イベント明けとなった週明け18日のドル指数(DXY)は、2日続落となったものの、依然として94ポイント台後半のいわゆる高値保ち合い状態にある。このDXYの構成比率が一番高い通貨がユーロで、約575を占める。そのユーロだが、現在ドイツで起きている連立政権崩壊懸念が市場の関心事になっている。
昨年秋の総選挙の後、しばらく政権が組めず再選挙まで取り沙汰されたドイツ。メルケル首相が率いるキリスト教民主同盟(CDU)は、友党だったキリスト教社会同盟(CSU)とやっとこの春連立政権を樹立。CSU側が歩み寄った結果だった。ここにきて同党党首でもあるゼーホーファー内務相が他の欧州連合(EU)諸国で難民として登録された人を国境で追い返す権限を警察に与えると主張。内相権限で実施する構えとされる。
長年、難民受け入れについてEUをまとめてきたメルケル首相は、これを拒否。それに対し、内相は公然と反発し対立が深まっている。メルケル首相は、他国との協議を得ずして追い返せば、難民政策でEU全体の合意を築く可能性が消えると主張。内相の計画を2週間延期することを求め、来週6月28、29日に開催予定のEU首脳会議までに他のEU諸国と協議を模索中とされる。しかし市場は、短期間での合意成立に懐疑的。
質的に異なるもののイタリアに続く政治的対立。EUの中核国ドイツだけに、通貨ユーロへの影響を考えざるを得ない状況となっている。この辺りも、ユーロドルと同じ動きをしやすい金にとっては、目先の警戒材料であり様子見に徹するというスタンスにつながりやすい。ちなみに、ドイツの経済指標はこのところ、先行して悪化していた景況感など心理指数に続き、実体を表す経済指標も悪化していている。もっとも、ドイツの混乱はEUでの政治リスクの高まりに収まらず、世界的な影響も考えられリスクオフから金市場にはサポート要因という側面も。