前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

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吉井英勝前衆議院議員、福島原発事故の解決と原発利益共同体問題などを語る!

2013年09月20日 | Weblog
 昨日は、原発問題住民運動福井県連絡会の総会と講演会、懇親会。講演会には70名ちかくのみなさんに参加いただきました。
講演会では、吉井英勝前衆議院議員においでいただき、2時間たっぷり講演と質疑応答でした。

 吉井さんは国会議員は勇退されたものの大変お元気で、各地で講演活動をされています。
福島原発事故の汚染水対応を詳しく話され、「東電に解決能力はなく、破たん処理しないとだめだ」と強調されました。
 自民、公明、民主で制定した原子力損害賠償支援機構法は際限なく税金を投入し、東電やメガバンクを救済するものだと批判。破たん処理せずに、東電の地域独占と総括原価方式を守り、メガバンクの長期短期の債権を守る手法でなく、製造物責任まで問うことが必要、とのお話し。

 また、3党によって修正成立した原子力規制委員会設置法によって、原発輸出と再稼働に道がひらかれたことを明らかにし、重大なことに敷地境界線量を原子炉立地審査指針で規定してきたが、新基準ではなくなってしまった、と述べました。

 原発輸出についても、そのためには国内原発を再稼働させ、海外研修生を受け入れなくてはならない、これが原発利益共同体の狙いだ、と喝破。
 原発問題の本質は、原発利益共同体の仕掛けであり、ここをきちんとみないと判断を誤ることになる、と語られました。

 その後の懇親会にも参加していただき、さらに2時間ちかくもお話しさせていただきました。
規制委員会の内部事情についても興味深いお話をお聞きしましたが、ここでは書けませんねえ。
 いろいろ運動を取り組むうえでも考えなくては、と参考になりました。
 また、継体天皇と古墳のことなどもお聞きしました。



以下、講演レジュメです。

「福島原発事故から考えるエネルギーと地域経済再生の道筋」

  (福井県連絡会)               2013年9月19日   吉井英勝

1)原発問題を考える出発点は3・11福島原発事故

・いまも14万人を超える避難者―生活、家族関係、仕事、地域社会

・事故現場で調査―いまも250μ㏜/h、4時間で通常の1年分の被曝

・炉心溶融したから「収束はない」

・1日400tの地下水の流入と汚染水処理―汚染水処理タンク関係の汚染、さらに海洋流出

・地下水1日1000t、汚染水タンクからも300tの水漏れ―東電には解決能力無し

2)日米原発利益共同体のいま

・原発1基約5000億円のビジネス

・3・11前から「国際原子力開発株式会社」(東電・武黒シニアを社長に設立)

・原発輸出(「福島原発事故を踏まえて世界最高水準の原発技術を提供する」2011年菅

・輸出先の原発技術者養成に原発再稼働必要(原発輸出と再稼働は一体不可分)

・「原発セールスマン」:第一次安倍内閣(「原子力立国計画」)、民主党政権、安倍内

閣一貫

・「日米同盟」(核の傘)下の原発(2012年アーミテージ、1969年外務省「外交政策大

綱」)

3)福島第一原発事故の検証

・2004年12月インドネシア・スマトラ沖地震津波とインドのマドラス原発損傷例

・2005年「巨大地震津波が老朽化した日本の原発を直撃するとどうなるか」

・2006年第一次安倍内閣「津波による冷却機能喪失」「全電源喪失による炉心溶融」につ

・2010年民主党政権・直嶋経産大臣「(全電源喪失でも)炉心溶融しない構造になってい

る」

・2011年3月11日~

    地震で外部電源喪失

    津波で内部電源喪失

    全電源喪失で炉心冷却機能喪失

圧力容器内圧力を抜く事と海水注入で炉心を冷却水の上に出さない取組み必要

これを怠りメルトダウン、水素爆発→大量の放射能汚染

  ①3・11以前に取るべき対策を取らなかった不作為の責任

  ②3・11以降の対応の誤り

・いまだ解明できていないこと多い

(例)最初の地震動でプラントや内部電源含む関係する重要機器の何がどれほど壊れたか

   内部の現状はどうなっているのか―溶融した燃料はどこにあるのか

   地下水脈はどうなっているのか

   原子炉建屋を貫通している配管とその周辺部分はどうなっているのか

4)海外メディアの関心事の1つ「東京電力は何故、あんなに秘密主義か?」

①地域独占であらゆるものを支配。―電力

②総括原価方式で必ずもうかる。-電力

「答弁書」、最近の安倍発言)

     小泉内閣時代「多度津大型振動台」は年間維持費に10億円かかる。行革で売却

いては「大丈夫な構造になっている」(答弁書や国会答弁)

1

③原発1基建設に3000~5000億円は大きな儲け口―原発メーカは東芝、日立、三菱重工

④躯体工事は「鹿島」など大手ゼネコン

⑤素材といえば鉄とコンクリートー新日鉄など素材供給メーカ

⑥計画・建設から電気売り出すまでの長期の資金調達はメガバンク

「原子力産業協会(旧・原子力産業会議)」会長は新日鉄元会長、日本経団連元会長

これが「原発利益共同体」=財界中枢部

「安全神話」のイデオロギーと秘密主義で原発批判を避けようとした。

※「原子力ムラ」「ムラ人」批判間違いではないが、原発利益共同体の本質を見失うな!

 政党・政治屋―政治献金、パーティ券購入、機関誌で広告料収入、電力労連支援

 官僚―天下り=汚職の先物取引

 学者・研究者―研究室の費用

 マスコミ―広告料収入

 原発依存企業・自治体―交付金(原資は電気料金)

これらの連中は原発利益共同体が経営している家畜小屋の原発豚。豚に気を取られて「原

発利益共同体」という本体、財界中枢部を見失ってはならない。

5)東電・メガバンク救済に走った自民・公明・民主(原子力損害賠償支援機構法)

・本来、東電は破綻企業→破綻処理

・地域独占と総括原価方式を守る

・メガバンクの長期・短期の債権を守る

6)原子力規制委員会設置法(自民・公明・民主3党修正成立)

・法律によって原発輸出と再稼働に道を開いた

 (さらに、安保条項導入・・・・)

・法律、政令、省令〈規則・基準〉で進めてくる

→科学的・技術的・論理的追及と国民の世論・運動

  (「原子炉立地審査指針」で敷地境界線量250(ICRPは100〉m㏜としていた。この

「原子炉立地審査指針」を新基準で削除。「バックフィット」で全原発は新規立地も再

稼働もできないことになるから削除)

7)解決のキーワード「再生可能エネルギーの爆発的普及。その仕事を農林漁業・中小企

業と結び付ける」→エネルギーでも地域経済でも原発依存から抜け出す。

 エネルギーの「地産地消」と省エネルギー・省資源社会への取り組み

(実例は生まれつつある)

 岩手県葛巻町

 長野県飯田市

 高知県梼原町

8)再生可能エネルギーと地域経済再生・地方自治

・地方自治とは住民自治の上に立つ団体自治としての地方自治。基本は住民自治。

 選挙で選ばれたからといって、首長が住民に命令するものではない。

・再生可能エネルギーは地域ごとに地理的条件で変わる。

・自分の地域には何が向いているかを議論し合う。

・日本の再生可能エネルギーの物理的限界潜在量:約12兆kw時(年間総発電電力量は、

2010年まで約9000億kw時~1兆kw時内原発によるものが3割)

2

・日本の再生可能エネルギーの可能性:地熱は世界第3位、世界平均降雨量の2倍(水

力)、森林率は約7割(木質バイオマス)、四面海に囲まれ洋上風力、潮汐発電、海洋

温度差発電など豊かな可能性。都市部も太陽光発電で各民家の電力は自給可能。

・大企業がグローバル展開で産業空洞化、過密過疎を生み出した下で、「地産地消」のエ

ネルギーと地域経済をどのように再生するかを地域で検討・議論する。

・地方の条例や制度で、地域で取り組む事業には地域の業者に助成する制度(実例あ

り)。

●原発依存にはまり込んだ地域での再生には、石炭産業潰しの時代に「産炭地振興法」を

作って、閉山後の新しい地域経済への取り組みが行われた例を、もっと良いものにして

考えていく必要がある。福井県のそれぞれの地域の実情に合わせた再生可能エネルギ

ーの爆発的普及と、その仕事を農林漁業や中小企業の仕事と結び付け、雇用、所得、消

費の経済の循環を生み出す取り組みを行う。地域住民の共同で福井県の実情にあった、

「成功モデル」を是非作って欲しい。