週明け10月28日のNY金は、売り買い交錯状態の中で小幅に続伸した。
週末26日に警戒されていたイスラエルによるイラン本土への攻撃が実行され、市場への影響が懸念されたが、攻撃は軍事施設を標的とする限定的および短期的なものと見なされ、情勢悪化への過度の警戒感が後退した。
金市場では地政学リスク対応の買いが一服し、利益確定売りやポジション調整の売りが先行し、NY時間外のアジアやロンドンの時間帯は前週末比マイナス圏で推移した。それでも下げは最大2736.90ドルと、限定的だった。その後、NY時間に向け買い戻され、プラス圏に浮上し、2755.90ドルで通常取引は終了した。
この日も米長期金利は上昇し、10年債利回りは一時4.303%と7月10日以来の高水準まで上昇し、NY金の上値を抑えた。それでも前週末比1.30ドル高の3営業日続伸に。
一方、米国産原油WTIはこの日、手じまい売りが膨らみ前週末比4.40ドル、6.1%の1バレル67.38ドルの大幅安で取引を終了した。
原油と異なり中東情勢のみならず来週に迫る米大統領選を含む米政治リスクも買い手掛かりとなっている金(ゴールド)の、投資対象(資産)としての背景の違いを際立たせる内容といえる。
イスラエルによる攻撃は、一報が入った際にイベント型の急騰相場が頭をよぎったが、先週末25日にブルームバーグが事情通の話として「米国はサウジアラビアに対し、中東情勢がエスカレートした場合に同国を守る用意があることを示唆した」と報じていたこと。さらに米紙ニューヨーク・タイムズが、24日イラン当局が戦争の準備を自国軍に命じる一方で、戦争回避に努めることも同時に求めたと報じていたこともあり、事前通告の存在を感じていた。
さらに、 作戦実行に週末を選んだことも、市場への影響を回避したのではと、一定の自制の利いた攻撃を思わせた。
実際に伝えられたのは、イスラエルは事前に米国サイドに通告していたこと、攻撃は軍事施設を標的とする限定的および短期的なものとなったこと、イラン側も「被害は限定的だった」との見方を示したことで、情勢悪化への過度の警戒感は後退した。
NY金が最高値圏で滞留する中で、27日投開票の日本の衆院選の結果を受け、日本の政治不透明感に加え米長期金利の上昇から、ドル円相場が7月下旬以来の円安水準(153円台)となったことから、国内金価格は週明けも最高値の更新となった。
10%の消費税込みで表記される店頭小売価格は29日も連日の最高値更新で、1万4931歳円台と節目の1万5000円に迫る水準に上昇している。
大阪取引所の金先物価格(JPX金)はこの時間までに1万3619円まで付け、こちらも最高値を更新している。
本日は9月の米雇用動態調査(JOLTS)の発表。求人件数を見る。NY金も日本時間今夜にも高値更新を視野に入れている。
予報通り冷たい雨で一気に寒くなった東京だが、西からは台風が日本列島に接近中というイレギュラーな展開。