前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

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原子力規制委員会が高浜原発に再稼働ありきの「合格証」。福井県議会で高浜原発視察調査

2014年12月18日 | 福井県政
 昨日は、福井県議会の高浜原発視察調査でした。大荒れの天気で福井をでましたが、若狭は快晴、雪ひとつない!長靴を履いていったら周りからは違和感。もっとも視察を終え、夕方に福井に戻る頃には若狭町あたりでも吹雪。何台か、事故を起こしている車もありました。
今日も荒れ模様、車の運転にはじゅうぶん気を付けましょう。

 さて、高浜原発では、豊松原子力事業本部長はじめ、高浜発電所の大塚所長ら幹部のみなさんから説明を受け、対策を実施している現場を視察しました。
 豊松本部長は、「規制委員会で70回にわたる審査をうけ、本日午前中に審査案が了承された。安全の第一義的責任は事業者にある。世界最高水準の安全を求める。また、必要な資金調達が原発停止で困難になっており、電力料金値上げを計画する。原発は重要なベースロード電源、一定の割合で原子力をすすめていきたい」と述べました。

 視察調査では、津波の防潮堤をかさあげしてる箇所、竜巻防護対策、空冷式非常用発電装置、可搬式代替低圧注水ポンプ、水密扉などをみてまわりました。
 敷地内へのカメラなどの持ち込みは許されず、写真撮影はできませんでした。

 私は質疑応答で、「原子力事業本部長はベストミックスというが、国全体、関電管内でどのように考えているのか」「配管サポートなどの工事をおこなっているのはわかるが、個々の工事の全体の耐震性に影響をみているのか」などをたずねました。
 豊松本部長は「ホルムズ海峡封鎖されたらLNGも入ってこない。原発は1度燃料を装荷すれば2年はOK。石油では数十日しかもたない。原発動いてないから料金上げざるを得ない。原発停止は経済性があわない。」「高浜3,4、大飯3,4は是非再稼働したい。原子力なかりせば経済活動は破たんする」「地震の固有周期については個々の部分と全体をチェックしている」などと答えました。

 規制委員会がもとめた対策によって新たな「安全神話」「必要神話」がうみだされてきていることを痛感します。
 また、関電の調査対象ではありませんが、事故時の避難対策は事実上まったく未完成です。仮に、再稼働し、福島とおなじような事故が起これば、福井県庁が言うような「100%の住民の避難」などは絵空事に終わり、広範な住民への被曝事故がくりかえされる危険が大きいのです。

  規制委員会は「安全対策に終わりはない」などと言いますが、その過程でふたたび「福島事故」を繰り返すことは許されないのであり、その危険性をゼロにできない原発は再稼働してほしくない、というのが国民多数の世論です。
 高浜原発の規制委員会の審査書案についてのパブリックコメントもはじまりました。
 西川知事あての再稼働反対署名運動も急ピッチですすめられています。

 再稼働ありきの規制委員会審査書は許せません。
 国民県民の世論と運動で、安倍政権、西川県政がすすめる原発再稼働にSTOPをかけようではありませんか!


視察を終えて、質疑

 




原子力事業本部の豊松本部長ら






小浜市内は積雪ゼロ・・・・うらやましい




  以下、規制委員会審査についてのマスコミ報道・・・・

■福井新聞・・・・ 高浜原発再稼働へ事実上の合格 原子力規制委「新基準に適合」

(2014年12月17日午後5時10分)

  原子力規制委員会は17日の定例会合で、再稼働の前提となる審査を進めている関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)について「新規制基準に適合している」と結論付けた「審査書」の案を了承した。事実上の審査合格となった。

 今後、工事計画の審査や運転前の検査、地元同意の手続きなどが必要で、再稼働は来年春以降になる見通し。

 東京電力福島第1原発事故を教訓に過酷事故や地震、津波対策を強化した新基準に基づく審査の合格は、九州電力川内1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)に続き2例目。規制委は審査書案への科学的・技術的な意見を来年1月16日まで公募し、正式な審査書をとりまとめる。

 審査を担当した更田豊志委員長代理は会合で「最低限の安全を満たすための基準に適合しているとの判断だ。安全性向上に終わりはない」と強調した。

 事故に備えて避難計画を策定する30キロ圏内に滋賀県や京都府の自治体も含まれるため、地元同意の範囲や手続きの進め方も焦点となりそうだ。

 関電は昨年7月の新基準施行当日に審査を申請した。事故時の対応拠点となる緊急時対策所を同じ敷地内にある1、2号機の建屋に設置するため、1、2号機を再稼働させる場合は3、4号機であらためて審査が必要となる。1、2号機は原則40年の運転期間の延長を目指した特別点検を今月1日に始めている。

 また当初、海抜3・5メートルの敷地に対し2・6メートルの津波を想定していたが、規制委の指摘や計算ミスの発覚を受けて見直し。敷地への遡上高(そじょうこう)を最高で海抜約6・5メートルとした。耐震設計の目安となる地震の揺れ「基準地震動」は、当初の最大加速度550ガルに加え、700ガルの地震動も追加した。

 火災、竜巻対策を実施したほか、事故対策では電源車や注水用ポンプ、格納容器破損を防ぐ可搬式の水素濃度測定装置などを設置した。

 規制委は川内1、2号機や高浜3、4号機を含め14原発21基を審査中。



■NHK・・・・・再稼働に向けた課題

  高浜原発の再稼働に向けた手続きが進められる一方で、深刻な事故が起きた際に、避難などの対応が求められる、原発から30キロ圏内の住民は、福井県内だけで5万5000人で、隣接する京都府の住民も含めると約18万3000人に上り、さまざまな課題があります。
福井県の避難計画では、住民たちは、基本的には自家用車を使って避難するよう定められています。
しかし、避難する途中で大きな渋滞が発生した場合どうしたらよいのかや、学校にいる子どもや体の不自由な人が避難する際に使うバスや福祉車両などをどのように確保するのか、さらに、避難する途中で放射性物質が付着していないかを調べるスクリーニングや除染をどこでどのように行うのかなど対応が具体的に決まっていません。
また、県境を越える広範囲にわたる避難の問題は、県単独で対応することは難しく、現在、国のワーキンググループで検討が進められています。再稼働に向けた自治体の合意をめぐる手続きにも課題が残されています。
高浜町に隣接する京都府舞鶴市は、市の一部が高浜原発から5キロ圏内に入るうえ、面積の大半が30キロ圏内に含まれます。

  また、舞鶴市を含め、京都府内の7つの市と町が30キロ圏内に含まれ、京都府の山田知事は、再稼働にあたっては、自分たちの意見も聞くべきだと主張しています。
これに対して福井県の西川知事は、これまでの歴史的経緯や、事故が起きた際、リスクがもっとも大きいのは立地自治体だとして再稼働にあたっては、福井県と高浜町の判断が尊重されるべきだと主張しています。
しかし、福島の原発事故で放射性物質の影響が広範囲にわたっているだけに、立地地域以外の周辺自治体の声に関西電力がどのように応えていくかも今後、焦点になりそうです。

12月17日 19時27分