亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

「価格操作による利益誘導」

2014年05月23日 23時58分56秒 | 金市場
本日夕刻の時間帯は、ちょうどラジオ日経の「マーケット・トレンド」という生番組に出演だったが、それを終えて自宅に直帰、市場チェックでPCを開き、金市場内の“騒ぎ”に遭遇。

英国の市場監視のFinancial Conduct Authority (FCA)が、英銀バークレイズとその元トレーダーに対し金価格の値決めを利用し問題があったとして制裁金を課したというもの。FT(フィナンシャルタイムズ)はじめ他にも貴金属の専門メディアなどが報じている。トレーダーが価格を誘導することによりバークレイズが顧客への390万ドル(約4億円)の支払いを免れたほか、トレーダーもトレーディングで175万ドル(約1億8000万円)の利益を上げたとされる。FCAは、バークレイズ本体に2600万ポンド(約45億円)、元トレーダーには9万5600ポンド(約1700万円)の制裁金を課したとされる。

会社の利益か顧客の利益か。いわゆる利益相反の事例とされるが、これは商品を作って販売する(組成、販売)銀行が商品の価値を決める価格(この場合、金価格)の値決めに影響力を持つという環境の中で発生したもの。かつて個別銘柄の株価を使った仕組債などが多量に発行された際に、やはり組成・販売者の証券会社が、市場で株価の動きに影響力を行使できる立場であることが問題視された事例が多かったことを思い出す。サブプライムローン問題とその後の金融バブル崩壊で金融の問題点が炙り出された際に、格付け会社の格付けに関しても格付け料をもらう立場で果たして客観的な格付けが出来るのか、否、おそらくできなかったのだろう・・・という指摘もあった。

今回の金価格の件は、一昨年のロンドン銀行間金利((LIBOR)に関連する不正の表面化の後で、金市場の値付け(Fixing)にも調査の手が入っていると見られていた中で浮上したと見られる。どう進展するのか、現時点では不明。一人のトレーダーの問題なのか、組織としてはどうだったのか常態化していなかったか様々な思惑を呼びそうだ。


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