突然目的地も無く出発したくなって
小雨の中に車を走らせる
感覚のままに次は右次は左と車は進む
思い浮かぶルートは何通りもあるが
分岐路の感覚で決めていく
暫く通っていないが懐かしい記憶のある道
すでに春の女神は山肌に芽を吹かせ
温かい振動波が至るところに通い合っている
にわかに雨が激しく叩きつけてきた
ほとんど豪雨に近い雨足である
山は霧にけぶり
山道の窪みには流水があふれている
いつもなら引き返そうかと考えるのだが
今日は何故か身も心もアクセルも軽い
この道は峠に至る道
ワインディングを慎重にグリップし
すでに気持ちは山頂に飛ぶ
懐かしい景色が現れる
忘れていた過去の映像がフラッシュバックする
そして過去を超える
そう
あの時の新鮮な感動が今に蘇る
峠に来た
雨は嘘のようにピタリと止み
絵のような視界が眼下に広がる
ここまで来て
そうだここに来たかったのだと実感する
雨上がりの高台からは
まるでマチュピチュのような集落が
遠く見晴らせる
この視界もとても気に入っているが
これを見るために来たのだろうか
次の瞬間あるものが目に入り
心が震えた
それは渓谷から湧き立つ無数の水蒸気雲
おおお…
少年の頃のある日の鮮烈な感覚が蘇る
ある雲は垂直に上昇し
ある雲は合流し離散し
ある雲は回転し上手にメビウスを描く
これは立体運動の限界を超えた
まるで原初宇宙のエネルギー流動
車を脇道に停め
放心したように雲の舞踏会を見ていた
思いに感応したのか
それとも山の神々の化身か
龍体状の透明な雲がゆったりと
おそらくは相当な速度で
翔(か)け抜ける
このところ
暫く山の自然に親しむことが出来なかったから
きっと山がこの場面に呼んでくれたのだ
すっかり少年の心に還って
峠を下り
梅や桃の花咲く山里を楽しみ
岐路についた
小雨の中に車を走らせる
感覚のままに次は右次は左と車は進む
思い浮かぶルートは何通りもあるが
分岐路の感覚で決めていく
暫く通っていないが懐かしい記憶のある道
すでに春の女神は山肌に芽を吹かせ
温かい振動波が至るところに通い合っている
にわかに雨が激しく叩きつけてきた
ほとんど豪雨に近い雨足である
山は霧にけぶり
山道の窪みには流水があふれている
いつもなら引き返そうかと考えるのだが
今日は何故か身も心もアクセルも軽い
この道は峠に至る道
ワインディングを慎重にグリップし
すでに気持ちは山頂に飛ぶ
懐かしい景色が現れる
忘れていた過去の映像がフラッシュバックする
そして過去を超える
そう
あの時の新鮮な感動が今に蘇る
峠に来た
雨は嘘のようにピタリと止み
絵のような視界が眼下に広がる
ここまで来て
そうだここに来たかったのだと実感する
雨上がりの高台からは
まるでマチュピチュのような集落が
遠く見晴らせる
この視界もとても気に入っているが
これを見るために来たのだろうか
次の瞬間あるものが目に入り
心が震えた
それは渓谷から湧き立つ無数の水蒸気雲
おおお…
少年の頃のある日の鮮烈な感覚が蘇る
ある雲は垂直に上昇し
ある雲は合流し離散し
ある雲は回転し上手にメビウスを描く
これは立体運動の限界を超えた
まるで原初宇宙のエネルギー流動
車を脇道に停め
放心したように雲の舞踏会を見ていた
思いに感応したのか
それとも山の神々の化身か
龍体状の透明な雲がゆったりと
おそらくは相当な速度で
翔(か)け抜ける
このところ
暫く山の自然に親しむことが出来なかったから
きっと山がこの場面に呼んでくれたのだ
すっかり少年の心に還って
峠を下り
梅や桃の花咲く山里を楽しみ
岐路についた