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亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

暴落した幻想のデジタル・ゴールド

2022年06月29日 20時31分25秒 | 金融市場の話題

6月28日のNY金は小幅に続落となった。NYコメックスの通常取引は前日比3.60ドル安の1821.20ドルで終了し、その後の時間外もほぼ変わらずの1821.60で終わった。相変わらず強弱両サイドの材料の綱引き相場が続いており、FRBの利上げ前倒しを映す利上げ幅の拡大とQT(量的引き締め)のペースアップが売り要因に。なぜならいずれも一般的にはドル高、米債金利の上昇につながることから、ファンドのアルゴリズム、ロボットトレードが売りを出し上値を抑えることになる。この場合のドルとはドル指数(DXY)をさす。DXYは4月、5月、6月と上昇を続け、6月中旬には105ポイント台に乗せ20年ぶりの高値水準となった。その中でNY金は1800ドル台前半のレンジを維持したことが、このところ値動きに面白みはないものの、こちらはまさにstableということで注目されることに。

 

そういえばStableの名前を冠しドルリンクをうたった仮想通貨「テラUSD」は、スキームの欠陥から、取り付け騒ぎのような状況でこの間に1テラ=1ドルが2~3セントまで暴落したが、結局はFRBの超緩和策の中のカネ余りゆえのあだ花という印象。

ビットコインにしても昨年秋の急騰中は、わりと名の知れたアナリストまで、もう金は古い、今や背後に発行体たる政府がいないビットコインはいわば「デジタル・ゴールド」といえ、インフレ対応にもなるとしていた。しかし、FRBが利上げサイクルに入り、引き締めを急速に前倒しする中で、変調をきたしているのは御存じのとおり。テラとは異なり消えてなくなりはしないと思うが、仮想通貨はハッキングなどセキュリティ上の事件も続いており、信頼度は落ちている。ファンドの大物も10万ドル目標とか話していたが、業界は金融引き締め強化とともに厳冬期に入ることになった。 何のことはない、値上がり期待を作ることで誰かが上を買ってくれるサイクルが出現し、うまく回っていたが燃料が切れると実体がないだけに落ちるのも早かった。ここまでの展開(世界中の注目を集めた値上がり)はカネ余りのどさくさで咲いた花ということになる。

それにしてもビットコインとしてよくイメージ図というのかなぁ、金色に光るBを刻印したコインの写真が出てくるが、言うまでもなく何の形もないわけで、ああいうコインを作って見せないと落ち着きが悪いのだろう。これからデジタル法定通貨が登場するだろうが、ビットコインも現実世界に固執するから問題があるわけで、まずはメタバースに特化し、しかる後に現実世界との橋渡しプラットフォームを作ればどうかと思う。もうそんなことは進んでいるかな?。。。

 

話を金に戻すと、踏ん張っているのは、様々な不透明要因が多く、ポートフォリオに現物や現物由来のETFをホールド状態にしている投資家が多いこと。またや先物でもロングのポジションをロールオーバーしているファンドの多いとみられる。仮にインフレが目先ピークアウトして、たまさかのリスクオンムードが漂っても、インフレは一定期間高止まりするだろうし、本当に経済の構造変化(レジュームチェンジ)が起きているのか否かの見極めは来年以降のことだろう。

足元の金市場の話をするならば、先週あたりから金ETFの残高が連日減っているのだが、おそらく四半期末と上半期を終えるタイミングで、リバランシング(re・balancing)の動きと思われる。今週で終わると思うが、でなければ違う形の売りということになる。

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