前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

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福井県教委の「暴力・暴言」アンケートに問題はないか

2014年01月14日 | Weblog
昨日は教育関係の懇談会や、共産党の新年会、会議などがつづきました。
 教育関係の懇談会では、元教師の南部先生から「県教委による、教職員の児童生徒に対する指導状況に関する報告について」と題して、県教育委員会が昨年末から今年にかけて生徒に対しても実施されたアンケートについての問題点が指摘されました。

 これは、生徒本人がうけた「暴力、暴言」、およびほかの生徒がうけた暴力・暴言について、日時や内容、教師の名前などを詳細に報告させるものとなっています。

 このアンケートがどの範囲でおこなわれているのかは調査する必要がありますが、暴力根絶は当然として、このような一方的な「内部告発奨励型」の機械的な手法でおこなえば、担任や教科、部活動などでの先生と生徒の間の信頼関係をそこなうことにもなりかねません。そして、教育委員会の教員の管理強化のためだけにアンケート結果やデータが「一人歩き」して活用されることになれば、今でも「過重労働で精神的、肉体的なストレス過多」となっている教職員の現場がますます荒むことになる懸念もあります。

 

 今回の問題とは違うが、昨年3月の教育関係の常任委員会審議で、生徒が教師の授業を評価するシステムについて議論を交わした。


◯佐藤委員  生徒が評価することになるわけであるが、これまではある意味では、その学級のテストの点数とか、まとまりぐあいとか、いろいろな形での一つの評価があったと思う。例えば、あの担任の先生のクラスは極端に平均点が悪いので、問題があるのではないかという見方があったと思うが、今回、生徒が教員を評価するシステムを取り入れると、変な言い方であるが、先生と生徒との信頼関係に混乱が生じる懸念はないか。

◯高校教育課長  生徒にもアンケートの結果は返すが、生徒への返し方のところで混乱がないようにしたいと思っているし、委員が言われたように、今までは、模擬試験、あるいは中間・期末試験の点数など、点数だけの評価だったわけであるが、それに加えて、授業に対してのアンケートをすることによって、総合的に指導力を高めていきたい。ただ、点数だけでなくて、その授業が楽しい授業になっているかとか、生徒が興味、関心を引きつけるような授業になっているかというところでの指導力向上を考えていきたいと思っている。

◯佐藤委員  ちょっとわかりにくい。そうは言うものの、教育委員会の方向としては全国学力ナンバー1など、いろいろな数値目標を出したりしているわけだから、結局、そういうことに活用されていることになると、これも以前、議会でも取り上げたけれども、今、ただでさえいろいろなストレスで病気になる教員がふえているのに、さらにそれに輪をかけて、現場の教員に対するプレッシャーになりはしないか。平たくいえば、これまでは、教育委員会というか、上からプレッシャーがあったが、今度はまた下からもプレッシャーがあると、ダブルで一層ストレスになるのではないかとの懸念を持つのである。その辺の活用法を慎重にやらないと、大変なことになるのではないかと思うが、どうか。

◯企画幹(学校教育)  このアンケートについては、基本的には評価の観点よりも、授業改善の観点でやっていこうと考えている。であるから、例えば板書の仕方とか、授業の進度が速いとか遅いとか、また内容が自分たちに合っているとか、合ってないとか、クラスによって、また生徒の集団によって、授業のやり方は変えていかなければならない。そのために、各先生方が子供たちの意見を聞くことによって、自分の授業を振り返りながら授業改善に資することがあくまでも目的であって、生徒が先生を評価するとか、そういう趣旨でやっているものではない。もちろん、各先生方、また各学校にその趣旨をよく説明して、この制度をやっていきたいと考えている。

◯佐藤委員  それならば、この授業評価制度というネーミングそのものがどうかと思うのである。私はこういう仕事をしていると、きょうの私の話はどうであったかと聞いたりして、批判があれば、それでやめたということも大いにあるわけである。多分、そういうイメージだと思うのだが、それであれば、もう少し簡便に、よかった点、悪かった点、もっとこういう改善をしてほしいなどとするのならともかく、こういう評価制度という形で一律に出されると、どうなのかと思う。実際、現物はまだこれからつくるのかもしれないが、どういう内容で出されるのかもあるので、その辺は慎重にお願いしたいと思うがいかがか。

◯企画幹(学校教育)  今、委員が言われた趣旨を各学校にきちんと説明して、この制度を進めていきたいと考えている。・・・・・・


 つらつら考えるに、このようなアンケートで教師・生徒間を輪切りにすることで教育現場には隙間風が吹くのではないか。

 福井県政としていまこそやるべきは、新幹線建設や原発再稼働についてなど重要課題でこそ、大規模な県民アンケートをおこない、県政にいかすことではないか。

 福井県庁は、一度たりともこのような重要課題で県民アンケートを実施していないのではないか。
よく、「選挙で選ばれた知事と県会議員で決めるのだから問題ない」と言われるが、選挙は新幹線や原発だけで投票しているわけではなく、「支持している政党の人だから」「地元地域の人だから」などの政策以外の要素も大きく影響してしていることは明らかでしょう。
 「選挙で選ばれた知事や議会だから県民の意見を聞かなくてもいい」とはならないのである。
 
 いま求められているのは、教師の行動に「監視網」をつくる行政ではなく、知事や議会の政策内容が県民ニーズにかみあっているのか、県民の目による総点検でしょう。