亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

一時的乱気流か潮目の変化か 

2021年07月20日 20時13分44秒 | 金市場
昨日取り上げたように、前週末にわかにリスクオフ・モードに切り替わった米国株式市場だったが、週明けの通常取引は下げが拡大した。ダウ30種平均は一時前週末比940ドル安になるなど下げ幅を拡大。そもそも利益確定の機会をうかがっていた投資家の動きが、意外に全体に広がりを見せたのが前週末の動きだったが、NY時間外のアジア時間から先物が売られて、通常取引はスタート時から大幅安で、その後下げ幅を拡大した。この日意識されたのは、新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大で、世界経済の回復をめぐる不透明感の高まりだった。終盤に向けて安値拾いの買いが見られたものの、下げ幅をやや縮小したに過ぎなかった。ダウ30種平均は終値で725ドル安となり、下げ幅は2020年10月以来、約9カ月ぶりの大きさとなった。20日のNY時間外アジアからロンドンの時間帯の株式先物は、さすがに反発となっている。

足元の市場の注目点は、株価の動向だけではない。急激に低下した長期金利(10年債利回り)が示すのは、景気のピークアウトではないかという見方が浮上している。手前味噌だが、YouTubeの方で、何度かその可能性を取り上げてきた。週明けに一時1.2%割れまでみた長期金利だが、長短金利差が急速に縮小したことで、にわかにそうした見方が浮上している。10年債以外のも30年債利回りが急速に低下する一方で、5年など中期債の水準は変わっておらず、結果的に金利差が縮小している。

もっとも、下半期入りのこのシーズンは年金基金など資産のバランスを見直すところも多いとされる。株価は先週まで過去最高値の更新を続けてきたことから、年金など長期投資家が株を売り、債券を買う動きにつながりやすいのは事実だろう。需給が作り出す一時的な現象の可能性はあるが、長短金利の縮小つまり利回り曲線(イールドカーブ)の平坦化(フラット化)は、先行きの景気減速のシグナルとされる。

今週以降本格化する企業の決算発表だが、結果とそれに対する市場の反応が見ものということになる。つまり「市場のことは市場に聞け」という流れといえる。

NY金は、株価の大幅安時に見られがちな19日のNY時間には、現金捻出とみられる売りに一時1800ドル割れに水準を切り下げたが下値は1795.00ドル止まり。100日移動平均線が位置する1791ドルを下回ることはなかった。その後終盤に向け買い戻され1809.20ドルで通常取引を終了(0.3%安)。時間外取引では前週末の水準近くまで値を戻した(1813.30ドル)。20日のアジアは1813.50ドルとほぼ同じ水準でスタート。すぐに買い優勢となり日本時間の午前9時過ぎには1819.80ドルの高値まで買われ、足元20時時点でも、この水準が20日の高値となっている。19日はリスクオフで買われたドルが強含み、NY金の上値を抑えたが、そのドルより円とスイスフランが強いという久々の展開となっている。その中で、暗号資産の代表格ビットコインは本日ついに3万ドルを割れ、日本時間の午後7時過ぎ(NYの早朝午前6時過ぎ)には2万9336ドルまで安値を見ている。

一時的乱気流か潮目の変化かと問われるならば、米MMFに4兆5000億ドルを越える資金が滞留する中で買い意欲も根強く、先に書いたように決算内容が先食いされているか否かを市場の反応から見極めることになる。  


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