亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金、1カ月半ぶりの終値1800ドル超

2021年10月26日 19時17分00秒 | 金市場

週明けのNY金は、9月14日以来約1カ月半ぶりの水準となる1806.80ドルで通常取引を終了。10月に入り3度目の1800ドル超トライでやっと引値で上回ることになった。一般的には、NY原油先物相場(WTI)が一時(1バレル=)85ドルを突破し、約7年ぶりの高値を再び更新。インフレ懸念が改めて強まり、インフレヘッジとしての買いが優勢になったということになる。その中でも、前週末は1.702%まで見ていた長期金利が、一時1.672%まで上昇したものの、その後1.635%と前週末比でも低下したことも、金の買い要因となった。

前週末金曜日に1815.50ドルまで買い進みながら、押し戻された背景としてロイターなどは、パウエル議長が来週11月2~3日のFOMCでのテーパリング決定を強調したことを、売り要因として報じたが、やはり違和感がある。それよりも単純に心理的抵抗ラインとしての1800ドルライン近辺は、現在100日と200日の移動平均線が位置しており、テクニカル要因からのファンドの利益確定売りが下げをもたらしたと思われる。1800ドルを割れが引き金になり、さらに売りが膨らんだ結果が急反落をもたらしたものだろう。週明けは、組み直しということに。

それにしても、何ゆえパウエル議長は、早ければ11月中旬の着手(債券買取り減額)が既定路線として織り込み済みのテーパリングに言及したのか。考えられるのは、2013年にFRBが引き起こした「同じ轍は踏まない」ということだろう。昨年3月以降採用してきた、空前の緩和策(資金供給)を終了に向かわせる「出口の始まり」にあたり、市場に混乱をもたらさぬよう慎重を期したものと思われる。それほど、世界的な株価の急落など市場に混乱をもたらした2013年のバーナンキ・ショック(テーパー・タントラム)の再来に対するFRBの警戒感は予想以上に強いことを表す。

一方、マーケットの方は、前のめりに22年の利上げを織り込みに掛かっている。FF(フェデラル・ファンド)金利先物市場が見込む0.25%の利上げ確率は、25日時点で22年6月が60%、9月は100%になっている。つまり、目線はテーパリングの先のゼロ金利解除(利上げ)やバランスシートの扱い(市場に滞留する資金をどうするか)に移っている。もっとも、このあたりはFRB内部でもそういうことだろう。

本日26日のNY金は、アジア時間は買いが先行したが、その後はさすがに売り優勢でロンドンからNYの早朝(午前6時)に至っている。ここまでのところ1800ドル超は維持しており、時間外でWTI原油も83ドル台で推移していることから、通常取引開始後に期待が持てそうだ。

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