このところ発表される米経済指標の多くが、堅調さを示しているのは報じられているとおり。
米経済のソフトランディング(雇用の目立った悪化なきインフレの沈静化)期待が高まり、米長期金利もドル(ドル指数)も、ともに上昇している。10年債利回りの上昇は、23日に一時4.262%と7月26日以来約3カ月ぶりの水準まで上昇。DXYも主要通貨との金利差拡大を映し上昇し、やはり23日に104.570ポイントと7月30日以来の高水準を付けた。そして米長期金利もDXYも切り上げた水準をほぼ維持して週末の取引を終了した。
同時に米連邦準備理事会(FRB)の利下げサイクルが、想定より緩やかなものになるとの見方が固まりつつある。いわばNY金は向かい風の中で先週半ばにかけて最高値の更新を続けた。
終値では2759.80ドル(22日)、取引時間中では2772.60ドル(23日)がここまでの最高値となる。
先週末25日に発表された指標も米経済の堅調さを示唆した。9月の耐久財受注統計で設備投資の先行指標となる航空機を除く「コア資本財」と呼ばれる受注が0.5%増と、市場予想を上回った。 また10月の米ミシガン大消費者信頼感指数の確報値は70.5と、6カ月ぶりの高水準となった。
11月の利下げは見送りとの見方が一部であるが、FRB中枢部のメンバーの発言からは、ソフトランディングのために緩やかな利下げはむしろ必要とのスタンスがうかがえる。
こうした中で買い手掛かりとなっているのは、地政学リスクに対する警戒だ。まず来週に迫る米大統領選挙を巡る不確実性がある。報じられているように民主党候補ハリス副大統領と共和党候補トランプ前大統領の支持率は拮抗しており、結果が出ても双方ともにすぐに負けを認めないとの見方が以前から指摘されてきた。最終的に激戦が予想されるペンシルベニアなど7州の数万人の投票行動で結果が決まるとされるだけに、予断を許さない。
仮に同国の政治が混乱した場合、政治の空白化が財政や外交を通して国際政治経済への影響は避けられないだろう。そうなると金融市場への影響も大きなものになるとみられる。
財政協議などがこじれると、米国債の格下げの可能性もある。すでにムーディーズは警告を発している。
いよいよその市場懸念が現実化するのか否か、判明する時間帯が近づいている。
その中で、波乱に強い資産として金(ゴールド)を買う動きが続き、先週はNY金は連続的な高値更新となったが、上値は売り買い交錯状態に。