前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

前福井県議会議員・さとう正雄の活動日誌。ご意見・情報は smmasao.sato@gmail.com までお願いします。

論文 [原発ゼロ実現へ]――原発再稼働・輸出の先陣きる福井県政、「安全神話」復活を許さない

2014年01月03日 | Weblog
 おはようございます。

福井市内のみなさんには、今朝の新聞折込でわたしの12月議会報告をお届けしました。
ぜひ、お読みいただき、ご意見や、「こういう問題も取り上げてほしい」などご要望もお気軽にお寄せください。また、福井市外の方でご希望の方はお名前、住所、郵便番号とその旨を明記してメールをいただければ郵送いたします。お気軽にどうぞ。

 メールは  mmasao.sato@gmail.com  です。


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 昨年末に雑誌に発表した論考を紹介します。こちらにもご意見・ご感想などお気軽にお寄せください。


■[原発ゼロ実現へ]――再稼働・輸出の先陣きる県政、「安全神話」復活を許さない


 1 原発推進の先陣きる県・電力事業者の策動を調査・論戦で追及

 福井県(西川一誠知事)は昨年七月、国民的な抗議行動のなかで、当時の野田民主党政権とともに大飯原発3、4号機(おおい町)の再稼働を認めました。「免震棟」なども未整備のまま、新たな原子力防災計画もないなかで、仮に福島原発事故と同じような規模の原発事故がおこったら、事実上、住民避難など対応できないままでの暴挙でした。
 いま福井県は、関西電力とともに、「大飯原発3、4号機の再稼働で、安全性は確認された」として、ふたたび、大飯原発(九月十五日以降、定期点検のため停止中)、高浜原発(高浜町)の再稼働をすすめようとしています。
 また、これまでベトナムなどアジア諸国から福井県への研修生を受け入れて、原発の運転技術や原子力の宣伝手法の研修をおこなってきましたが、十月七日に、国際的な原発推進機関であるIAEAと「覚書」をむすび、さらに中東地域もふくめて研修生などを受け入れる計画です。
 まさに、安倍政権がすすめる、「原発再稼働」と「原発輸出」という二本柱の先陣をきっている、というのが福井県政の実態です。全国で最大の原発集中地であり、関西電力、日本原電、原子力機構の三つの電力事業者が再稼働をはげしく策動しています。
 日本共産党は、昨年来、福井市での志位委員長の記者会見と演説会はじめ、国会議員団による調査活動、県議会、各市町議会での論戦を、県民のみなさんの原発ゼロめざす運動と連携しながらすすめてきました。「再稼働反対」、「原発輸出に協力するな」、「福島事故をふまえた原子力防災体制の確立、ヨウ素剤の全県民配備を」などをかかげて、攻勢的にたたかっています。

 
 マスコミも注目、大きな力となった昨年の志位委員長演説会と記者会見

 日本共産党は、昨年の大飯原発3、4号機再稼働にさいして、県議会では私が、地元おおい町では猿橋巧町議が、再稼働反対の論陣をはりました。原発問題住民運動福井県連絡会や市民グループのみなさんによる連日の県庁前行動や、おおい町訪問対話行動、行政・議員への要請行動などが展開されました。
 そのたたかいのなかで、昨年五月十三日に、志位委員長を迎えた演説会と記者会見が福井市文化会館で開催され、県民、マスコミからも大きな注目を集めました。演説会では、原発が集中する若狭地域の無党派の方も、「原発問題で市民の目線で気持ちを共有してくれたのは共産党。共産党とともに国民の声が届く社会へがんばる」と、応援演説をおこないました。
 志位委員長は、演説会、記者会見で、「原発の再稼働の押しつけには、一片の道理も、科学的知見のかけらもない」ことを、以下のように指摘しました。
 第一に、福島原発事故の原因究明は始まったばかりであって、究明にはほど遠いということです。原子炉の実態すらわかっていません。地震動による被害もわかっていません。
 第二に、政府が必要だとした、とりあえずの三十項目の「安全対策」なるものさえ、とられていないということです。たとえば、「重要免震棟」は、事故のさいにきわめて重要な役割を果たす施設ですが、大飯原発の場合、「三年以内でつくる」という「計画」しかない。それで再稼働のゴーサインというのは無謀きわまりないものです。
 第三に、東日本大地震は、地震と津波の学問的知見の根底からの見直しを迫るものとなりましたが、その議論は始まったばかりだということです。たとえば、敦賀原発では、原子炉建屋直下の「破砕帯」が活断層であるということが最近わかりました。大飯原発では、すぐ近くの三つの活断層が連動した場合に、「想定」されている最大のゆれを上回ることが、電力会社自身によってあきらかになっています。
 第四に、原発事故が起こった場合の放射能被害の予測、住民避難の計画すら立てられていません。放射能被害の予測がされていないから、住民避難計画も立てられない。事故が起きてもまったく対処ができません。
 第五に、まともな原子力規制機関がつくられておらず、つくられるめどさえたっていません。原子力安全委員会、原子力安全・保安院にたいする国民の信頼は失墜しているわけですが、それに代わるまともな規制機関をつくるめどすらたっていません。
 そして、「この五点を見ても、無謀な再稼働の押しつけを中止することを強く求めます」と明快に語り、マスコミでも大きく報道されました。
 この演説会が、党と県民にとって再稼働反対のたたかいの大きな励ましともなり、参加された無党派の方がたの党への信頼を高めました。なにより志位委員長が指摘した問題点は、基本的に今日に至るも解決されていません(なお、原子力規制委員会は、一二年九月十六日に発足)。


 党国会議員団の現地調査で再稼働計画の無謀さが浮き彫りに

 そして、ふたたび再稼働が計画されている状況のなか、今年十月には、井上さとし参院議員が大飯原発の安全対策と活断層調査に、また、宮本たけし衆院議員が高速増殖炉「もんじゅ」(敦賀市)の調査に入りました。
 大飯原発では、立石雅昭・新潟大学名誉教授ら科学者メンバーが海岸での調査活動をおこない、新たな活断層を確認しました。この専門家の調査結果をうけて、井上参議院議員らが調査に入りました。
 井上議員は、破砕帯の調査や「新基準」にもとづく安全対策の概要について説明を受けた後、破砕帯調査のためのトレンチや台場浜の露頭などを見て回り、質疑応答もおこないました。このなかで、F‐6破砕帯について当初と説明が変わったことについては、「納得のいく説明が得られなかった」、また、台場浜の露頭について、関電は地すべりだと主張しているが専門家からは活断層だという指摘がされていることについて、「現場をみてさらに調査が必要だと感じた」と指摘しました。
 そして、井上議員は、「関電は、大飯原発の安全性が確保されたかのように宣伝して再稼働に前のめりになっていますが、調査は尽くされておらず、再稼働への安全審査申請は撤回すべき」、「そもそも断層の巣ともいえる若狭湾周辺への立地そのものが根本から問われていると痛感した調査でした」とのべています。
 「もんじゅ」の調査では、配管について原子力機構側が「熱で配管がのびたりするのを吸収するために、蛇腹になっている」と説明したのにたいし、視察団は二次系配管を流れる液体ナトリウムが弱い蛇腹のところから漏れれば、コンクリートと反応し、以前のナトリウム火災事故の再来となりかねないという問題点を指摘しました。また、建屋と山際の間にある破砕帯に断層粘土を確認しました。宮本議員は、「運転しなくても年間百九十五億円もかかるのは、とても国民は納得しない。自民党議員からも、もうやめた方がいい、との声があがっている」と話しました。
 日本共産党国会議員団の調査で、再稼働をめざす原発の危険性がいっそうあきらかになりました。

 党と無党派のみなさんとのたたかいの共同と発展

 県民の間では、福井県の原発推進県政の転換をもとめるねばり強い行動が、毎週金曜の福井県庁・関西電力前行動、毎月十一日の市民行進などのかたちで続いています。この行動には、県委員長、書記長はじめ党幹部先頭に参加しています。もちろん私も、都合がつく限り参加しています。
 今年の「3・11メモリアルアクション」は、福井市で開催され、「原発ゼロ」の一点での願いがひろがり、千二百人が参加しました。
 また、大飯4号機が定期検査に入り、ふたたび原発稼働ゼロの日本となった九月十五日には、京都や滋賀などからの参加者もふくめ八百人が県庁近くの福井県庁横の福井市中央公園に集まり、「再稼働反対」を訴えました。この集会には、井上参院議員も参加し、連帯あいさつをおこないました。私も県政の実態をスピーチしました。
 このように、無党派のみなさんとともに、原発問題住民運動福井県連絡会(私も代表委員の一人)、日本共産党が協力共同をすすめ、原発ゼロめざすとりくみを発展させてきました。
 さらに、昨年の総選挙、今年の参院選でも、この運動のなかではじめて出会った方がたが党候補の応援弁士にたっていただくなど、選挙での支援にもひろがったことは、私たちにとって望外の喜びでした。


 2 「福島のような事故は起こらない」 ――「安全神話」が前提の防災計画・訓練

 昨年の大飯原発再稼働のさいに、福井県は新たな原子力防災計画をつくらないまま再稼働を認めました。
その背景には、①福井県原子力安全専門委員会でも国や関西電力の大飯原発の安全対策を検証し、全電源喪失の事態に陥っても、電源車などの配備によって原子炉冷却が十分可能であり、福島原発事故の福井での再来はあり得ない、と判断したこと、②福島原発事故を例にして、三十㌔㍍、五十㌔㍍圏まで影響がおよぶ原子力災害を想定することは、県民の原発推進への理解を損なうと考えたこと、があります。これは、現実に起こった福島原発災害のような苛酷事故を福井県の原発では事実上想定せず、県民の避難計画や放射線防護などの安全策を講じないという、まさに、新たな「安全神話」ともいえるものでした。
 大飯原発稼働中の今年六月十六日に、停止中の美浜原発(美浜町)の事故を想定して、五㌔㍍圏の住民が避難する原子力防災訓練をおこないました。★想定された事故内容は、地震による全電源喪失というものでした。★しかも、美浜町から原発が稼働中のおおい町に避難するという訓練内容で、「なぜ原発のあるところへ避難するのか」、「地震・津波を想定したら海岸線沿いの道路を避難するのはおかしいではないか」など、町民のみなさんからも疑問がだされていました。
 私たち県議会でも、有志が美浜町とおおい町で訓練を視察しました。美浜町のオフサイトセンター、美浜・菅浜地区での訓練現場、住民が避難したおおい町の体育館で訓練を視察しながら調査しました。
 当日の調査でわかったことは、次の点です。
 ・関電の対応は従来と変化はない、と現場社員の証言。

 ・自衛隊の掃海艇が出動し、住民避難訓練。しかし、住民を乗せた船は掃海艇には接続しなかった(ショーだった)。




 ・避難された方がたからは、「初めて参加しました」、「二回目の参加です」、「津波の時の避難ルートはこれではだめ」、「原発がある、おおい町へ避難するのはどうか」などいろんな声があった。
 ・美浜町職員がヨウ素剤の箱をもっていたが、中は空だった。見えない部分の手抜き訓練は本番ではどうなるか。
 ・相も変わらず、会議の一言一句がシナリオ化されて、それを読み上げるだけの会議がおこなわれた。
 このような声が寄せられたことからしても、福島事故をうけた訓練としてはまったく「不十分」であり、福島事故をふまえた内容にはなっていないことはあきらかです。
 実効性のうすい訓練を批判した私の六月県議会質問にたいし、桜本安全環境部長は、「原子力防災訓練につきましては、たんに距離をひろげておこなう訓練では実効が上がりにくく、まずは被害のリスクがもっとも大きい原発五㌔㍍圏を対象とした訓練をおこなうことが重要でございます」と強弁しました。これでは、福島事故後に不安をいだいている県民の心配にこたえることはできません。




 県「地域防災計画(原子力災害対策編)」改定と広域避難計画などへの具体化

 国の「原子力災害対策指針」の改定をふまえ、福井県防災会議で七月十八日、原子力災害に対応する県「地域防災計画」の全面改定案が決められました。
 計画では、①原発事故に備えて防災にとりくむ重点区域を、従来の原発から十㌔㍍圏を三十㌔㍍圏に拡大する、②原子炉の冷却機能が失われるなどの事態に陥った場合、五㌔㍍圏の住民は即時避難し、さらに遠い範囲の住民は、放射線量の実測値をもとに国の指示にしたがう、③原則、自家用車で避難するとともに、自衛隊や海上保安庁の車両や艦船、民間会社のバスを使えるよう県が避難の協力を要請する、としています。住民の避難先は、要綱で定めます。
 この具体化として、兵庫県、奈良県、石川県など、県外への広域避難体制を計画しています。これまで、小浜市は但馬、中播磨地域の豊岡市、姫路市など九市町、若狭町は丹波、北播磨地域の丹波市、西脇市など八市町、おおい町・高浜町は阪神北地域の三田市など五市町を避難先とし、具体的な避難施設の調整をすすめています。
 私は九月県議会で、「具体的な避難先とルートについての住民への周知と今後の訓練予定」、「住民の手元にヨウ素剤を配置しておく計画」について質問しました。理事者は、「関係県との調整をすすめ、避難計画をより実効性あるものにしていく。今後、住民参加の実働訓練も実施する。住民に避難先や避難方法を十分周知していく」、「国の指針にはヨウ素剤の具体的配布条件が不十分。どのように配布し保管してもらうか、副作用がでたらどうするか、など課題がある。国に問い合わせもしているが、国の回答をふまえてヨウ素剤の事前配布など迅速な体制を整備していく」と答弁しました。


 はじめて福井市にもヨウ素剤配備

 この間、日本共産党はいっかんして「ヨウ素剤の広域、重複配備」などを求めてきました。昨年度予算で、原発から五十㌔㍍圏について、ヨウ素剤が配備されることとなり、私の住む福井市にある健康福祉センターにも、五十八万六千丸と粉末五百グラム×七本が備蓄されました。事実上、万が一の場合には、全福井市民にも対応できる量が確保されていることになります。
 私がはじめて県議会におくっていただいたのは十四年前ですが、それ以来いっかんしてヨウ素剤の広域配備、重複配備を訴えてきたことが実り、ヨウ素剤の箱が積まれた現場をみたときには、感慨深いものがありました。しかし、現状は、具体的な活用計画がないわけで、事故がおこれば今回の福島県と同様に、適切な時期の配布・服用ができないという事態になりかねません。
 新たな「安全神話」をつくりだし、原発再稼働をすすめ、避難計画・訓練やヨウ素剤配備体制の構築を後回しにすることは許されません。
 しかし、このようなヨウ素剤を服用しなければならない事態つくりださないための第一の対策は再稼働をさせないことです。
一方、仮に、原発再稼働をおこなわないとしても原発サイトには膨大な使用済み核燃料がプールに保管されているわけで、核物質があるかぎり、原子力防災対策の充実が必要です。


 3 再稼働申請と次つぎあきらかになる問題点

 関電は地すべり、専門家は活断層との指摘

 関西電力は、「新規制基準」が施行された当日の七月八日、大飯3、4号機、高浜3、4号機について再稼働申請し、うち大飯原発について原子力規制委員会は、九月十七日に、再稼働にむけた安全審査を開始しました。規制委員会は、敷地内の重要施設直下の活断層が原子力規制委員会の有識者調査団(島崎邦彦委員長代理ら)によって否定されたことを、審査入りの理由にしています。高浜原発については、原発の敷地(標高三・五㍍)を超える津波で浸水する可能性が指摘され、審査が保留されています。
 しかし、先の井上さとし参院議員の現地調査でもあきらかになったように、大飯原発では、「F‐6破砕帯」について当初と説明が変わったことのまともな説明はないままであり、台場浜の露頭(地層が地表に露出している部分)については、関電は地すべりだと主張する一方で、専門家(大飯原発・台場浜を調査した立石雅昭新潟大学名誉教授らの調査グループ)からは活断層と指摘されているという状況です。規制委員会の対応は、関電の説明に偏向したものであり、認められません。

 基準地震動は従来のまま

 このような状況のなかで、原子力規制庁は、発足後はじめて十月一日に福井県議会で説明をおこないました。福井県常駐の小山田巧地域原子力規制統括管理官と本庁で地震・津波を担当する渡辺桂一管理官補佐が、「新規制基準」にもとづく安全審査の進ちょく状況などについて、県議会全員協議会で説明しました。
 このなかで私の質問に答え、渡辺氏は、「大飯3、4号機についてはまだ審査中で確定ではないが、関西電力から申請があった基準地震動は七百ガル」と答えました。これは、周辺海底にある二つの断層と、陸上の熊川断層の三連動を想定しないまま、基準地震動(地震により想定される最大の揺れ)の加速度を七百ガルと評価したものです。
 中越大震災(〇四年)や東日本大震災(一一年)もふまえていない、従来の基準地震動による再稼働申請など認められないことは、あきらかです。

 大飯再稼働で危険な出力調整運転

  西川知事は、九月の記者会見で、「福井県が四十年来、組織体制と専門の職員を養成し、国にたいして対等に、また国が十分機能しない場合には国に代わって、県民の安全と日本のエネルギーのいろんな方向づけについて努力もし、役割も果たしてきた」と、福島原発事故後に大飯原発を再稼働させた県として、〝国をリードしてきた〟との自負を表明しました。
 そして、九月県議会で西川知事は、「大飯3、4号機を安全かつ安定的に稼働できたことは、関西地区の電力需要に不安なくこたえただけでなく、全国の原発についても、万全の体制と緊張感を持って安全稼働が十分可能であることをしめしています」とのべ、全国の原発再稼働の旗振りをしています。この大飯原発3、4号機の昨年の「暫定基準」での「審査経過」と稼働実績をふまえて、〝すみやかに安全審査をおこない再稼働を認めよ〟というのが、福井県の立場です。
 しかし、この「運転実績」の中味の検証が満足になされたかといえば、なされていません。実は、この期間に、冷却水とともに取り込まれた小さな貝が成長して運転の障害となり、二〇%も出力を下げるリスクの高い出力調整運転がおこなわれていたのです。
 当時の原子力規制庁地域原子力安全統括管理官は、日本共産党が「運転を停止して清掃作業をおこなうべきだ」と要求した(五月二十一日)ことにたいし、「二〇%もの出力調整運転はリスクが高いので、現場で私たちも確認作業をおこなっている。常習化させるつもりはない」などと答えました。このように「リスクの高い」運転がおこなわれながら、規制庁も黙認してきたというのが、この間の大飯原発再稼働の実態なのです。

 IAEAとの覚書締結、原発輸出政策を主体的に推進する側に

 福井県は十月七日、IAEAとの覚書を締結しました。これを機に、これまでもおこなっている東南アジアを中心にした研修生受け入れを中東諸国まで拡大し、研修内容も「国際的水準へのレベルアップ」を図る考えです。同日、西川知事とIAEAの天野之弥事務局長が県庁内で面会し、覚書を交わしていますが、そこで知事は、エネルギー研究開発拠点化計画を策定しとりくんできた技術者研修などの事業にふれて、「(今回の)覚書にもとづくさまざまなプロジェクトの実行で、事業の国際的水準へのレベルアップをし、いろんな貢献ができる」とアピールしました。そして天野氏も、「世界中の原発を見て回っているが、福島の事故の後、安全はかなり向上した」、「(今後原発を導入する国は)いろんな経験をもち人材育成してきた日本に目を向ける」と応じています。
 覚書では、①IAEAの制度などによる研修生・研究者の受け入れ、②IAEA共同研究プロジェクトへの県内研究者の参画などを記しています。こうした研修受け入れは、日本政府の原発輸出戦略の一環であり、原発を輸入する国の技術者の教育・訓練には稼働する原発が必要なことから、再稼働問題も密接に絡んできます。
 まさに、安倍政権の「インフラシステム輸出戦略」と一体の動きです。ベトナムやトルコなどへの原発輸出を推進する安倍政権とともに輸出を後押しする西川県政は、国際的にも批判をうけることになりかねません。安全性も確立されておらず、核のゴミの処分方法もないなかで、IAEAとの覚書締結によって政府の無謀な原発輸出戦略に追随する県政は改めるべきです。日本共産党や市民団体は、ただちに福井県にたいして、「政府の無謀な原発輸出戦略追随を改めるよう求める」などと抗議をおこないました。


 4 原発ゼロへ、ひろがる県民のたたかい


 この間、日本共産党と、党も参加する原発問題住民運動福井県連絡会、さまざまな市民グループや個人が力をあわせて、強固な原発推進県のなかでも、原発ゼロめざす運動をひろげるために奮闘してきています。今年三月十日には、「3・11メモリアルアクション 原発のない新しい福井へ」集会が福井市フェニックス・プラザで開かれ、県内各地からの一千人を超える参加者で成功しました。
 大飯原発が定期検査に入り、ふたたび原発稼働ゼロの日本となる九月十五日に、「もう原発動かすな!福井集会」を福井市中央公園で開催し、悪天候のなか八百人が参加しました。福井集会では、敦賀・美浜・大飯・高浜など原発が集中立地する若狭地域で長年にわたり反原発運動にとりくんでこられた明通寺(小浜市)の中嶌哲演住職が実行委員長となり、福島から避難されている日本人初の宇宙飛行士の秋山氏や韓国の環境団体代表の金さんなど、多彩なゲストが参加しました。国会議員では唯一、党の井上さとし参院議員が参加し、情勢報告をおこないました。
 九月十九日には、原発問題住民運動福井県連絡会として、前衆院議員の吉井英勝氏の講演会を開催し、そこでは、「福島原発事故の汚染水対策に国費投入ならば、東電の破綻処理も必須条件。規制委員会設置法は、自公民三党主導で原発輸出+再稼働への道筋をつくる(ことがねらいだった)」など、原発推進の仕組みについても詳しい指摘がなされました。
 毎月十一日には、原発問題住民運動福井県連絡会が主催する市民行進が、県庁周辺を「再稼働反対」をアピールしながら歩きます。毎週金曜日には、福井県庁・関西電力前の行動が続けられています。共感する市民の方からのコーヒーやお菓子の差し入れもあります。対話のなかでの「しんぶん赤旗」購読もありました。

 多彩な団体・グループの協力共同で

 これらの行動は、住民運動県連絡会だけでなく、ふくいでつながろう実行委員会、さよなら福井県ネット、ピースアクション実行委員会、原発反対福井県コラボなど、多彩な団体、市民グループなどが協力共同してとりくんでいます。また、大飯原発3、4号機の差し止め請求訴訟も、原告百八十八人によってたたかわれています。原発ゼロの会は、地域でも、あわら市や旧坂井町、福井市につくられ活動しています。
 さらに、原発ゼロと表裏一体の原発依存財政からの脱却は、福井県と立地自治体の大きな課題であり、専門家の協力も得て、政策づくりをすすめています。
 このような多彩な原発ゼロめざす運動をいっそう発展させ、そして大きな党をつくり、強靭な原発推進の福井県政を変え、原発に依存しない新しい福井をつくるために、全力でがんばります。
 今後とも、全国、とりわけこの間連携したとりくみが発展した、福井県の原発電力の消費地であった関西地域のみなさん方とも、ひきつづき連帯したたたかいを強めていきたいと思います。