亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金、週末にかけ1835ドルトライ

2021年10月25日 20時52分00秒 | 金市場

本日は午前10時45分から、東証アローズから放送しているストック・ボイスに電話ライブ出演だった。話の内容は、高まるインフレ懸念とそれに対するFRB関係者の発言内容やスタンスについて。最後に週末に発表される個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)とくに変動の大きいエネルギー・食品を抜いた「コアPCEデフレ―タ―」がFRBが注視する指標となっていることから、予想値(前年比+3.7%)を挟んだ結果に金価格は反応するのではないかというような話をした。

月末接近の今週から来週は、イベント続きの2週間となる。来週は言うまでもなく11月2~3日の日程でFOMC(連邦公開市場委員会)。その週末には雇用統計。その間にISM製造業および非製造業など景況指数もある。

来週のFOMCに関しては、発言を控えるブラック・アウト期間を前に、先週末22日にパウエル議長の講演があった。国際決済銀行(BIS)と南アフリカ準備銀行(中央銀行)のオンライン会合で講演したパウエル議長は、供給上の制約(サプライチェーン問題)とインフレ高進は従来の想定よりも長く続く可能性が高いとした。これまでのFRBの見方が修正を迫られる可能性をにじませるものとの受け止め方ができる内容でもある。その上で、テーパリング(量的緩和策の縮小)を近く開始すべきだとの見解を強調。しかし、「雇用の伸びを鈍化させる意図と効果を合わせ持つ政策金利を用いた引き締め政策(利上げ)を現時点で実施するのは時期尚早だ」とした。

これも当然の見解で、新型コロナ禍から立ち直りの途上にあるタイミングで、テーパリングはともかく、回復を阻害する可能性のある利上げはやらないというのは、一般的にもわかりやすい。その上で、問題解決に向けた時間を確保するために、FRBは一連のインフレ高進を「看過する必要がある」とした。コアCPI(消費者物価指数)の4%や、それに近いコアPCEデフレーターは、FRBが目標とする「2%を平均的に上回る」にしても、やはり高すぎる。それでも忍耐強く黙認というスタンスを取ることになる。

この講演内容は、ほぼ来週のFOMC後の記者会見の内容に重なるものと思われる。テーパリング決定に対する市場の反応を慎重すぎるほど、気を配ってのものだろう。

22日のNY金は午前の段階で1815.50ドルと約1カ月半ぶりの高値まで買われていた。インフレに焦点を移したファンドの買いとみられたが、その後、急速に上げ幅を削り、1800ドル割れに至り、引けは14.40ドル高ながら1796.30ドルとなった。今月何度か起きている“行って来い” 状態に。

ロイターなどの解説では、テーパリングの着手を強調したパウエル発言を受けて売られたとなっていた。確かに発言が伝わったタイミングでの急反落につき、言えなくもないのだろうが、テーパリングは織り込み済みだろう。それよりもむしろ、このところ1800ドル超まで進んでは跳ね返されている、テクニカルな売りがまとまったと解釈するがどうか。

ちょうどこれを書き進んでいる時間帯に、本日もNY金は1800ドル超に買い進まれている。今週は週末に向けて直近の戻り高値を更新するのではと見ているのだが、果たしてどうなるか。

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