10月23日のNY金は7営業日ぶりに反落した。
米経済指標の堅調さから米連邦準備理事会(FRB)による利下げペースが、想定以上に緩やかなものになるとの見方を受け、米長期金利と主要通貨に対するドルの上昇が続く中で、いわば逆行高で高値更新を続けてきたが利益確定売りに反落となった。前日比30.40ドル高の2729.40ドルで終了した。
NY金は過去6営業日で積み上げてきた上昇幅は94.20ドル、3.5%になっていたが、いったん上値追いが止まると、追随売りが膨らみ急速に値を消すのは、買い上げて来た主体がCTA(Commodity Trading Advisor)と呼ばれる短期投機筋ゆえに一般的な流れと言える。
23日はNYの通常取引に入り間もなく売り優勢に転じ2760ドル超の水準から反転すると、下げは加速しそのまま一時2722.10ドルと約40ドル水準を切り下げた。その後は反発力弱く、2730ドル台で終了。ただし、NY時間外のアジア午後からロンドンの午前を通し2660ドル超で推移し、この間に一時2772.60ドルまで買われ、5営業日連続となる取引時間中の過去最高値を更新している。
反落したとはいえ、特段の売り手掛かりはなく、一般的には、この日も米長期金利もドル指数(DXY)も約3カ月ぶりの水準に上昇が続いたことくらい。ここまで同じく金利上昇を無視する形で推移してきた米株式市場もさすがに23日は反落となった。
NY金は、このところほぼ1週おきにロング(買い建て)ポジションの増減を繰り返しており、前週からは金ETF(上場投信)の残高増に歩調を合わせる形で買い進んできていた。23日は利益確定売りに回ったとみられる。
欧米投資家は、米大統領選をめぐる不透明感に対応するため金(ゴールド)を全天候型の資産として捉え、結果判明まで買い進むものと見られる。
問題は、一定の結果が出た場合に、いったんは材料出尽くしとなるのか否かということ。
結果に対する市場の反応次第という側面があり、政策決定はデータ次第としているFRB同様、市場参加者も状況を見てというところか。
地政学リスクに分類される政治リスクは数値化が難しいことから、ファンドも対応に手を焼く要因といえる。