亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

売られる金、治に居て乱を忘れず

2013年12月19日 22時13分02秒 | 金市場
反応が見ものとした金市場の方は、現地午後2時の声明文発表を前にファンドの買い戻しの動きが見られNYコメックスの通常取引は前日比4.90ドル高の1235.00ドルで終了していた。声明文の発表後は、時間外の電子取引(グローベックス)に入っていたが、一旦は1220ドルまで売られたものの、その後は買戻しの動きが見られ1230ドル台に復帰し、しばらくはその水準で推移する展開となった。つまりTaperingスタートではあるが、だからといって一気に節目を下切り暴落ということにはならなかった。適当にショートカバーが入っていることもある。ただし、基調は弱いのは否めす。

1230ドル近辺で落ち着くとも思えなかったのだが、アジアの反応は・・・・というかアジアの時間帯の早々に売りに見舞われ、まずワンランク価格帯を落とし1210ドル台に。ここでもショートカバーが見られ1220ドルを挟んだ動きに移行。問題は今夜のNYのフロアの取引時間帯の反応。他の市場の動きからも影響を受けるのは必定。特に昨日引けに掛けて上げ足を速めた株価はどうなるか。債券市場はどうか。

FOMCについては、量的緩和策の縮小に着手したものの、全体的には市場の過度な反応を抑えることに成功したということになる。縮小ペースを市場予想より抑え気味にし、失業率がこれまでの目標以下に下がったとしても、インフレ率の基準を(以前の感覚より)高めて低金利環境が長く続くことを市場に認識させることに成功した。失業率が6.5%を下回っても物価動向では、超低金利を続けると。

ただし、こうした決定はある程度市場も織り込んでいた。いわゆる「市場との対話」に力を入れているFRBの戦略が功を奏したといえる。それが株式市場や債券市場の値動きに表れているといえる。

金市場は、過去1年近く「縮小」を材料にレンジを切り下げてきただけに、冒頭に書いたがさすがに政策変更決定がそのまま大きな売りにつながることはなかった。潤沢に資金が提供された環境は長く続くことがコミットされていることから、このところの超弱気見通しが指摘するべたべたの下げにはならなかった。一方で、安定的な景気回復の下、金融環境も安定するとなると当面は金のヘッジ機能よりも金利を生まないデメリットに目が向けられるのは否めない。今年の安値は一回きりつけた1200割れだが、早晩そこを試すことになる。米国の財政協議も2月7日に期限を切っている連邦債務上限引き上げ問題が残るが、そこまでに発表される米国の経済指標に力強さが増しているなら、その金市場への材料性も薄まる可能性がある。ちなみに今回は財務省のやり繰りにも余裕がなく1ヵ月~1ヵ月半ほどしか維持できないとされているのだが・・・。久々の「治」に居て、乱を忘れずということか。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 低い物価上昇データ(CPI... | トップ | それほど簡単ではないでしょ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金市場」カテゴリの最新記事