前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

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9月県議会 土木部関係審議。若狭地域の台風災害対策。福井市内などでの内水はんらん対策

2013年11月26日 | Weblog
9月県議会 土木部関係審議での佐藤正雄議員の質疑を紹介します。(9月30日)

小水力発電、従属発電を登録制に変更
◯佐藤委員  第66号議案であるが、改正の内容は小水力発電、従属発電を登録制に変更するということであるが、今後どの程度の見通しがあるのか。

◯河川課長  現在、国土交通省と水利権の許可について協議している案件が1件あり、その許可は12月ぐらいになるであろうと聞いている。
 それ以外の案件については、今年度、農林水産部で小水力発電の可能性の調査を5カ所程度実施していると聞いている。

◯佐藤委員  調査を5カ所程度ということであるが、小水力発電の可能性は、もっとたくさんあるのではないか。

◯河川課長  多分、かんがい用水を用いた発電が一番多く、現在は農林水産部で5カ所の検討を行っている。採算性などを踏まえて、可能性があれば今後どんどんふえていくと考えられるが、まず、その5カ所について調査したいとの話を聞いている。


国の直轄事業負担金見直し
◯佐藤委員  平成25年度9月補正予算案説明資料を見ると、何カ所も国の直轄事業負担金が記載されている。たしか、何年か前にも見直しの議論はあったと思うが、見直された点、また、福井県は求めているが、見直されていない点を伺う。

◯道路建設課長  維持管理費については、見直されて地方負担金なしとなっている。そのほかは、今までどおり直轄事業負担金があるが、基本的に後進地域のかさ上げ等が加算されて、少しずつ負担金は少なくなっている状況である。

◯佐藤委員  従来と比べて、何%ぐらい減っているのか。

◯道路建設課長  従前だと3分の1、約33%の負担金であったが、後進地域の差額等があって、ことしでいうと、国道8号バイパスなど直轄事業の負担金は26%程度になっている。

福井港の航路幅を拡幅するしゅんせつの費用
◯佐藤委員  本来なら廃止を求めるべきで、国の責任できちんとやってもらうことが大事だと思うが、引き続き改善を求めるようお願いする。
 また、平成25年度9月補正予算案説明資料10ページの港湾改修事業費1億7,800万円については、福井港の航路幅を拡幅するしゅんせつの費用であり、さらに抜本対策も検討しているとの説明だったと思う。毎回同じような議論になっているが、抜本対策とはどういう内容か。

◯港湾空港課長  福井港の場合は、砂がたまるため、しゅんせつ工事を行っており、今回の1億7,800万円余りの補正予算についても、その費用を計上している。南防波堤の前の中央航路に九頭竜川のほうから砂が入り込む現象が毎年起きているので、抜本的対策として、いかに砂の流入を防止するのかについて昨年来検討してきた。今のところ、北防波堤を南防波堤に平行して伸ばすことの効果が高いとの結論が出ているので、そういう形の構造物の整備を進めていきたい。

◯佐藤委員  つまり、北防波堤をつけかえるということだが、相当な工事費となるのか、どのぐらいの見込みか。

◯港湾空港課長  現在、北防波堤は、南防波堤に対して陸地側から見て開いた形で出ているが、それを南防波堤に並行となるよう伸ばして、両方から挟み込む形にしようと考えている。
 詳細設計がまだであるので概算だが、工事費は二十数億円である。

◯佐藤委員  その二十数億円の計画で堆砂がなくなり、毎年一定の費用をかけてしゅんせつする必要がなくなるわけではないだろう。その辺の見込みはどうか。

◯港湾空港課長  いろいろ検討した結果、残念ながら100%阻止できることにならないが、大体7割は阻止できると考えている。


台風での若狭地域の災害について
◯佐藤委員  若狭町と小浜市の災害箇所を、ほかの議員と視察した。確かに想定外なのだろうが、例えば小浜市の江古川地区などは多くの世帯があって、繰り返し被災しているのだから、やはり、きちんと対策を考えなければいけない。
 また、小浜市の野木川も、越水して洗掘されて破堤したとのことで、なぜ直線のところでと思ったが、60年ぐらい前にも同様の箇所が決壊したと聞いた。破堤しないよう堤防を強化し、越水なども極力しないよう、堤防を少しかさ上げするとの説明だったが、その辺の具体的な計画と、工事実施の見通しはどうか。

◯河川課長  江古川と野木川については、今回、両河川で氾濫し、野木川は決壊したということで、今後、再発防止策の必要があると考えている。野木川については、緊急的な対策を今検討していて、なるべく早く議会にも示していきたい。
 江古川については、今回、浸水した地区全体の治水対策として、まず、堤防のかさ上げが考えられる。野木川のように既存の堤防の改良や若干のかさ上げ程度であれば用地等も必要はないが、江古川については、用地の提供や対策工法についての地元の意向や要望もあると思うので、県と市、それから地元との協議を踏まえて、どういう対策工事が一番いいか、スピード感を持って、早く詰めていく必要があると考えている。

◯佐藤委員  平日の昼に行ったが、結構たくさんの人がいた。お年寄りの方から、「10年間で3回ぐらい水が来た。今回も、早く逃げるよう連絡があり県立大学へ行ったが、今回は床上まで水がついてしまって、家財道具等がだめになってしまった」と話を聞くことができた。本当に何回繰り返せば済むのだという怒りがある。もともと、そこに新興住宅地をつくったのがおかしいということだが、業者はもう倒産しているという話だった。
 しかし、住宅地にする工事の許可は市や県などが出している。20年ぐらい前と思うが、宅地造成を認めたのはどこか。

◯建築住宅課長  都市計画区域内であれば、3,000平米を超えない、小規模な宅地造成の場合には特に許可は要らないということで、不動産会社が開発されたのではないかと推測する。

◯佐藤委員  それでは、ますます怒りの持って行き場がない。野木川は緊急対策を検討するとのことだが、60年前も決壊しているのだから、実際に決壊しやすい場所だと思う。考えられる対策は、堤防のかさ上げぐらいしかないのか。

◯河川課長  堤防のかさ上げと同時に、堤防自体がかなり古いため、それほど締まってない可能性もあり、土自体を多少入れかえる、場合によっては、堤防の前面を護岸して強化することも考えていく必要があるのかなと思っている。今後いろいろ検討していきたい。

◯佐藤委員  堤防強化も含めて考えるということで、ぜひお願いしたい。
 たまたまだろうが、近くに消防職員が多いので、高齢者だけが残されて、本当に大変だという話も聞いた。開発の経過もあるし、繰り返しの災害にしないためにも、ぜひ対応をお願いしたい。
 また、小浜市忠野地区は、土砂災害で2軒ぐらい押し潰されたものの、直前に逃げ出して、何とか命は助かったという箇所であるが、小浜市長から、特に危険箇所として考えていなかったところで災害が起きて、驚いていると聞いた。忠野地区は、県の調査でも、土砂災害のおそれがないという判断の場所だったのか。

◯砂防防災課長  土砂災害防止法の中で土砂災害警戒区域、俗にいうイエローゾーンと、特別警戒区域がある。忠野地区の住宅が建っているところは、特別警戒区域ではないが、警戒区域には指定されていた。しかしながら、特別警戒区域も警戒区域も、土砂災害のおそれがあるという意味では同じであり、小浜市も含めて、県として注意喚起をしている。

◯佐藤委員  逃げた当事者の方々の話では、やはり避難指示は全然なかったようである。住宅が2軒続いており、山側の1軒において、小石が飛んできて窓ガラスが割れるので、もう1軒の家に避難したが、もう1軒の家も、やはり少しおかしいので、寝たきりの高齢者を背負って逃げ出し、間一髪で助かったということである。本当によかったと思うが、たまたま、自分の判断で逃げて助かっただけで、ふだんから、危険があるから逃げなければいけないとの気持ちではなかったかもしれない。
 これまでの特別警戒区域、警戒区域の監視は当然であるが、今回の忠野地区では、警戒区域だが、ひどい土砂災害を想定していなかったところで災害が起きた。特別警戒区域と警戒区域の色分けの見直しも含めて、県全体のいろいろいろな箇所について、危険箇所が本当にないのか、改めて調査する必要性があるが、どのような方針か。

◯砂防防災課長  委員指摘のとおりである。今回、実際に土砂災害が発生したところも追加して、今後できるだけ早く全体的な調査を行いたい。

◯佐藤委員  ぜひお願いしたい。
 それで、現実的な問題として、被災した家は大きな石などで埋まっていた。少しずつ取り除いているだろうが、現在もそのままの状態だと思う。被災者生活再建支援法の関係では、撤去や住宅の解体などに行政から一定の支援をしてもらえるか。

◯建築住宅課長  小浜市忠野地区の2軒は、被災者生活再建支援法が適用になるので、300万円を上限に支給される。

◯佐藤委員  普通、家1軒を壊すと100万円から200万円かかると言われる。田舎の家だから結構大きい上に、中には大きな岩石が2階の屋根の部分まで入り込んでおり、それを取り除くだけでも、300万円を使いきってしまうのではないかと思うが、ほかのいろいろな支援制度はないのか。

◯建築住宅課長  そのほかに、通常より低金利、25年の固定金利で1.4%台の融資が受けられる金融支援機構、昔の住宅金融公庫の融資制度はあるが、現状として補助金としては300万円が上限である。

◯佐藤委員  被災者は若い人ではないので、今さら借金しても返済の見通しがないが、いろいろな形で小浜市とも協議してほしい。とにかく、家が岩に埋まったままではどうしようもないので、そういう岩石の撤去は、土砂災害として県の事業で対応することはできないのか。自己負担か。

◯建築住宅課長  今、農林水産部で災害復旧をしていて、細かい復旧の方法についてはまだだが、緊急に対応しているということは聞いている。

◯佐藤委員  ぜひお願いしたい。
 それから、一般質問では、土木部長から大雨に対するシミュレーションは意味がないとの答弁があった。
 今回の災害の小浜市の全体雨量は三百八十何ミリで、たしか福井豪雨当時の美山町よりもかなり多い。もし同じ雨が福井市に降ったら大変だと直感的に思ったが、一体どうなるのか、いろいろなシミュレーションが必要ということである。
 京都大学で開かれた研究会の話では、学者の計算予測でも、これから10%から20%雨はふえるだろうということだから、減ることはないと思われる。
 そうなると、現況で危ないところはないかという調査とあわせて、これから先数十年の間には二、三割雨量がふえることに関して、これまでよりも二、三割増しの対策をいろんな意味で考えていかなければならない。福井市ならば、今のままでは不十分だと、県や市が住民にも示さなければならないし、県や市もそれに沿って河川、貯留槽などいろいろな組み合わせで考えていかなければならない。
 だから、意味がないと言われてしまうと、いかがなものかと思う。小浜市で降った雨が現実に福井市で降る可能性もあるので、やはり、きちんとシミュレーションをして、その結果を示して、対応を考えていく、これは行政の責任だと思うが、どうか。

◯土木部長  あまり意味がないという言い方はちょっと違うが、今回の小浜市の雨の降り方は、時間当たり30ミリぐらいの雨が七、八時間ぐらいずっと降っていた。福井豪雨では、雨の降り方が、七、八十ミリが三、四時間降って、あとはやんでしまった。
 市街地のつくりとしては、福井市だと、九頭竜川、日野川、足羽川の堤防に囲まれて、西のほうが低くなっている。そういうところに下水道があって、そこに一気に降ると、最初は下水道に入って、ある程度処理場がいっぱいになると、今度は市内の底喰川とかに吐き出す。それから、ポンプで日野川や九頭竜川へ出すことになる。ただ、そのときの河川の状況にもよるし、山の有無など地形によっても雨が降ったり、降らなかったりする。
 非常に雨の降り方は複雑なので、その地域に降った雨を過去何十年から100年ぐらいを調べて、シミュレーションしてみることになる。小浜市の雨が福井市で降った場合にどうなるのか、すぐわかるだろうという委員の指摘ももっともだが、非常に複雑なことをしなければならない。そういう意味で答弁したということである。一言で答えたのは、少し失礼で、申しわけなかった。
 今、福井市は、合流式のところは、下水道がすぐいっぱいになるので、バイパスから処理場に持っていき、結局、底喰川へ吐き出す。すぐいっぱいになるので、その辺の監視とあわせて、直轄事業では日野川、九頭竜川の河道を広げて、関係機関が役割分担しながら対応している。
 最近、雨の降り方が強くて、降る回数も多い。自然が激しくて、追いつかない現状はあるが、決して市も県も放っておくわけではなく、一所懸命努力をしている。

◯佐藤委員  そういう点はよくわかるが、木田・みのり地区などの小学生の登下校のことでいえば、子供の腰ぐらいまで水がついてしまうと、時を間違えば事故になってしまう。福井市内にも、結構脆弱なところが多いが、そう考えると、県や福井市が、もう少し見通しを持って、スケジュールも前倒しして、改修を進めたり、もっと貯水ができないか考えたり、いろいろと対策をしていってもらわないと、福井市民も、不安がおさまってこないと思う。
 もともと小浜市の江古川あたりは遊水池の設定をしているようなところだったと思うので、そこに住宅地をつくったことも大きな問題だが、福井市では、宅地化されて、市内中心部で水を逃がすのはなかなか大変であるので、ぼちぼちでは、福井市民の気持ちに県や福井市の対応が追いついていかないと思う。
 私にいいアイデアがあるわけではないが、専門家とも協力して、少なくとも子供の通う学校の地域の水位を30センチメートルは下げて足首ぐらいにするような方法を研究できないか。

◯河川課長  今回の雨等を受けて、県としても福井市に確認をしている。福井市も当然対策は必要だということで、ことしから、特に道路冠水など浸水が頻発しているみのり、木田、城東地区における対策を検討する必要があるということで、シミュレーションも踏まえて計画していきたいという返事をもらっている。
 福井市内全域を一遍にできればいいが、やはり浸水被害の頻発するところ、特に低地で水かさも多いところから優先的に対策をしていきたいとのことで、県としても福井市等に技術的な指導、協力をしていきたい。

◯佐藤委員  ぜひよろしくお願いする。
 また、根本的な問題だが、九頭竜川水系の計画が策定されて、足羽川ダム建設のときに、住宅地に水が入ることを抑えることはできない、床下浸水ぐらいまでは我慢してほしいとの、許容範囲についての説明があり、それに対する批判もあった。つまり、国や県の考え方としては、床下浸水も全く何もない状況の治水対策は難しいとのことだった。福井市だけではなく、全県的にである。
 これから、雨量がどんどんふえてきたら、五、六年前の想定では、床下浸水ぐらいは許容するという河川整備計画が、床上浸水にまでなってしまうこともあるのではないかと思う。
 だから、国とあわせてかもしれないが、当時の河川整備計画の県の考え方を再検証する必要があるのではないか。

◯河川課長  九頭竜川水系河川整備計画を平成19年に策定して、現在、それに基づいて国及び県が河川改修を行っている。ただ、この河川整備計画については、進捗度合いや、その後の社会情勢や人口、経済情勢なども変わったりするので、その都度、河川整備計画の妥当性について再度検証作業をしていく予定である。
 ただ、床下まで許容するという話があったが、河川整備計画としては、おおむね50年に一度の雨に耐えられるような整備を目標とする河川と、30年に一度を目標にする河川、ほかに70分の1の河川や、例えば足羽川では150分の1など、河川に集積する人口や資産の内容によって、目標をそれぞれ定めて策定してきている。一律全ての川に例えば200年に一度の雨に対応できるような河川改修をしようとすると、膨大な費用になるので、そこは踏まえつつ、今後の雨の降り方を見越して、現在の河川整備計画が妥当か検証を行っていく。

◯佐藤委員  いつごろをめどに見直すのか。

◯河川課長  九頭竜川水系はほぼ嶺北一円が含まれるので、全ての河川の見直しには時間がかかる。今回の雨の以前に考えていたスケジュールでは、国と協議の最中だが、5つのブロックに分けて、毎年それぞれのブロックごとにローリング形式で検証していこうと考えている。


三里浜のグリーンベルト
◯佐藤委員  今、三里浜緩衝緑地の利用の問題については、土木部が対応していると思う。テクノポート利用者協議会等からも県にいろいろな要望が来ていると思うが、やはりそこで働いている人たちの一つの心配は津波である。逃げ場として上り口が少ないのではないかという話も聞いている。
 企業誘致を進め、雇用もふやす県の戦略、また、テクノポートの振興と福井港の繁栄の県の方針との関係で、津波対策はきちんと考えて対応してほしい。土木部として答弁は難しいか。

◯土木部長  テクノポート利用者協議会から、避難場所という話で、三里浜のグリーンベルトが鬱蒼としているので、きれいにして使いたいという要望があり、その点で土木部は関係している。

◯佐藤委員  グリーンベルトにおける避難場所の確保も含めて、要望しておく。


     ★

■請願陳情審査
◯鈴木委員長  これより請願・陳情の審査に入る。
 今回付託を受けた請願1件、陳情1件の審査に入る。
 それでは、まず初めに、請願第33号「建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律に伴う請願」を議題とする。
 本件に対し各委員より発言願う。

◯吉田委員  採択でお願いしたい。
 旅館業が非常に息切れをしている中で、平成27年いっぱいの耐震診断を義務付けるとのことであり、一方で福井国体に向けた旅館の収容計画があるので、耐震診断に対する福井県としての助成が必要だろうということで、採択をお願いする。

◯佐藤委員  助成制度の、全国的な導入状況はどうか。

◯建築住宅課長  法律がことし5月29日に成立して、施行が11月25日であるので、全国的に取り組んでいるところはまだ少なく、太平洋側ではあるかもしれないが、少なくとも日本海側ではないという状況である。

◯佐藤委員  わかった。

◯鈴木委員長  ほかに発言はあるか。

      〔「なし」と呼ぶ者あり〕


◯鈴木委員長  ないようであるので、本件に対する採決に入る。
 本件を採択と決定することに賛成の方は挙手願う。

      〔賛成者挙手〕

◯鈴木委員長  賛成全員である。
 よって、本件は採択と決定した。
 この際、お諮りする。
 会議規則第93条第3項の規定により、ただいま採択された請願第33号については、これを執行機関に送付し、その処理の経過と結果の報告を請求することにしたいと思うが、これに異議あるか。

      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

◯鈴木委員長  異議なしと認める。
 よって、そのように決定した。
 次に、陳情第38号「トリムパークかなづ弓道場の追加整備に関する陳情」を議題とする。
 本件に対し各委員より発言願う。

◯吉田委員  今すぐに整備しなければならないという施設の利用状況ではないということと、競技人口の数も少ないということで、継続審査をお願いする。

◯佐藤委員  理事者から、利用者の数が少なく、既存施設にも影響を与えるからだめとの説明があるが、逆に言うと、施設整備がおくれているから利用者が伸び悩む面はないのか。
 また、弓道だから、矢どめだけはきちんとしなければいけないだろうが、外でも構わないわけで、屋内の立派な施設ではなく、屋外でつくることを含めて、実際に考えられないのか。

◯都市計画課長  トリムパークかなづは、スポーツ、レクリエーション、いろいろな多機能な施設として県下4地域の中でつくった公園の一つである。有料施設のみの数だが、トリムパークかなづ全体で年間8万6,800人ほど利用されている中で、弓道場は現在、年間3,900人ということで、全体の4.数%の利用状況である。
 委員指摘のとおり遠的射場がないから利用が少ないことにはならないと考えており、県立武道館に非常に立派な遠的競技場が6的あって、近的も整備されていて、トリムパークかなづは主な利用目的が練習で、大きな大会も行われていないと聞いているので、県としては、県立武道館を利用してもらえればと思っている。
 また、屋外につくる可能性については、やはり弓の矢を使うので、安全に競技、練習をしてもらわないと、目的が達成されない。また、当公園の弓道場は体育館の裏側にあるが、もともとの基本計画にはなく、後で追加された形で弓道場ができた経緯もあり、精いっぱいの敷地の中でつくっている施設なので、遠的射場などを増改築しようと思うと、ほかの施設に非常に支障があるので、その辺は理解をしてもらいたい。

◯佐藤委員  福井市の方のことを考えれば、県立武道館でいいが、これはあわら市の方だから、なかなかどうかと思う。採択でお願いする。

◯鈴木委員長  ほかに発言はあるか。

      〔「なし」と呼ぶ者あり〕

◯鈴木委員長  ないようであるので、本件に対する採決に入る。
 本件については継続審査を求める意見があるので、まず継続審査について諮る。
 本件を継続審査とすることに賛成の方は挙手願う。

      〔賛成者挙手〕

◯鈴木委員長  賛成多数である。
 よって、本件は継続審査とすることに決定した。
 以上で、請願・陳情の審査を終了する。


9月福井県議会、公安委員会関係審議。録音・録画装置の導入、振り込め詐欺、県警察の情報漏えい事件

2013年11月26日 | Weblog
9月福井県議会  公安委員会関係審議での佐藤正雄議員の質疑です。(9月30日)

録音・録画装置の導入
◯佐藤委員  土木部ときちんと協議して新しい道路をつくれば、信号機が必要なところもおのずと見えてくるので、ぜひお願いしたい。
 平成25年度9月補正予算案説明資料3ページの刑事警察活動費は、録音・録画装置の導入との説明だったと思うが、各警察署にさらにふやすのか。

◯刑事部長  録音・録画機の機材については、現在、県内各警察署に6台配置されている。警察本部、福井警察署、坂井警察署、鯖江警察署、敦賀警察署、小浜警察署の6署である。
 今回、9月補正で要求した6台については、福井南警察署、大野警察署、勝山警察署、あわら警察署、坂井西警察署、越前警察署の6署に配置を予定している。

◯佐藤委員  取り調べの録音・録画は、裁判員裁判が始まってから試行されている。県内の実施状況としては、大野や勝山などの6警察署には機器が未配置で録音・録画ができなかったわけだから、裁判員裁判に関係する事案もなかったということか。

◯刑事部長  録音・録画については、平成21年から制度が施行、運用されている。その後、いろいろ制度の改変があり、平成25年8月8日付で新たな制度の運用が決まった。従来は通常逮捕の場合のみを録音・録画の対象としていたが、今後は現行犯逮捕や緊急逮捕、これらの逮捕要件の場合も録音・録画をすることになった。
 今回、通常逮捕の場合は、ある程度時間的に余裕があるが、現行犯逮捕や緊急逮捕という事案の場合には機材を運び入れる時間的余裕がないため、各警察署で初期段階の対応ができるように新しく6台を要求した。

振り込め詐欺などへの対策
◯佐藤委員  わかった。
 犯罪抑止緊急対策事業については、先ほどコンビニ等と連携した対策などを行うとの説明だったが、受け渡し型の詐欺がふえている中で、このようなコンビニ対策だけでは不十分だと思う。どのような作戦か、詳しく聞かせてほしい。

◯生活安全部長  従前は金融機関でお金をおろして、振り込むという形であったが、全国的な傾向は、コンビニや量販店のATMでお金を出して、それをゆうパックなどで送るという形も出てきた。金融機関は水際対策がしっかりできているが、コンビニや量販店にはそういう教養も及んでいなかったため、今回、県警察として、コンビニや量販店のATM関係についても、しっかりと対策をとるということで緊急対策事業に取り組んでいく。

◯佐藤委員  大事なことだが、それだけでいいのかとも思う。銀行など金融機関と違い、店員が客に一々応対しない。郵便局では100万円単位でおろすと声かけをするだろうが、コンビニでは店員がそのようなサービスはしないのが実情だと思う。
 やはり地域における被害に遭いやすい傾向にある方への対策、例えば地域の民生委員と協力し、ひとり暮らしで狙われそうな方への声かけなど、自治体と協力して取り組んでいくことが必要ではないか。

◯生活安全部長  出前型講座として高齢者が集まる場所で、よくある手口に気をつけるよう広報啓発もしているし、コンビニについては、携帯電話を操作しながらATMを動かしている人には声かけするなどのマニュアルの作成・配布に係る費用を今回の予算で要求している。また、コンビニパトロールとして、夜中にコンビ二に行って、振り込め詐欺の被害者への対応などについて、警察官がみずから店員に指導もしている。

◯佐藤委員  コンビニの店員はアルバイトがほとんどだろうから、金融機関の職員並みの資質を求めても、なかなか難しいと思うので、その辺を踏まえて、対策強化をお願いしたい。
 また、緊急配備支援システム2カ所の整備により、県内で何カ所整備することになるのか。

緊急配備支援システム整備
◯刑事部長  今回の平成25年度が2カ所、平成26年度が新たに3カ所を要求する予定である。

◯佐藤委員  県内トータル5カ所ということか。

◯刑事部長  緊急配備支援システムは、県内で24カ所整備をしている。

◯佐藤委員  場所によっては変わるのだろうが、1カ所に500万円で、結構費用をかけていると思うが、費用対効果はどうか。

◯刑事部長  緊急配備システムでヒットする件数は、年間で70件から80件に達している。最近では、九頭竜湖における死体遺棄事件、先ほどの鯖江における誘拐・略取事件についても緊急配備システムを運用している。

県警察の情報漏えい事件の問題
◯佐藤委員  一般質問もしたが、県警察の情報漏えい事件の問題について伺う。
 警察本部長から丁寧な答弁があったが、やはり、このような重要な案件が監察できちんと引き継ぎされなかった、当時の捜査、取り調べの中で、本人に事情聴取も行わなかったという問題がある。なぜ、そのようなことが起こるのか、県民から見ても不思議だろうし、私も不思議である。今後の対策はよくわかるのだが、なぜ起こってしまったのかよくわからない。

◯警務部長  いろいろ捜査、調査をしたようだが、当時は今回処分された職員と暴力団との接点がなかなか見つからなかった。もう一つは、当該職員に取り調べをした場合、再度情報が漏れて被害者のところに乗り込んでいく可能性があること。そうならないよう被害者保護を優先する余り、取り調べを行わず、人事的な措置をするとの結論に達したということである。

◯佐藤委員  外部からの通報があると、実際に金融機関の照会などの捜査をしたということである。市役所など行政が滞納整理をする場合もそうだが、金融機関への照会では、文書で個人名を特定して預金残高や入出金の記録などを全部調査する。県警察のシステムも、多分、そんなに違いはないと思う。
 そうなると、正式に金融機関に照会文書を出して、例えば福井銀行や福井信用金庫から回答文書が返ってくるのではないか。

◯首席監察官  当時、当該職員と暴力団との接点を解明するため、必要な手続に沿って銀行口座の照会も行っているが、当該職員と暴力団との間に金銭のやりとりがないかを確認するための捜査で、ほかに継続的な尾行、張り込みの捜査も行っていた。
 ただ、そうした中で、残念ながら当該職員と暴力団の関係が把握できなかった。

◯佐藤委員  質問に答えていないと思うが、文書が引き継ぎされなかった、口頭で引き継ぐべきだったという説明だったと思うが、本来なら外部からの苦情は文書になり、正式に金融機関に問い合わせれば、文書として残るのが普通の行政だと思う。だから、その文書が残らないことが、よくわからない。

◯首席監察官  監察が調査を進める上で、文書として残るものもあれば、捜査活動を進める上で、捜査資料として所轄に資料が残っていく場合もある。金融機関に対する照会書については、警察署の捜査担当部署に残されている。恐喝事件関係も、現在、時効になっていないので残されているが、27日の次席・副署長会議でも、当時の警察本部長から強い指示があったのは、全体として業務管理ができていないということだった。被害者からのいろいろな申し出を受けて対応に当たったが、残念ながら全部取りまとめた文書的なものはなかった。
 今回、監察の記録の中で精査したし、所轄の方で捜査資料がどの程度残っているかも含めて対応したが、残念ながら、全体的な業務管理できていなかったため、時効に至ってしまった。それを県警本部全体で今後の大きな反省材料として対応していきたい。

◯佐藤委員  今回、暴力団に押しかけられた方の交通違反記録を調べた警察官は、状況証拠としてだが、警察内で当該職員の一人だけだった。その元警察官は、システムを使ってほかにも照会していたのではないか。また、ほかの犯罪との関係はどうか。

◯警務部長  今回の情報漏えい事件に限れば、交通違反の照会で車両番号を把握し、その車両番号により車両の使用者の住所を把握したということである。

◯佐藤委員  ほかに、元警察官が交通違反システムを使って調べた記録はどうか。

◯警務部長  通常の業務活動として、年間数千件の照会をしている。

◯佐藤委員  それでは、その1件以外は全く問題がなかったという認識か。

◯首席監察官  暴力団に1件の情報が流れてしまい、被害者の方に暴力団が押しかけるという今回のような事案があれば、当該職員に余罪はないのか当然調べる。
 今回も本人の取り調べにおいて厳しく追及したが、当時いろいろな情報を得ていた協力者から車番などを数回聞かれた記憶はあるが、協力者に住所や名前を直接提供することはなかったと言っていた。イエス、ノーという答え方をしたとは言っていたが、それを詳細に裏づけるデータも残っておらず、本人の提供した情報であるとの余罪の特定には至らなかった。ただし、ほかの者との間の金銭の授受はなかったと本人も明確に答えているし、ほかの資料でもそれを裏づけることはなかった。

◯佐藤委員  これ以上はわからないので質問しないが、その被害者の方も、県民として信頼している警察に情報を届けたのに悪用されたので、本当に憤慨し、再度警察にも届けた結果、今回のような展開になったと思う。
 そういう点で、当時の警察の自浄能力が不足していたのである。そこで、今回の事件を踏まえ、しっかり対応してほしいと思うが、代表質問や一般質問で県警本部長が答弁した、あるいは前の警察本部長が訓示した内容で万全だと考えているか。

◯警務部長  今回の事案を踏まえた対策としては3つである。
 1つ目は、適法・妥当な情報収集である。警察の活動上、部外者から情報をとることは多いが、こちらの情報の提供といった違法なことはあってはならない。知人に依頼されて、自分勝手な判断で、結局提供してしまった今回の事案を踏まえて、部外者からの情報収集については組織として対応する。例えば、部外者から要求や相談があったときは、すぐに上司に報告をして指示を仰ぐことを徹底している。
 2つ目は、不正照会、情報漏えいの禁止である。不正照会、情報漏えい自体が犯罪行為であるので、あってはならないと改めて指導していくつもりだが、平成22年に構築した照会履歴確認システムでは、部下職員が照会をした翌日に上司のパソコンに照会履歴が出て、上司は疑義があればその部下職員にヒアリングをすることになるので、このシステムの実効ある運用をしていきたい。
 3つ目は、監察部門における適切な業務管理である。引き継ぎのあり方やその時点での判断の適切さを定期的にレビューし、あるいは関係部門との情報の共有をきちんと図っていく、そういったことを今考えている。詳細については検討中であるが、以上の再発防止策に取り組んでいきたい。

◯佐藤委員  しっかりやっていただきたい。しかし、実は一部の警察官から、最近、捜査費が厳しいとの話を聞く。先ほどの警務部長の答弁のように、警察側として情報はもらうが、情報提供をしないことは、一方的である。そこで、捜査費で賄って、例えば食事の提供をするわけであるが、捜査活動する上で十分なものが、各捜査員に担保されているのか。

◯警務部長  捜査費については、捜査活動上必要があって緊急性のあるもの、それから秘匿を要するもの、これは通常の経理手続では支出できないので、捜査費として特別の支出が認められている。公金であるので、支出の手続は厳格に行うが、必要があれば支出を認めているので、基本的に自腹を切ることはないと考えている。

◯佐藤委員  捜査費がきちんと保障されていることを数字で示してもらえるか。

◯警務部長  昨年度の執行額は、約2,500万円で、平成23年度は約2,200万円である。いずれにしても、必要な額については、予算計上している。

◯佐藤委員  警務部長はないと言ったが、自腹を切らなければならない場面があるから、現場から議員に話が伝わってくると思う。公金ではここまでは出すが、ここからは出せないと、その辺の内部の取り決めはどうなっているのか。

◯警務部長  例えば捜査協力者に対する謝礼、必要な飲食費、あるいは尾行とか張り込みなどの際の飲食費や交通費、こうしたものは捜査費で執行する。

◯佐藤委員  実際に現場の警察官から聞く話は必ずしもそうではない。当面3月末までは給料は下がっている中で、繰り返し自腹を切らなければいけないのは、なかなか大変だと思う。だから、領収書があれば、全部捜査費の対象として現場の捜査員が活動できれば、例えば、ほかの県警であるように、関係者から飲食の接待や現金の受け取りなどの事案も最小限に抑えられると思う。
 警察官自身がやせ細っていくのに、業績だけを上げさせるのではなく、警察が本当に力を発揮していくため、現場の警察官が活動しやすい環境にすることが、適切なのではないか。

◯警務部長  捜査費については、委員指摘のような問題もあるが、むしろ全国的には不正使用のほうが問題である。県警察としては、厳格な手続をとることとあわせて、仕事で必要であれば執行すべきという指導もしていきたい。

◯佐藤委員  捜査費の不正使用は、北海道や高知県などの幾つかの警察であったことだと思う。本で読んだだけだが、幹部がお金を占めて下の捜査員に回らないという話もあったので、やはり現場にお金が行き届いて、捜査に不自由しない体制が大事である。当然、領収書の確認などは適切に行うべきである。
 今回の事案は捜査費の不足が理由ではないが、現場の警察官からはそういう話を聞いているので、十分な取り組みをあわせて要望しておく。


行政対象暴力アンケート
◯佐藤委員  6月議会でも行政対象暴力アンケートのことを質問し、その後、説明を受けた。議員への働きかけ、行政への働きかけの両方の問題がある中で、行政側でも要求に応じることがいまだにあるとの報告には少し驚いたが、今後の行政への対策をどうしていくのか。

◯刑事部長  行政に対しては、不当要求等に対する積極的な対応要領の研修を実施していきたい。行政の窓口業務を行う職員は、毎年かわっていくので、その都度、警察として研修を行っていきたい。
 また、さきに県議会議員には実施したが、10月30日には市町議会議員にも同じ内容で、合同研修会を実施したいと考えている。

◯佐藤委員  現在、17市町で、県庁を入れると18だが、これまでは行政に対して、そういう研修会はなかったのか。

◯刑事部長  従来から実施していたが、今回のアンケート結果をもとに不当要求に対するさらに具体的な対応要領について、出前講座も含めて県警察で研修を実施していきたい。

◯佐藤委員  これまでも行政職員には研修をしていたが、今回のアンケート調査結果によると、その研修が生かされていない職員や自治体が一部あるということで、どのように分析しているのか。

◯刑事部長  やはり窓口における職員が最初の取り扱いを間違えると、後々難しくなるものなので、まずは自治体の職員、特に窓口職員を受講させて、行政対象暴力に対する正しい知識と正しい対応要領を教えていきたい。

◯佐藤委員  今回のアンケート結果で、働きかけた側の県内と県外の割合はどうか。

◯刑事部長  働きかけた側については、調査をしていない。

◯佐藤委員  今回のアンケート結果をもとに、かなり悪質なケースについては、議員、行政のいずれの側でも、例えば被害届を出してもらうなど事件化する考えはあるか。

◯刑事部長  積極的な事件化と保護対策の関係が出てくると思うが、違法な不当要求に対する事件化は、県警察の責務であるので、もとよりある。悪質な行政対象暴力の行為者については、いろいろな法律を多角的に適用して検挙していきたい。



9月福井県議会一般質問。原発輸出へIAEAとの協力問題。原子力防災。災害対策。県警の情報漏えい事件

2013年11月26日 | Weblog
 2013年9月福井県議会での佐藤正雄県議の一般質問です。(9月26日)

◯7番(佐藤正雄君) 日本共産党の佐藤正雄です。
 まず最初に、安倍政権の暴走から県民生活を守る決意を知事にお尋ねをいたします。
 安倍政権は、選挙後も、国会審議も行わないまま消費税増税や大企業減税、TPP推進、介護保険の大改悪などを進めようとしており暴走しています。全くの国会軽視であります。さすがに自民党や公明党の与党内からすら批判の声も出されております。安倍官邸のおごり高ぶった暴走政治を許すわけにはいきません。
 例えば、与党内にも波紋を広げております法人税に上乗せしている復興特別法人税を来年度から廃止する方針ですが、これはもともと上乗せというのがまやかしです。大企業は、5%の法人税減税を実施することを前提に3年間だけ同額の付加税を課すとしています。だから3年間は大企業に負担増はない仕組みなのです。その上、政府が今度決めたのは、3年たってから大企業に減税すると約束していたものを前倒しして2年たったら減税を実行するというものです。これで実質、年間約9,000億円もの大減税が行われるわけであります。
 一方、庶民はどうでしょうか。25年間の長期に渡って東北の被災者に対しても増税が押しつけられております。総額は合わせて約9兆円もの負担増であります。そして消費税増税で、庶民や中小企業には大きな打撃です。一方、海外輸出品には消費税がかかりませんので、トヨタを初め輸出大企業は消費税率が上がれば上がるほど税金が何千億円と戻ってくる仕組みでございます。
 さらに、生活保護制度の大改悪です。8月から生活保護基準の引き下げがほぼ全ての受給者に対して強行され、中でも一番の標的とされたのは子供さんのいる御家庭です。福井市内でも子育て世帯が月5,000円以上の、年間にすれば6万円を超える減額となり、悲鳴が上がっております。今後3年間で、さらに約3倍もの保護費削減が押しつけられようとしています。安倍政権は、世帯平均6.5%、最大10%の保護基準額引き下げにより3年間で670億円の保護費削減を進める計画です。生活保護基準の引き下げが子供たちや子育て世帯に重大な影響を与え、子供の貧困を一層深刻にし、貧困の連鎖を生むものであることは明らかではありませんか。今、こうした保護基準切り下げに対し受給者がみずから立ち上がる審査請求が、全国でも福井県でも広がっております。
 介護保険の改悪も重大です。厚生労働省は社会保障審議会介護保険部会で、特別養護老人ホーム入所者を中重度(要介護3)以上に限定し、要介護1と2を外す案を提示しました。介護費用の削減を理由に日常の生活能力が低下している高齢者を施設から締め出すもので、審議会では強く反対する意見が相次ぎました。
 特別養護老人ホームは8割が低所得者で、入居者は47万人、要介護1、2の人は5万5,000人と1割以上であります。わずか月々1万数千円の国民年金者の方からすら強権的に介護保険料が強制天引きされ、一方では介護保険を利用させない範囲を拡大するとは、いわば保険契約時の約束を一方的に変えてしまう詐欺行為に等しいではありませんか。全国老人福祉施設協議会からも、軽度者の入所はセーフティーネットの役割を果たしている、重度者に制限することは強く反対するとの意見が出されているのは当然であります。
 知事、このような庶民いじめの政治では、ますます福井県民の暮らしと老後も立ち行かなくなるのではありませんか。無謀な生活保護や介護保険の改悪の中止を国に求めるべきではありませんか。見解をお尋ねをいたします。
 次に、オスプレイ訓練の問題です。
 防衛省は、米軍輸送機オスプレイが10月の滋賀県饗庭野での日米軍事演習に参加するとしています。饗庭野での訓練は日本初の戦時を想定した訓練であり、訓練中は拠点が沖縄県普天間基地から山口県岩国基地へと移され、滋賀県初め西日本全域での訓練が行われる危険性があります。まさに、墜落事故を繰り返し、未亡人製造機とも呼ばれているオスプレイが福井県上空を訓練飛行することは許されません。
 私は先日、滋賀県庁に出向いた際、滋賀県での訓練に参加するオスプレイの飛行ルートを確認にまいりましたけれども、担当課は、防衛省の発表以上は私たちもさっぱりわからないのですと答えるばかりでした。まさに国民主権をないがしろにして、訓練飛行ルートも隠したまま日米軍事演習が若狭湾の原発群のすぐそばで行われることは、県民にとって新たな脅威ではありませんか。
 そこで、知事にお尋ねします。原発からわずか数十キロの地点で計画されている日米軍事演習において、福井県上空、とりわけ原発の上空や近傍が訓練飛行ルートに入るのか否か、防衛省に確認し、対応すべきではありませんか。
 ところで、知事は代表質問への答弁で、「賃金の引き上げはデフレ脱却、好循環のために必要だ」と主張されました。まことに当然であります。
 そこで、福井県職員に実施されている賃下げの問題です。これは時限的に年度末までとして実施されており、県庁職員、教職員、警察職員は、しばらくの辛抱だということで苦難に耐えております。しかし総務大臣は、国家公務員の給与をどうするか検討し、あわせて地方公務員の給与についても検討していくと発言したとのことです。物価上昇の中での消費税大増税は行われる。異例の賃下げ措置が継続されるということでは大変な事態です。そうならないように、知事として強力に国に働きかけるべきではありませんか。また、仮にこのような地方公務員法を無視した安倍政権の暴挙が続くなら、県職員とその家族ら数万人の生活防衛のためにどのような対抗手段を講じるのかも明らかにしておくことが必要です。知事の決意をお尋ねをいたします。
 次に、原子力行政について質問します。
 安倍首相は、IOCの場で国際社会に向かって、汚染水問題の状況はコントロールされている、完全にブロックされているなどと、事実をねじ曲げた発言を行いました。しかし福島第一原発の現状は、コントロールされているどころか、放射能汚染水の現状がどうなっているのかの把握さえなされておりません。全てが東電の発表任せで、政府としての調査すら行われていません。そもそも汚染水の現状はどうなっているのか。何がわかり、何がわかっていないのか。どこに問題と流出の危険があるのかについて、国内外の専門的知見を総結集して調査し、国民に情報を正直に公表すべきです。
 既に東電は、事実上の債務超過に陥り、公的資金で延命させている企業です。そのことによって経営陣や株主、メガバンクの貸し手責任が免罪されています。事故収束、廃炉事業と除染、賠償をまともにやろうとすれば東電の見積もりをはるかに超えることは確実であり、東電は破綻処理をして資産を徹底的に洗い出し、メガバンクに必要な債権放棄をさせるなど、東電と利害関係者に当然の責任を取らせつつ、国民の命と財産、そして農地や海洋を守らせるべきであります。福島原発事故は日本の非常事態であります。民間企業に任せるのではなく、東電を破綻処理し、国が直接に福島第一原発の事故収束と被害への賠償、そして除染に全責任を負う体制の構築が必要です。そのことがオリンピック開催への責任を果たすことにもなるでしょう。
 そこでお尋ねします。原発県の知事として、政府に事故収束宣言の撤回を求め、汚染水対策に総力を挙げるべきだと進言すべきではありませんか、お尋ねをいたします。
 ところで、県は、原発や放射線利用に関する人材育成、共同研究の協力について、国際原子力機関──IAEAと覚書を締結すると発表し、研修生の受け入れ事業も原発の導入を目指す東南アジア中心から中東諸国まで拡大する見通しだとしております。
 安倍政権は、2020年の日本企業のインフラ受注額を現在の約10兆円から3倍の約30兆円に拡大する目標を掲げたインフラシステム輸出戦略をまとめ、成長戦略に盛り込んでおります。エネルギー分野では、2020年の日本企業の海外受注額を推計で9兆円程度と見込み、このうち原子力は現状の約3,000億円の受注金額が2020年までに2兆円に拡大すると見込みました。
 インフラシステム輸出戦略は、原発や高速鉄道など熾烈な競争を勝ち抜くべき個別案件について官民一体で取り組み、政府全体として支援していくとして、原子力協定の締結を進めるなど原発輸出の後押しを強調しているものです。福島原発事故が収束どころか事実上放射能汚染が拡大し続け国民の中に不安が広がっている中で、安倍政権とともに原発輸出を後押しする西川県政は国際的にも批判を受けることになりかねません。安全性も確立されていない、核のごみの処分方法もない中で、IAEAとの覚書締結によって政府の無謀な原発輸出戦略に追随する県政は、改めるべきではありませんか。知事の見解をお尋ねをいたします。
 次に、原子力防災について質問します。
 市民団体が8月に敦賀市で開催した原子力防災の学習会には、主催者の予想を超えて百数十名もの市民が集まり、奈良県へ避難といってもどうして避難するのかなどなど、多くの敦賀市民の方が心配されているとお聞きをいたしました。また、私は先日、滋賀県が開催した福島原発事故の災害対応セミナーに参加をいたしました。滋賀県がこのようなセミナーを開くのは、当然、福井県の原発事故を想定してのことであります。福島県から県庁職員2名、南相馬市役所から2名が来られて、事故後の対応と現状の詳細な報告がありました。たくさん感じることがあったわけでありますが、南相馬市役所の方がこうおっしゃいました。原発事故で小さいお子さんを持つ看護職など約100名の市役所職員がやめた。現在、全国から約40名の派遣支援を受けて頑張っているとおっしゃったことは、机上のプランどおりには行かないことを痛感させられました。原発事故災害の特殊性です。福井県や原発立地自治体の計画では、当然、職員が集まらない、あるいは相次いで退職していくなどの事態は想定されておりません。しかし、そういうことも頭に入れておかなくてはならないのが原発事故災害だということです。
 そこでお尋ねします。福井県は兵庫県、奈良県などへの県外避難を計画しています。そこで、具体的な避難先とルートについて住民への周知と今後の訓練予定について明らかに願います。また、そうなりますと、ますます住民の手元にヨウ素剤を配備しておくという体制が求められることになりますが、その計画についてもお尋ねをいたします。
 また、これまで県は、嶺南地域のオフサイトセンターは相互に活用できるのだと説明してまいりました。しかし、巨大地震、津波の可能性を考慮すれば、嶺北の地域にもオフサイトセンターの設置が求められるのではありませんか。具体的な考え、計画をお尋ねをいたします。
 次に、災害対応について質問します。
 まず、この間の台風や竜巻災害で被災された皆様にお見舞い申し上げますとともに、県庁職員、市役所、町役場、ボランティアの皆さんの取り組みに感謝申し上げます。
 さて、台風18号による今回の嶺南地域の災害は大きいものであり、今後の復旧にかかる事業費などを考えれば、激甚災害指定、災害救助法、被災者生活再建支援法の対象地域となるように全力を挙げなくてはなりません。
 知事は昨日の答弁で、激甚災害指定は規模の大きさによって変わるなどと答えられました。しかし現行制度は、被害規模が自治体内で一定数、割合以上発生することが条件となっており、同じ台風18号被害でも県によって不均衡が起こる可能性があります。したがって、同一要因──今回の場合は台風18号ですが、この同一要因によって引き起こされた被災については、県境や自治体の枠を超えて判断して救済するよう柔軟な運用を強く国に求めるべきです。今回の台風18号の被害については、その要因と期日を指定しての局地激甚災害、いわゆる局激に指定を求めるべきではありませんか。県の取り組みと見通しをお尋ねをいたします。
 そして、台風18号被害の今後の対応として直ちに手を打つ必要があるのは、二次災害、再度災害の防止対策と収穫期を迎えた農産物被害対策です。そこで、地すべり危険箇所の総点検と対策及び河川が土砂などで埋まり河床が上昇している河川のしゅんせつ計画をお尋ねをいたします。
 刈り入れ期のコシヒカリや刈り入れ目前のあきさかりなどにも大きな被害が出ています。小浜市では、泥水で冠水した稲の刈り取りでコンバインが故障する、そしてそれを米にしても玄米の変色があって、これでは作業も困難だし、米も変色があるようでは等級外となって売れない、収入にならない、そういう悲惨な状況であります。こういう地域は、いわば遊水池機能を発揮して人家と人命を守る役割を田んぼが果たしたわけです。農業共済などのあらゆる手段を講じつつ、不足する分は県としての財政支援措置を講じるべきではありませんか。明確な答弁をお願いいたします。
 さて一方、今回の災害で床上浸水被害などが福井豪雨の福井市中心部などと比べて比較的抑えられた要因には、今も申し上げましたように田んぼなどが自然のダム効果、遊水池効果を発揮したことがあると思います。この間の福井市内での内水氾濫や台風18号での小浜市、若狭町の被害は、河川ダムをつくれば防げるものではありません。福井市内の内水氾濫も足羽川ダムで防げるものではありません。したがって総合的な治水対策が必要になるわけです。
 そこで心配されるのは、今後、足羽川ダムや河内川ダムなど一部の効果しか発揮しない治水ダムに建設費用がかさめば、そのあたりの総合的な治水対策予算が十分に手当できないおそれが出てくることです。時代に合った公共事業が必要ではありませんか。今の時代は、いわば市街地を直接襲うゲリラ豪雨と呼ばれる現象が多発しています。全面的な治水効果発揮には10年先か20年先かわからない足羽川ダムに数百億円もの県費を投じるよりは、今後も県内各地に頻発するであろう内水氾濫対策にこそ優先的に予算を配分していくべきではありませんか。
 先日の福井市内の氾濫でも、湊地域やみのり、木田地域、春山地域などなど多くの市民の皆さんから、毎回毎回ちょっと短時間でも集中的な雨が降れば床上ぎりぎりまで水がついたり、また腰近くまで水が来たりして子供の登下校も心配になる。何十年も言い続けてきた。いいかげんに何とかしてほしいと、そういう苦言をたくさんいただきました。県は福井市任せではだめではないですか。その福井市も、福井県からいただいた資料では、この間の治水対策の効果は検証していないというお粗末さであります。
 そこでお尋ねします。仮に今回小浜市に降った24時間で384ミリという雨が福井市に降ったと想定した場合、床上浸水などの被害想定はどうなるのか、お尋ねをいたします。
 知事、頻発する県民の危険にこそ県行政は対応すべきではないですか。とりわけ人口集中地域、学校と子供の通学路に当たる地域での年限を区切った対策を講じるべきと考えますが、見解をお尋ねをいたします。
 最後に、福井県警察の情報漏えい事件について質問します。
 この事件について、8月27日に開催された緊急次席・副署長等会議において当時の冨田本部長が訓示を行い、「警察が保有する情報が漏えいされ、それが事もあろうに我々が毅然として対峙しなければならない暴力団関係者に渡った。その結果、恐喝事件の被害者方に暴力団関係者が押しかける事態を招いた重大な事案となった。さらに、平成19年当時、監察部門で把握しながら、その後、組織的な情報共有がなされていませんでした」とし、「捜査協力者、OBを含む部外者に警察が保有する情報を提供することは犯罪だ」と強調しております。
 今、全国的にも警察官による不祥事案が多発しています。今回の事件も、いわばベテラン警察官によるものであるだけに、組織的な問題がなかったかどうかの検証も求められます。つまり、協力者との関係性の中での行為であったこと。また、市民からの情報を得ながら本人からの事情聴取も行わないという不自然で不十分な調査であったこと。そして、このような不十分な内部調査結果が当時の県警本部長に至る各段階でチェック機能が働かず、すり抜けたことであります。
 当該警察官は、この事件の1件だけの交通違反事故照会をたまたま出来心で行い情報漏えいしたのではなく、日常的に行っていた可能性も否定し切れません。また、協力者が暴力団周辺人物であることを承知で情報収集対象者としていたのであり、漏えいした情報が暴力団に流れる危険性も、ベテラン警察官であれば十分認識できていたはずであります。また、当時の監察による調査も、金融機関の取引状況を照会し、不自然な金の入金はなく、かつ尾行を行って本人の行動を調べたが事件に結びつくものは見つけることができなかったとしています。しかし、何より恐喝事件の被害者データにアクセスした警察官はただ一人だけだったことを見れば、ずさんと言わざるを得ません。今回の事件は警察官個人の不祥事ではなく、組織的不祥事であることが重大です。
 そこでお尋ねします。全国でも情報漏えい事件が起こっておりますが、その教訓がこれまで県警の活動にどのように反映されてきたのか。また、今回のように県警の全ての段階をすり抜けてしまった点で、身内に甘いとの批判もありますけれども、問題点と改善策をお尋ねします。
 以上で質問を終わります。

◯議長(笹岡一彦君) 知事西川君。
    〔知事西川一誠君登壇〕

◯知事(西川一誠君) 佐藤議員の一般質問にお答えをいたします。
 まず、安倍政権の政治の進め方と県民生活への関係であります。
 生活保護あるいは介護保険の制度見直しについて、県民の暮らしに打撃を与えるのではないか。中止を国に求めるべきではないかという御質問です。
 今回の生活保護基準の見直しは、低所得世帯の消費実態との均衡を図るため、5年ごとに国が実施する検証に基づき、年齢、世帯人員、地域差の調整と平成20年以降の物価動向を考えて国が最低限度の生活を保障する基準として定めたものであり、この8月から適用がされております。また介護保険制度については、今後、高齢化が進展していく中で、制度の持続性を高めるために介護サービスの重点化を図り国民負担の増大を抑制することを目的として見直しが進められております。
 御指摘がありました特養老人ホームの入所者を要介護2ではなくて3以上に限定する見直しは、介護を必要とする高齢者が増加する中、本当に入所が必要な者が適切なサービスを受けられるようにするために検討が行われているものであります。もちろん介護の認定そのものの適切さも重要であります。今後、充実した社会保障制度を将来世代にも伝えていくためには、一方で低所得者の負担軽減を図りながら給付の見直しを行うことは一つの方向性でありますが、国は地方と十分に協議をし、我々地方の理解を得た上でこういう問題を進めることが重要だと考えます。
 次に、地方公務員の給与削減を継続しないよう強力に国に働きかけるべきではないかとの御質問です。
 地方公務員給与の削減につきましては、本年4月に地方6団体が新藤総務大臣に対し要請を行った際に、今回の国の措置が今年度に限っての臨時、異例の措置であることを確認しております。7月には、全国知事会として、地方交付税の一方的な削減や給与の引き下げ要請は今回限りとし、二度と行わないよう国に強く求めているところであります。さらに、8月28日に福井県など13県のふるさと知事で構成する知事ネットワーク提言の際にも、新藤総務大臣に対し直接強く要請しているところであります。また8月の人事院勧告では、来年度の国家公務員給与の取り扱いでありますが、民間準拠による適切な給与を確保するよう内閣府に要請しております。
 国に対しては、引き続き、全国知事会など地方6団体なども通し、地方の行革努力の評価も含め、このような一方的な措置は二度となされないよう強く求めていきたいと考えます。
 次に、原子力行政についてであります。
 立地県の知事として、福島原子力発電所のいわゆる事故収束宣言について政府にその撤回を求め、汚染水対策に総力を挙げるよう進言すべきではないかということであります。
 福島第一原発の現状については、汚染水の影響は港湾内にとどまっており、外洋については基準濃度をはるかに下回り、継続的な上昇傾向も認められない状況とされておりますが、その一方で、汚染水の港湾内への流出や敷地内タンクからの漏えい等のトラブルについての対応が急務であります。国においては、福島第一原発の現状や収束に向けた国への取り組みとその見通しについて、国民に向かって直接しっかりと説明をし、理解を得る必要がある事柄であると考えます。
 次に、IAEAとの覚書締結によって政府の原発輸出に追随するといいますか、そういう県政ではないのかという御質問です。
 今世界のエネルギー情勢等を見ますと、経済成長が著しい東南アジアや、あるいは中東の新興国は、増加する電力需要に対応するためさまざまな努力をする中で、原子力発電の導入といいますか、こういうことを検討している動きにあります。こういう世界情勢において原子力発電を安全に整備、運用していくためには、原子力安全を支える人材が喫緊の課題であります。これらの国々に福島原発事故の教訓を初め原子力と地域とのかかわりにおける原子力安全の大切さをまずもってしっかり伝えることが、原子力先進地である福井県の重要な役割であると考えているものであります。
 その他については、関係部長から御答弁します。

◯議長(笹岡一彦君) 政策幹森近君。
    〔政策幹森近悦治君登壇〕

◯政策幹(森近悦治君) 私からは災害対策についてお答えいたします。
 台風18号の被害につきまして、その要因、期日等を指定する局地激甚災害への指定を求めるべきではないかというお尋ねでございます。
 激甚災害の指定につきましては、近年の台風等の被害では国も期日、期間を定めて、また関連する複数の県、市町を含めて指定しておりまして、今回の災害においても同様の措置がとられるものと考えております。
 今月18日に西村内閣副大臣が災害視察のために来県された際、副知事から激甚災害に早期に指定されるよう国に対して要望しており、現在、指定の判断に必要となる災害復旧見込み額の調査、精査を行っているところでございます。今後、国土交通省等の各所管官庁におきまして災害見込み額を精査し、最終的には内閣府が激甚災害の指定を決定する見通しと考えております。

◯議長(笹岡一彦君) 安全環境部長櫻本君。
    〔安全環境部長櫻本 宏君登壇〕

◯安全環境部長(櫻本 宏君) 私から3点お答え申し上げます。
 まず、安倍政権の暴走と県民生活について。日米軍事演習について、本県上空、とりわけ原子力発電所の上空や近傍がオスプレイの訓練飛行ルートに入るのか、防衛省に確認し対応すべきではないかとのお尋ねでございます。
 今回の日米軍事演習におきまして防衛省に確認をいたしましたところ、オスプレイの訓練日時は10月16日を予定しておりますが、その飛行ルートについては、米国の軍事行動であるため防衛省においても不明であるとのことでございました。このため、原子力発電所の安全をつかさどります原子力規制庁の見解を確認いたしましたところ、原子力施設上空の航空機の飛行につきましては、民間航空機は運輸省、また自衛隊機は防衛省がそれぞれ通達を出しており、飛行規制を行っているところでございまして、これら通達の趣旨につきましては防衛庁及び外務省を通じ米軍に対し伝達されているものと承知しているとのことでございました。県としては、引き続き国からの情報収集に努めてまいりたいと考えております。
 次に、原子力行政につきまして。原子力防災について、県は兵庫県、奈良県などへの県外避難を計画しているが、具体的な避難先、ルートについて住民への周知と今後の訓練予定を伺うとのお尋ねでございます。
 県外への広域避難先につきましては、兵庫県、奈良県、石川県と協議を行い、それぞれで避難先となる市町を定め、現在、具体的な避難の施設等について調整を進めているところでございます。避難のルートや避難手段など引き続き国が前面に立って解決すべき課題が残されておりますことから、国は昨年12月に、国、福井県、京都府、滋賀県、岐阜県から成る広域的な地域防災に関する協議会を設置したところでございまして、現在その下のワーキンググループ及び検討チームにおいて具体的な協議を進めているところでございます。県としては、国に対し、ワーキンググループ等における議論を加速するよう求めていきますとともに、引き続き関係県との調整を進め、避難計画をより実効性のあるものにしてまいりたいと考えております。
 今後、段階的に避難の対象範囲を広げながら、住民が参加した実動訓練などさまざまな形態の原子力防災訓練を実施するとともに、市町と連携し、広報や研修等を通して住民に避難先や避難方法を十分に理解していただくよう努めてまいります。
 次に、県は嶺南地域のオフサイトセンターは相互に活用できると説明してきたが、巨大地震や津波の可能性を考慮すれば嶺北地域にもオフサイトセンターの設置が必要であるが、具体的な計画はどうかというお尋ねでございます。
 本県では、嶺南地域において敦賀、美浜、大飯、高浜の4カ所のオフサイトセンターを設置しているところでございまして、万が一の際には相互に代替機能として役割を果たすことが可能と考えております。しかしながら、こうした原子力防災センター──オフサイトセンターが機能不全になった場合のバックアップが必要でございまして、このことにつきましては既に本年度の当初予算におきまして調査、設計予算を措置しているところでございまして、現在、具体的な検討を行っているところでございます。
 以上です。

◯議長(笹岡一彦君) 健康福祉部長田端君。
    〔健康福祉部長田端浩之君登壇〕

◯健康福祉部長(田端浩之君) 原子力防災に関しまして、住民にヨウ素剤を配置しておく体制が求められるが、その計画について伺うというお尋ねでございます。
 国は指針等で安定ヨウ素剤の事前配布の方針を示したわけでございますが、具体的な配布条件の記載が不十分であるなど、現場であります我々地方の声を十分聞いておりません。例えば、説明会に家族全員が出席し個々に受領すること。あるいは転入、転出がある中で対象となる住民にどのように配布し保管してもらうか。また、副作用が出た場合にどうするのかというような課題がございます。これまで関係市町などと事前配布につきまして協議してきておりますが、このような課題がある中で地元の市町に実施を求められても対応が困難との意見が出ているわけでございます。
 このため、県におきましては、先月、原子力規制庁に対しまして、世帯代表者への配布の可否、あるいは5キロ圏外におけます備蓄場所ごとの備蓄量の算定方法や保管方法、副作用発生時の責任の所在や救済方法などにつきまして明確に示すように求めたわけでございます。
 今後、国の回答を待ち、関係市町とさらなる協議を重ね、安定ヨウ素剤の事前配布など緊急時において迅速に服用できる体制を整備してまいります。

◯議長(笹岡一彦君) 農林水産部長中村君。
    〔農林水産部長中村保博君登壇〕

◯農林水産部長(中村保博君) 私からは災害対策につきまして、とりわけ農産物被害対策について、共済などあらゆる手段を講じて、また不足分は県が財政支援措置を講じるべきではないかというお尋ねでございます。
 今回の台風18号によります農作物への影響につきましては、水稲、それから大豆などが283ヘクタール冠水をいたしました。主に水稲でございます。現在、条件の改善した圃場から順次刈り取りが行われております。水稲は特にあきさかりが中心でございます。水稲の減収量はまだ確定はしておりませんが、全ての農業者が農業共済に加入しております。被害による減収量に応じまして共済金が支払われるということになっております。ただ県では、被災農家に対する共済金の支払い、これが一日でも早く行われるよう国に要請したところでございます。
 また、農業機械が直接水をかぶったこともございますし、刈り取りの中で土を含んだ稲を刈りますので機械が傷むということもございます。そういう農業機械の修理などにつきまして資金が必要となるという場合がございますので、そういう農業者に対しましては低利の融資制度の利用を働きかけるなど、いろいろな面から支援をしてまいる所存でございます。

◯議長(笹岡一彦君) 土木部長幸道君。
    〔土木部長幸道隆治君登壇〕

◯土木部長(幸道隆治君) 私のほうからは、災害対策について3点お答えいたします。
 まず1点目、地すべり危険箇所の総点検と対策、河床が上昇している河川のしゅんせつ計画についてのお尋ねでございます。
 今回の被害把握のため、17日から嶺南地域を対象に土砂災害専門家とともにヘリコプターによる広域調査を実施しまして、小浜市忠野、若狭町海山、美浜町丹生などについて現地の調査を行っているところであります。
 現在、二次災害発生の危険性のある箇所には大型土のうを準備するとともに、ワイヤーセンサーによる土砂移動の監視を行っております。さらに、専門家の意見を聞きながら国とも協議し、再度災害防止のための砂防堰堤設置などの対策を検討しております。
 河川につきましても、今回の出水を受け、土砂の堆積状況の調査を野木川など嶺南の被災した河川から全域的に開始しております。この調査結果をもとに、氾濫した場合に被害が大きいと予想される箇所で土砂の堆積割合が大きいものからしゅんせつを行ってまいります。
 続きまして、2点目でございます。今回の小浜市の雨が福井市に降ったと想定した場合、床上浸水などの被害想定についてというお尋ねでございます。
 水のつき方は、一般的にですが、雨が1時間にどの程度の強さで降るのか、また連続してどれだけ降るのか、さらには流域の地形や土地の利用の状況によって大きく異なります。このため、今回の小浜市での降雨が福井市一円に降った場合どのような被害が発生するのかと想定することは余り意味がないと考えてございます。
 3点目でございます。内水氾濫対策につきましては、人口集中地域や学校、通学路に当たる地域におきまして年限を区切った対策を講じるべきではないかとお尋ねでございます。
 道路の側溝や都市部の排水路などの施設から水があふれ冠水する内水氾濫の対策につきましては、その施設管理者が行うべきでものであると考えます。
 県では、福井市内の底喰川、江端川など8河川におきまして、平成25年度は昨年度の補正予算と合わせ約13億円で河川改修を進めてございます。一方、福井市では、内水氾濫が頻発する木田、みのり地区等におきまして平成25年度は約5億円で、下水道事業として浸水対策を行っております。このように、福井市内における浸水対策は県と市がそれぞれ役割分担をしながら進めているところでございます。
 以上でございます。

◯議長(笹岡一彦君) 警察本部長野村君。
    〔警察本部長野村 護君登壇〕

◯警察本部長(野村 護君) 全国で発生した情報漏えい事案の教訓を県警察の活動にどのように反映してきたのか、及び今般の情報漏えい事案の問題点、改善策についてお答えいたします。
 まず県警察では、全国での情報漏えい事案を踏まえ、これまで職場教養の場や教養資料などの発行を通じて、警察OBを含む部外者との接触のあり方や情報管理の徹底について指導してきたところであります。また、平成22年4月からは全国に先駆け、不正照会の排除、照会履歴確認の迅速化、効率化を図ることを目的とした照会履歴確認システムの運用を開始し、不正照会の防止に努めてきたところであります。
 こうした中で、今般の情報漏えい事案が発生しましたことは、当該職員の資質に加え、情報管理の重要性及び情報収集のあり方に関する指導、教養が不十分であったこと、また、監察部門における重要未処理案件の確実な引き継ぎがなされなかったことが問題点として考えられるところであります。
 こうした問題点を踏まえ、適法、妥当な情報収集、照会履歴確認システムの確実な運用、監察部門における適切な業務管理の3点を柱とする改善策の徹底を図り、同種事案の再発防止に努めてまいります。

◯議長(笹岡一彦君) 佐藤君に申し上げます。発言時間が残り少なくなっておりますので、簡潔に願います。
  佐藤君。

◯7番(佐藤正雄君) 知事に1点、中村農水部長に1点。
 知事にお尋ねしたいのは、福島事故の事故収束宣言を福島知事とか福島県議会は撤回せよと求めているのだけれども、福井県知事としても事故収束宣言の撤回を求めたらいかがかと聞いたので、それに明確に答弁してください。
 中村農水部長、減収量に応じて共済金が支払われるとおっしゃったけれども、今現地では刈れないと、機械も壊れるし刈れないという状況で、そういう場合に減収量に応じてといってもなかなか現場に合わない面もあると思うので、現場に応じた対応をきちんとしていただけるのかどうか、1点。
 この2点、お願いします。

◯議長(笹岡一彦君) 知事西川君。

◯知事(西川一誠君) 福島県で求めているかどうかは、ちょっと事実認識が違われるかもしれません。
 それから、我々は、国がしっかりそういう対応をとって国民にその経過と安全性の方向性を示すべきだということを申し上げているということであります。

◯議長(笹岡一彦君) 農林水産部長中村君。

◯農林水産部長(中村保博君) 減収量といいますのは、平年の収量がベースでして、刈れないということであればこれは全損という形になりますので、それの7割まで補填するというルールになります。御指摘のように、その土地、その土地で異なっておりますので、現場を詳しく見せていただいて一緒に検討させていただきたいと思います。


現代版治安維持法の強行は許されない!保育、農民連が議会請願。原発自治体財政の勉強会

2013年11月26日 | Weblog
 稀代の悪法、現代版の治安維持法、秘密保護法を8割の国民の反対を無視して、安倍政権は強行する姿勢です。断固抗議します!

 朝日新聞は「安倍政権は25日、衆院で審議中の特定秘密保護法案について、26日の採決に反対していた日本維新の会が賛成しない場合でも、与党とみんなの党だけで衆院国家安全保障特別委員会と本会議で採決を強行する方針を固めた。自民、公明両与党と維新、みんなの4党が共同でまとめた修正法案が26日に衆院を通過する見通しとなった。複数の政権幹部が明らかにした。
」と報道しています。

 静岡県知事もきびしく批判しています。

■産経・・・静岡県の川勝平太知事は25日の記者会見で、特定秘密保護法案について、秘密の範囲が広く公務員以外も処罰対象となっていることを批判し「悪法。米国に比べても行き過ぎている。権力を強めようとする姿勢が顕著で拙速だ」と述べた。

 川勝知事は「情報の所有者は国民であるべきで、権力者はどこに主権があるのか見失うべきでない」と主張。「都合が悪いと政治家が判断し、その情報が廃棄されれば永久に葬られる可能性がある。基本的に誤っている」と語り、安倍政権に対し慎重に議論を進めるよう求めた。・・・・



         ★

 昨日は、朝の街頭宣伝を金元書記長らとおこなった後、保育団体や農民団体の方々の県議会請願行動に同席しました。
 保育園関係者の皆さんからは新制度への疑問もだされ、待機児童の解消や公的保育を守り抜いてほしい、との要望がだされました。また、審議する議会の委員会で意見陳述をさせてほしい、との要望もだされました。
 農民連からは、TPPや政府が唐突に打ち出してきた補助金削減問題での請願がだされ、「このような手法では、これまで政府の方針にそって規模拡大をしてきた農家が大きな打撃をうける」との切実な声がだされました。
 現場のみなさんの切実な要望が採択され、政府に県民の声としてとどくようにガンバリマス。

 夜は、原発立地自治体の財政問題を研究されている立命館大学の森裕之・政策科学部教授ら3名からこの間、調査してきたおおい町の調査内容の報告をお聞きしました。自治体労働者や議員らが参加して、熱心に質疑応答がおこなわれました。
 調査内容では、「おおい町を調査したが、立派な箱ものは多いが、町民からは『私たちは豊かではない』との声も聞かれた」「今後については、廃炉交付金などの新設がもとめられるが、それで大型事業をやるのではまた同じことになる」との指摘がだされました。
 

 森先生らの論文はまとめで次のように指摘しています。


「おおい町の財政分析で明らかとなったのは、多額の原発関連収入が公共事業を誘発し、それを様々な施設整備へ振り向けていくことによって、それらの維持管理にさらに多くの財政が支出されざるをえなくなっている状況であった。これらの公共事業は町単独のものが多く、立地した原発関連の事業は少なかった。原発関連の発注事業は道路工事を含めてほとんどが大手業者の仕事となり、地元業者への恩恵はほとんどなかった 。それに対する地元からの不満や工事に対する要望は当然大きくなり、それを補償するように町による公共事業が実施されていった。そのため、後年度の維持管理等の経常的な支出の負担も町が担う。本稿では物件費に着目したが、それ以外にも維持補修費、繰出金、出資金、貸付金など様々なかたちで施設や外郭団体の運営が支えられている構図は同じである。
 これらの負担は現在のところ電源三法交付金のような異常な財政制度によって支えられている。しかし、自治体が脱原発の方向へ進もうとすれば、それらの経常経費の負担に対してどのように対処していくべきかが重要な課題として直ちに立ち現われる。この問題は、これらの事業を担っている職員や関連企業で働く従業員にも直接影響するものでもある。その負担が将来的にどの程度のものとして推移するのかは即断できないが、かりに脱原発へと進むのであれば、これらの経常経費に対する一定期間の財源措置は不可欠であろう。さらには、地域雇用・所得と住民福祉の向上という自治体共通の課題は今後も追求されなければならないといえる。その際には、嶺南地域での原発主導型地域開発を率先した県の果たすべき責任と役割も大きい。」