2014年9月県議会、予算特別委員会での佐藤正雄委員の質疑を紹介します。
新幹線問題
◯佐藤委員 日本共産党の佐藤正雄である。
昨日から臨時国会が始まって、安倍総理が所信表明演説を行ったけれども、7月1日に閣議決定を強行した集団的自衛権行使容認についての説明が一言もない。消費税増税で苦しむ国民、中小業者に対するそういう実態に対して心を寄せる言葉も一言もないという状況であった。
今、私たち、町を歩けば、アベノミクスというが、そういう効果は余り感じない。実際、消費税増税と物価高、年金は毎年削減ということで、「1食減らした」とか、あるいは「次の年金支給日までお金がもたないので近所の人に借りている」とか、「年金が毎年減らされているのに負担がふえているのは本当につらい」と、こういう声のほうが多いのである。
このようなときに、県民に財政負担を強いる新幹線建設と北陸本線の第三セクター化というのは大きな問題だと思う。東村総合政策部長は本会議で私に新幹線計画への理解を求められたわけであるが、新幹線建設と北陸本線の第三セクター化には県民の過半数が反対しているのである。だから、民主主義を大事にしたい私としては、現状の計画のまま、つまり建設費の負担、そして北陸本線は県に押しつけるというスキームのままでは賛成するわけにはいかないのである。
そこで尋ねるが、おおよそ新幹線の建設と北陸本線の第三セクター化で福井県と沿線の市町の負担、これは大体幾らになるというふうにお見込みであるか。
◯総合政策部長 今、お尋ねの金沢-敦賀間の総事業費は1兆1,600億円であって、本県の負担対象事業が約7,800億円。このうち本県負担額にJR貸付料というのが充当されるので、それを考慮すると1,800億円。国費と貸付料を差し引くわけである。それから交付税措置後の実質負担というのが約800億円である。現在新規着工区間の貸付料の活用も検討されているから、さらに軽減が見込まれる。佐藤委員が言う試算の中では、この800億円を約2,660億円と試算されて、1世帯当たり97万円という試算でアンケートのときにチラシをお配りになっていたということであるので、ちょっとほかの予断が入っているのではないかと私は感じている。
市町の建設負担金については、駅設置4市の負担金がある。この負担率は県負担額の10分の1であって、4市で約50億円の負担を見込んでいる。これも県負担と同様、起債を借りるので、40年以上で平準化して返すということになるわけである。
第三セクター化に伴う県、市町の負担としては、出資やJRからの駅舎、それから、線路を初めとする鉄道資産などの初期投資がある。今後、旅客流動調査など必要な調査を順次実施して、富山県、石川県などの先行事例も参考にしながら、並行在来線対策協議会において検討を進めていきたいと考えている。現在、開業3年前を目途に策定する計画案の中で明らかにしたいと思っているので、現段階で出資総額、初期投資額及び県と市町の負担割合については、まだ明らかにできていない。
◯佐藤委員 現在、明らかにできないということで、非常に県民に対しては、総合政策部長はいろいろ数字に対して意見がおありのようであるが、県庁自身トータルが大体これぐらいになるということも示せていないではないか。非常に計画自体が無責任だと思う。
知事に1点尋ねる。知事も福井県は副知事、知事と長いのであるが、そういう総事業にかかるトータルの事業費が幾らになるかということも議会に示さないで事業を進めたことは、これまであるか。
◯知 事 今、新幹線の全体の事業費、あるいは負担区分については説明を申し上げたところであるし、並行在来線については先行の石川県や富山県のいろんな数字もあるから、そういうものをもとに福井県としてより詳細な計算をすると、こういうことである。
◯佐藤委員 結局、ないのである。だから、結局県民に対しては、後出しじゃんけんなのである。そんなことないと言っても、実際総合政策部長が答弁したではないか。詳細は説明できないと言ったではないか。
◯総合政策部長 それでは、富山県、石川県の並行在来線三セク化に伴う県と市町の額をざっと申し上げると、富山県の第三セクターの資本金は総額40億円である。そのうち県が25億円、市町村が11億円、民間が4億円を出資している。一方、石川県は総額20億円であり、県が14億円、市町が4億円、民間が2億円を出資している。
JRからの鉄道資産の取得費などの初期投資については、富山県が185億円、石川県が80億円から85億円というふうになっていて、両県とも県による補助で賄っている。また、両県において、開業後の投資、乗り継ぎに係る利用者の負担軽減とか、運賃値上げ抑制のための財源を確保するための経営安定基金というのを設けており、富山県では総額65億円のうち県が30億円、市町が30億円、民間が5億円を拠出している。石川県は約30億円ということで、県と市町が2分の1、初期投資については交付税措置もあるし、十分な財源措置が講じられているところである。
金沢-大阪、金沢-名古屋間のサンダーバード、しらさぎの存続を
◯佐藤委員 今、言ったように、富山県とか先行事例があるわけであるから、大体このぐらいの負担がかかるということは県民に示していくべきだというように思う。
それで、この数字自体、7,800億円という数字は随分前から聞いている数字である。だから、それ以降消費税が8%であるし、私も反対しているが、今のままいくと来年には10%ということになるから、こういう公共事業費も全部5%アップで計算してこないといけないということになる。今の総合政策部長の説明よりもその分がふえてくるということも指摘をしておきたいというように思う。
それで、一般質問でも取り上げたのであるが、フリーゲージトレインができるまでの間、金沢-大阪、そして、金沢-名古屋間のサンダーバード、あるいは「しらさぎ」の存続を求めたわけであるが、なかなかいいお返事をいただけなかった。そこで尋ねるが、現在、福井駅から大阪方面にサンダーバードに乗車するお客さんで、そのお客さんがおりる駅の割合──どこどこの駅で大体2割とか5割とか、それはどうなっているのか。大阪駅から金沢方面のサンダーバードでは、同じような質問であるが、おりる割合はどうなっているか。ちょっと端的にお答えいただきたい。
◯総合政策部長 サンダーバードに係る乗客数とか、それぞれの降車駅の割合というのは公表されていない。国土交通省が平成24年度旅客地域流動調査というのを行っていて、これによると、福井県からJRで大阪府へ出かけた人は1日当たり1,500人、京都府は1日当たり約1,200人である。また、大阪府、京都府から福井県を訪れた人はほぼ同数が戻ってみえているということである。これはわかりにくいかと思うので、皆さんサンダーバードをもし利用されているということであれば、サンダーバード1便当たり約100人程度が乗車されているということである。
◯佐藤委員 今、言ったように活発に利用されているが、実は、石川県が今回の新幹線開業に即して独自の調査をやられている。多分知っていると思うが、やられている。その結果を見ると、石川県では全列車の乗客数が6万7,000人と、普通列車が4万7,000人、特急列車が2万人である。特急列車2万人のうち、要するに、福井県方面へ行く人は9,500人、福井県方面に行った人で大阪へ行く人は4,400人、米原方面は2,100人ということで、要するに、サンダーバードなり、「しらさぎ」を利用して福井県内を通過していくという方は、やっぱり相当の人数おられるわけである。この人たちは福井県を通過してどこへ行くかといえば、京都、大阪、あるいは、名古屋ということになると思う。だから、これだけたくさんのお客さんが利用しているのが現行のサンダーバードであり、しらさぎである。
今、部長が言われたように、福井県民も利用しているということなのである。だから、これらの皆さんのお客様の利便が、料金が高くなるし、一旦敦賀駅で乗りかえなければいけない。利便性が悪くなるようではいけないということを、重ねて私はいつも申し上げているのである。だから、これは国とJRの責任であるので、ちゃんと国とJRに求めて、利用者の国民に迷惑をかけたらいかんと、とにかく暫定的に特急列車の運行を求めるということはどうしてできないのか。
◯総合政策部長 並行在来線については、JRとの経営分離というものが新幹線の着工5条件の一つになっているので、福井・石川両県及び沿線市町がこれについては同意をしているということである。在来線区間はこれから切り離されて、第三セクターが運営する区間について特急列車を走らせるということは、既にこの条件の中で我々は約束しているので、これについてはできないということである。
◯佐藤委員 これの責任はどこにあるかということをもう一回問いたい。これは、実際は福井県庁に責任があるわけではないのである。だから、これはやっぱり国とJRに責任があるのである。条件は条件なのであるが、切り離すのが条件であるが、それは何も第三セクターをやめなくてもできるわけである。要するに、第三セクターで引き受けながら特急を運転してもらえればいいわけである。要するに、前も言ったように、例えば、JR貨物にしてもそうであるし、使っているわけである。残念ながら廃止になったけれども、寝台特急を走らせるなら、それだってそうなるわけである。在来線は走るわけである。だから、そういう発想できちんとお客さんの立場に立つ、利用者の立場に立つ。何かJRの経営の立場じゃなくて、きっちりと利用者の立場に立って物を申すべきだと思うが、その辺はどうか。
◯総合政策部長 寝台特急の話があったが、そういう企画的な分野で寝台特急とか走っていただくのはありかと思うが、そもそも今回、切り離して第三セクター化することによるメリットというのが、特急が走らない空き時間を通勤、通学の快速電車とかを我々の手で、第三セクターの手で走らせることができるというのが大きなメリットである。そういう活用をしていきたいと考えている。
◯佐藤委員 今、申し上げたように、ちょっと議論が平行線であるが、やはりこのまま続けていけば、こういう事態になったら、必ずそれはお客さんからクレームが出る。クレームはJRに向かって福井県庁には向かわないだろうけれども、やはりそういうことではいけないと、これは再度申し上げておきたいと思う。
それで、こういう問題はいろいろある。まだまだ県民の皆さんにもフリーゲージトレインのこととか知られていない。それから、第三セクター化を含めた財政負担のこともなかなか知られていないという問題があると思うが、石川県は今度アンケート調査をやるらしい。石川県は人口減少、新幹線問題とか含めたアンケート調査をやるということで、9月17日の新聞に報道があったが、やはりこういう重大な問題であるから、福井県としても、きちんと県民の意向──どういうものを望んでいるのか、あるいは、望んでいないのかを含めてアンケートをとる必要があると思う。東村総合政策部長は、市民の会がとられたアンケートについていろいろデータが不正確だということを指摘されているが、これは県民の負担の額が50万円に下がれば賛成がどっとふえるとかいう単純な問題ではもちろんないと思うのである。だから、やはりきっちりと県としてそう言うのであれば、責任を持った調査をやるべきである。石川県もやるわけであるから、西川知事、福井県もぜひやってほしい。
◯総合政策部長 新幹線の問題については、県議会で十分議論いただいており、また、県議会の議員方と相談しながら考えていきたいと考えている。
◯佐藤委員 そんな都合のいいときだけ県議会と相談していると、そんなことを言ったらだめである。やっぱり積極的に県民の声をリサーチするということがどうしてできないのか、知事。
◯総合政策部長 全く拒否しているわけではない。皆様、議員方と相談して考えていきたいと思う。
新幹線金沢開業
◯佐藤委員 是非よろしくお願いする。それで、来年春、いよいよ3月に金沢開業ということになるが、金沢-福井間の特急列車が3本できるというようにJRが発表している。これについて福井県としての活用策、運行時間帯などを尋ねる。
◯総合政策部長 この3本の特急列車については、県でもこれまでJR西日本に対して、北陸新幹線金沢開業時にビジネス等の用務で首都圏に滞在する時間がふえるよう、金沢駅において早朝とか深夜の新幹線に接続できる列車の増便を要望してきたところであって、先日、発表があった3本の福井-金沢間の特急列車増便は、こうした要望に基づくものだというふうに認識している。具体的な運行時間はまだ決まっていないが、より便利なダイヤ編成になるよう、今後もJR西日本に要望していきたいと考える。
◯佐藤委員 JRにしてみれば、これはどんどん福井県のお客さんを金沢へという発想が当然ある。当然そういうことになってくると思うのである。今、ビジネス用務と言ったけれども、ビジネス用務はもちろんであるが、より福井県民が、福井市民が金沢へアクセスが一層便利になるということになってくると思う。ずっと議会でも議論されているが、いろんな福井県の、福井市内の商業問題、あるいは、人口減少問題ということを考えると、どんどんそうなってくると、新幹線の効果のときにストロー効果に気をつけなきゃいけないということがよく言われている。福井まで新幹線は来ていないのだけれども、こういう形で事実上、福井-金沢シャトルみたいなことをどんどんやられると、ストロー効果が出てくるのではないか。
◯総合政策部長 ストロー効果については我々としてはまだ十分検討していないので、今後検討していきたいと思う。
◯佐藤委員 来年の3月のことである。だから、やはりこれはしっかり対応というか、便利になる面と、福井の商店とかいろんなそういう方にとってマイナスになる面と両方を見ていかないと、よっしゃ、よっしゃということだけでは済まないというように思う。
それで、ダイヤ改正が毎年行われる。多分、新幹線開業に合わせてダイヤ改正が行われるわけであるが、このときに、いわゆる普通列車──現行の金沢─福井間とかの普通列車、これが削減にならないようにはきちんと要望しているのか。
◯総合政策部長 我々の並行在来線になるところではなくて、現行のことか。現行のことについては減便にならないよう要望している。
◯佐藤委員 富山県、石川県でも心配が起こっているのは、シャトル新幹線を走らせるわけである。そうすると、その区間の並行在来線について当然お客さんが吸い取られるというのを、富山県、石川県なんかでも心配が出ているわけである。だから、福井の場合は新幹線──まだ福井駅は開業していないが、同じようなことで、普通列車のお客さんが減って普通列車が減便になるということだけは避けなければいけないので、お願いもしたいというふうに思っている。
それから、同じくJRが発表した新幹線の運行計画を見ると、いわゆる県が宣伝している最速で東京へ接続するというのは1日10本しかないのである。そうすると、実際に数十本走ると思うが、福井県なり、石川県なりが宣伝してきた、東京へ早く行けるという効果がたった1日10本しかないところは、どのように評価されているのか。
◯総合政策部長 金沢駅と東京駅が今、最速の「かがやき」が10往復ということの指摘だと思うが、1日10本というとほぼ1時間に1本ということであって、今、我々が東京へ米原回りで行っている本数と比べても、それほど遜色はないのかなと思っている。
◯佐藤委員 だから、実際に新幹線が来て、何十本か新幹線は列車としては来るが、行政が宣伝しているような効果はさほどない。今と変わらないのであれば、今の新幹線は要らないじゃないか。要するに、今、福井駅から乗って、あるいは武生駅から乗っていくのと、1日1便ぐらいでさほど変わらないというのであれば、効果がないわけであるから、やはり実際、金沢開業の1日10本の新幹線、最速タイプが1日10本どまりだというようなこともよく見ておかないと、実際、県民に対しては大きく宣伝していたけれども、さほど効果は大きくないということになりかねないのではないかということは指摘をしておきたいというように思う。
「原子力行政について」
◯佐藤委員 原子力の問題で質問するが、原発の稼働で発生する使用済み核燃料や再処理の後の高レベル放射性廃棄物に関して、日本学術会議が「再稼働を判断する際に、新たに発生する高レベル放射性廃棄物を暫定的に保管する施設を電力会社の責任で確保しなさい。そのことを必要条件にすべきだ」とする報告書をまとめた。このことについて知事の見解を尋ねる。
◯安全環境部長 佐藤委員指摘の日本学術会議の提言であるが、これはわかりやすくいうと、例えば、県内の関西電力の原子力発電所で発生した使用済み燃料を一旦青森の六ヶ所村に持っていって、そこで再処理を行う。その再処理の結果生じたガラス固化体──いわゆる高レベル放射性廃棄物を、また関西電力の消費地の管内、近畿圏に持っていって、関西電力の責任で当面──日本学術会議の提言によると30年ということであるが、どこか地上に30年保管をしておいて、その間に最終的に地下に埋めるのか、あるいは、どうするのかという方針を決める、このような提言であると理解している。
このことについては、昨年度、経済産業省の総合資源エネルギー調査会の放射性廃棄物ワーキンググループというものがあって、こういった学術会議の提言についても十分検討をされた。その結果として、やはりほとんどの欧米諸国が、基本的には現在地層処分というものを方針として持っている。そういう欧米の動向からも見ても、今、ここで例えば30年とか、あるいは一定の期間将来の方針を固めずに暫定保管だということが、果たして今の我々の生きている世代が果たすべき役割としてどうなのかということから、ここは何かがあった場合にさかのぼると、そういうオプションは持つのだけれども、基本は地層処分をしていく方針であるべきじゃないかという方針を立てたわけである。
こういうことで、県としては、こういった方針を立てたということであれば、国がその体制を強化して最終処分という道筋を着実につけるように進めるということが重要ではないかというふうに考えている。
◯佐藤委員 あわせて、この報告書をまとめた責任者の方は、こういう課題が積まれたまま再稼働して、そういう廃棄物がどんどんふえていくということは避けるべきでないかということを、まとめるに当たって指摘しているわけである。だから、なかなか技術的にも非常に困難な課題がある。きのうも「ふげん」の再処理の問題が報道されていたが、そういうのも含めてこのような課題があるということで、あわせてそういう再稼働問題と絡めて日本学術会議の責任者の方は発言をされている。これについてはどういう見解であるか。
◯安全環境部長 佐藤委員指摘の御発言もあったわけであるが、その一方で、この検討委員会の委員長、今田東京大学名誉教授であるが、こういった暫定保管を電力会社が行うということを、例えば、再稼働の条件にするということについては、現実的な問題としてはなかなか悩ましい問題だと、検討委員会の委員長自身もそういうことを言われていることも事実である。
◯佐藤委員 悩ましいから再稼働しないほうが当面いいということになるわけである。それで、一般質問でもちょっと聞いたが、知事に尋ねるが、今、再稼働に当たっての規制基準、これをクリアすれば政府は再稼働を認めるというのを小渕経済産業大臣も言っているわけであるが、知事は、そもそも欧米に比べて日本の基準が劣っているのかいないのか、その辺はどのように認識しているのか。
◯知 事 新規制基準については「国際原子力機関や諸外国の規制基準を参考にしながら、我が国の自然条件の厳しさ等も考えて、地震や津波への対策の強化やシビアアクシデントの対策の導入を図った上で、世界最高水準の基準となるよう策定したもの」というのが政府の基本的な考え方である。
新規制基準は、福島事故の教訓、また、日本特有の地震などの自然条件に対する考慮、IAEAとの国際基準をもとに、これまでの知見を十分反映したものであると考えており、事業者は新規制基準に基づいて発電所の安全向上対策を進めていくべきと考える。
◯佐藤委員 基準そのものが、ちょっと一般質問でも言ったけれども、いろいろなコアキャッチャーとかを含めて、もし万が一、福島のようなメルトダウンを起こすような事象が起こっても、事故が起こっても、例えば日本の原発はそれを防ぐという装置が標準装備されていない。そういうことで非常にまだまだ不十分だという指摘があるが、そういうのを知事はどのように考えているか。
◯安全環境部長 佐藤委員指摘のような、例えば、欧米でコアキャッチャーがあるというような設計であるが、現実に今設計段階ではそういうことはあるが、動いている発電所で、例えば、コアキャッチャーというものが備えられているかというと、そうではない。ただ、さまざまな対策というのは確かにあるにしろ、現実にそのような議論に対して、一つ一つの設備が整っているかどうかと、そういうようなことではなくて、あくまでプラント全体として、炉心損傷が起こったときに、どのように対処できるか、いわゆる性能要求をしているということで、安全性は保たれているのだということである。それは、田中原子力規制委員会委員長が国会等でもそのように答弁されているということであって、私どももそのように理解しているところである。
◯佐藤委員 だから、全く福島原発の事故を考慮していない答弁だと言わざるを得ない。先ほど地震、津波の対策と言ったが、それもやってきているというのが、国会でのこれまでの従来の原子力安全・保安院を含めた答弁であった。だけど、実際にはああいう事故を起こしてしまった。その反省の上に立って新基準をつくったけれども、まだまだ諸外国に比べれば不十分な基準のまま再稼働を認めようとしているというのを一番国民が心配しているのである。実際、今回のような御嶽山の噴火もあったが、やっぱり火山の問題はどうなのかというのも、今川内原発ではテーマになってきている。やはりそういうことを含めれば、非常に不十分だと言わざるを得ないと思う。
それで、実際に原子力規制委員会の審査の次は、福井県の場合は独自に原子力安全専門委員会というのを開くことになる。
ちょっと1点お尋ねしたい。安全環境部長も読んでおられると思うが、こういう「ENERGY for the FUTURE」という雑誌があって、これは原子力専門というか、PR雑誌なのであるが、ことしの春の号に、今、福井工業大学の教授をされているが、前の原子力安全対策課長の来馬さんと委員長の中川さんとかが対談されている。この対談の中で、それはそれぞれのお立場だからいいのであるが、民間の方はお立場だからいいのであるが、中川委員長自身もさきの大飯発電所についての福井地裁の判決を中身がない判決だというように、かなり厳しい口調で理解しがたいということで、かなり厳しく批判されているわけである。これは、要するに、こういうことが公になっている雑誌で、県の原子力安全専門委員会の委員長の立場におられる方が、最初からこういう形で福井地裁判決を批判するということになってくると、この後議論をされても、最初からそんな色めがねで見ているのかということになってしまうという懸念が出てくると思う。その辺はいかがか。
◯安全環境部長 今後の再稼働のさまざまな判断に当たって、当然、県の原子力安全専門委員会の審議の中で、県民の立場に立った観点でさまざまに議論していくことになろうと思う。中川委員長におかれては、これまでもそういう委員長としてのお立場で公平、公正に判断なされているところであって、これからの運営に当たっても、そのような立場で臨まれるものと考えている。
◯佐藤委員 多くの国民の共感を呼んでいる福井地裁判決を、内心はともかく、公のこういう文章になるところで正面から「中身がない」などと批判する人は不適切である。そのことは申し上げておきたいと思う。
それから、もう一点尋ねるが、さきの原子力防災訓練とそのシミュレーションによれば、福島原発事故級の事故が高浜原発で起こったときに、避難計画の実行によって住民総数のうち何%を避難先まで避難させることができるか。また、何%の住民を被曝することなく避難させることができるかという、おおよその推計を伺う。また、今回の訓練のいわゆる総括文書、いろんな評価はいつごろ発表されるのかということを尋ねる。
◯危機対策監 まず、原子力災害時においては、何%の住民を避難させるかというふうな問題ではなくて、避難対象となる全ての住民を安全かつ迅速に避難させるということが重要である。国が定める原子力災害対策指針では、放射性物質放出前の全面緊急事態の段階で、PAZ─5キロ圏については避難を実施し、UPZ圏─5キロから30キロ圏については全域で屋内退避を実施する。その後、UPZ圏については放射線量が毎時500マイクロシーベルト──IAEA基準の1,000マイクロシーベルトの半分を超える地域を数時間内に特定して、1日以内に避難を実行するということになっている。先般の訓練においてもこうした想定をしており、万が一の事故の際にも、こうした考えをもとに対応していくということである。
それから、訓練の総括であるが、防災訓練においては、一般災害、原子力を問わず、これまでも参加機関による課題の検証、それから、参加住民や防災関係者へのアンケートにより明らかになった課題等について記録として取りまとめており、次の訓練に反映させ充実を図ってきたところである。今回の訓練においても、訓練終了後、県、関係市町、国、自衛隊、海上保安庁、警察、消防により訓練の課題について検証した。また、参加住民や防災関係者に対するアンケートも実施している。これらの結果について今後取りまとめをして、次回の訓練に生かして内容の充実に努めていきたいというふうに考えている。
◯佐藤委員 全住民を安全に避難させるのは当たり前。それはそのとおりである。だけど、実際に、例えば、私が避難所で聞いた地区の方は小浜市の松永地区というところの方であったが、車で避難所まで避難する。別に全住民が対象になったわけではない。だから、やはり実際に全住民が一斉に車で、何百台の車が動き出せば、こういうことも可能なのかという疑問があるが、これはマスコミも書かれているし、県議会の委員会でも質問、議論があったというふうに報道されているが、当然ではないか。だから、本当に実効性があるのかどうということが問われているので、あえてこういう質問をしているわけである。だから、それならそれにふさわしい訓練をどうするのかということを尋ねたいのと、取りまとめた文書はいつ発表されるのか。
◯危機対策監 まず、訓練については、今回は30キロ圏に範囲を広げて初めての訓練ということで、段階的避難の手順──スクリーニング、安定ヨウ素剤の配布、それで避難というふうな手順を大きく確認するというふうな確認の訓練をした。
今後は、いろいろと情報伝達であるとか、それから安定ヨウ素剤の配布であるとか、スクリーニングであるとか、そういう個別の訓練というものを、今の住民の検証結果をもとに充実をさせていかなければいけないというふうに考えている。
それから、先ほどの取りまとめについては、今現在、アンケートの結果等を集計しているので、できるだけ早い時期に取りまとめたいというふうに考えている。
◯佐藤委員 発表されるのか──公表。
◯危機対策監 これまでは、特に内部で集計しているので積極的な発表ということはしていないが、求めがあればお見せすることはできると思う。
◯佐藤委員 何かおかしな答弁である。これだけ参加者、県会議員、そして、マスコミの方からも厳しい検証があるのである。ちゃんと公表して、それも検証してもらわないといけない。ちゃんと公表してくださいよ。
◯危機対策監 取りまとめ文書の公表については、検討させていただきたいと思う。
◯佐藤委員 それを強く求めておく。
「福祉行政について」
◯佐藤委員 最後の質問であるが、これも議会で繰り返しお願いしていることであるが、子供さんの医療費無料化制度の拡充ということでお尋ねをしていきたい。
現在、償還払いである。そこで、市町が実際、外部機関に支払っている事務的経費の総額は幾らなのか。これが現物給付というか、窓口無料化ということになれば、外部機関に支払うそういう費用が幾らぐらいに変わるのかというのを尋ねる。実際多くの県が現物給付に踏み出しているけれども、群馬県は県として行っている。この群馬県の制度は群馬県自身がどう評価しているのか、そして、福井県は群馬県の医療費無料化制度をどう見ているのか、この点を尋ねる。
◯健康福祉部長 最初の質問の事務費の問題については、医療機関とか、国民健康保険連合会に支払っている名寄せ等の事務費ということで、平成25年度の実績でいくと1億2,000万円かかっている。これが窓口無料化になったときの手数料はどうなるかというのは、単価等が、今やったことがなく持ち合わせていないので試算はしていない。けれども、佐藤委員指摘のとおり、これについては窓口無料化にすることによって国民健康保険の国庫負担金の減額措置があるので、そういった額に見合うような経営効果があるかどうかというのは、ちょっと私のほうは難しいのではないかなと今は考えている。
それから、群馬県さんがやられているということで、群馬県がどういう評価をされているか私は承知していない。現在、窓口無料化23都県、また、本県と同じ償還払い10道県、あと併用をやっているのが14府県という現状ではある。本県としては、現在、医療無料化については、先ほど申したような国庫の減額調整があるという意味でも、市町としてはいろいろとまだ慎重な意見もあるが、我々としては、まずそういった減額調整の廃止を知事会として強く求めていきたいと思っている。
◯中川委員長 佐藤委員に申し上げる。発言時間を相当超過しているので……
◯佐藤委員 時間が来たので終わるが、今答弁をいただいたように、今でも事務費が1億2,000万円かかっている。国保のペナルティーは約8,000万円である。だから窓口を無料化したほうが財政的にもいいのだということが今の答弁で浮き彫りになったので、ぜひよろしくお願いする。
~以 上~
新幹線問題
◯佐藤委員 日本共産党の佐藤正雄である。
昨日から臨時国会が始まって、安倍総理が所信表明演説を行ったけれども、7月1日に閣議決定を強行した集団的自衛権行使容認についての説明が一言もない。消費税増税で苦しむ国民、中小業者に対するそういう実態に対して心を寄せる言葉も一言もないという状況であった。
今、私たち、町を歩けば、アベノミクスというが、そういう効果は余り感じない。実際、消費税増税と物価高、年金は毎年削減ということで、「1食減らした」とか、あるいは「次の年金支給日までお金がもたないので近所の人に借りている」とか、「年金が毎年減らされているのに負担がふえているのは本当につらい」と、こういう声のほうが多いのである。
このようなときに、県民に財政負担を強いる新幹線建設と北陸本線の第三セクター化というのは大きな問題だと思う。東村総合政策部長は本会議で私に新幹線計画への理解を求められたわけであるが、新幹線建設と北陸本線の第三セクター化には県民の過半数が反対しているのである。だから、民主主義を大事にしたい私としては、現状の計画のまま、つまり建設費の負担、そして北陸本線は県に押しつけるというスキームのままでは賛成するわけにはいかないのである。
そこで尋ねるが、おおよそ新幹線の建設と北陸本線の第三セクター化で福井県と沿線の市町の負担、これは大体幾らになるというふうにお見込みであるか。
◯総合政策部長 今、お尋ねの金沢-敦賀間の総事業費は1兆1,600億円であって、本県の負担対象事業が約7,800億円。このうち本県負担額にJR貸付料というのが充当されるので、それを考慮すると1,800億円。国費と貸付料を差し引くわけである。それから交付税措置後の実質負担というのが約800億円である。現在新規着工区間の貸付料の活用も検討されているから、さらに軽減が見込まれる。佐藤委員が言う試算の中では、この800億円を約2,660億円と試算されて、1世帯当たり97万円という試算でアンケートのときにチラシをお配りになっていたということであるので、ちょっとほかの予断が入っているのではないかと私は感じている。
市町の建設負担金については、駅設置4市の負担金がある。この負担率は県負担額の10分の1であって、4市で約50億円の負担を見込んでいる。これも県負担と同様、起債を借りるので、40年以上で平準化して返すということになるわけである。
第三セクター化に伴う県、市町の負担としては、出資やJRからの駅舎、それから、線路を初めとする鉄道資産などの初期投資がある。今後、旅客流動調査など必要な調査を順次実施して、富山県、石川県などの先行事例も参考にしながら、並行在来線対策協議会において検討を進めていきたいと考えている。現在、開業3年前を目途に策定する計画案の中で明らかにしたいと思っているので、現段階で出資総額、初期投資額及び県と市町の負担割合については、まだ明らかにできていない。
◯佐藤委員 現在、明らかにできないということで、非常に県民に対しては、総合政策部長はいろいろ数字に対して意見がおありのようであるが、県庁自身トータルが大体これぐらいになるということも示せていないではないか。非常に計画自体が無責任だと思う。
知事に1点尋ねる。知事も福井県は副知事、知事と長いのであるが、そういう総事業にかかるトータルの事業費が幾らになるかということも議会に示さないで事業を進めたことは、これまであるか。
◯知 事 今、新幹線の全体の事業費、あるいは負担区分については説明を申し上げたところであるし、並行在来線については先行の石川県や富山県のいろんな数字もあるから、そういうものをもとに福井県としてより詳細な計算をすると、こういうことである。
◯佐藤委員 結局、ないのである。だから、結局県民に対しては、後出しじゃんけんなのである。そんなことないと言っても、実際総合政策部長が答弁したではないか。詳細は説明できないと言ったではないか。
◯総合政策部長 それでは、富山県、石川県の並行在来線三セク化に伴う県と市町の額をざっと申し上げると、富山県の第三セクターの資本金は総額40億円である。そのうち県が25億円、市町村が11億円、民間が4億円を出資している。一方、石川県は総額20億円であり、県が14億円、市町が4億円、民間が2億円を出資している。
JRからの鉄道資産の取得費などの初期投資については、富山県が185億円、石川県が80億円から85億円というふうになっていて、両県とも県による補助で賄っている。また、両県において、開業後の投資、乗り継ぎに係る利用者の負担軽減とか、運賃値上げ抑制のための財源を確保するための経営安定基金というのを設けており、富山県では総額65億円のうち県が30億円、市町が30億円、民間が5億円を拠出している。石川県は約30億円ということで、県と市町が2分の1、初期投資については交付税措置もあるし、十分な財源措置が講じられているところである。
金沢-大阪、金沢-名古屋間のサンダーバード、しらさぎの存続を
◯佐藤委員 今、言ったように、富山県とか先行事例があるわけであるから、大体このぐらいの負担がかかるということは県民に示していくべきだというように思う。
それで、この数字自体、7,800億円という数字は随分前から聞いている数字である。だから、それ以降消費税が8%であるし、私も反対しているが、今のままいくと来年には10%ということになるから、こういう公共事業費も全部5%アップで計算してこないといけないということになる。今の総合政策部長の説明よりもその分がふえてくるということも指摘をしておきたいというように思う。
それで、一般質問でも取り上げたのであるが、フリーゲージトレインができるまでの間、金沢-大阪、そして、金沢-名古屋間のサンダーバード、あるいは「しらさぎ」の存続を求めたわけであるが、なかなかいいお返事をいただけなかった。そこで尋ねるが、現在、福井駅から大阪方面にサンダーバードに乗車するお客さんで、そのお客さんがおりる駅の割合──どこどこの駅で大体2割とか5割とか、それはどうなっているのか。大阪駅から金沢方面のサンダーバードでは、同じような質問であるが、おりる割合はどうなっているか。ちょっと端的にお答えいただきたい。
◯総合政策部長 サンダーバードに係る乗客数とか、それぞれの降車駅の割合というのは公表されていない。国土交通省が平成24年度旅客地域流動調査というのを行っていて、これによると、福井県からJRで大阪府へ出かけた人は1日当たり1,500人、京都府は1日当たり約1,200人である。また、大阪府、京都府から福井県を訪れた人はほぼ同数が戻ってみえているということである。これはわかりにくいかと思うので、皆さんサンダーバードをもし利用されているということであれば、サンダーバード1便当たり約100人程度が乗車されているということである。
◯佐藤委員 今、言ったように活発に利用されているが、実は、石川県が今回の新幹線開業に即して独自の調査をやられている。多分知っていると思うが、やられている。その結果を見ると、石川県では全列車の乗客数が6万7,000人と、普通列車が4万7,000人、特急列車が2万人である。特急列車2万人のうち、要するに、福井県方面へ行く人は9,500人、福井県方面に行った人で大阪へ行く人は4,400人、米原方面は2,100人ということで、要するに、サンダーバードなり、「しらさぎ」を利用して福井県内を通過していくという方は、やっぱり相当の人数おられるわけである。この人たちは福井県を通過してどこへ行くかといえば、京都、大阪、あるいは、名古屋ということになると思う。だから、これだけたくさんのお客さんが利用しているのが現行のサンダーバードであり、しらさぎである。
今、部長が言われたように、福井県民も利用しているということなのである。だから、これらの皆さんのお客様の利便が、料金が高くなるし、一旦敦賀駅で乗りかえなければいけない。利便性が悪くなるようではいけないということを、重ねて私はいつも申し上げているのである。だから、これは国とJRの責任であるので、ちゃんと国とJRに求めて、利用者の国民に迷惑をかけたらいかんと、とにかく暫定的に特急列車の運行を求めるということはどうしてできないのか。
◯総合政策部長 並行在来線については、JRとの経営分離というものが新幹線の着工5条件の一つになっているので、福井・石川両県及び沿線市町がこれについては同意をしているということである。在来線区間はこれから切り離されて、第三セクターが運営する区間について特急列車を走らせるということは、既にこの条件の中で我々は約束しているので、これについてはできないということである。
◯佐藤委員 これの責任はどこにあるかということをもう一回問いたい。これは、実際は福井県庁に責任があるわけではないのである。だから、これはやっぱり国とJRに責任があるのである。条件は条件なのであるが、切り離すのが条件であるが、それは何も第三セクターをやめなくてもできるわけである。要するに、第三セクターで引き受けながら特急を運転してもらえればいいわけである。要するに、前も言ったように、例えば、JR貨物にしてもそうであるし、使っているわけである。残念ながら廃止になったけれども、寝台特急を走らせるなら、それだってそうなるわけである。在来線は走るわけである。だから、そういう発想できちんとお客さんの立場に立つ、利用者の立場に立つ。何かJRの経営の立場じゃなくて、きっちりと利用者の立場に立って物を申すべきだと思うが、その辺はどうか。
◯総合政策部長 寝台特急の話があったが、そういう企画的な分野で寝台特急とか走っていただくのはありかと思うが、そもそも今回、切り離して第三セクター化することによるメリットというのが、特急が走らない空き時間を通勤、通学の快速電車とかを我々の手で、第三セクターの手で走らせることができるというのが大きなメリットである。そういう活用をしていきたいと考えている。
◯佐藤委員 今、申し上げたように、ちょっと議論が平行線であるが、やはりこのまま続けていけば、こういう事態になったら、必ずそれはお客さんからクレームが出る。クレームはJRに向かって福井県庁には向かわないだろうけれども、やはりそういうことではいけないと、これは再度申し上げておきたいと思う。
それで、こういう問題はいろいろある。まだまだ県民の皆さんにもフリーゲージトレインのこととか知られていない。それから、第三セクター化を含めた財政負担のこともなかなか知られていないという問題があると思うが、石川県は今度アンケート調査をやるらしい。石川県は人口減少、新幹線問題とか含めたアンケート調査をやるということで、9月17日の新聞に報道があったが、やはりこういう重大な問題であるから、福井県としても、きちんと県民の意向──どういうものを望んでいるのか、あるいは、望んでいないのかを含めてアンケートをとる必要があると思う。東村総合政策部長は、市民の会がとられたアンケートについていろいろデータが不正確だということを指摘されているが、これは県民の負担の額が50万円に下がれば賛成がどっとふえるとかいう単純な問題ではもちろんないと思うのである。だから、やはりきっちりと県としてそう言うのであれば、責任を持った調査をやるべきである。石川県もやるわけであるから、西川知事、福井県もぜひやってほしい。
◯総合政策部長 新幹線の問題については、県議会で十分議論いただいており、また、県議会の議員方と相談しながら考えていきたいと考えている。
◯佐藤委員 そんな都合のいいときだけ県議会と相談していると、そんなことを言ったらだめである。やっぱり積極的に県民の声をリサーチするということがどうしてできないのか、知事。
◯総合政策部長 全く拒否しているわけではない。皆様、議員方と相談して考えていきたいと思う。
新幹線金沢開業
◯佐藤委員 是非よろしくお願いする。それで、来年春、いよいよ3月に金沢開業ということになるが、金沢-福井間の特急列車が3本できるというようにJRが発表している。これについて福井県としての活用策、運行時間帯などを尋ねる。
◯総合政策部長 この3本の特急列車については、県でもこれまでJR西日本に対して、北陸新幹線金沢開業時にビジネス等の用務で首都圏に滞在する時間がふえるよう、金沢駅において早朝とか深夜の新幹線に接続できる列車の増便を要望してきたところであって、先日、発表があった3本の福井-金沢間の特急列車増便は、こうした要望に基づくものだというふうに認識している。具体的な運行時間はまだ決まっていないが、より便利なダイヤ編成になるよう、今後もJR西日本に要望していきたいと考える。
◯佐藤委員 JRにしてみれば、これはどんどん福井県のお客さんを金沢へという発想が当然ある。当然そういうことになってくると思うのである。今、ビジネス用務と言ったけれども、ビジネス用務はもちろんであるが、より福井県民が、福井市民が金沢へアクセスが一層便利になるということになってくると思う。ずっと議会でも議論されているが、いろんな福井県の、福井市内の商業問題、あるいは、人口減少問題ということを考えると、どんどんそうなってくると、新幹線の効果のときにストロー効果に気をつけなきゃいけないということがよく言われている。福井まで新幹線は来ていないのだけれども、こういう形で事実上、福井-金沢シャトルみたいなことをどんどんやられると、ストロー効果が出てくるのではないか。
◯総合政策部長 ストロー効果については我々としてはまだ十分検討していないので、今後検討していきたいと思う。
◯佐藤委員 来年の3月のことである。だから、やはりこれはしっかり対応というか、便利になる面と、福井の商店とかいろんなそういう方にとってマイナスになる面と両方を見ていかないと、よっしゃ、よっしゃということだけでは済まないというように思う。
それで、ダイヤ改正が毎年行われる。多分、新幹線開業に合わせてダイヤ改正が行われるわけであるが、このときに、いわゆる普通列車──現行の金沢─福井間とかの普通列車、これが削減にならないようにはきちんと要望しているのか。
◯総合政策部長 我々の並行在来線になるところではなくて、現行のことか。現行のことについては減便にならないよう要望している。
◯佐藤委員 富山県、石川県でも心配が起こっているのは、シャトル新幹線を走らせるわけである。そうすると、その区間の並行在来線について当然お客さんが吸い取られるというのを、富山県、石川県なんかでも心配が出ているわけである。だから、福井の場合は新幹線──まだ福井駅は開業していないが、同じようなことで、普通列車のお客さんが減って普通列車が減便になるということだけは避けなければいけないので、お願いもしたいというふうに思っている。
それから、同じくJRが発表した新幹線の運行計画を見ると、いわゆる県が宣伝している最速で東京へ接続するというのは1日10本しかないのである。そうすると、実際に数十本走ると思うが、福井県なり、石川県なりが宣伝してきた、東京へ早く行けるという効果がたった1日10本しかないところは、どのように評価されているのか。
◯総合政策部長 金沢駅と東京駅が今、最速の「かがやき」が10往復ということの指摘だと思うが、1日10本というとほぼ1時間に1本ということであって、今、我々が東京へ米原回りで行っている本数と比べても、それほど遜色はないのかなと思っている。
◯佐藤委員 だから、実際に新幹線が来て、何十本か新幹線は列車としては来るが、行政が宣伝しているような効果はさほどない。今と変わらないのであれば、今の新幹線は要らないじゃないか。要するに、今、福井駅から乗って、あるいは武生駅から乗っていくのと、1日1便ぐらいでさほど変わらないというのであれば、効果がないわけであるから、やはり実際、金沢開業の1日10本の新幹線、最速タイプが1日10本どまりだというようなこともよく見ておかないと、実際、県民に対しては大きく宣伝していたけれども、さほど効果は大きくないということになりかねないのではないかということは指摘をしておきたいというように思う。
「原子力行政について」
◯佐藤委員 原子力の問題で質問するが、原発の稼働で発生する使用済み核燃料や再処理の後の高レベル放射性廃棄物に関して、日本学術会議が「再稼働を判断する際に、新たに発生する高レベル放射性廃棄物を暫定的に保管する施設を電力会社の責任で確保しなさい。そのことを必要条件にすべきだ」とする報告書をまとめた。このことについて知事の見解を尋ねる。
◯安全環境部長 佐藤委員指摘の日本学術会議の提言であるが、これはわかりやすくいうと、例えば、県内の関西電力の原子力発電所で発生した使用済み燃料を一旦青森の六ヶ所村に持っていって、そこで再処理を行う。その再処理の結果生じたガラス固化体──いわゆる高レベル放射性廃棄物を、また関西電力の消費地の管内、近畿圏に持っていって、関西電力の責任で当面──日本学術会議の提言によると30年ということであるが、どこか地上に30年保管をしておいて、その間に最終的に地下に埋めるのか、あるいは、どうするのかという方針を決める、このような提言であると理解している。
このことについては、昨年度、経済産業省の総合資源エネルギー調査会の放射性廃棄物ワーキンググループというものがあって、こういった学術会議の提言についても十分検討をされた。その結果として、やはりほとんどの欧米諸国が、基本的には現在地層処分というものを方針として持っている。そういう欧米の動向からも見ても、今、ここで例えば30年とか、あるいは一定の期間将来の方針を固めずに暫定保管だということが、果たして今の我々の生きている世代が果たすべき役割としてどうなのかということから、ここは何かがあった場合にさかのぼると、そういうオプションは持つのだけれども、基本は地層処分をしていく方針であるべきじゃないかという方針を立てたわけである。
こういうことで、県としては、こういった方針を立てたということであれば、国がその体制を強化して最終処分という道筋を着実につけるように進めるということが重要ではないかというふうに考えている。
◯佐藤委員 あわせて、この報告書をまとめた責任者の方は、こういう課題が積まれたまま再稼働して、そういう廃棄物がどんどんふえていくということは避けるべきでないかということを、まとめるに当たって指摘しているわけである。だから、なかなか技術的にも非常に困難な課題がある。きのうも「ふげん」の再処理の問題が報道されていたが、そういうのも含めてこのような課題があるということで、あわせてそういう再稼働問題と絡めて日本学術会議の責任者の方は発言をされている。これについてはどういう見解であるか。
◯安全環境部長 佐藤委員指摘の御発言もあったわけであるが、その一方で、この検討委員会の委員長、今田東京大学名誉教授であるが、こういった暫定保管を電力会社が行うということを、例えば、再稼働の条件にするということについては、現実的な問題としてはなかなか悩ましい問題だと、検討委員会の委員長自身もそういうことを言われていることも事実である。
◯佐藤委員 悩ましいから再稼働しないほうが当面いいということになるわけである。それで、一般質問でもちょっと聞いたが、知事に尋ねるが、今、再稼働に当たっての規制基準、これをクリアすれば政府は再稼働を認めるというのを小渕経済産業大臣も言っているわけであるが、知事は、そもそも欧米に比べて日本の基準が劣っているのかいないのか、その辺はどのように認識しているのか。
◯知 事 新規制基準については「国際原子力機関や諸外国の規制基準を参考にしながら、我が国の自然条件の厳しさ等も考えて、地震や津波への対策の強化やシビアアクシデントの対策の導入を図った上で、世界最高水準の基準となるよう策定したもの」というのが政府の基本的な考え方である。
新規制基準は、福島事故の教訓、また、日本特有の地震などの自然条件に対する考慮、IAEAとの国際基準をもとに、これまでの知見を十分反映したものであると考えており、事業者は新規制基準に基づいて発電所の安全向上対策を進めていくべきと考える。
◯佐藤委員 基準そのものが、ちょっと一般質問でも言ったけれども、いろいろなコアキャッチャーとかを含めて、もし万が一、福島のようなメルトダウンを起こすような事象が起こっても、事故が起こっても、例えば日本の原発はそれを防ぐという装置が標準装備されていない。そういうことで非常にまだまだ不十分だという指摘があるが、そういうのを知事はどのように考えているか。
◯安全環境部長 佐藤委員指摘のような、例えば、欧米でコアキャッチャーがあるというような設計であるが、現実に今設計段階ではそういうことはあるが、動いている発電所で、例えば、コアキャッチャーというものが備えられているかというと、そうではない。ただ、さまざまな対策というのは確かにあるにしろ、現実にそのような議論に対して、一つ一つの設備が整っているかどうかと、そういうようなことではなくて、あくまでプラント全体として、炉心損傷が起こったときに、どのように対処できるか、いわゆる性能要求をしているということで、安全性は保たれているのだということである。それは、田中原子力規制委員会委員長が国会等でもそのように答弁されているということであって、私どももそのように理解しているところである。
◯佐藤委員 だから、全く福島原発の事故を考慮していない答弁だと言わざるを得ない。先ほど地震、津波の対策と言ったが、それもやってきているというのが、国会でのこれまでの従来の原子力安全・保安院を含めた答弁であった。だけど、実際にはああいう事故を起こしてしまった。その反省の上に立って新基準をつくったけれども、まだまだ諸外国に比べれば不十分な基準のまま再稼働を認めようとしているというのを一番国民が心配しているのである。実際、今回のような御嶽山の噴火もあったが、やっぱり火山の問題はどうなのかというのも、今川内原発ではテーマになってきている。やはりそういうことを含めれば、非常に不十分だと言わざるを得ないと思う。
それで、実際に原子力規制委員会の審査の次は、福井県の場合は独自に原子力安全専門委員会というのを開くことになる。
ちょっと1点お尋ねしたい。安全環境部長も読んでおられると思うが、こういう「ENERGY for the FUTURE」という雑誌があって、これは原子力専門というか、PR雑誌なのであるが、ことしの春の号に、今、福井工業大学の教授をされているが、前の原子力安全対策課長の来馬さんと委員長の中川さんとかが対談されている。この対談の中で、それはそれぞれのお立場だからいいのであるが、民間の方はお立場だからいいのであるが、中川委員長自身もさきの大飯発電所についての福井地裁の判決を中身がない判決だというように、かなり厳しい口調で理解しがたいということで、かなり厳しく批判されているわけである。これは、要するに、こういうことが公になっている雑誌で、県の原子力安全専門委員会の委員長の立場におられる方が、最初からこういう形で福井地裁判決を批判するということになってくると、この後議論をされても、最初からそんな色めがねで見ているのかということになってしまうという懸念が出てくると思う。その辺はいかがか。
◯安全環境部長 今後の再稼働のさまざまな判断に当たって、当然、県の原子力安全専門委員会の審議の中で、県民の立場に立った観点でさまざまに議論していくことになろうと思う。中川委員長におかれては、これまでもそういう委員長としてのお立場で公平、公正に判断なされているところであって、これからの運営に当たっても、そのような立場で臨まれるものと考えている。
◯佐藤委員 多くの国民の共感を呼んでいる福井地裁判決を、内心はともかく、公のこういう文章になるところで正面から「中身がない」などと批判する人は不適切である。そのことは申し上げておきたいと思う。
それから、もう一点尋ねるが、さきの原子力防災訓練とそのシミュレーションによれば、福島原発事故級の事故が高浜原発で起こったときに、避難計画の実行によって住民総数のうち何%を避難先まで避難させることができるか。また、何%の住民を被曝することなく避難させることができるかという、おおよその推計を伺う。また、今回の訓練のいわゆる総括文書、いろんな評価はいつごろ発表されるのかということを尋ねる。
◯危機対策監 まず、原子力災害時においては、何%の住民を避難させるかというふうな問題ではなくて、避難対象となる全ての住民を安全かつ迅速に避難させるということが重要である。国が定める原子力災害対策指針では、放射性物質放出前の全面緊急事態の段階で、PAZ─5キロ圏については避難を実施し、UPZ圏─5キロから30キロ圏については全域で屋内退避を実施する。その後、UPZ圏については放射線量が毎時500マイクロシーベルト──IAEA基準の1,000マイクロシーベルトの半分を超える地域を数時間内に特定して、1日以内に避難を実行するということになっている。先般の訓練においてもこうした想定をしており、万が一の事故の際にも、こうした考えをもとに対応していくということである。
それから、訓練の総括であるが、防災訓練においては、一般災害、原子力を問わず、これまでも参加機関による課題の検証、それから、参加住民や防災関係者へのアンケートにより明らかになった課題等について記録として取りまとめており、次の訓練に反映させ充実を図ってきたところである。今回の訓練においても、訓練終了後、県、関係市町、国、自衛隊、海上保安庁、警察、消防により訓練の課題について検証した。また、参加住民や防災関係者に対するアンケートも実施している。これらの結果について今後取りまとめをして、次回の訓練に生かして内容の充実に努めていきたいというふうに考えている。
◯佐藤委員 全住民を安全に避難させるのは当たり前。それはそのとおりである。だけど、実際に、例えば、私が避難所で聞いた地区の方は小浜市の松永地区というところの方であったが、車で避難所まで避難する。別に全住民が対象になったわけではない。だから、やはり実際に全住民が一斉に車で、何百台の車が動き出せば、こういうことも可能なのかという疑問があるが、これはマスコミも書かれているし、県議会の委員会でも質問、議論があったというふうに報道されているが、当然ではないか。だから、本当に実効性があるのかどうということが問われているので、あえてこういう質問をしているわけである。だから、それならそれにふさわしい訓練をどうするのかということを尋ねたいのと、取りまとめた文書はいつ発表されるのか。
◯危機対策監 まず、訓練については、今回は30キロ圏に範囲を広げて初めての訓練ということで、段階的避難の手順──スクリーニング、安定ヨウ素剤の配布、それで避難というふうな手順を大きく確認するというふうな確認の訓練をした。
今後は、いろいろと情報伝達であるとか、それから安定ヨウ素剤の配布であるとか、スクリーニングであるとか、そういう個別の訓練というものを、今の住民の検証結果をもとに充実をさせていかなければいけないというふうに考えている。
それから、先ほどの取りまとめについては、今現在、アンケートの結果等を集計しているので、できるだけ早い時期に取りまとめたいというふうに考えている。
◯佐藤委員 発表されるのか──公表。
◯危機対策監 これまでは、特に内部で集計しているので積極的な発表ということはしていないが、求めがあればお見せすることはできると思う。
◯佐藤委員 何かおかしな答弁である。これだけ参加者、県会議員、そして、マスコミの方からも厳しい検証があるのである。ちゃんと公表して、それも検証してもらわないといけない。ちゃんと公表してくださいよ。
◯危機対策監 取りまとめ文書の公表については、検討させていただきたいと思う。
◯佐藤委員 それを強く求めておく。
「福祉行政について」
◯佐藤委員 最後の質問であるが、これも議会で繰り返しお願いしていることであるが、子供さんの医療費無料化制度の拡充ということでお尋ねをしていきたい。
現在、償還払いである。そこで、市町が実際、外部機関に支払っている事務的経費の総額は幾らなのか。これが現物給付というか、窓口無料化ということになれば、外部機関に支払うそういう費用が幾らぐらいに変わるのかというのを尋ねる。実際多くの県が現物給付に踏み出しているけれども、群馬県は県として行っている。この群馬県の制度は群馬県自身がどう評価しているのか、そして、福井県は群馬県の医療費無料化制度をどう見ているのか、この点を尋ねる。
◯健康福祉部長 最初の質問の事務費の問題については、医療機関とか、国民健康保険連合会に支払っている名寄せ等の事務費ということで、平成25年度の実績でいくと1億2,000万円かかっている。これが窓口無料化になったときの手数料はどうなるかというのは、単価等が、今やったことがなく持ち合わせていないので試算はしていない。けれども、佐藤委員指摘のとおり、これについては窓口無料化にすることによって国民健康保険の国庫負担金の減額措置があるので、そういった額に見合うような経営効果があるかどうかというのは、ちょっと私のほうは難しいのではないかなと今は考えている。
それから、群馬県さんがやられているということで、群馬県がどういう評価をされているか私は承知していない。現在、窓口無料化23都県、また、本県と同じ償還払い10道県、あと併用をやっているのが14府県という現状ではある。本県としては、現在、医療無料化については、先ほど申したような国庫の減額調整があるという意味でも、市町としてはいろいろとまだ慎重な意見もあるが、我々としては、まずそういった減額調整の廃止を知事会として強く求めていきたいと思っている。
◯中川委員長 佐藤委員に申し上げる。発言時間を相当超過しているので……
◯佐藤委員 時間が来たので終わるが、今答弁をいただいたように、今でも事務費が1億2,000万円かかっている。国保のペナルティーは約8,000万円である。だから窓口を無料化したほうが財政的にもいいのだということが今の答弁で浮き彫りになったので、ぜひよろしくお願いする。
~以 上~