。
さて、福井県の原子力安全専門委員会は、経済産業省原子力安全・保安院が、東北地方太平洋沖地震と東京電力福島原発事故を検証し、対策に知見を反映させる目的で設けた意見聴取会の中間取りまとめなどの説明を受けました。私も、その専門委員会を傍聴させていただきました。
保安院は、炉の中が高放射線量のため現場の奥深くまで行けない、限られた現状があるので、そういう部分は、まだ十分整理できていないと前置きをして、事故の技術的知見から、外部電源や発電所内電気設備、冷却設備など30項目の対策強化を説明しました。また、今回のプレート間地震で、広範囲の断層連動が生じた知見を踏まえ、活断層型地震についても連動性を検討して、2月中に報告するよう電力事業者に指示していると述べました。
委員からは、地震・津波対策の不備を指摘する声を無視してきた国や電力事業者の姿勢に触れて、最新の知見や少数の意見を、どう合理的に規制に取り入れる枠組みをつくるかだとの指摘がありました。とても再稼働についての判断ができる取りまとめではないと私も感じましたし、委員の先生方も感じられたと思います。
まさに今、もともと範囲の限られた1次のストレステストで、しかも十分な知見が集約されていないのが現状であり、とても福島は繰り返さないとして、自信を持って再稼働を判断できる状況にはないのではありませんか、知事の答弁を求めます。
申し上げましたように福島原発事故は収束せず、被害は拡大し続けています。このような状況下で、県民の間でも大きく意見が分かれています。その象徴が、2月7日の市議会議長会でした。
敦賀市から出されていた原発の再稼働などを求める議案が、反対多数で否決されました。報道によりますと、市議会で脱原発の意見書を採択した越前市と小浜市を中心に、嶺南で事故が起きると福井県全体が被害に遭う。将来の子供のためにも大きな決断をしないといけないとか、敦賀原発1号機は40年を超えていて安全でないなどと反対する意見が相次いで、議案は採決の結果、反対多数で否決されたといいます。賛成したのは、提出した敦賀市議会と、あわら市議会の2市議会だけで、7市議会が反対、または棄権しました。民意の反映である市議会の議長会で、原発再稼働などが圧倒的多数で否決されたのに、知事や県議会が認めるわけにはいかないでしょう。行政として、有権者の代表者の間で大きな意見の相違がある、つまり原子力行政における県民合意が完全に崩れているわけですから、慎重を期さなくてはなりません。
私は前回の予算特別委員会で、県民の民意をつかむために県民アンケートなどを提案しましたが、知事は否定されました。しかし、このような形で民意が示されました。そこで提案しますが、一定期間、例えば1年程度かけて、県内各地で今後の福井県の原発をどうするか、県民の御意見を聞く会などを開催して、福井県として、なるべく多くの県民の声に耳を傾ける取り組みを行うべきと考えますが、知事の所見をお尋ねをいたします。
向こう1年間という期間は、どういう意味を持つのでしょうか。一つは、福島原発事故がおさまっていくのか、いかないのか。また、事故の要因はどうなのかなど、さらに解明が進められる中で、冷静な議論ができるということになります。二つ目に、予定では新年度から新しい原子力規制庁が発足する中で、国の新しい原子力行政が国民の信頼に足るものかどうか明らかになってまいります。三つ目に、福井の原発がすべて停止したもとで、日本と福井のエネルギーや地方行財政をどうするか、県民を巻き込んでじっくり考える機会となります。ぜひ積極的な御検討をお願いするものであります。
次に、原発労働と雇用の問題について質問します。
報道されておりますように、関西電力大飯原発を舞台にした職業安定法違反の事件が起こりました。代表質問への答弁で県警本部長は、先般検挙した指定暴力団工藤会の関係企業等による職業安定法違反事件に見られるように、暴力団は資金獲得を図るために関係企業を通じて、さまざまな経済取引に介入しているとの現状認識を示されました。
原発をめぐる問題の中で重大な問題の一つは、労働者の権利がないがしろにされている問題です。被ばく労働の押しつけ、使い捨てが、これまでも指摘されております。このような労働者の権利を保護していくことは、行政機関の重要な課題であります。
そこで知事は、原子力発電所で働く労働者の方々の雇用や勤務の実態について、どのように把握しているのか。また、問題がある場合に、どのように対処するのか所見をお尋ねします。
さらに今回の事件のように、原発が反社会的勢力の資金源にもつながっている疑念があるとしたら重大です。警察の取り調べに関係者は、このようなことは日常茶飯事だと供述していると報道されました。このような違反事犯に対する取り締まりを初めとする抑止策をどのように展開するのか、県警本部長の答弁を求めます。
二つ目に、原発政策の大転換期の中での雇用確保の問題です。
以前の質問でも指摘しましたように、原発立地自治体の電力などに偏った雇用構造からの脱却を、県も市町も真剣に考えなくてはならない時期が到来いたしました。しかし、当面どうするかと。
県議会厚生常任委員会では、浜岡原発と静岡県庁を視察しましたが、原発がすべて停止していても、雇用の悪化はないという回答に意外な気持ちがいたしました。その要因は、浜岡原発1号機・2号機の廃炉工事、そして福島原発事故を受けた対策工事としての土木事業などでありました。
そこで40年を超える老朽化原発は、運転再開が認められない状況があるわけですから、敦賀1号機、美浜1号機については、廃炉工事による雇用創出の観点からも、県として積極的に廃炉を求めていくべきであると考えますが、知事の見解をお尋ねします。
原発問題の最後に、活断層の評価と再稼働の判断についてお尋ねします。
私は先日、東京大学で開催された防災研究フォーラムに参加してまいりました。文部科学省地震防災研究課の北川貞之氏は地震調査研究推進本部について、陸域の主要な活断層と海域で発生する地震について長期評価を行っている。海底地形調査、津波堆積物調査、海域活断層調査、海底堆積物調査など長期評価の高度化について述べました。
私も質問いたしまして、福井県の原発について、福島事故のようなことになれば関西地域も含めて被害は甚大となると。事業者任せではなく、国が責任をもって調査すべきではないかと質問をいたしました。北川氏は、特定のところではなくて全国的な評価をしていると。日本海プレートと津波、沿岸活断層調査などはしているとお答えになりました。
しかし、現実的には日本海側の調査と観測体制は、太平洋側と比べると非常に不十分であります。特に、大飯原発について言えば、FO-BとFO-A断層の連動は想定しておりますが、これに加えて熊川断層との連動は考慮されておりません。
私たちは関西電力本社を訪ねて、関西電力本社の原発土木の担当者にもお聞きしましたが、保安院もそれでいいと言ってるんだと、そういう回答でございました。この関西電力や保安院の活断層評価については、専門家の皆さんからは異議が出されております。そうなれば、基準地震動が全く変わるからであります。このような情勢を受けて1月27日に保安院は、ようやく活断層間の離隔距離が約5キロメートルを超える活断層と、その連動性を否定していたものに関し、連動の可能性について検討することを指示いたしました。福島原発事故では、津波想定の低さを専門家が指定していたにもかかわらず東電も国もその指摘を退けて、対策を講じなかった過ちを繰り返してはならないと考えます。
そこで、この保安院の指示を受けた関西電力の調査結果が昨日出されましたが、これまでの評価は変える必要がないというものでした。けさの福井新聞には、私が12月の予算特別委員会で紹介した東京大学地震研究所の纐纈一起教授の過去最大、既往最大を考慮すべきとの講演も紹介されております。関西電力の報告について、今後、保安院がチェックを行うわけですが、関西電力の報告と今後の保安院による検証について、福井県は再稼働などに係る判断材料としてどう考えていくのかお尋ねをします。
フォーラムでは、また、高知県の取り組みについて、高知県庁の担当者から大震災以降の補正予算と事業の取り組み、新年度の計画などについて説明がありました。驚きましたのは、南海地震と津波での浸水予測が2,757ヘクタール、13万人が被災するとの想定に立って、高知県庁内では住民の高台移転について、かんかんがくがくの議論を始めているというのです。そういう議論が県民に伝わることが、積極防災にもつながるのではないかと思いました。
巨大地震による津波の襲来は防ぐことはできません。したがって、地域移転も含めた命がけの防災対策が議論されております。巨大地震・津波による原発の過酷事故は防ぐことができます。それは自然に謙虚に向き合い、原発から撤退することは政治の意志で決めることができるからです。改めて、その決断を知事に求めておきたいと思います。
次に、新幹線と、これに伴う並行在来線の経営分離問題について質問します。
北海道、九州、北陸の各新幹線計画の中で、一番費用対効果がぎりぎりなのが北陸新幹線であるということが、国土交通省の委員会資料で示されました。B/Cが1.0と、ぎりぎりなわけです。仮にトンネル工事などで事業費が増嵩したり、利用者が予想どおりでなかったらアウトになる事業なわけであります。日経新聞ですら、「すら」と言うと失礼ですが、国や自治体も応分の負担をする上、肝心の採算性がはっきりしない。需要はどの程度あるのか、営業開始から何年で黒字になるのか、それらを徹底的に詰めずに着工を認めるのでは、後々JRや国に大きな負担を強いる懸念がある。本州・四国連絡橋や関西国際空港のように綿密な収支計画抜きに着工し、赤字経営を続けた過去の教訓を忘れるべきではないと批判をしております。
費用対効果の課題の一つが、私たちが指摘してきた現行の「サンダーバード」や「しらさぎ」の利便性が、福井駅や敦賀駅で乗りかえの必要性が生まれることによって損なわれる問題です。下手をすると、費用対効果が1倍を下回り、公共事業計画として成立しないおそれがある中で、苦肉の策として国は乗りかえ不要のフリーゲージ案を出し、現行の「サンダーバード」の利便性を確保できるとしようとしている面もあるのだと思います。
そこで質問しますが、福井県の場合、今後人口が急激に80万人台から2015年には70万人台、2035年には60万人台にまで減少し、しかも経験のない高齢化福井となるわけです。そういう人口構成の大きな変化が、新幹線需要予測にどのように考慮されているのか、お尋ねをいたします。
さらに重大な問題は、並行在来線のJRからの経営分離問題です。これまで福井県は、新幹線のPRには懸命でありましたが、並行在来線の第三セクター化については、ほとんど県民にはPRしてきませんでした。私が議会で質問しても、まだ認可されていないので、認可の後の話だという答弁ばかりでございました。であるならば、これから並行在来線のあり方について県民、とりわけ沿線自治体住民に説明会を開き、現行のJRからの経営分離、第三セクター化のスキームについて説明し、理解を求めるべきではありませんか。
ところが、もう今月初めには、県と関係自治体の会議を開催して今決めてしまおうとしております。こんな県民の生活に重大な影響を及ぼす問題で、県民への説明責任を果たさない野蛮なやり方は、福井県政史上も余り例がないのではないと思います。一体どのくらい、県民や市民の税金が投入されるのか明らかにされておりません。JRの経営と比べてダイヤはどうなるのか、運賃はどうなるのか、その見通しすら利用者には示されておりません。何一つ県民には知らされていないではありませんか。こんな目隠し状態で、とにかく判こだけ押すなどというのは、ちまたの悪徳商法と変わりません。
県議会や関係する市議会でも、JRからの経営分離のスキームについて十分な議論がされていないし、県民利用者には、全くと言っていいほど情報提供がされていない中で、知事や沿線自治体の首長が勝手に決めることは、断じて許されることではありません。きちんと県民に情報提供を行い意見を聞くとか、お得意のパブリックコメントを行って当然ではありませんか。拙速な並行在来線のJRからの経営分離決定を行わないように求めておきます。知事の責任ある答弁を求めます。
第3に、県民の生活と暮らしに関する問題で何点か質問します。
まず、消費税増税計画についてです。
今、国民の支持率が3割を切り、危険水域に突入した民主党野田内閣が、社会保障と税の一体改革と称して、国民と中小企業の営業を破壊するブルドーザー増税を進めようとしております。これまで政府は、消費税を5%引き上げて10%にしたら、社会保障の充実に1%、安定に4%を使うなどと説明してきました。しかし、安定というのは、国民に戻ってくるものではありません。赤字の穴埋めなどに使われる部分です。
では、充実とされる1%分、つまり2.7兆円は返ってくるんでしょうか。これもわかりません。仮に返ってきたとしても年金の削減、子ども手当の減額、医療と介護の自己負担増で、2.7兆円の社会保障の削減になり、それだけで消費税増税による充実部分は吹き飛んでしまいます。その上、年金の支給開始年齢が68歳から70歳というように引き上げられれば、さらに6兆円から10兆円の削減になります。野田総理はいろいろおっしゃいますが、負担がふえて給付が減るということは否定できません。充実をはるかに上回る切り捨てが行われます。かかる大増税を地方の力も合わせて、何としても食いとめなくてはならないと思います。
そこで質問いたします。仮に10%に消費税が増税されると、福井県民や県内企業の負担増の試算はどうなるか。また、福井県庁や県内市町の事業、調達にかかる増税はどうなるか、お尋ねをいたします。
また、社会保障の中で、先日もNHKで国保の危機が紹介されておりました。福井市などを初め県内自治体でも、新年度からの国保税や介護保険料の大幅値上げ計画がメジロ押しであります。これでは国による年金削減や増税と相まって、県民生活の底が抜けかねません。ここは福井県として緊急の財政出動も行い、県民の生活の底を支えるべきであります。県内でふえ続ける低所得者層への国保税増税と滞納の増加、保険証の取り上げ、医療機関へ受診できないという悪循環に歯どめをかける、人情味ある決断を知事に求めたいと思います。
各自治体は一般会計からの繰り入れも行い、必死で県民の医療を支えようとしております。県としても緊急の法定外の繰り入れ助成を各自治体の国保会計に対して行い、県民の命綱を守るべきと考えますが、所見をお尋ねします。
さて、高齢化社会の急激な進行に伴い、消防と救急の役割はますます大きくなります。資料によりますと、平成18年度と平成22年度との比較では、火災の件数は、254件から224件に減少していますが、現場到着までの所要時間は、7.3分から8.2分と時間が延びております。救急では出動件数が、2万3,456件から2万5,092件と増加傾向にあります。現場到着までの所要時間は、5.9分から7.0分へと、到着に要する時間の増加傾向が見られます。
近年の災害多発と高齢化の進展の中で、消防、救急体制の強化は重要です。県として、現場到着に要する時間が延びていることをどう分析しているか、お尋ねをします。
また、地元住民や消防、救急現場が望まない広域化計画、すなわち現在の九つの消防本部体制を、嶺北北部・丹南・嶺南の3本部体制とする無謀な計画を進めるのではなく、地域密着の消防救急体制こそ評価すべきではありませんか。見解をお尋ねをいたします。
最後に、狂犬病対策について質問します。
狂犬病予防法は、狂犬病の発生を予防し撲滅し公衆衛生の向上を目指す強力な法律であります。しかし、先日、福井県獣医師会の柴田会長にお話を伺いましたが、現状は、対策が後退していると感じざるを得ません。柴田先生からは、狂犬病では中国では1,000人、世界全体では5万人が死亡している。狂犬病予防法があるが、国としての危機感がない。国民、県民の危機意識も薄れている。自治体でも優先順位が低い。アメリカなどでは野生動物への対応や、免疫チェックなど厳格に対応されているとのお話をお聞きしました。重要な問題で、政治に盲点が生まれているのではないかとも感じました。
実際、県内の予防注射率は、一番高いところでおおい町の90.18%、一番低いのがあわら市の53.31%、福井市は63.24%で、全県平均は67.32%です。全国の平均が73.2%ですから、全国と比べても、かなり低い状況であります。狂犬病は致死率が高い病気なだけに、強力な法律がつくられています。福井県のように注射率が低いところに、外国などから狂犬病が持ち込まれれば、防疫上、県民の命を脅かす大変な問題となりかねません。
県として、市町や獣医師会にお任せではなく、法律に基づき危機管理意識を強め、県民の命と安全に責任を持つ体制をつくるべきだというように思います。どのように予防注射率を引き上げるのか、お尋ねをして質問を終わります。
◯議長(田中敏幸君) 知事西川君。
〔知事西川一誠君登壇〕
◯知事(西川一誠君) 佐藤議員の一般質問にお答えをいたします。
原子力行政についてであります。
1次のストレステストは範囲が限られており、十分な知見が集約されていないのではないか。福島の事故を絶対繰り返さないという、そういう再稼働を判断できる状況にはないのではないかというお考えであります。
原発の再稼働につきましては、ストレステストの結果だけで判断材料とすることは不十分であり、福島原発事故の知見を反映した暫定的な安全基準を示すよう、これまで一貫して国に求めてきているところであります。
先日も改めて、牧野経済産業副大臣に対し申し入れました。まず、国みずからが原子力発電の意義、また、再稼働の必要性について責任を持った表明をした上で、福島原発事故の知見を反映した暫定的な安全基準を示し、これをもとに個々のプラントの安全性を厳格に確認することが大前提であることを、強く申し入れたところであります。副大臣からは、「県の要請を重く受けとめ、誠意を持ってこたえていきたい」との回答があったところであります。国としては遅滞なく、福井県の要請を実行することが重要であります。現在、枝野大臣を初め関係閣僚において、本県の要請にこたえるべく検討が進められているものと考えています。
次に、一定程度かけて、県内各地で福井県の原発をどのように考えるのかということを、なるべく多くの県民の声に耳を傾ける取り組みを行うべきではないかとのお考えであります。
今回の福島事故を受けまして、国及び事業者は、県内市町の議会や住民、各種団体の説明会などにおきまして、原発の安全対策や取り組み状況について説明するとともに、新聞広告、チラシなども配布し、県民理解に努めているところであります。福井県といたしましても、今回の事故に対する県の対応状況や県内の放射性物質の測定結果などについて、県の広報誌等において広く県民にお知らせをしております。
また、県原子力環境安全管理協議会において国や事業者から説明を受け、立地及び周辺市町の代表者、商工農林水産業、労働団体などさまざまな立場の人からの意見をお聞きしております。また、県の原子力安全専門委員会などを通し、専門的ないろいろな知見を申し述べ、こうしたことについて県民の理解を深めてもいるわけであります。今後、県の原子力行政に当たりましては、こうした場を活用するとともに、県民の代表である県議会での議論、地元市町の意見を十分お聞きし、安全・安心の確保を最優先に取り組んでまいりたいと考えます。
次に、40年を超える老朽化原発は、運転再開が認められないのではないか。敦賀1号機、美浜1号機については廃炉工事による雇用創出の観点からも、廃炉を求めるべきではないかというお考えであります。
国は、本年1月、原子力発電所の運転期間を40年とし、基準に適合した場合には、20年を超えない期間で、1回限り延長の許可をすることができるとする法案を、閣議決定をしている状況に今あります。しかし、国は、この40年という期間の科学的な根拠や、運転延長を認める明確な基準を示しておらないわけであります。高経年化に係る現行制度との整合性や違いも明らかではありません。県としては、こうした課題に対する国の検討状況を十分見きわめてまいりたいと考えます。
その他については、関係部長から御答弁します。
◯議長(田中敏幸君) 総務部長林君。
〔総務部長林雅則君登壇〕
◯総務部長(林 雅則君) 県民の安全と暮らしを支える問題のうち、消費税増税された場合の県内の負担増試算はどうなのかというお尋ねでございます。
仮に消費税率を10%に、現行から5%引き上げる場合についてでございますが、まず、国全体の消費税額は、現在約12.6兆円でございますので、この消費税の対象となります物品、あるいはサービスの購入量につきまして、全国に対する本県の占める割合を見ますと、これが大体0.6%でございますから、こういったことから試算をしますと、県民、また県内の企業が負担増となります金額は、約800億円と計算されます。
また、県、市町におけます調達等に伴います増額につきましては、平成22年度の決算額で消耗品の購入、あるいは道路の補修、学校の耐震工事等消費税の対象になる費用を見ますと、そこから試算をいたしますと、県で見ますと約45億円、それから県内の17市町合わせますと、約50億円が増加するものと見込まれます。
なお、県と市町の財源となります地方消費税としまして、現行では1%相当の約160億円が、また、引き上げられた場合につきましては1.2%相当の約200億円が、それぞれ配分される予定となっております。
◯議長(田中敏幸君) 総合政策部長東村君。
〔総合政策部長東村健治君登壇〕
◯総合政策部長(東村健治君) 私のほうからは、新幹線に関する御質問2点にお答えいたします。
まず、1点目は、人口構成の大きな変化が新幹線の需要予測にどのように考慮されているのか伺うという御質問でございます。
今回発表されております費用対効果につきましては、金沢開業後の敦賀までの延伸を算定したものでございまして、B/Cの計算上、区間が短くなると低くなる傾向も考えられております。また、東海道新幹線の代替機能であるとか冬季の定時運行の確保などは、費用対効果に盛り込まれておりません。加えて、本県が主張してまいりました国土構造の複軸化の核となる路線として、大きな意義があると考えております。
今回の需要予測では、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の都道府県別将来推計人口」を用いまして、2050年までの人口減少を考慮した上で、新幹線の需要予測を算出しております。このことは、国土交通省から公表された資料にも記載されておりますし、確認もしているところでございます。
2点目は、並行在来線のJRからの経営分離問題につきまして、県民への情報提供等についての御質問でございます。
並行在来線につきましては、国の方針に従いJRから経営分離されるものでございまして、経営分離についての沿線自治体の同意は、新幹線着工に当たっての基本的条件となっております。富山県、石川県、両県におきましても、経営分離に同意してまいったところでございます。
新幹線は、本県の将来の発展に必要不可欠なものであり、仮に金沢どまりとなったことを考えると、北陸の中で本県だけが大きく取り残されることになります。並行在来線は、県民の日常生活に欠かせない重要な社会基盤であり、経営分離後も存続を図ってまいります。
並行在来線の経営分離に当たりましては、これまでもさまざまなパンフレットやホームページなど各種広報媒体や職員による出前講座──これは平成19年から実施しておりますが、本年度も27回実施しております等を通じまして、幅広く県民に対して理解を求めてきております。
引き続き、県民に十分説明しながら進めていきたいと考えておりまして、悪徳商法呼ばわりされることはございません。
◯議長(田中敏幸君) 安全環境部長石塚君。
〔安全環境部長石塚博英君登壇〕
◯安全環境部長(石塚博英君) 私のほうからは3点お答えをいたします。
まず最初に、原子力行政につきまして、活断層の連動性に関するお尋ねでございます。
原子力安全・保安院は、現在、平成18年9月に改訂されました耐震設計審査指針に基づきます発電所の耐震安全性のバックチェックを実施しているところでございます。
今回の地震に関します知見を反映するために、御指摘がございましたが、本年1月27日、各電力事業者に対し、活断層の連動性の検討を指示したところでございます。この指示を受けまして関西電力は、昨日、発電所周辺におけます、これまで実施しておりますボーリング調査や、海上音波探査の調査結果などから、新たに連動を考慮する活断層はないとの評価結果を保安院に報告をしたところでございます。保安院はこの評価結果につきまして、「地震・津波に関する意見聴取会」におきまして厳正に確認していくとしておりまして、県としましては、その審議状況を注視してまいりたいというふうに考えております。
次に、消防車や救急車の現場到着に要する時間が延びているのではないか、これをどう分析しているのかというお尋ねでございます。
消防車両の現場到着時間でございますけれども、これは火災の件数が救急に比べまして少ないために、火災現場までの距離でありますとか、発災時の道路の混雑状況など事案ごとの事情に左右されやすい状況にございます。
現場到着の平均時間が県内で比較的長い消防本部の状況を見ますと、特に、遠方での火災でありますとか、高速道路上での複数件の車両火災などといった幾つかの特殊な事案がございますと、それが平均の値を押し上げているという状況にあるわけでございます。
一方、救急車でございますけれども、救急車の現場到着時間につきましては、これは同時出動の増加といいますか、最近、主に高齢者人口の増加に伴いまして救急の需要が増加いたしておりまして、同時に出動するケースがふえておりますことから、全国的には延びる傾向が見られるわけでございますけれども、本県では年によりまして、ばらつきがあるという状況であると考えております。
なお、本県におけます救急車の現場到着時間は、平成22年では全国平均に比べまして1分6秒早く、全国3位の水準にあるところでございます。
次に、3点目でございますが、現在の9消防本部体制を3本部体制にする計画につきまして、地域に密着の消防救急体制を強化すべきではないかというお尋ねでございます。
県では消防の広域化につきまして、市町や消防機関の代表などが参加いたしました計画策定委員会を設置いたしまして、平成20年3月に「福井県消防広域化推進計画」を策定したところでございます。この計画に基づきまして、各消防本部及び構成市町では、組織体制、消防や救急部隊の編成・運用方針、指令システムのあり方など、広域化に向けた検討を行っているところでございます。
県といたしましては、消防の広域化を進めることにより、財政規模の拡大に伴います資機材の充実、それでありますとか、消防・救急隊員の現場への増強など、住民サービスの向上につながりますよう市町を指導していきたいと、このように考えております。
◯議長(田中敏幸君) 健康福祉部長小林君。
〔健康福祉部長小林正明君登壇〕
◯健康福祉部長(小林正明君) 私のほうから県民の安全と暮らしに関する問題について、2点お答えをさせていただきます。
県として市町村国保会計に、緊急の法定外の繰り入れ助成を行うべきではないかというお尋ねでございます。
国民健康保険事業特別会計の平成22年度の決算でございますが、県全体で市町は約19億円を法定の繰り入れを行っております。そのほか赤字の市町、11の市町で約9億円の法定外繰り入れを行っておりまして、合計で市町全体で約28億円の負担をしているということでございます。
一方、県は国保の調整交付金、あるいは保険料軽減制度などによりまして約44億円、市町より多く負担しております。そして平成24年度には給付費等の増加にあわせまして、51億円の予算を計上しているところでございます。県が国民健康保険会計を法定外で繰り入れを行うということは、制度のあり方にもかかわることでございまして、全国でその事例はございません。
なお、診療設備、あるいは特定健診など個別の事業に対して補助ということは、本県を含めまして数県行っている現状でございます。
なお、国では、全国的に保険料が上昇している現状もありまして、「社会保障・税一体改革大綱」の中で、税制抜本改革時に低所得者に対する保険料の軽減の拡充等を行うことを盛り込んでいる状況でございます。
次に、狂犬病対策について、県として責任を持つ体制をつくるべきではないか。そして予防注射率を、どう引き上げるのかというお尋ねでございます。
狂犬病予防法では、犬の登録と予防注射の実施、さらに飼い主に対します予防注射の制度の普及啓発につきましては市町の業務とされておりまして、県は、狂犬病が発生したときの措置について対応するということが定められております。
狂犬病は、国内の発生を見ますと、昭和32年に発生して以来、発生しておりません。ただ、平成18年に、海外旅行中に犬にかまれて帰国された方が、その後発症したという事例がございました。このため県では、それまで保健所単位で実施しておりました、市町、獣医師会との協議会に加えまして、平成19年度から県全体の会議を毎年開催することといたしまして、危機管理体制の強化を図っているとこでございます。この全体会議では、狂犬病発生時の図上訓練を行いますとともに、狂犬病予防の根幹でございます注射率の向上に効果的な対策について、情報交換を行っているとこでございます。
さらに、県独自といたしましても注射率を向上させるために、飼い主講習会での周知に加えましてペットショップ、これはペットを買われるときに予防注射をしていただくということでございますが、あるいは動物病院に対しまして、予防注射制度の普及を重点的に働きかけているところでございます。
◯議長(田中敏幸君) 産業労働部長蓮井君。
〔産業労働部長蓮井智哉君登壇〕
◯産業労働部長(蓮井智哉君) 原子力発電所で働く労働者の方々の雇用、勤務の実態、問題がある場合の対処についての御質問でございます。
原子力発電所の保守点検や工事などは、電力事業者と請負会社などとの間の契約に基づくものでございまして、そこで働く労働者には、労働基準法、労働安全衛生法、職業安定法などが適用され、問題がある場合には調査など、当該法令の権限を持つ福井労働局が、責任を持って対応すべきものと考えております。
福井労働局からは、原子力発電所で労働安全が確保されているかを確認するため、立入調査を行い、事業者に対する指導を行っていると聞いております。また、県では、美浜原発3号機の事故を受けまして、安全協定に発電所従事者の安全確保を盛り込み、事業者の安全対策の実施状況を確認しているところでございます。
なお、労働安全に関する不適切な事例を把握した場合には、福井労働局へ連絡して、法令に基づく対処を要請することとしております。
◯議長(田中敏幸君) 警察本部長尾崎君。
〔警察本部長尾崎徹君登壇〕
◯警察本部長(尾崎 徹君) 原発工事をめぐる暴力団関係企業等の取り締まりを初めとする抑止策についてお答えいたします。
暴力団は、資金獲得を図るために、さまざまな経済取引に介入している現状にあることから、県警察では、資金源封圧のための取り締まりと、福井県暴力団排除条例に基づく公益事業等からの暴力団排除を推し進めているところでございます。
こうした中、先般、原発工事をめぐる暴力団関係企業等による、職業安定法違反事件を検挙したところでありますが、今後とも暴力団の介入実態の把握に努め、この種事案については法と証拠に基づき、厳しく取り締まっていく考えでございます。
また、今回の事件を受け、先般、福井県公益事業暴力団排除条例推進連絡会を緊急に開催し、原発事業者等に対して、事業に参入する請負業者にあっても暴力団排除条項の導入や、条例上の暴力団確認義務の履行を強く要請したところであり、暴力団との関係遮断について、今後も指導を徹底してまいる所存でございます。