予想通り0.25%の利上げを決めた連邦公開市場委員会(FOMC)というイベントを通過した7月27日のNY金市場だが、予想外の反落となった。
利上げの再開と次回以降の見通しは今後のデータ次第というFOMCの通過は、いわば想定通りにつき目先の材料出尽くしということで、一般的には値動きが軽くなり上昇というパターンが想定できたが、逆に反落となった。 NYコメックスの通常取引は、前日比24.40ドル安の1945.70ドルで終了した。心理的節目の1950ドルを割れることに。約2週間ぶりの安値となる。
一時1941.70ドルまで売られ安値となったが、NY時間外のアジア時間には一時1982.60ドルまで買われており、6月上旬以来の値動きの大きさとなった。
この日発表された米経済指標と労働指標は予想を超える好調さを示し、まさに前日の記者会見でのパウエル連邦準備理事会(FRB)議長による、「もはや景気後退は見込んでいない」という言葉を思い起こさせた。結果を受け米経済は当面は景気後退(リセッション)入りを回避できるとの見方が強まった。
米債市場は売られ利回りは軒並み上昇。2年債、7年債、10年債、30年債はいずれも2週間ぶりの高水準を付け、指標となる10年債は一時4.021%まで上昇4.004%で引けたが、前日比13.9bp(0.139%)の大幅上昇となった。ドルは対円以外で上昇しドル指数(DXY)も1ポイントほど上昇し、金市場ではファンドの売りが膨らんだとみられる。
この日開催された欧州中銀(ECB)政策理事会は予想通り0.25%の利上げを決め中銀預金金利を3.75%とした。ラガルドECB総裁が会見で、次回会合では利上げと政策金利据え置きのどちらもありうると説明し、ECBの継続利上げ観測が後退した。FRB同様に引き締めサイクルは終わりに近づいているとされるが、ラガルド総裁は「9月とその後の決定についてはオープンな考えだ。利上げをするかもしれないし、据え置くかもしれない」と発言。データ依存のアプローチを続けるとした。FRBと同じスタンスといえる。
この日発表された米4~6月期実質GDP速報値は、年率換算で前期比2.4%増え、市場予想の1.8%増を上回った。2%増となった1~3月期から加速した。個人消費は1.6%増と 1~3期の4.2%から増加ペースは鈍化したものの、GDP伸び率を1%以上押し上げた。設備投資も7.7%の増加となった。 同じ日に発表された6月の米耐久財受注は3カ月連続の増加となった。設備投資の先行指標となる航空機を除く非国防資本財(コア資本財)受注が予想外に増加した。労働市場の堅調さも続いている。7月22日までの1週間の新規失業保険申請件数は増加予想に対し前週から7000件減少し、22万1000件となった。3週連続の減少で、2月以来の低水準となる。。