先週末7月16日はNYの時間帯の午前10時に発表された7月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)がその後の市場のリスクオフ・センチメントの広がりのきっかけとなった。
もともとここにきて新型コロナ・デルタ株の広がりに対し、ワクチン先進国の欧米でも急速に感染が拡大しており、全人口の4分の1強がワクチン忌避と思われる米国でも、経済への影響が懸念されている折に発表されたデータが良くなかったことによる。
7月の速報値は80.8と、6月確報値の85.5から大幅に低下し5カ月ぶりつまり2月以来の低水準となった。市場予想は86.3に上昇を読んでいたことから、予想外の落ち込みということに。6カ月後を占う期待指数も83.5から78.4に低下した。こちらも2月以来の低水準となる。つまり、総合指数とともにバイデン政権による1人当たり1400ドルの給付金に象徴された1.9兆ドルの米国救済プラン(アメリカン・レスキュー・プラン)の実行前の水準に戻ったことになる。
1年後のインフレ見通しは4.8と前月の4.2から上昇、2008年8月以来の高水準を記録している。インフレ率の上振れが個人の景気回復の見通しに影を投げかけているとされる。
直近で主要3指数ともに過去最高値の更新を続けてきた米国株式だが、このデータ発表(7月16日午前10時)を受けて3指数ともに売りが先行する流れに転じ、前日比マイナス圏に落ち、終盤に向けて下げ幅を拡大した。もともとバリュエーション(投資尺度)の高さに対する警戒感があるところに、冒頭で触れたように米国内でも新型コロナ・デルタ株の感染拡大など、景気の先行きに対する不確実性が高まっていることがある。個人のマインド指数の低下は、消費の先行きに影を投げかける。
週明けの米国株式が注目されるが、日本時間の19日20時時点で、主要指数の先物は続落となっている。
もうひとつ先週末に発表された指標に6月の米小売売上高があった。前月比0.6%増加で0.4%の減少となっていた市場予想に対して2カ月ぶりにプラスに転換した。ただし、2月来のマイナスとなっていた5月分が当初の1.3%減から1.7%減に下方修正されている。
小売売上高のデータは、もっぱらモノの売り上げを示すが、米国では新型コロナワクチンの普及で活動が可能となり、消費はモノからサービスにシフトしている。今回のデータ結果は、その中でもモノの売り上げも底堅かったことを表す。
気を付けなければならないのは、小売売上高は、モノの販売を中心に構成した統計だということ。繰り返しになるが、米国の個人消費の回復はモノからサービスに移っており、旅行やレンタカー、ホテル宿泊、外食、エンターテイメントなどサービスへの需要が高まっている。しかし、小売売上高に含まれるサービス業のカテゴリーがレストラン(飲食店)・バーのみとなっていることを知る人は少ない。
つまり、消費全体の回復基調を見るには、小売統計だけでは材料不足といえるわけだ。
昨日、日曜日の午前中にポッドキャストを更新。しかし、1カ所言い間違いが判明。直前に米短期金融市場について調べており、MMFの残高が4兆5000億ドル規模で、利回りを出せる組入れ対象が減っていることを調べていた関係で、CPIのCをコンシューマーでなくコマーシャルと言ってしまっていた・・CPが頭にあったのだが、内容に誤りはないが何だかなぁ。。と。
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