亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

地政学リスク、貴金属取引も分断

2024年10月25日 22時32分10秒 | 金市場

24日のNY金は反発したが、引き続き米大統領選挙を巡る不透明感が相対的な安全資産としての金(ゴールド)への関心を集めている。

地政学的要因ではイスラエルとイスラム組織ハマス間の停戦への代理会合が模索される一方で、ウクライナ戦線への北朝鮮兵の出兵を巡り、ウクライナ情勢の質的拡大および複雑化のみならず極東を含む安全保障環境の流動化も懸念事項に加わっている。

24日のNY金の直接的な上昇背景は、前日まで続いていた米長期金利と主要通貨に対するドルの反落だった。NYコメックスの通常取引は前日比9.50ドル高の2748.90ドルで終了した。

本日25日は、アジア時間からNY午前のここまでのところ売りが先行する流れが続いている。 米大統領選挙を巡っては、投票日まで2週間を切る状況の中で共和党候補であるトランプ前大統領優勢の見方が増えており、同候補の掲げる政策がインフレ圧力を高める可能性が意識され、このところ長期金利は水準を切り上げていた。前日には約3カ月ぶりの水準となる4.262%まで上昇。米国との金利格差を映しドルも主要通貨に対し買われドル指数(DXY)も一時104.570とやはり約3カ月ぶりの水準まで上昇していた。さすがに24日は一服状態となったものの、一方で発表された米経済指標は引き続き堅調さを示すものが並び、長期金利とドルをサポートした。

 

S&Pが発表した10月の米PMI(購買担当者景気指数)速報値は総合指数が54.3と、前月から0.3ポイント上昇し、米経済が足元で底堅く推移していることを表した。

また米労働市場の足元の状況を示すとして注目度が上がっている週次の新規失業保険申請件数は、19日終了週で22万7000件と前週から減少し、市場予想(24万5000件)を下回った。減少は2週連続で、ハリケーン「へリーン」と「ミルトン」が南東部各州に打撃を及ぼす前の水準に戻った。米連邦準備理事会(FRB)が今後の利下げテンポを緩やかにするとの見方をサポートする内容で、金(ゴールド)の売り手掛かりとなるもの。

 

なお24日はパラジウムが急伸した。NYパラジウムは前日比99.20ドル、9.3%高の1163.90ドルで終了。2023年10月以来1年ぶりの高値で終了した。米国が主要7カ国(G7)グループに対しロシアのパラジウムとチタンに対する輸入規制など制裁を検討するよう要請したと伝わった。

一方、ロシア、中国、インド、ブラジル、南アなどBRICS首脳は、ロシアを議長国として首脳会合を開いているが、23日に発表された共同コミュニケの中で、グループ諸国間の貴金属貿易を拡大する努力への支持を盛り込んだ。ロシアの金鉱山は西側の制裁で従来のようにロンドンなど市場を通して売却ができなくなっており、BRICS内で引き取ってくれないかという話。

またロシアは、24日新たな貴金属市場の創設をBRICS諸国に対し働きかけていると伝わった。

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