21日のNY金は横ばいで終わった。NYコメックスの通常取引は前日と同じ水準の1825.40ドルで終了。NY時間外のアジアからロンドンの時間帯は売りがやや先行。対してNY時間は買いが先行する流れとなった。ただし、いずれも6カ月ぶりの高値水準の1825ドルを挟んだ値動きで、NYの昼前に1833.80ドルの高値を付けたものの、維持できずに終了した。
日銀が前日に長短金利操作の上限金利の引き上げを唐突に発表し、大きく円高方向に水準を切り下げたドル円相場は、この日は沈静化。132円を挟み上下に0.5円のレンジ相場となり132.46円で終了した。
主要中銀の中で唯一緩和策を続けていた日銀が事実上の緩和縮小に舵を切ったことを受け、欧米国債も一斉に売られ金利上昇につながっていが、この日は値動きは安定。しかし、欧州債を中心に切り上がった水準は維持された状態にある。日銀の動きは、世界金融が引き締め方向にあることを改めて意識させたとみられる。
こうした中でドル指数(DXY)も小動きで104ポイントを挟んだ狭いレンジで推移した。
値動きの沈静化は、ホリデーシーズンで薄商いというよりも、前日に大揺れになった後、週末23日に米国の物価指数、11月の米個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)の発表を控え様子見という印象が強い。特に変動の大きい食品とエネルギーを除いたPCEコアデフレーターは、連邦準備理事会(FRB)が注視している重要インフレ指標でもある。
今回、市場予想の中央値は前年比4.6%の伸びと10月の5.0%の伸びから鈍化が予想されている。予想通りとなると、昨年10月以来で最低の伸びとなる。
問題は仮に鈍化が予想されている予想値をさらに下振れた場合だ。FRBの利上げ観測の後退につながりドル売り要因となり、NY金は1850ドル方向へ上昇する可能性が出てくる。ドル円は一昨日の130.59円を下切り下値ラインとしては堅いとされる130円割れを試すことも考えられる。