亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

ジリジリ下げるドル、ジリジリ上げる金、気が付けば節目突破

2018年01月25日 21時49分03秒 | 金市場
1月24日のハイライトは何と言ってもムニューシン米財務長官の発言だった。日本時間の24日18時前に伝わったが、伝えられているように「明らかに我々にとってドル安は貿易面で良いこと」という内容にスポットが当たった。そこまでアジア時間から前日の太陽光発電パネルと大型洗濯機へのセーフガード発動(輸入関税賦課)で保護貿易主義への警戒感からドル全面安がジリジリと進んでいたが、この発言がさらに背中を押すことになった。

ただし、興味深いのは、その後のチャート上の節目突破の原動力にこそなれ、話が伝わった際に多少の加速はあれドルが急落とはならなかったこと。一方で、金はなかなか抜けなかった1350ドルを突破することになり景色が変わることになった。とはいえ1350ドル超では依然として売りが控え、為替市場が値動きの良さを横目に、午前から午後1時までは1350ドル台前半でのレンジ相場が続いた。いわゆる売り買い交錯という状況で、最終的に売りが切れ(売りをこなし)1360ドル台突破に至ることに。ドル円は一時108円台に、ユーロドルは1.24ドルを突破。

ムニューシン発言は、ここ20年ほどの歴代の米財務長官には見られなかった「ドルの減価容認」とでも表現できるもので、一種のサプライズ。しかし、政権移行期間中、さらに政権発足当初には、拡大した貿易赤字は他国との不均衡な交易条件にあるとし、ウィルバー・ロス(商務長官)らを中心に、力ずくの赤字解消を唱えていた経緯からすると、違和感のないもの。つまり、“本音”が出てきたということでもある。

それにしても、米国は、慢性的な経常収支赤字国で外からの資金還流で回っている国。その財務省証券(国債)を発行する立場の財務長官の発言としては不用意といえるが、その後本人から(知る範囲では)弁明的な話も伝えられていないので確信犯ということか。ロス長官が「長年にわたる強いドル政策の転換を表明したものではない」と火消しに回ってはいたが・・・。ドルは発行国の政治的腕力が、材料に加わってきた。

金価格は、アジアからロンドン、そしてNYの終盤とジリジリと水準を切り上げ、終わってみれば昨年の高値の節目をいくつか取っ払っており350をこなしたら、軽くなったね・・という展開。同様に為替、特にドル円はジリジリと下げて結果的に値幅が大きくなったことで、底打ち感が出ていないとの指摘あり、まったくそのとおりと思う。つまり、この相場は続きそうだ。そろそろドラギ総裁の記者会見が始まるが、ユーロ高牽制発言が出て、押し戻される可能性はあるのだが。さて、どうなるか・・。

本日の資産EXPO 午後のミニ・セミナーは立ち見の出る盛況でした。参加いただいた皆様、ありがとうございました。
明日は、金市場を取り巻く要因について話します。

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