Tapering発表後に売られながらも1220ドル近辺にしがみついていた金だが、19日の(またまた)ロンドンで引き剥がされるように水準を下げ、NYに入り改めて売り直されて1200ドル割れとなった。大台割れで売りが加速し1190ドルまで下げたところで売り一巡。そのまま1190ドル台でフロアの取引を終了した。しかし、その後の時間外では一時1990ドル割れまで売られた。20日はアジアからロンドンと大きな変化なく1190ドル台での推移に。結果的には緩和策縮小を手掛かりに改めて売り直されたことになるが、今回の下げは再びファンドがショート(空売り)に傾き始めたのか、買い建て取引(ロング)の見切り売り(手仕舞い売り)かは不明。
下げの内容はともかく値位置は今年6月28日にファンドの大量売りをきっかけにアジアの取引時間帯にパニック的な下げに見舞われた際に記録した年初来安値の1179.4ドルが近づいてきた。チャートは、2番底を意識したものとなっていることから、この水準を維持した場合自律的な反発も考えられる。ただし持続性に難点があるとみられ、1200ドルを割れたことから、アジアを中心にした現物買いの動向に市場の関心が集まりそうだ。
19日の市場で興味深かったのは、米国の指標に予想外の悪化を示すものが見られた。ひとつは先週の米新規失業保険申請件数で前の週の36万9000件から更に増え37万9000件となっていた。市場予想は33万6000件だった。前週の数字も速報段階で予想外に申請者が多かった(前週比7万件程度増加)ことから、今週は修正される可能性も指摘されていた。実際には1000件上乗せされた。クリスマス前の休暇シーズンということから統計に振れが大きい時期とされるが、11月末には30万件まで落ちていた経緯がある。来週以降、修正値がどうなるか見ものといえる。
さらに11月の中古住宅の販売件数も前月比で4.3%減少し(年率で)490万となった。前月比では3ヵ月連続の減少となる。さらに前年同月比でも1.2%減となったが。前年比での減少は2年5ヵ月ぶりとなる。言うまでもなく今年は夏場にかけて長期金利の上昇とともに住宅ローン金利が上昇し、販売戸数も減ったという経路がある。19日は長期金利が上昇し2.9%台に乗せてきているところを見ると、イエレン新議長の下でのソフトランディングも一筋縄では行かないのではないかと思う。