亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

新財務長官誕生秘話(?)

2006年05月31日 22時30分53秒 | 金融市場の話題
東京も久々の好天だった。まだ空気が入れ替わっていないので湿度は低く、昼間は暑さを感じるが夕刻は快適。この時期は東京でも午後7時過ぎまで明るいが、湿度の低い爽やかな夕刻は開放感があって好きだが、もう直ぐジトジトした本格的な梅雨のシーズン到来だね。さて昨夜は日本時間の夜半に米財務長官人事が突然流れてきた。結果はすでに報じられている通りだが、発表直前までエヴァンズ前商務長官の名前が挙がっていたので、おや?っという感じだったが、ゴールドマンのCEOと聞くと、なるほどね、と納得してしまう人事だった。

エヴァンズを全面に出して報道していたウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)を読み返すと、ヘンリー・ポールソン新長官の名前は挙がっていたが、「要請を断わった」となっていた。石油業界出身のエヴァンズならドル安容認で金融界出身のポールソンなので強いドルなどという単純な図式は、(言うまでもなく)何なの?という話・・・と言うより話にならない。新任のボルトン大統領主席補佐官がこの人を推しているという話を(確か)日経で以前目にした覚えがあるが、そのまま忘れていた(そうなら日経の観測記事は当たっていたことになる)。昨夜のゴールドマン・サックスの株価がCEO退任で2%も売られたのは市場全体の地合もあるのだろうが、「要請を断わっていた」という話も頷けるような結果と言えそうだ。それだけの大物というわけだね。

先日も書いたが元々ブッシュ政権の中では財務長官の位置付けは、それほど高くなかった。スノウ長官はホワイトハウスの決定事項のスポークスマンと言われたほどである。興味深いのは、政権に関連する人材ではなく外部の有力な人材を探していたブッシュ政権では、ボルトン主席補佐官の進言のもと4月中旬にポールソン氏を大統領とのディナーに招待したんだと。それを一度は受けた招待をポールソン氏はキャンセルしたらしい。その理由が、就任要請を受ける気はないのに誤解を与えてはいけないということだったという。そして後に明らかになったとされる要請に難色を示した理由が、ブッシュ政権内で財務長官に権力がないというものだったという。その話を知った補佐官は、慌ててブッシュ、ポールソン会談をセットしたらしい。5月20日の土曜日のこと。その場でもポールソン氏は、まだ迷っていたんだと、でも翌日に態度は軟化したとされる。

結局、オニール前、スノウ現長官とは異なった扱いを約束したらしいのだが、これって財務長官の力が無かったと公に認めたようなもんだよね。新長官就任後の言動が楽しみになってきたね。そういえば就任要請を受けた昨夜の会見は、相当肩に力が入っているように思えてくるのは、こうした背景を読んでしまったせいだろうか。思い出したがオニール前長官が政権内部の暴露記事のような本を出していたね。よほど腹に据えかねることでもあったんだろう。

いずれにしても、こういった内輪の話があったとWSJに出ていた(後追いで日経に出るかな?)。ちょっとした人間ドラマなのだ。面白いね。長くなったので、ここまでにしておきましょう。

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