亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

増加に転じた金ETF(金ETFへの資金流入)

2022年05月24日 21時19分14秒 | 金市場

先週後半から見られるドルの反落が週明けも続き、NY金をサポートした。週明けはラガルド欧州中銀(ECB)総裁の金融正常化発言(7月に利上げ可能)を受けユーロが対ドルで上昇。他の主要通貨もドルに強含みに推移。これによりドル指数(DXY)は週明け23日1日で先週末の103.15から102ポイント割れを伺うところまで1ポイント以上下げることになった。

週明けの金市場はNY時間外のアジアからロンドン、さらにNYの時間帯を通して終日プラス圏で推移。NYの早朝と午前の早い段階で1860ドル台で推移し一時1864.30ドルまで買われることになった。ただし、買い一巡後は売り優勢の流れに転じ、午後の時間帯に向けて上げ幅を削りながら相場は進行。午後に入った時点では午前中の高値から20ドルほど水準を切り下げ、通常取引は1847.80ドルで終了。前日比5.70ドル高に。その後の時間外取引では買い戻され1855ドル付近まで浮上、時間外取引は1852.10ドルで終了した。

 

昨日はNY金先物に溜まったショート(買い建て)の買戻しが、200日移動平均線越えもあり、勢いがついたことで戻りに勢いが付いていることを取り上げた。いわゆるショートカバー・ラリーだが、一方で、必ずしも先物市場主導型といえない点もある。それは金ETF(上場投信)の残高が増加に転じていることだ。最大銘柄「SPDRゴールド・シェア」の残高は、重量換算で23日まで3営業日連続で合計18.86トン増加している。昨日書いたように先週1800ドル近辺では実需の買い観測もみられた。

行き過ぎたタカ派政策とも表現される米連邦準備理事会(FRB)の引き締めサイクル着手が、雇用の、ひいては景気の失速につながるとの懸念も高まっている。先週(17日)のパウエル議長の発言を受けインフレ沈静化に手間取った場合には、そのまま株価や景気への配慮なしに引き締め策が続けられるというのが足元のコンセンサスになりつつある。株安が進む中で、長期の投資家が月末に向け金ETFに資金を振り向けている(リバランシング)可能性も考えられそうだ。

 

株安については、これまでイエレン・プットとかパウエル・プットとかという言葉が表すように、株価が大下りすればFRBが救いの手を差し伸べてくれるという期待があった。実際に前回利上げとQT(資産縮小)を続けている際に2018年12月のクリスマスイブに株価が急落した際には、2019年年明けに利上げの一時停止が表明され、一時でなく打ち止めとなった。そして下半期には中国との貿易を中心とした摩擦を理由にFRBは利下げに転じ株価は反転上昇、過去最高値の更新となった。

しかし、現在は株価が大下りしようが、どうなろうが、よほどのことがない限り救いの手は差し伸べられない。インフレだから。。

本日はNY株の先物が一転して売られているが、本日はマークイットのPMI( 景況指数)と4月の新築住宅販売件数の発表が予定されている。言うまでもなく予想より下振れ見られれば、株は厳しい。S&P500の下げが年初の高値から20%超えとなるかに市場の関心が集まっている。 リスクオフの金買いが明確なトレンドをどこまで示すことができるか、試される。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« NY金テクニカル改善、ショー... | トップ | 5月議事要旨はタカ派の内容か  »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金市場」カテゴリの最新記事